上智大学 理工学部 情報理工学科4年 A 本橋 新也

Slides:



Advertisements
Similar presentations
海上コンテナ輸送における 船社戦略についての検 討 流通情報工学課程 99760 増森 大輔 指導教官鶴田 三郎 黒川 久幸.
Advertisements

凹型区分線形取引コストを考慮した 少額資産運用ポートフォリオ最適化 A 山田賢太郎.
(株)名村造船所、(株)大島造船所 バラスト水低減船の開発 平成21年度成果報告書 国際海運における温室効果ガス削減技術に関する研究開発 株式会社 名村造船所 株式会社 大島造船所.
『東京混載HDS』 上海~東京 御社物流改善のご提案
多々納 裕一 京都大学防災研究所社会システム研究分野
事例: 自動販売機に対する在庫配送計画 宮本 裕一郎(発表者) 久保 幹雄 東京商船大学 共同研究:富士電機(株) 2001年3月5日.
MPIを用いたグラフの並列計算 情報論理工学研究室 藤本 涼一.
到着時刻と燃料消費量を同時に最適化する船速・航路計画
点対応の外れ値除去の最適化によるカメラの動的校正手法の精度向上
HOG特徴に基づく 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
国際海上コンテナ輸送におけるCO2排出量削減策の実行可能性に関する研究
TCPコネクションの分割 によるスループットの向上
LZ圧縮回路の設計とハード・ソフト 最適分割の検討 電子情報デザイン学科 高性能計算研究室 4回生 中山 和也 2009/2/27.
データ構造と アルゴリズム 第十二回 知能情報学部 知能情報学科 新田直也.
調達物流における荷主在庫を考慮した定期船輸送サービスの検討
Maersk SeaLandによる P&O Nedlloydの 買収要因に関する検討
経済学A ミクロ経済学(第4回) 費用の構造と供給行動
サプライチェーンの観点から見た 石油タンカー輸送について
研究集会 「超大規模行列の数理的諸問題とその高速解法」 2007 年 3 月 7 日 完全パイプライン化シフト QR 法による 実対称三重対角行列の 固有値並列計算 宮田 考史  山本 有作  張 紹良   名古屋大学 大学院工学研究科 計算理工学専攻.
Finger patternのブロック化による 陰的wavelet近似逆行列前処理の 高速化
アジア-北米間海運アライアンスにおける航路形態の分析
ネットワーク理論 Text. Part 3 pp 最短路問題 pp 最大流問題 pp.85-94
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
モード付き並列機械における オンラインスケジューリング
サプライ・チェイン最適化の最新動向 久保 幹雄 東京商船大学 江東区越中島2ー1ー6 流通情報工学 流通管理工学講座 流通経営工学 助教授
仮想マシンの並列処理性能に対するCPU割り当ての影響の評価
土木計画学 第11回(12月21日) 土木計画と説明責任 計画における代替案の作成1 担当:榊原 弘之.
経済・経営情報コース コース紹介.
配送計画最適化システム WebMETROご紹介
リンクパワーオフによる光ネットワークの省電力化
1章前半.
定航船社におけるM&A後の経営資源の再配置に関する研究
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
演算/メモリ性能バランスを考慮した マルチコア向けオンチップメモリ貸与法
世界コンテナ輸送船隊及び就航状況から見た海運アライアンスの比較
中国中小船社におけるフリート・コン ビネーション戦略に関する研究
需要パターンを考慮した 発注方式の比較検討
高速剰余算アルゴリズムとそのハードウェア実装についての研究
MPIを用いた最適な分散処理 情報論理工学研究室 角 仁志
ベイジアンネット混合モデルによる 強化学習エージェントの方策改善
コンピュータを知る 1E16M009-1 梅津たくみ 1E16M017-8 小沢あきら 1E16M035-0 柴田かいと
インターモーダルを考慮した 物資輸送ネットワークの設計に関する研究
パナマ運河拡張後の北米航路にお ける空コンテナ回送に関する検討
AMPLについて 2011年12月2日(金) 経営システム工学科 森戸 晋.
ユーザ毎にカスタマイズ可能な Webアプリケーションの 効率の良い実装方法
輸送ネットワークにおける 就航パターンの設計
雑音環境下における 非負値行列因子分解を用いた声質変換
巡回冗長検査CRC32の ハード/ソフト最適分割の検討
国際海運における温室効果ガス削減技術に関する研究開発
通信機構合わせた最適化をおこなう並列化ンパイラ
連続領域におけるファジィ制約充足問題の 反復改善アルゴリズムによる解法 Solving by heuristic repair Algorithm of the Fuzzy Constraint Satisfaction Problems with Continuous Domains 北海道大学.
クラウドにおけるVM内コンテナを用いた 自動障害復旧システムの開発
未使用メモリに着目した 複数ホストにまたがる 仮想マシンの高速化
アスペクト指向言語のための 独立性の高いパッケージシステム
公共経営研究科 「シミュレーション」森戸担当分 概要(12/02/05)
ソフトウェア保守のための コードクローン情報検索ツール
1.目的 サプライチェーンにおいて重要なこと ・商品のコスト ・商品の充填率 需要が予測できれば、 充填率を下げずに在庫が減らせる 在庫
不完全な定点観測から 真の不正ホストの分布が分かるか?
ミリ波帯キャパシティブクロスカップリング差動増幅器のための対称交差レイアウトの提案
配送計画最適化システム WebMETROのご紹介
C9 石橋を叩いて渡るか? ~システムに対する信頼度評価~
1999年度 卒業論文 UDPパケットの最適な送信間隔の検討 早稲田大学理工学部情報学科 G96P026-4 小川裕二.
国際フェリーなどの利用促進の仕組みの構築に加え、大阪港の客船寄港増加を目指し、大阪港の客船ターミナルの機能強化や客船誘致の仕組みを構築する。
クローン検出ツールを用いた ソフトウェアシステムの類似度調査
分枝カット法に基づいた線形符号の復号法に関する一考察
コストのついたグラフの探索 分枝限定法 A*アルゴリズム.
サプライ・チェイン 在庫最適化システム WebSCMのご紹介
新潟県内港の最近の状況 【新潟港】総数で約17万TEUとなり、本州日本海側で最大の取扱量。
マルチエージェントシステムにおける 通信コストの構造依存性に関する解析
Presentation transcript:

上智大学 理工学部 情報理工学科4年 A0978938 本橋 新也 利潤最大化を目指した定期船航路設計 上智大学 理工学部 情報理工学科4年 A0978938 本橋 新也

目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ

目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ

研究背景 経済発展が著しいアジア圏内において コンテナ貨物取扱量が急増 日本の大手定期船会社は他社と 海運アライアンスを組み効率的な輸送   コンテナ貨物取扱量が急増 日本の大手定期船会社は他社と 海運アライアンスを組み効率的な輸送 グランド・アライアンス 日本郵船, Hapag-Lloyd(ドイツ), OOCL(香港), MISK(マレーシア) The New World Aliance 商船三井, APL(シンガポール), 現代商船(韓国) CKYHグループ 川崎汽船, COSCO(中国), Yang Ming(韓国), Hanjin(韓国) 57% 38%

研究背景 原油価格の高騰 世界中の大手定期船会社の利益減少 % 15社中14社が赤字! 3倍に!!!

研究背景 アジア内でも最も日本との海上貿易量が多いのは中国 日中航路において利益を生み出す 効率的な船舶の運航が必要

目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ

定期船の航路設計問題 出発地・目的地・積替ハブが既知である コンテナが各港に積まれており,定期船が運搬 コンテナは毎週同量用意される (→1年に1回程度の意思決定) 同じ航路には,速度・消費燃料・容量が同じ型の船を配置 毎週同じ曜日に目的地の決められた船が寄港 ある週に訪れる船とその翌週に訪れる船は異なる

a b 航路例 船がどの港を訪れ, 各航路に対して何隻配置され, どのくらいの速さで巡回すれば良いか. を最適化する 13.3knot で 4週間  10.5knot で 5週間  船がどの港を訪れ, 各航路に対して何隻配置され, どのくらいの速さで巡回すれば良いか. を最適化する a も b も 同じ航路を表しているが 船舶数と巡回期間が異なる

目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ

従来研究と本研究の違い 従来研究は “港に置かれているコンテナを全て運ぶ前提で 船の運航費を最小にするような航路設計”   を求めていたのに対し, 本研究は “運ぶコンテナを選択させることで 海運アライアンスが得られる利益を最大化 するような航路設計”  を提案する

目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ

入力データ 港 船 荷物

数理モデル-目的 海運アライアンスが得られる利益の最大化 運賃による売上 - 船の運航にかかる費用 燃料費 船使用料 コンテナ積替費 入港料

需要mが港iから港jまで船vで行くかどうか 数理モデル-制約条件 コンテナが,出発地・目的地・ハブ港以外の港で通過 ハブ港においてコンテナが積替えられる ハブ港においてコンテナが通過する,   もしくは最初から運ばれない uijvm 需要mが港iから港jまで船vで行くかどうか δivm 需要mが港iから船vで降ろされるか γivm 需要mが港iから船vへ上げられるか

船vが港iから港jまで船vで行くかどうか 数理モデル-制約条件 移動時間と積替え時間の和が航路巡回期間を超えない 各船が運べるコンテナ量は船容量以下 巡回期間数は各船タイプの持つ隻数以下 船はある港を出たら再びその港へ戻る xijv 船vが港iから港jまで船vで行くかどうか βv 船vが航路を巡回する期間

数理モデル-制約条件 hm 航路を正しく形成する 寄港上限回数を守る 各港で需要が複数回回らない yiv 船vが港iを訪れるかどうか 航路を正しく形成する 寄港上限回数を守る 各港で需要が複数回回らない 「その需要を運ぶかどうか」を表す変数に対する制約 hm 需要mを運ぶかどうか(0,1) 出発地から出る需要mの数 目的地に入る需要mの数

目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ

実験環境 OS : Windows XP Professional Version2002 Professor : Intel(R)Core(TM)2 Duo CPU E8400 @3.00GHz Memory : 2.96GB RAM Solver : Gurobi Optimizer 4.6.1 パソコンの性能はふつう程度 商用の整数計画ソルバー

実験① 小データ(荷物55種類)で 従来定式化による利益と本研究定式化による利益を比較 各航路で使用可能な隻数を, 10隻として実験       10隻として実験 各需要の大きさを, 均等に(30TEU)としている

従来の全ての需要を運ぶ定式化 本研究の需要を選択する定式化 9%の利益上昇↑ 大連発-東京行の需要を3つ運搬していない 大連 神戸 2 3隻 19 knot 4 5隻 24 knot 東京 2隻 名古屋 20 knot 上海 17.7万ドル 19.3万ドル 9%の利益上昇↑ 0.95秒 17.2秒 大連発-東京行の需要を3つ運搬していない

実験② 海上技術安全研究所が公表している現実規模データ(荷物 576種類)で先ほど提案した数理モデルで出力される利益 と全ての港にサービスを展開する場合の利益を比較 各航路の使用可能な隻数を, 10隻として実験 各需要の大きさを, 均等に(20TEU)としている

全ての港にサービスをする定式化で実行 先程提案した定式化で実行 22%の利益減少↓ 大連 8隻 神戸 19 knot 8隻 東京 名古屋 上海 45.1万ドル 35.0万ドル 22%の利益減少↓ 32秒 16秒

実験③ 各需要の大きさに種類を持たせる 10TEU,20TEU,30TEUの3種類を用意 速度を10knotから20knotまで1knot刻みで用意する 中国側の船も1000TEUとする(費用削減のため) 10TEU 運んでください 20TEU 運んでください 多数用意することでまるで変数であるかのように扱う

出力航路 大連 8隻 神戸 10 knot 9隻 東京 10 knot 名古屋 上海 トレードオフ 速度 vs. 船の隻数 77.3万ドル 速度 vs. 船の隻数 77.3万ドル 265秒 船速度を上げて隻数を減らすのではなく, 船速度を下げて隻数を増やす方が 利益を上げることがわかった.

目次 研究背景 定期船の航路設計問題 従来研究と本研究の違い 整数計画問題へのモデル化 計算実験 まとめ

まとめ ご清聴ありがとうございました 海運アライアンスが得られる 利益を最大化するための数理モデルを構築 港5つ,船型2種類,荷物576種類 という規模の問題に対し5分程度で求解できた 今後の課題としては, 需要変動を考慮したモデルの構築等が考えられる