ニュートリノ振動実験OPERAにおける 核破砕片の基礎研究とその活用

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ニュートリノ振動実験OPERAにおける 核破砕片の基礎研究とその活用 Katsumi Ishiguro ( Nagoya Flab )

乾板中でのニュートリノ反応の見え方 OPERA実験 CHORUS実験(OPERAの千分の一質量) 乳剤 反応点の断定が難しい 核破砕片 粒子が原子核と反応するとでる

研究とその活用 @基礎研究 鉛原子核とニュートリノの反応に伴う核破砕片の研究 @活用 反応点の断定 崩壊か反応かの識別 鉛原子核とニュートリノ反応からの核破砕片のデータなし. 1mmの鉛を超えて出てくるものがどれだけあるかわからない システマティックに探されてもおらず、活用できていない。  @基礎研究 鉛原子核とニュートリノの反応に伴う核破砕片の研究 @活用 反応点の断定  崩壊か反応かの識別 

乾板中の核破砕片の飛跡

自動飛跡読み取り機による検出 近傍での銀粒子の総ピクセル数がVPH。 VPHは粒子の電離損失が大きいほど高くなる。 自動飛跡読み取り機による検出   乳剤を深さで16層に分け、何hitぶん銀粒子があるかをカウントする。 近傍での銀粒子の総ピクセル数がVPH。 VPHは粒子の電離損失が大きいほど高くなる。

最少電離粒子のVPH VPH和180以上は無し

目視でみつかってきた核破砕片をスキンした時のVPH

上流側での核破砕片候補 593反応 角度tanθ<0.6 について

核破砕片候補 のIP vs depth

核破砕片候補のIP vs depth Proton Pβ 200MeV/c 3sigma

下流乾板で検出された核破砕片候補

BackGroundの見積もり 結果BackGround無し ↓ 核破砕片候補があれば即、反応点と断定できる ダミーの593点は実際の反応点をすべて2mmずらして 作った IP<200μm、VPH和>200(各40以上) 結果BackGround無し      ↓ 核破砕片候補があれば即、反応点と断定できる

反応あたりの検出された核破砕片 の本数分布(in 593ev) 上流 下流 核破砕片の本数 核破砕片の本数 上流 16% 114本 下流31% 242本

反応あたりの検出された核破砕の本数分布  合計で37% 356本 核破砕片の本数

角度アクセプタンスを広げたスキャン θ tanθ=1.0まで ランダムに選んだ7eventに対し角度アクセプタンスtanθ<1.0でスキャン  6eventで核破砕片が見つかり、16track見つかった。  80+-30%見つかることがわかった

活用 二次粒子が1本の反応点 からの核破砕片さがし 日本で1300event が検出されたが、二次粒子が1本のものが215eventある。 反応点断定されておらず、崩壊点探索に利用され ていなかった。 そのうちの120サンプルに関して行った。

各イベント2乾板について探す ③ ② ① ニュートリノ ビーム 探索乾板 ① が二次粒子が確認された最上流の    乾板

核破砕片の本数比較 二次粒子1本のイベント 28+-3% で発見 平均 0.46本 /event 二次粒子が複数本のイベント 37+-2% で発見 0.62本/event

ハドロントラック本数と核破砕片の平均数 下流乾板 上流乾板 下流乾板 核破砕片の平均数 1 2 3 4 5 6 7 8 核破砕片の平均数  下流乾板 上流乾板 1  2 3   4 5 6 7   8 1 2   3 4   5 6   7   8 ハドロントラック本数 ハドロントラック本数

上流下流合計 核破砕片の平均数  ハドロントラック本数

鉛核破砕片のでかたのモデル ・下流側がおおい理由 核子を弾き、それが玉突きをする。玉突きによって出てくる核子は前方に出やすい。 ・ハドロントラック数にあまりよらない説明 ハドロンによって玉突きはほとんど起こらない。 ・その後、励起された核子のうち障壁を超えたものおよびトンネルしたものが等方的に原子核からでてくる。

2 核破砕片が,さらに上流に反応点があることを示唆している。 Impact Parameter [um] Depth[um] 2 核破砕片が,さらに上流に反応点があることを示唆している。

崩壊検証への活用 タウ崩壊の7割がハドロニック崩壊 そのBackGroundはハドロン反応 ハドロン反応に核破砕片がつくことがあるが、崩壊にはない

タウニュートリノの同定

タウ粒子崩壊点からの核破砕片さがし タウ粒子 Tanθ<1.0 IP < 200μm に核破砕片無し 娘粒子 PL39 PL41 parent daughter PL38 タウ粒子 娘粒子

タウ粒子崩壊点まわりの核破砕片探索の評価 タウ粒子の崩壊点からtanθ<1.0の核破砕片はみつからなかった。 タウ崩壊のハドロンによるBackGroundを80+-30%へらせる 現在タウニュートリノらしさは95%であるが、この評価は入っていない。 ニュートリノ反応からの核破砕片で代用した評価である。

まとめ ・鉛中からの核破砕片をはじめてシステマティックに探した。 核破砕片探索が低BackGroundで行えることを示した. ・角度アクセプタンスtanθ<0.6のスキャンを行い、37+-2%のイベントで核破砕片が見つかることを示し、Tanθ<1.0までの探索で80+-30%のイベントで核破砕片が見つかることを示した ・二次粒子が1本のeventのうち120eventでtanθ<0.6までのスキャンをして核破砕片探索を行うことで28%のイベントで核破砕片を見つけ、反応点断定をした。 ・タウニュートリノ候補に関しては、崩壊点のまわりでtanθ<1.0の核破砕片を探したところいなかった。 タウニュートリノのハドロンによるBackGroundを80+-30%おとせるみつもりである。

展望 崩壊点探索および反応点探索へのさらなる活用 ハドロン反応からの核破砕片の数

NHと核破砕片の数 本数期待値

Fittingの方法 ボルツマン分布の積分形 にEをパウエルのプロトンのデータから代入

fitting

角度アクセプタンスを広げることの効果

角度アクセプタンスを広げることの効果 0.54radのとき0.3本 0.54radのとき0.29本

等方的にでていると近似すると、上流側乾板に関しては44%,下流側乾板に関しては57%の探索がおわった計算

BlackTrack search for NS1 events

NSと核破砕片の数 本数期待値

We searched Black track at 3 plates ① ② ③ SB track Searched plate ① is judged SB stopping Plate To search in many plates , We reconfirm VTX plates for case we failed SB.

Black track search at ① ① SB track

μm μm

32BlackTrak(25events) is found in120 NS1 events but these probably contain gray track

Black track search at ② ② SB track

μm μm

23 Black is found (18 events) in 120 NS1 2 Black’s depth is in up Plate.

Black track search at ③ ③ SB track

No candidate appeared

上流方向に出ている核破砕片で比較する 二次粒子が1本のイベント 18event/120event(15%)        VTXイベント 93event/593event(16%) 二次粒子が1本のイベントでも核破砕片はVTXイベ                                ントと同じだけの発見が見込める。

まとめ ニュートリノ反応点からの核破砕片探索をはじめてシステマティックに行った Vertex Pointの上流側の乾板を角度アクセプタンスtanθ<0.6までのスキャンを行って核破砕片探索を行うことで約16%のイベントで核破砕片が見つかった。さらに、tanθ<1.0 までのスキャンを行い、下流側の乾板でも核破砕片探しをおこなうことで、無作為に選ばれた7eventのうち6eventで実際に核破砕片が見つかってきた。 二次粒子が1本しか見つからないイベントは反応点の断定が出来ていなかった。そういった215eventのうち、130eventについて角度アクセプタンスtanθ<0.6までのデータから核破砕片探索を行うことでその28%のイベントで核破砕片を見つけ、反応点断定をした。 OPERA では現在までにタウニュートリノ候補を一例発見した。これに関しては私が角度アクセプタンスtanθ<1.0の核破砕片探索を行い、核破砕片が無いことを確認することでOPERA初のタウニュートリノ候補の同定に貢献した。 さらにトポロジー的なチャームDecay候補22eventに関してtanθ<0.6の核破砕片探索を行い、そのうち1eventでdecay候補pointに核破砕片がついていることを発見し、ハドロン反応だと断定した。また20eventに関してはDecay候補点から核破砕片が出ていないことを確認した。

展望 スーパー核やモノポール探し ハドロンからの核破砕片の数 DecaySearchおよびLocationへのさらなる活用

下流方向の核破砕片

VPH vs VPH

Gray trk 本数期待値 vs NH

鉛核破砕片のでかたの描像 核子を弾き、それが玉突きをする。玉突き によって出てくる核子は前方に出やすい。 ハドロンによって玉突きはほとんど起こらない。 その後、励起された核子のうち障壁を超えたものおよびトンネルしたものが等方的に原子核からでてくる。

鉛2枚以上貫く核破砕片 Logfitがよく再現する。

下流方向の核破砕片

VPH vs VPH

核破砕片がついている割合 と 核破砕片のRange 発見された核破砕片の本数のイベントあたりの平均値と、イベントのdepthとの関係

マニュアルチェック 上流側乾板についてはtanθ<0.9相当の面積をマニュアルチェック乳剤を貫くトラック無し

鉛2枚以上貫く核破砕片 Logfitがよく再現する。

核破砕片がついている割合 と 核破砕片のRange 発見された核破砕片の本数のイベントあたりの平均値と、イベントのEnergyとの関係

角度アクセプタンスを広げることの効果

角度アクセプタンスを広げることの効果 0.54radのとき0.3本 0.54radのとき0.14本

NSと核破砕片の数 本数期待値

Gray trk 本数期待値 vs NH

Background 0 track in 282point in 94event(3mm slide) We estimated Background in 282 3mm slide points from 94 vtx points And no candidate appeared.

乾板によるニュートリノ振動実験 の歴史とOPERA チャーム粒子の検出 1971 E531 1980~   CHORUS 1994~ DONUT OPERA 2008~

Fittingの方法 ボルツマン分布の積分形 にEをパウエルのプロトンのデータから代入

fitting

NSと核破砕片の数 本数期待値

1イベントあたりの本数期待値 とdepthの関係

動機 しかし鉛中ニュートリノ反応の核破砕片のでかたがわかっていない。 まず鉛中ニュートリノ反応の核破砕片のでかたを調べた。 崩壊同定   タウニュートリノ反応の検証  二次反応ならば核破砕片がつくことがある。 しかし鉛中ニュートリノ反応の核破砕片のでかたがわかっていない。 まず鉛中ニュートリノ反応の核破砕片のでかたを調べた。

1イベントあたりの本数期待値 とdepthの関係 0.43 0.4 0.29

NHと核破砕片の数 本数期待値

タウ粒子崩壊点まわりの核破砕片探索の評価 角度アクセプタンスtanθ=0.6までのスキャンで見つかる核破砕片の期待値はこのイベントの深さでは上流側乾板で0.3本、下流側乾板で0.29本である。1本でも見つかる可能性は36%であった。 ・本数期待値は等方的に出ていると近似するとtanθ1.0のスキャンでの本数期待値は1.3本である。 角度アクセプタンスtanθ=1.0までのスキャンで6/7イベントで見つかり、16本が見つかっている。 タウ崩壊のハドロンによるBackGroundを80%+-30%へらせる

私の研究とその活用 @基礎研究   鉛原子核とニュートリノの反応に伴う核破砕片の研究 @活用 反応点の断定  崩壊か反応かの識別 

1イベントあたりの本数期待値 とdepthの関係 上流 下流

最少電離粒子のVPH両面の和 VPH和180以上は無し

核破砕片さがし  ①

32本の核破砕片がみつかった。(25events)

核破砕片さがし  ② ②

Impact Parameter [um] Depth[um] 23 本核破砕片が発見された。 (18 events)

2 核破砕片が,さらに上流に反応点があることを示唆している。 Impact Parameter [um] Depth[um] 2 核破砕片が,さらに上流に反応点があることを示唆している。

Black track search at ③ ③ SB track 候補なし

No candidate appeared