自動車用オートマティックトランスミッションの異常診断への応用
研究の背景 回転音を計測し,FFTを用いた周波数解析が主流である. 異常により特徴的な周波数が発生する場合は,FFT解析は有効である. しかし,広帯域にわたるノイズが重畳されるような異常を発見することは困難である. この様な場合,カオス理論に立脚した非線形統計量(カオス統計量)による解析が有効である.
研究事例(回転音時系列) A B C D
研究事例(回転音時系列) E F G H
回転音時系列のパワースペクトル E F G H
回転音時系列のパワースペクトル A B C D
周波数解析による異常診断 回転音時系列A~Hのパワースペクトルを見ただけでは,どれが正常でどれが異常かを識別することは,極めて困難である. カオス理論の立場から,回転音時系列を見直す.(埋込次元=9,遅れ時間=1の遅れ時間座標系に埋め込んだ場合の,1次元/5次元/9次元成分によるアトラクタを示す.)
回転音時系列のアトラクタ A B Axis: 1,5,9 Axis: 1,5,9 C D Axis: 1,5,9 Axis: 1,5,9
回転音時系列のアトラクタ E F Axis: 1,5,9 Axis: 1,5,9 G H Axis: 1,5,9 Axis: 1,5,9
非線形統計量による評価 アトラクタの特徴量を,局所空間における軌道の乱雑性(規則性)で評価する. 具体的には,ChaosClubの軌道平行測度TPM: trajectory parallel measure)を求める.
異常診断結果 A,B,C,Dは不良品,E,F,G,Hは良品 TPM_averageよりもTPM_medianを用いる方が,より明確な診断が出来る. TPM_medianは埋込次元が5以上で有れば有意に診断出来る. また,次元を増やすに従って,診断性能が増す.