第2日目第4時限の学習目標 平均値の差の検定について学ぶ。 (1)平均値の差の検定の具体例を知る。

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第2日目第4時限の学習目標 平均値の差の検定について学ぶ。 (1)平均値の差の検定の具体例を知る。  (1)平均値の差の検定の具体例を知る。  (2)平均値の差の検定における帰無仮説を知る。  (3)平均値の差の検定の条件を知る。  (4)平均値の差の検定のための統計量(指標)を知る。  (5)平均値の差の検定における帰無仮説の採択・     棄却の意味を知る。

平均値の差の検定(1) 平均値の差の検定の具体例(1) 平均値の差の検定(1)     平均値の差の検定の具体例(1) 社会行動科学の領域では、検査や実験により得られた得点に、あらかじめ設定した2つの条件間で差が見られるかどうかを検討することがよくある。 例えば、ミュラーリヤー錯視実験の30度30mm条件と30度45mm 条件の2条件間の錯視量に差がみられるであろうか。

平均値の差の検定(2) 平均値の差の検定の具体例(2) 平均値の差の検定(2)    平均値の差の検定の具体例(2) ここで、ミュラーリヤー錯視実験とは、下記のような矢羽根図形を構成する内向図形と外向図形を用いて、被験者に内向図形(標準刺激)の主線分の長さと外向図形の主線分の長さを比較させ、外向図形の分を被験者に調整させ、両者が等しく見えるところで、その位置を報告させる。 一般に、外向図形の方が長く見え、内向図形の主線分の長さ (100mm) との差が錯視量である。

ミュラーリヤー錯視図形 ミュラーリヤー錯視 (Müller-Lyer illusion) 図形は、ドイツのミュラーリヤーが19世紀末に発見した幾何学的錯視図形群の総称であり、斜線分の長さや角度により、見えの長さが異なる: 内向図形 外向図形 左端の矢ばねを動かすと 外向図形の長さが伸縮 主線分 100mm

平均値の差の検定(3) 平均値の差の検定の具体例(3) 平均値の差の検定(3)    平均値の差の検定の具体例(3) あるいは、30度30mmの条件での錯視量に、男女差は見られるのであろうか。 これらの課題を検討するための1つの客観的・実証的な方法は、既に紹介した統計的仮説検定を行うことである。

平均値の差の検定(4) 平均値の差の検定の具体例(4) 平均値の差の検定(4)   平均値の差の検定の具体例(4) これを行うためには、まず第1にそれぞれの条件下で実験を行い、それぞれの条件での測定値を得ることが必要である。統計学では、これを標本を収集するという。 標本は漠然と収集するのではなく、何らかの(統計的)仮説を立て、無作為に収集する必要がある。

平均値の差の検定(5) 当該検定における母集団と標本 平均値の差の検定(5)   当該検定における母集団と標本 母集団X 母集団 Y それぞれの母集団 から、無作為抽出 Nx個の標本 Ny個の標本

平均値の差の検定(6) 当該検定での標本の一般形 平均値の差の検定(6)   当該検定での標本の一般形 例えば、ミラーリエル錯視のある条件下での男子と女子の錯視量がそれぞれ Nx 人、Ny 人づつ得られたとすると、2群の標本は、一般的には、それぞれ と書ける。

平均値の差の検定(7) 平均値の差の検定における帰無仮説 平均値の差の検定(7)  平均値の差の検定における帰無仮説 平均値の差の検定における帰無仮説は、両条件の母集団の平均値 μx, μy に差がない、というものであり、これを数式で書くと                                                          つぎのようになる:

平均値の差の検定(8) 母集団と標本での平均値の違い 平均値の差の検定(8)  母集団と標本での平均値の違い うえの仮説は、両条件での標本の平均値に差がない、すなわち とは異なり、標本が抽出されるもとの母集団での平均値に差がない、というものである点に注意が必要である。

平均値の差の検定(9) 母平均と標本平均の等質性の差 平均値の差の検定(9)  母平均と標本平均の等質性の差 母集団X 母集団Y 母平均μx 母平均 μy それぞれの母集団 から、無作為抽出 標本平均 標本平均

平均値の差の検定(10)      検定方法の違い(1) 2つの群間で平均値に違いがあるかどうかを検討する場合、データが得られるもとの母集団の特徴の違いにより、検定方法が異なる。

平均値の差の検定(11) 検定方法の違い(2) 1つの方法は、 「母集団の分布形が未知だが、母分散は既知で、標本数が大の場合」である。 平均値の差の検定(11)        検定方法の違い(2) 1つの方法は、   「母集団の分布形が未知だが、母分散は既知で、標本数が大の場合」である。 他方は、   「母集団の分布が正規分布で、母分散は未知の場合」  である。

平均値の差の検定(12) 母集団分布未知で 母分散が既知で標本数が大の時 平均値の差の検定(12) 母集団分布未知で     母分散が既知で標本数が大の時 分布形未知 分布形未知 既知 既知 σx σy μx μy

平均値の差の検定(13) 母集団分布が正規分布で母分散は未知の時 平均値の差の検定(13)    母集団分布が正規分布で母分散は未知の時 分布形正規 分布形正規 未知 未知 σx σy μx μy

平均値の差の検定(14) t-統計量とその分布 帰無仮説 μx=μy のもとでは、σx=σy の時、次の量 t がどんな値を取る可能性がどれぐらいであるかが理論的にわかっている:

自由度 v の t-分布の分布とは? -正規分布に近い y 軸対称な分布 確率 t- 分布 斜線部 1-α t - t ν(α/2) t ν(α/2)

平均値の差の検定(15)      検定の有意水準とは つまり、帰無仮説のもとでは、標本から計算される上記の t の値が上の図の下限値以下か、上限値以上の範囲に入る可能性は α である。 この α の値は、統計学では通常 0.05 か 0.01 を考えるのが慣習である。

平均値の差の検定(16) 帰無仮説の棄却とは(1) 平均値の差の検定(16)      帰無仮説の棄却とは(1) そこで、もし帰無仮説のもとで標本から計算された t-値が下限値以下や上限値以上の値を取ったならば、われわれは帰無仮説のもとでは起こりえそうもないことが起こったとして、帰無仮説を捨てる。統計では、帰無仮説を棄却するという。

平均値の差の検定(17) 帰無仮説の棄却とは(2) 平均値の差の検定(17)      帰無仮説の棄却とは(2) 平均値の差の検定で、帰無仮説を棄却することは、両条件の平均値に差があることを意味する。 なぜならば、この場合の帰無仮説は先ほど示したように、 であるから。