危害の発生: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因 Robert V Tauxe, M.D., M.P.H. 病原体低減のための意見交換

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6.食品衛生活動のしくみと 働き 1.食品の安全性と行政の役割 2.食品製造過程における衛生管 理.
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国際獣疫局(OIE) 目的(Objectives) 透明性: 動物の疾病および人畜共通感染症に関する世界的状況について透明性を確保する。
● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。
1996年のPR/HACCP最終規則以降の消費者の知識、行動ならびに信頼に係る変化
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12 REPORT ON IMPLEMENTATION OF THE AGENCY’S FOODBORNE DISEASE STRATEGY. MHPF PAPER 02/02/ 患者数(万人) ,148 51,166 1, ,
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資料 2-6 世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会仮訳)
~ 獣医師の皆さん、抗菌剤の慎重使用等対策を進め、
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私は、「10万人当り罹患率」を物指しとして比べ、日本の衛生水準が米国より低いとは思わない。 「養豚の友」 第2回原稿
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PR/HACCP Evaluation Studies
米国農務省 病原体低減: 科学的意見交換 2002年6月6日~7日
学校給食における 衛生管理 平成21年1月25日   .
危害の発生: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因 Robert V Tauxe, M.D., M.P.H. 病原体低減のための意見交換
~ 生産者の皆さん、抗菌剤の慎重使用等対策を進め、
農場からフォークまでの食品の安全性: 放射線照射の役割
「リステリア」による食中毒を 防ぐために衛生管理を徹底しましょう
議論の前提 ある人獣共通感染症は、野生動物が感染源となって直接又は媒介動物を通じて人に感染を起こす。
疫学概論 流行発生調査 Lesson 2. 流行状況調査 §B. 流行発生調査 S.Harano,MD,PhD,MPH.
社会問題 食品偽造問題 (参考)
衛生委員会用 がんの健康講話用スライド.
○ 大阪府におけるHACCP普及について S 大阪版 評価制度を設ける 大阪府の現状 大阪府の今後の方向性 《従来型基準》
Presentation transcript:

危害の発生: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因 Robert V Tauxe, M.D., M.P.H. 病原体低減のための意見交換 危害の発生:  調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因 病原体低減のための意見交換 第一班 2002年6月6日 Georgetown University Conference Center Robert V Tauxe, M.D., M.P.H. Foodborne and Diarrheal Diseases Branch, DBMD, NCID Centers for Disease Control and Prevention, Atlanta, GA <註>は、教材検討委員会が付け加えたものです

これらを防止することは、農場から食卓までの全ての段階において、食品の汚染を減少させる努力に掛かっている。 食品媒介性疾患の公衆衛生上の負担 毎年 7,600万人が罹患している。 ○ アメリカ人の 4人に 1人が毎年食品媒介性疾患に罹っている ○ それによって、アメリカ人の 1,000人に 1人が毎年病院に掛かっている ○ 65億ドルが医療費等の出費になっている  これらを防止することは、農場から食卓までの全ての段階において、食品の汚染を減少させる努力に掛かっている。

食品媒介性疾患の特徴 ○ 様々な異なった病原体による感染 ○ 一つの大事故で罹患することもある ○ 様々な異なった病原体による感染 ○ 一つの大事故で罹患することもある ○ 大半の症例は「散発的」である: 1人だけの場合や   確認できない分散した事例 ○ 病原巣(リザーバー) ・ ある種の病原体ではヒトの保菌者: 赤痢、   A型肝炎、ノーウォーク・ウイルス ・ ある種の病原体では保菌動物: サルモネラ、   カンピロバクター、大腸菌O157、リステリア、   腸炎ビブリオ、エルシニア、トキソプラズマ ○ いくつかの異なった経路で、しばしば感染が起きる ・ 特定の食品、飲用水、動物との直接接触、   患者との直接接触

Major identified foodborne pathogens, United States – circa 2002 Bacterial: Bacillus cereus Brucella Campylobacter* Clostridium botulinum Clostridium perfringens E. coli O157:H7* E. coli, non-O157 STEC* E. coli, other diarrheagenic* Listeria monocytogenes* Salmonella Typhi Salmonella non-typhoidal Shigella Staphylococcus Streptococcus Vibrio cholerae, toxigenic* Bacterial, continued: Vibrio vulnificus* Vibrio, other* Yersinia enterocolitica* Parasitic: Cryptosporidium* Cyclospora* Giardia* Toxoplasma* Trichinella Viral: Norwalk-like viruses* Rotavirus* Astrovirus* Hepatitis A Prions* * Recognized as foodborne in last 30 years

Major identified foodborne pathogens, United States – circa 2002 Bacterial: Bacillus cereus Brucella Campylobacter* Clostridium botulinum Clostridium perfringens E. coli O157:H7* E. coli, non-O157 STEC* E. coli, other diarrheagenic* Listeria monocytogenes* Salmonella Typhi Salmonella non-typhoidal Shigella Staphylococcus Streptococcus Vibrio cholerae, toxigenic* Bacterial, continued: Vibrio vulnificus* Vibrio, other* Yersinia enterocolitica* Parasitic: Cryptosporidium* Cyclospora* Giardia* Toxoplasma* Trichinella Viral: Norwalk-like viruses* Rotavirus* Astrovirus* Hepatitis A Prions* * Recognized as foodborne in last 30 years (Zoonotic reservoir)

The new foodborne zoonoses The infected food animal looks healthy Sustained or repeated infections in animals Contaminated food looks normal Pathogen survives standard processing and preparation Missed by current inspection strategies Spreads silently around the globe Requires new control strategies More to be discovered

農場から食卓までのフードチェーン: 一般的筋書き  一般的筋書き 生産 農場、牧場、養殖場 食肉センター、缶詰工場、包装出荷業者、食品工場 処理・加工 最後の調理場: 営業施設、公共施設、家庭 最終準備と調理

調理場で何が起きているのか? ● 1993-1997: CDCに報告された2,751件の 食中毒事故の内、43%は食堂、販売店などである   食中毒事故の内、43%は食堂、販売店などである ● 調理場における事故発生原因 73% : 加熱不足 38% : 調理人の不衛生 21% : 不適切な料理法 ● 1980-1995: ニューヨーク州で1806件発生した 32% : 材料の汚染 24% : 生または加熱不足の料理を摂食 23% : 無認可店で購入 23% : 調理人が病気

事故は複合的原因によって起こる ● 食中毒事故の調査で、食品取り扱い上の問題点がしばしば報告されている ● 食中毒事故の調査で、食品取り扱い上の問題点がしばしば報告されている ● 事故が起きていない調理場でも、おそらく、頻繁にあることだろう ● 食品の適切な取り扱いに絞った訓練が重要、とくに手洗い ● 病原体が調理場に入り込むのを減らすこともまた重要である

最終準備の過程で病原体が食品に入る: 汚染源は何か? ● 食材は汚染状態で搬入される とくに、生の動物性食品 <註> 米国では、乳、肉、卵、魚介類などを「潜在的危害性食品(Potentially Hazardous Food)」とし、輸送、保管における温度管理や取扱いの基準を法律によって定めている。「食品輸送衛生法」など。 ● 食品取扱者が病原体に感染している ● それ以外の、施設環境の汚染源

汚染している生の動物性食品が 調理場に搬入され時 ● 取り扱いによって、リスクがさらに大きくなる ● 容易に、他の食品に交差汚染を起こす 手、調理器具、調理台の表面を介して ● 不十分な調理による直接的リスク(FoodNet 2000による調査) ○ 生の牡蠣(カキ): 2.5% ○ 生焼けの牛ひき肉: 25% ○ 半生の卵料理: 27% ● 3%しかハンバーガーに温度計を使っていない <註> 中心温度を測るために、利用を指導している

病気の食品取扱者が調理場に入った時 ● 彼らは働く、病気が治るまで無給ではいられないから ● 彼らは糞便や嘔吐物に病原体を出す ● 彼らは働く、病気が治るまで無給ではいられないから ● 彼らは糞便や嘔吐物に病原体を出す ● 個人衛生の間違いによって、食品を汚染させる ● とくに、ヒトが病原巣となる病原体 ノーウォーク・ウイルス、赤痢菌、A型肝炎 ● 時には、動物が病原巣である病原体 サルモネラ、大腸菌O157、カンピロバクター

食品は、それ以外の 施設環境の汚染源によっても汚染される ● 周囲に動物がいる中で、食品が調理され、食べられる ○ 伴侶動物、カウンティーフェア(共進会)、   「バーンダンス(祭りの踊り)」 ○ ウイスコンシンで2001年に起きた大腸菌O157に   よる34名もの大規模事故は、家畜品評会での   朝食だった ● 汚染した水を使って調理した食品 ● ネズミ、昆虫、その他の害獣や害虫が交差汚染させる

調理場での汚染を減らすための 公衆衛生上の予防策 <註> 1988年のO157事故から10年経った1997年の調査では、 ● 基本的な食品衛生教育 ● リスクが多い食習慣を止める 34%が生焼けハンバーガー(Pink hamburgers)を好み、高学歴、高収入の者ほど高率であった。 ● 生肉の取り扱いと幼児の世話を同時にしない ● 安全に処理された食品を購入する: ○ 殺菌された牛乳やジュース ○ 殺菌された殻付卵 ○ 放射線殺菌された牛挽肉 ● レストランには、有給の病気休暇制度について 問い合わせる

調理場での汚染を減らすための 食品取り扱い施設での予防策 ● 基本的な食品衛生訓練とその証明 ● 有給の病気休暇制度 <註> 定期健康診断と毎日の始業時健康チェックは、従業員の衛生管理に欠かせないが、自覚症状があっても出勤する事情を「有給休暇」で解消することが大切である ● 手洗いを容易にできるようにし、回数を増やす ● 調理済み食品に触る機会を減らす ● 購入契約において、病原体低減基準を導入する

Prevention strategies for food establishments to reduce contamination in the kitchen Basic food safety training and certification Paid sick leave policies Make handwashing easy and frequent Reduce contact with ready to eat food Include pathogen reduction standards in purchase contracts

For institutional kitchens serving high risk populations, foods processed for safety are available now Pasteurized shell eggs and liquid eggs to avoid Salmonella Enteritidis infections Irradiated ground beef to avoid E. coli O157:H7 and Salmonella infections Frozen chicken and turkey, to reduce risk of Campylobacter infections

Food safety education is important but not sufficient to protect public health Raw foods of animal origin are often contaminated Serious infections, grave complications Traditional recipes call for limited cooking Raw oysters, rare ground beef, soft boiled eggs, hollandaise sauce Hard to tell when food is thoroughly cooked Boiled eggs, baked lasagna, “browned” burgers Raw meat, poultry, eggs in the kitchen is handled by someone also handling other foods Fresh produce, rinsed and eaten without cooking

The chain of production from farm to table: Where contamination can occur Feed, water, manure, wildlife, new stock Production Lairage, water baths, Manure, sanitation, cross contamination Processing Final preparation and cooking Time, temperature, Cross-contamination, Worker health, hygiene

Principle sources of pathogens Poultry, production level Cattle, production level, Poultry, cattle, pig, produce, production level Pigs, production level Ready to eat meats, processing level Humans, production and preparation level Pathogens: Campylobacter E. coli O157:H7 Salmonella Yersinia Listeria monocytogenes Norwalk-like viruses Hepatitis A

農場から食卓までのフードチェーン: どこで汚染が起きるか  どこで汚染が起きるか 腸炎ビブリオ 養殖場における魚介類 生産 家畜 作物 魚介類 処理・加工 交差汚染 最終調理 食肉、乳、卵 果物、野菜 水産食品

農場から食卓までのフードチェーン: どこで汚染が起きるか  どこで汚染が起きるか ノーウォーク・ウイルス 生産 家畜 作物 魚介類 患者 糞便汚染 処理・加工 最終調理 食肉、乳、卵 果物、野菜 水産食品

農場から食卓までのフードチェーン: どこで汚染が起きるか  どこで汚染が起きるか サルモネラ 家畜の保菌 生産 家畜 作物 魚介類 糞便汚染 処理・加工 最終調理 食肉、乳、卵 果物、野菜 水産食品

"Good Agricultural Practices" "Good Manufacturing Processes " 農場から食卓までのフードチェーン: 多くのポイントで制御が可能です 農場における衛生: 飼料の安全性と飲料水の消毒、その他の「適正な農場衛生管理」 "Good Agricultural Practices" 生産 食品工場の衛生: 品質管理、HACCP、微生物学的検証、監視、その他の「適正な製造工程」 "Good Manufacturing Processes " 処理・加工 病原体殺滅工程 殺菌、滅菌缶詰製造法、放射線照射 食品取扱者: 訓練、手洗い励行、病気休暇 食品製造業: 食堂の監視 消費者教育 最終調理

食品製造業の模式図 家畜 作物 魚介類 生産 輸送/ 繋留施設 HACCP HACCP 処理・加工 流通 調理 食肉、乳、卵 果物、野菜 水産食品 消費(付随する食中毒)

HACCPによるモニタリング検体(FSISのデータ) 牛ひき肉におけるサルモネラ陽性率の推移 (食肉センターの規模別) 規模により、 実施時期をずらした 着実に減少してきた 陽性率(%) 1998 1999 2000 2001 8 7 6 5 4 3 2 1 基準 大規模施設 ● 中規模施設 ● ● 小規模施設

HACCPによるモニタリング検体(FSISデータ) ブロイラー、七面鳥ひき肉、豚肉における サルモネラ陽性率の推移 HACCPにより、 サルモネラ汚染率は減ってきた 40 30 20 10 1998 1999 2000 2001 ● 七面鳥ひき肉 陽性率(%) ブロイラー ● ● 豚肉

ヒトの疾病監視データ(CDC-FoodNet) 農場・食肉センターでの衛生対策にもかかわらず、サルモネラ食中毒の発生は止まらない! 1996を基準とした食中毒発生数の減少割合 農場・食肉センターでの衛生対策にもかかわらず、サルモネラ食中毒の発生は止まらない! 1996 1997 1998 1999 2000 2001 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 ● ● ● ● 増減率 減少割合 ● : サルモネラ 15% ● : カンピロバクター 25% ● : リステリア 31% ● : エルシニア 49%

近未来の食品媒介性疾患の制御ポイント (微生物学的検証を伴った) 家畜 作物 魚介類 生産 QAP 輸送/ 繋留施設 HACCP HACCP 処理・加工 流通 E、HW、SL 調理 食肉、乳、卵 果物、野菜 水産食品 消費(付随する食中毒)

まとめ ● 食品媒介性病原体は、フードチェーンの種々のポイントで食品を汚染する。 ● 食品媒介性病原体は、フードチェーンの種々のポイントで食品を汚染する。 ● 病原体を減らす対策によって、それぞれの段階でリスクを減らすことができる。 ● 微生物学的モニタリングによって、制御手段の有効性を検証できる。 ● 調理場では: ○ 調理者の教育が重要であり、同様に、 ○ 手洗いの励行 ○ 病気のヒトを調理場に入れない、そして、 ○ 調理場に持ち込む前に、食材の汚染を減らす。 ● 購入の際に、商品表示されている微生物学的基準が役立つ。 ● ハイリスク者は、安全性がより高い食品を用いる。