上智大学 理工学部 情報理工学科4年 A0978938 本橋 新也 利潤最大化を目指した定期船航路設計 上智大学 理工学部 情報理工学科4年 A0978938 本橋 新也
目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ
目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ
研究背景 経済発展が著しいアジア圏内において コンテナ貨物取扱量が急増 日本の大手定期船会社は他社と 海運アライアンスを組み効率的な輸送 コンテナ貨物取扱量が急増 日本の大手定期船会社は他社と 海運アライアンスを組み効率的な輸送 グランド・アライアンス 日本郵船, Hapag-Lloyd(ドイツ), OOCL(香港), MISK(マレーシア) The New World Aliance 商船三井, APL(シンガポール), 現代商船(韓国) CKYHグループ 川崎汽船, COSCO(中国), Yang Ming(韓国), Hanjin(韓国) 57% 38%
研究背景 原油価格の高騰 世界中の大手定期船会社の利益減少 % 15社中14社が赤字! 3倍に!!!
研究背景 アジア内でも最も日本との海上貿易量が多いのは中国 日中航路において利益を生み出す 効率的な船舶の運航が必要
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定期船の航路設計問題 出発地・目的地・積替ハブが既知である コンテナが各港に積まれており,定期船が運搬 コンテナは毎週同量用意される (→1年に1回程度の意思決定) 同じ航路には,速度・消費燃料・容量が同じ型の船を配置 毎週同じ曜日に目的地の決められた船が寄港 ある週に訪れる船とその翌週に訪れる船は異なる
a b 航路例 船がどの港を訪れ, 各航路に対して何隻配置され, どのくらいの速さで巡回すれば良いか. を最適化する 13.3knot で 4週間 10.5knot で 5週間 船がどの港を訪れ, 各航路に対して何隻配置され, どのくらいの速さで巡回すれば良いか. を最適化する a も b も 同じ航路を表しているが 船舶数と巡回期間が異なる
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従来研究と本研究の違い 従来研究は “港に置かれているコンテナを全て運ぶ前提で 船の運航費を最小にするような航路設計” を求めていたのに対し, 本研究は “運ぶコンテナを選択させることで 海運アライアンスが得られる利益を最大化 するような航路設計” を提案する
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入力データ 港 船 荷物
数理モデル-目的 海運アライアンスが得られる利益の最大化 運賃による売上 - 船の運航にかかる費用 燃料費 船使用料 コンテナ積替費 入港料
需要mが港iから港jまで船vで行くかどうか 数理モデル-制約条件 コンテナが,出発地・目的地・ハブ港以外の港で通過 ハブ港においてコンテナが積替えられる ハブ港においてコンテナが通過する, もしくは最初から運ばれない uijvm 需要mが港iから港jまで船vで行くかどうか δivm 需要mが港iから船vで降ろされるか γivm 需要mが港iから船vへ上げられるか
船vが港iから港jまで船vで行くかどうか 数理モデル-制約条件 移動時間と積替え時間の和が航路巡回期間を超えない 各船が運べるコンテナ量は船容量以下 巡回期間数は各船タイプの持つ隻数以下 船はある港を出たら再びその港へ戻る xijv 船vが港iから港jまで船vで行くかどうか βv 船vが航路を巡回する期間
数理モデル-制約条件 hm 航路を正しく形成する 寄港上限回数を守る 各港で需要が複数回回らない yiv 船vが港iを訪れるかどうか 航路を正しく形成する 寄港上限回数を守る 各港で需要が複数回回らない 「その需要を運ぶかどうか」を表す変数に対する制約 hm 需要mを運ぶかどうか(0,1) 出発地から出る需要mの数 目的地に入る需要mの数
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実験環境 OS : Windows XP Professional Version2002 Professor : Intel(R)Core(TM)2 Duo CPU E8400 @3.00GHz Memory : 2.96GB RAM Solver : Gurobi Optimizer 4.6.1 パソコンの性能はふつう程度 商用の整数計画ソルバー
実験① 小データ(荷物55種類)で 従来定式化による利益と本研究定式化による利益を比較 各航路で使用可能な隻数を, 10隻として実験 10隻として実験 各需要の大きさを, 均等に(30TEU)としている
従来の全ての需要を運ぶ定式化 本研究の需要を選択する定式化 9%の利益上昇↑ 大連発-東京行の需要を3つ運搬していない 大連 神戸 2 3隻 19 knot 4 5隻 24 knot 東京 2隻 名古屋 20 knot 上海 17.7万ドル 19.3万ドル 9%の利益上昇↑ 0.95秒 17.2秒 大連発-東京行の需要を3つ運搬していない
実験② 海上技術安全研究所が公表している現実規模データ(荷物 576種類)で先ほど提案した数理モデルで出力される利益 と全ての港にサービスを展開する場合の利益を比較 各航路の使用可能な隻数を, 10隻として実験 各需要の大きさを, 均等に(20TEU)としている
全ての港にサービスをする定式化で実行 先程提案した定式化で実行 22%の利益減少↓ 大連 8隻 神戸 19 knot 8隻 東京 名古屋 上海 45.1万ドル 35.0万ドル 22%の利益減少↓ 32秒 16秒
実験③ 各需要の大きさに種類を持たせる 10TEU,20TEU,30TEUの3種類を用意 速度を10knotから20knotまで1knot刻みで用意する 中国側の船も1000TEUとする(費用削減のため) 10TEU 運んでください 20TEU 運んでください 多数用意することでまるで変数であるかのように扱う
出力航路 大連 8隻 神戸 10 knot 9隻 東京 10 knot 名古屋 上海 トレードオフ 速度 vs. 船の隻数 77.3万ドル 速度 vs. 船の隻数 77.3万ドル 265秒 船速度を上げて隻数を減らすのではなく, 船速度を下げて隻数を増やす方が 利益を上げることがわかった.
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まとめ ご清聴ありがとうございました 海運アライアンスが得られる 利益を最大化するための数理モデルを構築 港5つ,船型2種類,荷物576種類 という規模の問題に対し5分程度で求解できた 今後の課題としては, 需要変動を考慮したモデルの構築等が考えられる