第8週 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
GPS の しくみ と 使い方 The 60 th Nandemo Seminar 2007/04/20 稲葉 一浩.
Advertisements

Absolute Orientation. Absolute Orientation の問題 二つの座標系の間における剛体 (rigid body) 変換を復元す る問題である。 例えば: 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関 係を推定する問題。 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関.
多目的 3 次元フィールドマッピング システムの開発 北海道大学大学院農学研究院 ○ 海津 裕 北海道大学大学院農学研究科 崔 鍾民.
第4回 GPS 測位の誤 差  GPS 測位の誤差  GPS 測位の信号  測位誤差の対処  代表的 GPS.
搬送波位相測定値による 精密測位の理論及び解析処理 Precise positioning theory and analysis with carrier-phase measurements 技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU GPS/GNSS シンポジウム 2005.
放射線の計算や測定における統計誤 差 「平均の誤差」とその応用( 1H) 2 項分布、ポアソン分布、ガウス分布 ( 1H ) 最小二乗法( 1H )
新潟インターネット研究会 神保道夫 NTP入門 新潟インターネット研究会 神保道夫
第四章 情報源符号化の基礎 4・1 情報量とエントロピー 4・2 エントロピー符号化 4・3 音声符号化 4・4 画像符号化.
反射波が支配的な状況下でのマルチパス誤差低減
無線干渉実験 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 金田 裕剛.
高精度画像マッチングを用いた SAR衛星画像からの地表変位推定
情報通信システム論I ---無線航法---
時間・空間補間した 基準局網観測値による キネマティックGPS性能の評価
Introduction 初期位置算出時間(Time To First Fix): TTFFの短縮:
Introduction 航空局による広域補強システムMSASは、現在試験中。 MSAS試験信号を受信し、補強メッセージの評価を試みた:
Todd Walter (Stanford University)
USB2.0対応PICマイコンによる データ取得システムの開発
GPS観測 2006年度地球観測実習 ~新しい可能性を求めて~     新井隆太 大久保忠博 米田朝美        担当教官 宮崎真一.
首都圏広域地殻変動観測施設によるVLBI観測成果
情253 「ディジタルシステム設計 」 (2)modem2
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
2008年度CANSAT活動報告 (Team SCOREs)
晩期型星T-Lepに付随する 水メーザースポットを用いた年周視差測定 ~系内MIRA型変光星周期-絶対光度関係の測定に向けて~
放射線の計算や測定における統計誤差 「平均の誤差」とその応用(1H) 2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(1H) 最小二乗法(1H)
クロストーク成分の相互相関に 着目した音場再生システム
GPS3点観測によるF領域 イレギュラリティのドリフト速度の測定
センサノード 時刻同期と位置測定 浅川 和久 2008/11/16 センサノード 時刻同期と位置測定.
大きな数と小さな数の 感覚的理解 北村 正直.
ワイヤレス通信におけるMIMO伝送技術.
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
情253 「ディジタルシステム設計 」 (7)Channel
ディジタル回路 1. アナログ と ディジタル 五島 正裕.
ZigBeeノードの受信信号強度を利用した 屋内での人の活動範囲検出法
通信情報システム専攻 津田研究室 M1 佐藤陽介
2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用
第7回 衛星測位の新しい動向 ・GPSの問題とバージョンアップ ・ロシアのGLONASS ・ヨーロッパのGalileo
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
坂井 丈泰、福島 荘之介、武市 昇、荒蒔 昌江、伊藤 憲
第10週 その他の測位方法 自律航法とナビ 携帯電話測位 gpsOneの事例.
フィールドセンシング Field Sensing Technologies
5.3 接地アンテナ 素子の1つを接地して使用する線状アンテナ 5.3.1 映像アンテナと電流分布
CDMA (IS-95) 松下 温 (慶應義塾大学 理工学部).
①浮上(RTB準備)→ 圧力センサー(水深)
新潟インターネット研究会 田中 秀明 GPS入門 新潟インターネット研究会 田中 秀明
Multiple Antenna Radio-interferometer for Baseline Length Evaluation
広域DGPSとMSAS GPS/GNSSシンポジウム2006 チュートリアル 電子航法研究所 坂井 丈泰
技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
Multiple Antenna Radio-interferometer for Baseline Length Evaluation
クワッドリッジホーンアンテナ (広帯域フィード) を 用いた電波望遠鏡の測地VLBIにおける性能評価
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
RTK-GPS及びネットワーク型RTK-GPS測位技術
第2回 GPS測位の原理 衛星測位の原理 GPS衛星システム GPSの信号システム GPSの測位方式.
RTK-GPS用プログラムライブラリRTKLIBの開発・評価および応用
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
第6回 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
精密単独測位(PPP)による スタティック・キネマティック 測位精度の評価
GPSと相対論 金野 幸吉.
Simulink で NXT を 動かしてみよう Simulink で NXT を動かす 微分値算出とフィルタ処理 ノーマルモード
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
CCDを用いた星像中心決定実験の結果 ○矢野太平(理研)、郷田直輝、小林行泰、辻本拓司(国立天文台)
産総研・計測標準 寺田聡一 東大地震研 新谷昌人、高森昭光
第8回 その他の測位方法 自律航法とナビ 携帯電話測位 gpsOneの事例.
坂井 丈泰、松永 圭左、星野尾 一明 (電子航法研究所) Todd Walter (Stanford University)
GPSハッキングとGPS信号の弱点 信号が微弱 2万km彼方に100Wの電球があるのと同じレベル
第2回 GPS測位の原理 衛星測位の原理 GPS衛星システム GPSの信号システム GPSの測位方式.
回帰分析(Regression Analysis)
ギガビット観測システムによる長基線測地 VLBI
使用衛星の変化によるドリフトを確認する。
Presentation transcript:

第8週 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築

GPSの測位方式 フェーズによる測位 コードによる測位 SPS 単独測位 PPS KGPS(移動) (RTKGPS) (VRSGPS) 差分測位 DGPS KGPS(静止) 1 2   5    1    2    5   1 0 20 50    1     2   5     10    20 mm  mm  mm   cm    cm    cm   cm cm cm    m    m  m   m     m SPS: Standard Position System (単独測位) PPS:Precision Position System (精密測位・軍用) DGPS: Differential GPS (コード差分測位)  KGPS: Kinematic GPS (位相測位) RTKGPS: Real Time Kinematic GPS (実時位相測位) VRSGPS: Virtual Reference Station GPS (仮想基地局RTKGPS)

これまでの測位方法の復習 単独測位とDGPS測位は、衛星から受信機までの電波伝播時間から擬似距離を測定して、位置を求める方法である。 C/Aコードは1.023MHzで放送されているため、ビット長は約290mである。これを用いた擬似距離の計測精度は、ビット長の約1%といわれている. ビット長の1%はC/Aコードでは3m、Pコードでは0.3mということになる。 したがって、DGPSの1~5mの測位精度はC/Aコード測位の限界に達していることがわかる。 DGPS以上の測位精度を求めるために、電波の波長を物差しとする位相測位(あるいは干渉測位)が必要となる。 位相測位のできるGPS受信機では、搬送波の位相を1%よりも精密に測定できる。 L1バンドの波長は19cmなので、その1%は約1.9mmとなる。これは位相測位がcmないしmmの精度で測位できる所以である。

位相とは 位相角 2π 4π 6π 距離 λ 2 λ 3λ サイクル数 1 2 3 位相測位では受信機で受信された衛星からの搬送波は、位相同期ループに通され、受信機内で発生させた搬送波レプリカと比較して、2つの信号間の位相差が測定される。 位相差の測定は、受信機時計の秒信号に合わせて、あらかじめ設定した時刻で行われる。GPS時刻はエポック(Epoch)という。

位相差測位の原理 エポック エポック 基準波 時間 における衛星の移動 真の距離 伝搬時間 波長λ L1帯:19cm L2帯:24cm 時間 における衛星の移動 真の距離 伝搬時間 波長λ L1帯:19cm L2帯:24cm 受信機 エポック 搬送波レプリカ

位相差測位の原理

位相差測位の原理

位相差測位の原理

位相差測位の原理

二重位相差による測位 衛星j 衛星k 受信機A(既知点) 受信機B(未知点)

二重位相差の重要性 二重位相差には受信機の時計の誤差も消去され、未知点の3次元座標と整数値バイアス(Bias)の二重差だけが不定項として残っている。 整数値バイアスは時間に依存しないため、一度求めれば受信が中断しない限りその値は保持される。 したがって、2つの衛星から1つの二重位相差が観測される。3つの座標不定項を求めるには4つの衛星を観測して3つの独立した二重位相差を得なければならない。 実際の測位では4つ以上の衛星を観測し、最小二乗法で解を求める。

測位方式と周波数の利用 整数値バイアスは一般に漸近法で求める。 まず単独測位によるコード擬似距離から、未知点の座標の近似値を算出する。 L1バンドとL2バンドを同時に使うと、整数値バイアスの候補は一気に数十個程度に絞られる。 そして、候補の中から各種のアルゴリズムによって、整数値バイアスを推定する。 最後に、最小二乗法で残差の二乗和が最小になる整数値バイアスの組み合わせを選ぶ。 整数値バイアスが完全に決まる解をフィックス(Fix)解といい、決まらない解をフロート(Float)解という。

位相測位システム(RTKGPS)の構築 GPS衛星 GPS衛星 GPS衛星 GPS衛星 GPS衛星 移動局 基地局 パソコン パソコン COM2:補正情報を入力 COM1 アンテナ アンテナ COM1 電話回線 (COM2) 補正済み結果をパソコンモニターへ COM3 COM2 COM1 USBポート 補正情報を取り込み パソコン (補正信号をCom2へ) (補正信号をCOM2へ) パソコン GPSカード GPSカード

基線長と位相測位の精度 FIX解が取得することに必要な時間

補正情報を送るための通信システム

仮想基準局GPS (VRSGPS) の概念 30~100km 従来のRTKエリア VRS-RTKエリア 仮想基準局 (補正済) 基準局 仮想基準局 (補正済) 基準局 RTK 移動局 30~100km

VRSGPSによる車載走行軌跡 (内回りと外回、使用機器:Trimble5700)