衛星航法システムGPS/WAASの現状 電子航法研究所  坂井 丈泰.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
電子航法研究所 坂井 丈泰 準天頂衛星 L1-SAIF 信号における GLONASS エフェメリスの更新制御 準天頂衛星 L1-SAIF 信号における GLONASS エフェメリスの更新制御 GPS/GNSS シンポジウム 東京海洋大学 Oct. 26, 2012.
Advertisements

第4回 GPS 測位の誤 差  GPS 測位の誤差  GPS 測位の信号  測位誤差の対処  代表的 GPS.
反射波が支配的な状況下でのマルチパス誤差低減
前回の授業への質問 質問:プロトコルアナライザで測定できる範囲はどこまでか?
GPSシンポジウム2003 チュートリアル GPS/GNSSの基礎
情報通信システム論I ---無線航法---
はじめに 準天頂衛星システム(QZSS): L1-SAIF補強信号: 内容:(1) 準天頂衛星システム (3) 広域緊急メッセージの設計例
時間・空間補間した 基準局網観測値による キネマティックGPS性能の評価
Introduction 初期位置算出時間(Time To First Fix): TTFFの短縮:
Introduction 航空局による広域補強システムMSASは、現在試験中。 MSAS試験信号を受信し、補強メッセージの評価を試みた:
坂井 丈泰、松永 圭左、星野尾 一明 (電子航法研究所) Todd Walter (Stanford University)
Todd Walter (Stanford University)
磁気トルカ較正試験結果 宇宙機ダイナミクス研究室 D2 宮田 喜久子.
アマチュア局の無線設備等の変更申請(届)書
GPS観測 2006年度地球観測実習 ~新しい可能性を求めて~     新井隆太 大久保忠博 米田朝美        担当教官 宮崎真一.
『どこでも運用システム』の開発状況 (第二報) iPad版衛星状態監視システム (プロトタイプ) どこでも運用システムと他システムとの接続
GPS補強のための気圧高度計の補正 電子航法研究所 坂井 丈泰  惟村 和宣  新美 賢治.
Introduction 準天頂衛星システムの開発が進められている: 補強信号のためのエフェメリス情報:
P,Q比が変更可能なScaLAPACKの コスト見積もり関数の開発
はじめに 準天頂衛星システム(QZSS): L1-SAIF補強信号: 内容: (1) 準天頂衛星システムL1-SAIF補強信号
センサノード 時刻同期と位置測定 浅川 和久 2008/11/16 センサノード 時刻同期と位置測定.
Low-Cost INS/GPS複合航法 に関する研究の進捗状況
レーザー励起Csガスセル型原子発振器による測地VLBI実験
はじめに 準天頂衛星システム(QZSS): L1-SAIF実験局: 内容:(1) 準天頂衛星システム (4) 技術実証実験
Introduction MSAS(運輸多目的衛星用衛星航法補強システム)は、実用を開始: MSASのアベイラビリティ(有効性):
はじめに 準天頂衛星「みちびき」の打上げ準備が進められている: 航空用GPS補強サービスMSAS: 衛星プラットフォームの共用について検討:
第7回 衛星測位の新しい動向 ・GPSの問題とバージョンアップ ・ロシアのGLONASS ・ヨーロッパのGalileo
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
2015年10月10日 WASA50周年記念報告会 電装プロジェクト 活動報告 電装プロジェクト 代表 杉山 拓弥.
準天頂衛星L1-SAIF実験局の開発 電子航法研究所 坂井 丈泰、 福島 荘之介、 伊藤 憲 第54回宇宙科学技術連合講演会
DFMC SBASの規格化動向 OS1-1 坂井 丈泰・麻生 貴広・北村 光教 海上・港湾・航空技術研究所 GPS/GNSSシンポジウム
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
坂井 丈泰、福島 荘之介、武市 昇、荒蒔 昌江、伊藤 憲
準天頂衛星 サブメータ級補強機能の性能評価
第10週 その他の測位方法 自律航法とナビ 携帯電話測位 gpsOneの事例.
フィールドセンシング Field Sensing Technologies
CDMA (IS-95) 松下 温 (慶應義塾大学 理工学部).
第8週 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
①浮上(RTB準備)→ 圧力センサー(水深)
新潟インターネット研究会 田中 秀明 GPS入門 新潟インターネット研究会 田中 秀明
Cartサブシステム仕様.
広域DGPSとMSAS GPS/GNSSシンポジウム2006 チュートリアル 電子航法研究所 坂井 丈泰
技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
Todd Walter (Stanford University)
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
RTK-GPS及びネットワーク型RTK-GPS測位技術
第2回 GPS測位の原理 衛星測位の原理 GPS衛星システム GPSの信号システム GPSの測位方式.
準天頂衛星L1-SAIF信号による GPS補完機能
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
第6回 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
ユビキタス社会におけるバイオメトリクスを使用した生体認証技術に関する研究
精密単独測位(PPP)による スタティック・キネマティック 測位精度の評価
MEMSセンサを用いたINS/GPS複合航法システム
GPSと相対論 金野 幸吉.
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
片方向通信路を含む ネットワークアーキテクチャに於ける 動的な仮想リンク制御機構の設計と実装
準天頂衛星L1-SAIF信号の 低緯度地域対応の試み
L1-SAIF信号における電離圏補強情報の調整
2.2 L1-SAIF補強信号の 測位精度とその改善策
坂井 丈泰、武市 昇、福島 荘之介、工藤 正博、藤井 直樹
坂井 丈泰、松永 圭左、星野尾 一明 (電子航法研究所) Todd Walter (Stanford University)
GPSハッキングとGPS信号の弱点 信号が微弱 2万km彼方に100Wの電球があるのと同じレベル
第2回 GPS測位の原理 衛星測位の原理 GPS衛星システム GPSの信号システム GPSの測位方式.
緊急地震速報の消防防災分野での活用に関する検討懇談会 市町村防災行政無線(同報系)による 緊急地震速報伝達システムの実証実験
ドラッグフリー技術の検討状況 2006.5.11 JAXA 石川 毅彦.
2005年のHAYABUSA 観測データについて 関戸 衛(NICT) VLBI技術による宇宙研究シンポジウム
低軌道周回衛星における インターネット構築に関する研究
坂井 丈泰・麻生 貴広・北村 光教・星野尾 一明
Presentation transcript:

衛星航法システムGPS/WAASの現状 電子航法研究所  坂井 丈泰

Introduction 衛星航法システムの現状と計画 GPS、GLONASS、Galileo GPS近代化計画 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 1 Introduction 衛星航法システムの現状と計画 GPS、GLONASS、Galileo GPS近代化計画 補強システム(ICAO SBAS/GBAS) WAASの現況 開発の経緯、WIPP、認証(本年7月10日) システム構成・機能 WAASメッセージ 今後の見通し(静止衛星追加、2周波対応など) WAASのインテグリティ

Navstar/GPS Page 2 24衛星(6軌道面、高度約2万km) 実際は28衛星が稼動中 軌道傾斜角55度、周期11:58 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 2 Navstar/GPS 24衛星(6軌道面、高度約2万km) 実際は28衛星が稼動中 軌道傾斜角55度、周期11:58 標準測位サービス(SPS):軍民共用 L1(1575.42MHz):C/Aコード(1.023Mcps) 精密測位サービス(PPS):軍用 L2(1227.6MHz):P/Yコード(10.23Mcps) スペクトラム拡散:CDMA、測距 衛星のPRN番号(1~37):拡散コード 航法メッセージ(50bps):軌道情報 1978~ Block I     プロトタイプ 1989~ Block II/IIA 実用型(SA機能あり) 1997~ Block IIR  衛星間リンク、Autonav (FAA HP)

GPSの地上ネットワーク Page 3 MCS 1局+バックアップMCS: 全体制御、航法メッセージ生成 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 3 GPSの地上ネットワーク (Garrett, USAFより) MCS ASCENSION DIEGO GARCIA HAWAII CAPE CANAVERAL KWAJALEIN GAITHERSBURG COLORADO SPRINGS MCS 1局+バックアップMCS: 全体制御、航法メッセージ生成 Monitor Station(MS) 6局(うち1局はMCS内): L1/L2測距、航法メッセージ受信 Ground Antenna(GA) 4局: コマンド・データ送信用

近代化計画(Modernization) Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 4 近代化計画(Modernization) SA解除(2000年5月) Block IIR-M(2004~):第二民間周波数(L2=1227.6MHz) 航空用ARNSバンド外:民間航空用途には使えない 科学観測、測量など IOC 2008、FOC 2010 Block IIF(2006~):第三民間周波数(L5=1176.45MHz) Safety-of-Life ApplicationもOK(民間航空含む) 航空用DME(960~1215MHz)との干渉あり IOC 2012、FOC 2014 Block III(2010?~):次世代型GPS MS増設:NIMA局を利用(6局) MCS増設:Alternate MCS(西海岸に設置)

GLONASS(ロシア) 24衛星(3軌道面、高度19100km) 現在は10機を運用中:衛星寿命3年 軌道傾斜角65度、周期11:15 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 5 GLONASS(ロシア) 24衛星(3軌道面、高度19100km) 現在は10機を運用中:衛星寿命3年 軌道傾斜角65度、周期11:15 L1(1592~1610MHz):SPコード(0.511MHz) L2(1239~1254MHz):HPコード(5.11MHz) FDMA方式による衛星識別 SAはもともとない GLONASS-M: 民間用SPコードをL2波に追加、寿命7年 GLONASS-K: 3周波、寿命10年以上、2005~? GLONASS-NG: 2010~? 民間用L3波(1164~1215MHz帯)の追加も検討

Galileo(EU) 1999年にEUが計画を発表:最初から軍用ではない 30衛星(3軌道面、高度23600km) ユーザに応じたサービス Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 6 Galileo(EU) 1999年にEUが計画を発表:最初から軍用ではない 30衛星(3軌道面、高度23600km) ユーザに応じたサービス OS(Open Service)         GPS SPSに相当、無料 CS(Commercial Service)     有料の商用サービス、暗号化 SoL(Safety-of-Life Service)   民間航空など PRS(Public Regulated Service) 政府機関向け E1(1589.5MHz)+E2(1561MHz): OS/CS/SoL/PRS E6(1260~1300MHz): CS/PRS E5a(1176MHz)+E5b(1201.5MHz): OS/SoL/CS(E5b) 2005打上げ開始、2006 IOC、2008 FOC

Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 7 補強システム コアシステムのみではアプリケーションが必要とする測位精度あるいは信頼性を得られない場合に、補強システム(augmentation system)を追加してこれを補う。 補うのは、測位精度あるいは信頼性。 一般的な構成は: (1) 地上基地局で測距精度や信頼性を監視 (2) 補強情報を作成してユーザに伝送 (3) ユーザ受信機で処理、測位精度や信頼性を向上させる ディファレンシャルGPSによる補強はすでに普及 ディファレンシャルGPS基準局+無線データリンク 公共サービス:中波ビーコン、FM多重放送など

コアシステム性能 測位精度(95%) 100 m 156 m 規定内容 GPS GLONASS 水平 垂直 測位精度(99.99%) Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 8 コアシステム性能 測位精度(95%) 100 m 156 m 規定内容 GPS GLONASS 水平 垂直 測位精度(99.99%) インテグリティ コンティニュイティ アベイラビリティ リスク TTA グローバル ローカル 300 m 500 m 10-4 /h 0.5 h 99.85% 99.16 % 16 h 出典: GNSS-1 Performance Specification and Validation, EUROCONTROL

要求性能(航空) 測位精度(95%) 3700 m 性能項目 航空分野 水平 垂直 インテグリティリスク 更新レート アベイラビリティ Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 9 要求性能(航空) 測位精度(95%) 3700 m 性能項目 航空分野 水平 垂直 インテグリティリスク 更新レート アベイラビリティ 0.99 ~ 0.99999 10-7 /h 出典: Draft SARPs for GNSS, 1999 他 エンルート ターミナル 精密進入 1 s 740 m 0.999 ~ 16 m 4~6 m 2×10-7/appr. 0.2~1 s

要求性能(海上) 測位精度(95%) 1800 m 性能項目 海上分野(商用船舶) インテグリティリスク 更新レート アベイラビリティ Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 10 要求性能(海上) 測位精度(95%) 1800 m 性能項目 海上分野(商用船舶) インテグリティリスク 更新レート アベイラビリティ 0.9973 出典: Galileo - A View of Maritime Users, 2000 洋上 沿岸水域 アプローチ 水域 1 h 100~300 m 0.9986 5 min 10~30 m 0.99989 3.3×10-6 /h 3~10 s

要求性能(陸上) 測位精度(95%) 10~30 m 性能項目 陸上分野(自動車) インテグリティリスク 更新レート アベイラビリティ Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 11 要求性能(陸上) 測位精度(95%) 10~30 m 性能項目 陸上分野(自動車) インテグリティリスク 更新レート アベイラビリティ 0.997 出典: Navigation Requirements for ITS, 1997 緊急通報 カーナビ 衝突回避 1 s 5~20 m 1 m 0.1 s 30 m 車両管理

航空用衛星航法システム ICAO(国際民間航空機関) 1944年、シカゴ条約により設置。本部モントリオール Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 12 航空用衛星航法システム ICAO(国際民間航空機関) 1944年、シカゴ条約により設置。本部モントリオール 航法システムを含む、民間航空分野の各種国際標準の策定 FANS委員会による最終報告(1991) 民間航空航法は人工衛星を利用した衛星航法システムに移行 GNSSパネル会議設置(1993):第4回(2003/4) 今後はNSP(Navigation System Panel)として活動を継続 GNSS:民間航空航法用に使用可能な性能を持つ衛星航法システムと定義。国際標準(SARPs)を策定した: (1) コアシステム(GPS/GLONASS)の定義 (2) 補強システム(SBAS/GBAS/ABAS)の機能・性能

ICAO GNSS ICAO GNSS EGNOS MSAS WAAS GPS GLONASS GBAS ABAS SBAS Page 13 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 13 ICAO GNSS EGNOS ICAO GNSS MSAS WAAS GPS GLONASS 機上装置によるインテグリティ確保 あるいはハイブリッド航法 地上基地局 GBAS ABAS SBAS SBAS: Satellite-Based Augmentation System 静止衛星による広域補強システム GBAS: Ground-Based Augmentation System  地上基地局による狭域補強システム ABAS: Airborne-Based Augmentation System 機上装置による補強システム

Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 14 SBAS概念図

Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 15 開発中のSBAS (R. Fuller, Stanford Univ.)

MSASの構成 Page 16 2 GEO 2 MCS 2 MRS 4 GMS GPS Constellation MTSAT Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 16 MSASの構成 MCS Master Control Station MRS GMS Ground Monitor Station Hitachiota MCS Sapporo GMS Fukuoka GMS Naha GMS User Australia MRS Hawaii MRS Kobe MCS Tokyo GMS GPS Constellation MTSAT KDD 64Kbps NTT 64Kbps 1Mbps Monitor and Ranging Station L-band K-band Ground Link 2 GEO 2 MCS 2 MRS 4 GMS

FAA WAAS 米国航空局(FAA)によるSBAS 1991年頃から研究を開始。初期はWADGPSと呼ばれた Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 17 FAA WAAS 米国航空局(FAA)によるSBAS 1991年頃から研究を開始。初期はWADGPSと呼ばれた 当初は1997年頃の運用開始を予定していた 試験システム(NSTB) WAASの研究開発用試験システム 1993~94年、NSTBによる飛行実験を実施 開発企業としてレイセオン社を選定(1996) インテグリティ機能への懸念(1999) WIPP(WAAS Integrity Performance Panel)設置(2000) 航空ユーザ以外には利用可能とした(2000/8~) 認証作業完了(2003/7/10) 航空機の主航法OK。LPVと呼ばれる非精密進入までサポート 3 GEOによるPhase-I FOCは2007年頃を予定

Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 18 WAASの構成 (Elderedge, FAA)

覆域の大部分で、いずれか1衛星しか見えない Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 19 WAAS静止衛星 INMARSAT 3 POR 178 W AOR/W 54 W (Elderedge, FAA) 覆域の大部分で、いずれか1衛星しか見えない

WAASの開発 Page 20 CAI Commissioning 60 Day Test Complete Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 20 WAASの開発 CAI Commissioning 60 Day Test Complete Algorithm Validation Complete Updated Safety/Integrity Baseline SIS Available for Non-Aviation Stability Test Complete WIPP Formed Insufficient Proof for 10-7 Integrity Rqmt. HW Fielded CDR PDR Inmarsat II Leased Contract Award 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 May 96 Jan 97 Apr 97 Dec 97 Jun 98 Dec 99 Jan 00 Jul 00 Aug 00 Feb 01 Jan 02 Sep 02 Jan 03 Jul 03 (Elderedge, FAA)

WAAS(SBAS)の機能 WAAS(SBAS)の放送する信号 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 21 WAAS(SBAS)の機能 WAAS(SBAS)の放送する信号 L1周波数(1575.42MHz)、BPSK、C/Aコード(1.023MHz) PRN120~138:GPSとは異なるPRNコードで変調 データレート250bps(シンボルレート500sps:FECエラー訂正) 1メッセージ/秒 ユーザに提供する情報 (1) インテグリティ情報(測位誤差上限の推定値) (2) レンジング機能(測距信号を追加) (3) 誤差補正情報(測位精度を向上) システム構成 静止衛星2機(INMARSAT AOR/W, POR) 地上:MCS 2局、Monitor Station 25局、Uplink Station 3局

WAASメッセージ(1) Page 22 プリアンブル 8ビット メッセージタイプ 6ビット データ領域 212ビット CRCコード Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 22 WAASメッセージ(1) プリアンブル 8ビット メッセージタイプ 6ビット データ領域 212ビット CRCコード 24ビット 250ビット メッセージ タイプ 1 2~5 6 7 9 10 12 17 18 内 容 テストモード(使用不可) PRNマスク情報 高速補正(FC+UDRE) インテグリティ情報(UDRE) 高速補正の劣化係数 GEO航法メッセージ 劣化係数 SBAS時刻情報 GEOアルマナック IGPマスク情報 更新間隔 (秒) 120 60 300 24 25 26 27 28 63 高速補正・長期補正 長期補正 電離層遅延補正(+GIVE) WAASサービスメッセージ クロック・軌道情報共分散 NULLメッセージ —

Vertical Delay Estimate Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 23 WAASメッセージ(2) FC 12 0.125 m ±256 m 高速補正 δx, δy, δz 11 ±128 m 長期補正(衛星位置) 8 2–11 m/s ±0.0625 m/s 長期補正(衛星速度) Vertical Delay Estimate 9 63.875 m 電離層遅延補正 記 号 ビット数 分解能 補正範囲 補正の種類 ビット内容 FC劣化係数 UDRE GIVE 0 mm/s2 0.0520 m2 0.0084 m2 1 0.05 mm/s2 0.0924 m2 0.0333 m2 URA(静止衛星) 2 m 2.8 m 2 0.09 mm/s2 0.1444 m2 0.0749 m2 4 m 3 0.12 mm/s2 0.2830 m2 0.1331 m2 5.7 m : 15 5.80 mm/s2 Don’t Use Not Monitored 14 4.60 mm/s2 187.0826 m2 4096 m 13 3.30 mm/s2 2078.695 m2 20.787 m2 2048 m

IGPの配置 Page 24 電離層関係の情報は2種類: 遅延量情報(補正情報) GIVE(誤差の推定値) Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 24 IGPの配置 電離層関係の情報は2種類: 遅延量情報(補正情報) GIVE(誤差の推定値) これらの情報は、IGPにおける値が放送される。 ユーザは、各衛星から到来する測距信号のIPPを求め、その位置の補正値を内挿により求める(外挿は不可)。 -180 -150 -120 -90 -60 30 60 Longitude, deg Latitude, deg 5度 IGP IPP

WAASメッセージの例 Page 25 Oct. 2003 Sakai, ENRI MESSAGE TYPE #01 sec=265410.127 PRN#134 PRN MASK 001 002 003 004 005 006 007 008 009 010 011 012 013 014 015 017 018 019 020 021 022 023 024 025 026 027 028 029 030 031 122 134 MESSAGE TYPE #00 sec=265411.128 PRN#134 DO NOT USE MESSAGE TYPE #03 sec=265418.127 PRN#134 FAST CORRECTIONS MT3 00: mask 13 (PRN014) FC +255.875m UDRE Not Monitored 01: mask 14 (PRN015) FC -0.500m UDRE 0.8315m^2 02: mask 15 (PRN017) FC -0.125m UDRE 0.4678m^2 03: mask 16 (PRN018) FC -0.625m UDRE 0.8315m^2 04: mask 17 (PRN019) FC +255.875m UDRE Not Monitored 05: mask 18 (PRN020) FC +255.875m UDRE Not Monitored 06: mask 19 (PRN021) FC +1.250m UDRE 2.5465m^2 07: mask 20 (PRN022) FC +0.000m UDRE 0.8315m^2 08: mask 21 (PRN023) FC -0.125m UDRE 0.4678m^2 09: mask 22 (PRN024) FC -0.500m UDRE 0.8315m^2 10: mask 23 (PRN025) FC +255.875m UDRE Not Monitored 11: mask 24 (PRN026) FC +0.000m UDRE 0.4678m^2 12: mask 25 (PRN027) FC -0.375m UDRE Not Monitored MESSAGE TYPE #24 sec=265419.127 PRN#134 MIXED FAST/LONG CORR 00: mask 26 (PRN028) FC +255.875m UDRE Not Monitored 01: mask 27 (PRN029) FC +255.875m UDRE Not Monitored 02: mask 28 (PRN030) FC -0.250m UDRE 2.5465m^2 03: mask 29 (PRN031) FC +255.875m UDRE Not Monitored 04: mask 30 (PRN122) FC -3.625m UDRE 230.9661m^2 05: mask 31 (PRN134) FC -13.250m UDRE Do Not Use mask 10 (PRN011) δx 3.625m δy 5.625m δz -3.750m δa_f0 -12.573ns δdx -0.488mm/s δdy 0.488mm/s δdz -0.977mm/s δa_f1 0.000ns toa 6240s MESSAGE TYPE #18 sec=265421.128 PRN#134 IGP MASKS # IGP bands 3 IGP band ID 2 018 019 020 021 022 023 024 025 043 044 045 046 047 048 049 050 068 069 070 071 072 073 074 075 093 094 095 096 097 098 099 100 101 118 119 120 121 122 123 124 125 126 MESSAGE TYPE #26 sec=266115.128 PRN#134 IONO CORRECTIONS IGP band ID 1 IGP block ID 2 grid 00: Delay +7.875m GIVE 20.787m^2 grid 01: Delay +7.250m GIVE 1.8709m^2 grid 02: Delay +6.750m GIVE 1.1974m^2 grid 03: Delay +6.500m GIVE 1.8709m^2 grid 04: Delay +6.500m GIVE 1.8709m^2 grid 05: Delay +6.375m GIVE 1.8709m^2 grid 06: Delay +6.000m GIVE 3.3260m^2 grid 07: Delay +10.000m GIVE 20.787m^2 grid 08: Delay +9.000m GIVE 20.787m^2 grid 09: Delay +8.000m GIVE 1.8709m^2 grid 10: Delay +7.000m GIVE 1.8709m^2 grid 11: Delay +6.500m GIVE 1.1974m^2 grid 12: Delay +6.125m GIVE 1.1974m^2 grid 13: Delay +6.000m GIVE 1.8709m^2 grid 14: Delay +6.000m GIVE 1.8709m^2 MESSAGE TYPE #00 sec=266117.128 PRN#134 DO NOT USE MESSAGE TYPE #03 sec=266118.127 PRN#134 FAST CORRECTIONS MT3 00: mask 13 (PRN014) FC +255.875m UDRE Not Monitored 01: mask 14 (PRN015) FC -0.375m UDRE 0.8315m^2 02: mask 15 (PRN017) FC -0.125m UDRE 0.4678m^2 03: mask 16 (PRN018) FC -0.500m UDRE 0.8315m^2 04: mask 17 (PRN019) FC +255.875m UDRE Not Monitored 05: mask 18 (PRN020) FC +255.875m UDRE Not Monitored 06: mask 19 (PRN021) FC +1.125m UDRE 1.8709m^2 07: mask 20 (PRN022) FC +0.125m UDRE 0.8315m^2 08: mask 21 (PRN023) FC +0.250m UDRE 0.4678m^2

WAASのインテグリティ プロテクションレベル(Protection Level)方式 1–10–7の信頼水準でのユーザ航法誤差の上限値 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 26 WAASのインテグリティ プロテクションレベル(Protection Level)方式 1–10–7の信頼水準でのユーザ航法誤差の上限値 水平方向=HPL、垂直方向=VPL PLと警報限界(Alert Limit)を 比較し、AL<PLなら利用不可 PLの計算アルゴリズム: SARPsで規定 計算に必要なパラメータが インテグリティ情報として 放送される(UDRE, GIVE) VAL=50m(LNAV/VNAV, LPV) /20m(APV)/12m(CAT-I) AL → ユーザ測位誤差 → プロテクションレベル 正常動作 使用不可(警報) MI (誤情報) インテグリティ リスク HMI (危険情報) インテグリティOK 通常の 分布

インテグリティモニタ アベイラビリティを上げるには、インテグリティ水準を保ちつつプロテクションレベルを最小化する必要がある。 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 27 インテグリティモニタ アベイラビリティを上げるには、インテグリティ水準を保ちつつプロテクションレベルを最小化する必要がある。 脅威に対応したインテグリティモニタを設け、 プロテクションレベルが過大に計算される のを防ぐ。 測位誤差 脅威 モニタ局ネットワーク PL計算 (脅威あり) インテグリティモニタ (脅威なし) 脅威検出 → ユーザ測位誤差 → プロテクションレベル 正常動作 MI モニタ

Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 28 WAAS試験結果(1) HAL=40m (McHugh, FAA)

WAAS試験結果(2) Page 29 VAL=50m (LNAV/VNAV) (LPV) VAL=20m (APV) VAL=12m Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 29 WAAS試験結果(2) VAL=50m (LNAV/VNAV) (LPV) VAL=20m (APV) VAL=12m (CAT-I) (McHugh, FAA)

UPS Aviation Technologies Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 30 WAAS機上装置の例 UPS Aviation Technologies Apollo CNX-80 TSO-C146a WAAS/GPS受信機 業者価格の例: $11,999 (搭載・検査費用込み) ARINC429出力あり(5Hz Update) 別売ディスプレイ (MX-20 MFD) CNX-80

今後の見通し Phase-I WAAS FOC(2007頃) カナダ、メキシコなどにモニタ局を増設(25局→34局) GEO追加 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 31 今後の見通し Phase-I WAAS FOC(2007頃) カナダ、メキシコなどにモニタ局を増設(25局→34局) GEO追加 2周波化対応(Phase-II WAAS) GPS L5周波数をSBASも利用(L2は使わない) 現在、RTCAがL5 SBAS ICDを検討中 耐干渉性と電離層遅延推定で大きなメリット データレートは250bpsあるいは500bps ブラジルSBASへの協力 試験的にモニタ局を設置、データ収集中 磁気赤道地方での電離層の挙動が課題

少なくとも2衛星が見えるようにする(信頼性の向上) Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 32 静止衛星の追加 INMARSAT 3 AOR/W 54°W POR 178°E Ideal Slot 119°W POR 178 W AOR/W 54 W Additional GEO Ideal: 119 W (Elderedge, FAA) 少なくとも2衛星が見えるようにする(信頼性の向上)

低緯度地方の電離層 Page 33 磁気緯度>30度 磁気緯度<30度 電離層遅延の差 2地点間の距離 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 33 低緯度地方の電離層 磁気緯度>30度 磁気緯度<30度 電離層遅延の差 2地点間の距離

Conclusion GPSは現在Block IIR衛星を打上げ中。 Block IIR-M(2004~):第二民間周波数 Oct. 2003 Sakai, ENRI Page 34 Conclusion GPSは現在Block IIR衛星を打上げ中。 Block IIR-M(2004~):第二民間周波数 Block IIF(2006~):  第三民間周波数 近代化計画:モニタ局の追加、MCS増設など WAASの開発はインテグリティが原因で遅れていたが、本年7月にFAAにより認証された(IOC)。 航空機の主航法システムとして使用可能。 非精密進入(LPV)までサポート。 数年以内に静止衛星を追加し、Phase-I WAAS FOCを予定。