J-PARCにおける Φ中間子原子核探索実験

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Presentation transcript:

J-PARCにおける Φ中間子原子核探索実験 11/11/2007 現在 M. Iwasaki, H. Ohnishi, H. Outa, F. Sakuma T. Suzuki, S. Yokkaichi RIKEN G. Beer Univ. of Victoria 理化学研究所 大西 宏明

Introduction ハドロンの質量 → カイラル対称性の自発的な破れにより獲得! ハドロンの質量  → カイラル対称性の自発的な破れにより獲得!  高温/高密度環境下では自発的に破れている カイラル対称性の部分的回な回復が観測できる? QGP neutron star SPS, RHIC, LHC KEK-PS W.Weise NPA553, 59 (1993). T. Hatsuda, H. Shiomi and H. Kuwabara Prog. Theor. Phys. 95(1996)1009 理論的にはベクトル中間子の質量が 密度の関数で減少!することを予言

観測量(ここでは不変質量)自身でベクトル中間子をID、 Introduction 高温/高密度環境下でのベクトル中間子質量精密測定実験の現状 高エネルギー原子核衝突実験   →ダイナミカルに高温核物質生成     およびベクトル中間子を生成 陽子-原子核 もしくは 光子-原子核反応   →ダイナミカルにベクトル中間子を生成 通常核物質中で Φ/ωの mass shift? どうもρ中間子 の挙動がおかしい CERES QGP neutron star SPS, RHIC, LHC KEK-PS W.Weise NPA553, 59 (1993). KEK-PS E325 PRL98(2007)042501 NA60 観測量(ここでは不変質量)自身でベクトル中間子をID、 その特性を議論。 CBELSA-TAPS PRL94(2005)192303

いっそのこと、Φ-原子核束縛状態ってつくれる? やりたいこと 媒質中(通常原子核)にベクトル中間子を置きに行く ただし、ベクトル中間子が生成されたことを 観測したいベクトル中間子の崩壊を観測すること以外で識別したい  ベクトル中間子の中でもここではΦ中間子に注目 止まったΦ中間子は作れるであろうか? いっそのこと、Φ-原子核束縛状態ってつくれる? どうやって捕まえれば良いのだろうか?

Φ中間子と原子核の相互作用? KEK-PS E325 実験の教えること (PRL98(2007)042501) ゆっくり動くΦ中間子は通常原子核による媒質効果を受け(不変)質量が軽くなる(~3%) 読み替え Φが本当に核内で軽い           原子核はΦ中間子からみて質量変化量に相当する        エネルギーポケットとなっている(はず) 核内で束縛状態(エネルギー固有値)を形成! さて、3%~30MeVの深さを持つポテンシャルに束縛状態は作れるか?

Φ中間子原子核って存在するのか? 状況証拠はそろった。多分出来るんじゃない? Λハイパー核生成 Λ-原子核間のポテンシャルの深さ~30MeV Λの質量 = 1116 MeV    Φ中間子に関する状況と類似 Mesic-nucleusを生成するときのレシピ momentum transfer=0 i.e. recoilless conditionを作る (π中間子原子核、h 原子核 など) 素過程を用いる Φ中間子を止めて作る状況(recoilless condition)を実現する Φ中間子生成素過程は存在しない。。。。。。   しかしながら、(π+,K+) 反応でのΛハイパー核生成は 成功している!( momentum transfer~400MeV) 核内でΦ中間子が少々原子核に対して動いていても 束縛状態は出来ることをハイパー核生成実験が教えてくれる 状況証拠はそろった。多分出来るんじゃない?

Φ中間子原子核の捕まえ方(1) まずは崩壊モードについて。 核内でΦ中間子は30 MeVほど軽くなっている 核内でΦ中間子は30 MeVほど軽くなっている 1019 MeV – 30 MeV = 989 MeV ~ 2 x MKaon Φの主要崩壊モード Φ→K+K- は抑制される(はず) しかしながら、Φは原子核中にいます。 1019 MeV – 30 MeV + 938 MeV(陽子)                  = 1927 MeV > MKaon+MΛ すなわち、Φp→K+Λ に崩壊出来る また、 K+ΛはOZIルールで抑制されないモード 核内Φを識別する第一歩 標的周辺でK+Λを捕まえる s u d K+ Λ Φ p

Φ中間子原子核の捕まえ方(2) Φ中間子生成を如何に効率よくタグするか? p beam を用いた反応に面白いものを発見! 考えることが出来るΦ生成素過程     (π,N) 反応で前方に放出されるNを捕まえた  missing mass でIDする方法。      残念ながらこのチャンネルでは(p,K)反応による ハイパー核生成実験で強力な力を発揮した “ストレンジネスタグ”は出来ない。 バックグラウンドとの戦い! i.e. 直接KΛを作るプロセスが結構存在する。 p(K-,L)f 反応なら、ストレンジネスタグできるが。。。 この場合、f は前方に生成されやすい。 (生成核分布が強いforward peak を示す。) p beam を用いた反応に面白いものを発見!    

p beam を用いたΦ中間子生成 p+p→ΦΦ反応をΦ中間子生成素過程に使う! CERN LEARにおいてp の運動量1.2-2.0GeV/cにおいて p+p →ΦΦの測定が行われています。 (もとは exotic particle search実験) (私には)驚くべき実験結果が1996年に発表された。 p+p →ΦΦ の全生成断面積 ~4 mb@1.3 GeV/c p の運動量が1.4 GeV/c までの間はΦΦが主要過程! (自然にはΦK+K- とかK+K-K+K-が多いような気がするが。。。) この測定の意味するところ p beam 運動量を1.3 GeV/c とる。 一つΦを捕まえると もう一方は90%以上の確率でやはりΦ   Phys.Rev.D57(1996)5370 p+p→ΦΦ反応をΦ中間子生成素過程に使う!

目指す実験 4個のストレンジネスをタグ! p+p→ΦΦ反応に関する考察  p 運動量 1.3 GeV/cのときの運動量移行 (Φの原子核に対する運動量)       ~ 200 MeV/c (π,K)反応でのハイパー核生成 のときのΛの持つ運動量より小さい   目指す実験 前方に放出されるΦを捕まえ、 Missing mass でΦ中間子原子核を見る Φ中間子原子核崩壊から来るK+Λ を捕まえる 特徴: 生成チャンネルで f 生成をタグ: 前方に放出されるΦ(→K+K-)を測定=後方にΦがある さらに崩壊側でK+,Λをタグ。 4個のストレンジネスをタグ!

Background process データー解析としては (原理的に)background free になる(できる。) 問題はトリガー 低エネルギーでの反陽子反応 ΦΦ生成断面積は 全反応断面積に比べ4桁小さい K+K- を含むイベントを選別 すると、background 2桁までくる。 さらにもう一個Kaonを要求すると、 (Three Kaon trigger) トリガーレベルでbackground free となる    どのような実験セットアップを 作る必要があるのか?

Experimental setup 標的周りにK+とΛを識別、再構成出来るような 飛跡検出器 および PID検出器 J-PARC E15のCDCのようなもの + Kaon ID detector 前方に放出されるΦ中間子を効率よく捕まえる

Experimental setup(2) Conventional Challenging setup LEPS like setup But large dipole magnet behind solenoid magnet to maintain large forward angle acceptance Challenging setup Everything inside large solenoid magnet(~3m long, 1m diameter )

Event rate estimation Event rate for f meson bound state formation are estimated based on the hypernuclear formation rate obtained at KEK-SKS Event rate seen in hypernuclear formation via (p+,K+) reaction at KEK-PS/K6 with SKS spectrometer 1x109 p induced on 1g/cm2 Carbon target, about 20 grand state 12LC produced Basic numbers used for the estimation Beam intensity Ip = 2.0 x 106 / spill Beam momentum used for the experiment = 1.3 GeV/c Momentum transfer = 200 MeV/c p-p →ΦΦ cross section = 4/4π(mb/sr)=0.32(mb/sr) Target thickness 2g/cm2 Acceptance for forward spectrometer (120 msr) K+Λ trigger efficiency    (ΩCDC x BR(Φp→K+Λ) xBR(Λ→pπ)) = 1.7 sr Relative capture rate (sticking probability) Rcapture = exp(-q2/qF2) , q: momentum transfer, qF: fermi momentum

Event rate estimation (2) Comparison parameters in hypernuclear formation at KEK-SKS and new experiment for f meson bound state ~ 240 Events are expected for one month of data taking period

Conclusion KEK-PS E325の結果とハイパー核生成実験の成功 という2つの事実はΦ中間子原子核が生成されるであろうということを強く示唆している。(問題は幅ですが。) そこで、我々は素過程 pp→ΦΦチャンネルに注目し、 このプロセスによるΦ中間子原子核探索実験をここに提案する。 もし、2x106/spill の反陽子で実験を行うとすると、 一ヶ月あたり、240個のΦ中間子原子核事象が取得可能 そのためには 1.3GeV/c 大強度反陽子ビームが使えるビームライン 大立体角でK中間子を効率よく取れる検出器 K中間子トリガー、Φトリガーなど如何に事象をトリガーするか  本実験をLoIとしてJ-PARC に提出します。 共同研究者 大募集中 出来るだけ多くの理論-実験家の皆さんと議論をしたい! お付き合いください。