アルマ、野辺山、TMTを通して考えたこと

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次期赤外線天文衛星SPICA 全体試験計画の概要
JASMINE レーザー干渉計型高精度角度・長さ変動モニターの研究開発 計画のための
京都大学3.8m新技術望遠鏡計画 長田哲也 (0)概算要求を行うかどうか (1)学術的評価(概要とサイエンス) (2)緊急性
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南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
河野孝太郎(天文学教育研究センター) 平成22年4月27日.
2007 9/26-28 秋季年会 高速分光システムの開発 磯貝 瑞希(広島大)、嶺重 慎、野上 大作(京都大)、川端 弘治、植村 誠、大杉 節、山下 卓也、永江 修、新井 彰、保田 知則、宮本 久嗣、上原 岳士、笹田 真人、田中 祐行、松井 理紗子、深沢 泰司、かなた望遠鏡チーム(広島大)、杉保 圭(京都大)
3.8 m望遠鏡主鏡エッジセンサ 開発進捗 京都大学 理学研究科 M2 河端 洋人.
米倉 覚則 (茨城大・宇宙科学教育研究センター) Y. YONEKURA (Ibaraki U.)
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本間 希樹 Mareki Honma (水沢VLBI観測所)
須麻漏売(すまろめ)神社@三重県多気郡 すばるを祀った神社?
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ITER計画プロジェクト エンジニア募集!
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茨城 32 m 電波望遠鏡(高萩局・日立局)の整備状況
京大極限補償光学 点回折干渉を用いた 波面センサの開発
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JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
国立天文台 JASMINE検討室 小林行泰 ○初鳥陽一 JASMINEワーキンググループ
TMT第一期観測装置WFOSの近況報告 尾崎忍夫(国立天文台).
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ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
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ASTE望遠鏡を用いたVLBI観測の ための超伝導230GHz帯受信機開発
Keck-II several nights
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アルマ、野辺山、TMTを通して考えたこと 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

国立天文台はTMT以降大型望遠鏡作る機会があり、作る技術力あるのか? 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

私と望遠鏡のかかわり 1997-2002:SMA(評価) 2002-2005:ALMAプロトタイプアンテナ(製造、評価) 2016-:TMT(設計から製造へ) その他さまざまな望遠鏡審査会へ参加 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

地上天体望遠鏡 望遠鏡 望遠鏡環境 望遠鏡の基本性能 一度製作すると基本構造は変更しない 電波望遠鏡:ドームなし 24時間観測 電波望遠鏡:ドームなし 24時間観測 光赤外望遠鏡:ドームあり 夜間観測 望遠鏡の基本性能 指向・追尾技術 鏡面(波面)精度 外乱(風、熱、重力)に負けない 重量、固有振動数、電力、安全、信頼性、保守性 ライフタイムコスト 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

国立天文台望遠鏡の担当(私見) 望遠鏡 運用開始 建設主担当 運用主担当 導入した技術例 野辺山45m鏡 1982 森本・海部 浮田 ホモロガス、CFRP、熱変形抑制、光学系 すばる 1999 海部 臼田 DD、焦点面装置、静圧軸受、アクチュエータ ASTE 2002 江澤 パネル、エンコーダ ALMAプロト 2004 メテロロジー ALMA 2011 齋藤/稲谷 水野 風メテロロジー、DD、熱メテロロジー TMT 2027? 臼田/齋藤 ?? 免振、振動、制御 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

天文台技術継承 ESOの場合 望遠鏡技術は日本に必要か 望遠鏡技術に携わった人は 望遠鏡技術は継承されているか 望遠鏡 年 建設主担当 VLT 1999 Stanghellini ALMA 2011 Stanghellini Martinez ELT 2024? 望遠鏡技術は日本に必要か 望遠鏡技術に携わった人は 多くは天文学者が兼任 波長別、そしてその後異動 望遠鏡技術は継承されているか 系統的に残されていない 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

ALMA 国際プロジェクト ESO/NRAO原案の膨大な仕様書 他サブシステムとのインターフェース システム要求、サブシステム要求 受入試験と受入手続 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

NRO45m鏡 国内プロジェクト システム要求がなかったのでサイエ ンス要求をまとめる(右) <=NRO審査会(2015) ライバル装置の比較し3-4mm帯の マッピング観測に絞った性能向上 運用経費削減と性能向上同時に推進 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

TMT インタフェース(CS: control sys) 国際プロジェクト TMTの仕様書:ALMA以上に 複雑なインターフェース すばる以上に高い技術要求 厳しい追尾要求 0.2mas > 15Hz, 15 mas > 0.1 Hz 厳しい振動要求 WFE < 12nm ~ 1 N@駆動・巻 取 インタフェース(CS: control sys) ENC (Enclosure), SUM (Summit), NFIRAOS (AO), LGSF (Laser guide star facility, CRYO (Cryo cooling system), IRIS, WFOS M1 Optics, M2, M3, CLN (Cleaning), TINS (Test instrument), TCS (Telescope CS), M1CS, APS (Alignment and Phasing system), OSS (Observatory safety system), ESEN (engineering sensors) 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

大型望遠鏡製作に関してのレッスン 国際プロジェクトの望遠鏡技術 望遠鏡共通・基盤技術 契約マネージメント 仕様書を書くスキル SOWを書くスキル ICDを定義できるスキル 望遠鏡共通・基盤技術 システムエンジニア 専門職 仕様書がかけ、誤差が配分でき、Conceptual designまで持って 行ける技術力・システム技術力、マネージメント力 科学要求からシステム要求へとすすむために プロジェクトサイエンティストの関わりは必須 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

望遠鏡実現のトライアングル 要求 性能 コスト 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

望遠鏡とコスト:光学望遠鏡の場合 光学望遠鏡は技術革新で コスト低下 Keck:セグメント鏡 京大3.8m:架台 Pierre+2003 ©Springer-Verlag 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

詳細設計前の投資 Phase A(Preliminary analysis-ODR)とB(Project definition-PDR)の重要性 Phase C(Design-FDR)の コストリスク下げるに はPhase A/Bに10%程度 投資が必要 Pierre+2003 ©Springer-Verlag 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

望遠鏡コストの占める割合 Pierre+2003 ©Springer-Verlag 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

ライフタイムコスト Pierre+2003 ©Springer-Verlag 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

望遠鏡技術とツール 材料・構造力学 機械工学 熱工学 流体力学 電源・設備 計測工学 EMC 安全 品質 FEM CAD CFD サーボ解析 電磁解析 FMEA FTA HARA 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

日本以外の代表的な望遠鏡設計会社 EIE (design oriented) MT Mechatronics (des2fab) E-ELT 39m LSST 8m ASTRI SST-2M Prototype-CTA ALMA-EU-Antenna 12m LBT-Telescope/Enclosure 8m VLT-Telescope/Enclosure 8m NTT-Telescope 3.5m Sardinia Radio Telescope 65m MT Mechatronics (des2fab) DKIST 4m Effelsberg 100m LMT 50m Yebes 40m IRAM 30m IRAM 15m CTA 30m Sardinia Radio Telescope 65m 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

大型望遠鏡製作 国際プロジェクトの望遠鏡技術 望遠鏡共通・基盤技術 契約マネージメント 仕様書を書くスキル SOWを書くスキル ICDを定義できるスキル 望遠鏡共通・基盤技術 システムエンジニア 専門職 仕様書がかけ、誤差が配分でき、 Conceptual designまで持って 行ける技術力・システム技術力、マネージメント力 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望

次世代に向けて考えること 国立天文台の望遠鏡技術は天文学者が担っていくのか 概念設計が出来るレベルの技術を持っているか 外国企業に発注できる仕様書がかけるか 機会を意識的に(素質ある)人材に与えられるか 望遠鏡性能評価(計測)技術は持ち続けられるか プロジェクトサイエンティスト・システムエンジニアはいるか これらのことは意識的に進めないと自発的に起こらない 2018/3/20 未来を拓く技術開発とその将来展望