Taurus-Auriga association 1.85m電波望遠鏡による馭者座暗黒星雲の一酸化炭素輝線の観測 ○大崎茂樹、橋詰章雄、西村淳、徳田一起、大西利和、村岡和幸、小川英夫、 前澤裕之(大阪府立大)、土橋一仁(東京学芸大)、1.85m鏡グループ 目的 我々はこれまでに1.85m電波望遠鏡を用いて牡牛座(Taurus)暗黒星雲を観測し、そこでの物理・化学進化過程を探っている。今期はさらに、馭者座(Auriga)領域へと観測領域を拡大した。Taurus-Auriga複合分子雲は太陽系近傍にあり、小質量星を形成するT-associationであり、内部にOB型星などを付随していない。このため大質量星の活動の影響を少なくとも現在は直接受けていない。このため、暗黒星雲自身の進化過程を追う事のできる非常に重要な観測ターゲットである。Taurusには、高密度コア・星形成領域が多く分布するのに対し、Aurigaは高密度コアが少なく、大局的にはdiffuseに見える。本研究では、Taurus領域とAuriga領域における 1)高密度コアの形成環境の違い、2)物理・化学進化段階の違い、3)associationとしての大局的な構造の関連性、について探るべく、基本的な物理状態や速度構造等の解析を進めている。ここではそのpreliminaryな結果について報告する。 Taurus-Auriga association 観測諸元 望遠鏡 :1.85m電波望遠鏡 観測ライン :12CO , 13CO , C18O (J=2-1) 観測領域 :82平方度(L=166〜177度、B=-3〜-14度) 観測手法 :On The Fly 空間分解能 :2.7分角(コンボリューション後3.35分角) 観測グリッド :1分角 総観測時間 :137時間 総観測点数 :295200点 平均ノイズレベル :0.45 K 有効速度分解能 :0.08 km/s 観測期間 :2013年1月〜5月 ・分子輝線観測の先行研究 (Ungerechts et al. APJSS,63, 1987 ) ・太陽系からの距離が比較的近い 140〜340 pc ・小質量星形成領域 ・Auriga領域はTaurus領域から北側へ、比較的 diffuseに伸びている。 ・AurigaとTaurusは、HI Super shel/Dust Voidを囲う ように、それぞれ大質量星形成領域であるCalifornia 領域やPerseus領域へと連なっている。 (Lim et al. Apj, 765, 2013) Auriga Taurus Fig2. 観測に用いられた 1.85m電波望遠鏡(右写真) Fig1. 牡牛座領域の可視減光量マップ(Dobashi et al 2005) 解析結果 ・12CO・13CO・C18O(J=2-1)積分強度図 ・12COは、ダスト/可視減光領域と大局的な広がりが良く似ている。 ・13COは、比較的高密度ないしカラムの多い領域が露出し、Auriga領域もTaurus領域と同様、多くのフィラメント構造が形成されていることがわかった。 ・C18Oでは広がりが局所的となり、Taurus領域の高密度コア(HCL2領域等)では分布をトレースできているが、Auriga領域ではL1517がわすかに見えているだけである。このことからも、Aurigaは全体的に低密度でTranslucent的であるということがわかる。 L1523 L1512 L1517 Auriga L1517 HCL2 Taurus Fig3. C18O(J=2-1)積分強度図 Fig4. 13CO(J=2-1)積分強度図 Fig5. 12CO(J=2-1)積分強度図