早稲田大学連続セミナー 第4回 Product Differentiation and Spatial Competition

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早稲田大学連続セミナー 第4回 Product Differentiation and Spatial Competition 今日の講義の目的 (1)立地モデルと製品差別化の関係を理解する (2)mill pricingとdelivered pricingの違いを理解する 2007/1/17 早稲田大学

Outline of the 4th Lecture 4-1 Hotelling Model 4-2 Shopping Model and Shipping Model 4-3 Price-Setting Shopping Model 4-4 Circular-City Model 4-5 Price-Setting Shipping Model 4-6 Quantity-Setting Shipping Model 4-7 Non-Spatial Interpretation of Shipping Model 4-8 Non-Spatial Product Differentiation Models 2007/1/17 早稲田大学

Two Models of Spatial Competition (1) Mill Pricing Model (Shopping Model) Consumers pay the transport costs. Consumers go to the firm's shop. (2) Delivered Pricing Model (Shipping Model, Spatial Price Discrimination Model) Firms pay the transport costs. Firms bring the goods to the markets. 2007/1/17 早稲田大学

Mill Pricing Model (Shopping Model) 長岡京 河原町 高槻 梅田 茨木 淡路 2007/1/17 早稲田大学

Mill Pricing Model (Shopping Model) 三鷹 吉祥寺 武蔵境 立川 国分寺 国立 2007/1/17 早稲田大学

Delivered Pricing Model (Shipping Model, Spatial Price Discrimination Model) 北海道 東北 関東 東海 関西 九州 2007/1/17 早稲田大学

Hotelling Duopoly Model 長さ1の直線都市に消費者が一様に分布 各消費者はより近い企業から1単位の財を購入 各企業の利得は顧客数できまる(固定価格モデル) 各企業は独立に直線都市上に立地を決める ~典型的なshopping model 2007/1/17 早稲田大学

Hotelling 企業2の立地 企業1の立地 0 1 企業1の顧客 企業2の顧客 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Relocation of Firm 1 企業2の立地 企業1の立地 0 1 企業1の顧客 企業2の顧客 企業1が企業2に近づくと企業1の顧客が増える →企業2の隣に立地するのが最適 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Best Response of Firm 1 企業2の立地が1/2以上 →企業2の左隣で企業2の左側の需要を取る 企業2の立地が1/2以下 →企業2の右隣で企業2の右側の需要を取る 企業2のbest responseも同様 均衡:両企業が1/2に集積 2007/1/17 早稲田大学

直線都市の解釈 (1)文字通り都市。spatial interpretation (2)product differentiation ~ horizontal product differentiation (3)政治的な立場、選好 (3)の発想からのHotellingの結果の解釈 ~2大政党制で両党の公約が似通う。 しかし企業競争もモデルとしては物足りない。 ~実際に消費者は企業の立地だけでなく価格にも依存した行動を取るから 2007/1/17 早稲田大学

Vertical Product Differentiation 垂直的製品差別化~高品質と低品質の差別化 同じ価格なら全ての人が高品質を望む。どれぐらい価格差があれば低品質を選ぶかは人によって違う これも直線都市モデルで表現できる 2007/1/17 早稲田大学

Vertical Product Differentiation 0-1区間にしか人は住んでいない →すべての人は同じ価格なら企業1を選ぶ 企業2の立地 1 0 企業1の立地 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Two-Stage Location then Price Model Duopoly Model、長さ1の直線都市に消費者が一様に分布。各消費者は実質価格(価格+移動費用)のより低い企業から1単位の財を購入。移動費用は距離の2乗に比例。 各企業の利得は顧客数*価格できまる。 各企業は第1期に独立に直線都市上に立地を決める 。 立地を見た後第2期期にBertrand競争。 ~同じくshopping model 2007/1/17 早稲田大学

Maximal Differentiation 企業1の立地 企業2の立地 0 1 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium 各企業は両端に立地 →Maximal Differentiation 価格競争を避けるため 距離が近い→需要の価格弾力性大 ・相手はより価格を下げる誘因 ・自分も価格を下げる誘因 →戦略的補完性を通じて更に価格競争を激化させる(ライバルの価格が下がる) 2007/1/17 早稲田大学

Why Quadratic? なぜquadraticなtransport cost ? HotellingはLinear(距離に比例)だったのに。 Linearだと利得関数がconcaveにならない →純粋戦略均衡の不存在の問題が発生 2007/1/17 早稲田大学

second stage subgame 企業1の立地 企業2の立地 0 1 P1の低下 企業1の顧客 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

second stage subgame 企業1の立地 企業2の立地 0 1 企業1の立地 企業1の顧客 2007/1/17 早稲田大学

second stage subgame 企業1の立地 企業2の立地 0 1 P1の更なる低下 企業1の顧客 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

second stage subgame 企業1の立地 企業2の立地 0 1 企業1の顧客 transport costが linearならこの消費者は 企業1と企業2で無差別 2007/1/17 早稲田大学

企業1の需要 P1 Y1 X1 X2 1 2007/1/17 早稲田大学

Linear Transport Costs 問題 (1)そもそも需要関数(そして必然的に利得関数も)微分可能でなくなり飛躍的に扱いが難しくなる (2)利得関数がconcaveでなくなる 前者の問題はtransport cost functionがstrictly convexであれば起こらないが、後者の問題はconvexityが弱いと発生する可能性がある →純粋戦略均衡が存在しない可能性がある 2007/1/17 早稲田大学

Convexityが強ければ問題ないか? →相手の価格を所与として自分の回りの顧客だけを取ろうと高い価格を付ける →相手は高い価格を付ける誘因 →相手の高い価格を所与とすると価格を大幅に下げて 相手に近いところの需要も取りに行く ~Edgeworth Cycleと同じ問題 2007/1/17 早稲田大学

消費者が一様に分布していなければ? 例 中心に人口が集中し、周辺には人が少なかったら? 2007/1/17 早稲田大学

消費者分布 企業1の立地 1 0 2007/1/17 早稲田大学

消費者が一様に分布していなければ? 例 中心に人口が集中し、周辺には人が少なかったら? →均衡は非対称的に (理由)非対称な立地を選ぶことによって需要の価格弾力性を下げられるから 2007/1/17 早稲田大学

対称立地 この顧客を取り合う~需要の価格弾力性大 →価格競争が激しくなる 1 0 企業2の立地 企業1の立地 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

非対称立地 この顧客を取り合う~需要の価格弾力性が下がる →価格競争が緩やかになる 1 0 企業2の立地 企業1の立地 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

2次元の空間なら 例 4角形なら? 2007/1/17 早稲田大学

2次元の空間 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Maximal Differentiation 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Maximal Differentiation 企業1の 顧客 企業2の 顧客 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Maximal Differentiation 企業 1の 顧客 企業2の 顧客 企業1の価格低下 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Non-Maximal Differentiation 境界の顧客数減少 →需要の価格弾力性低下 →競争の緩和 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Circular-City Model 企業1の立地 企業2の立地 2007/1/17 早稲田大学

Circular-Cityの特徴 (1)中心ー辺境がない~全ての場所がsymmetric 3企業以上の寡占を扱うのが直線都市モデルに比べて遙かに簡単 (2)Price Equilibriumの非存在の問題が比較的起きにくい。 2007/1/17 早稲田大学

quadratic transport costでの均衡立地 企業1の立地 企業2の立地 2007/1/17 早稲田大学

delivered-pricing model 対称複占 企業がまず立地を決め、立地を見た後価格を決める 企業がtransport costを負担、linear transport cost (距離と運送量に比例するtransport cost) 直線都市上の各点が独立した市場。消費者の裁定取引無し。各点は同じ線形の需要関数。 2007/1/17 早稲田大学

second stage subgames 同質財のBertrand Modelと同じ。 距離のより近い企業(費用のより低い企業が)ライバルの費用に等しい価格で販売 ~自分が販売する市場では、価格は基本的に自分の立地に依存していない(ライバルの立地、ライバルの費用構造のみに依存) 2007/1/17 早稲田大学

second stage subgame 企業1の立地 企業2の立地 0 1 企業1の立地 企業1の顧客 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location 企業1の立地 企業2の立地 0 1 企業1の立地~需要が非弾力的企業であれば1/4 弾力的であれば1/4よりも少しだけ大きい 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location 自社の供給領域と供給量を所与として供給費用を最小化する立地を選ぶ。 需要が非弾力的なら、自社の供給領域の真ん中を選ぶ 弾力的なら価格の低い(供給量のより大きい)市場を重視→より真ん中に近づく 自分の立地が変われば供給領域も変わるのでは? 供給領域の境界は動くが供給領域の境界では利潤ゼロ →供給領域が増えることの限界的な利潤の増加はゼロ 2007/1/17 早稲田大学

Spatial Cournot Model 対称複占 企業がまず立地を決め、立地を見た後数量を決める 企業がtransport costを負担、linear transport cost (距離と運送量に比例するtransport cost) 直線都市上の各点が独立した市場。消費者の裁定取引無し。各点は同じ線形の需要関数。需要は十分に大きい。 2007/1/17 早稲田大学

Spatial Cournot Modelの特徴 市場の重複 2企業が全市場で供給。 供給量は各市場ごとに異なる。 対称立地なら、価格は企業立地に依らず全ての市場で一定。 ~企業1と企業2の距離の合計は一定だから。 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location 企業1の立地 企業2の立地 0 1 両企業とも真ん中に集まる。 自社の供給領域のほぼ真ん中という意味でBertrandのケースと同じ。各企業にとって左右の市場の重要度同じだからちょうど真ん中になる。 Oligopolyでもよく似た結果 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Location and Transport Costs 企業1の立地を限界的に右に動かす 0 1 企業1の立地 企業1の費用が 増加する領域 企業1の費用が 減少する領域 2007/1/17 早稲田大学

人口分布 企業1の立地 企業2の立地 0 1 人口分布が真ん中により集まっていたら? →より真ん中に集まる誘因 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

人口分布 企業2の立地 企業1の立地 0 1 人口分布が両端に偏っていたら? →より離れる誘因 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Welfare Implications in Cournot (Matsumura and Shimizu 2005) 企業2の均衡立地 企業1の均衡立地 0 1 企業1の次善立地 企業2の次善立地 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Welfare Implications in Bertrand (Matsumura and Shimizu 2005) 企業2の均衡立地 企業1の均衡立地 0 1 企業1の次善立地 企業2の次善立地 企業1の立地 2007/1/17 早稲田大学

Spatial Cournot Model with Circular-City 対称複占 企業がまず立地を決め、立地を見た後数量を決める 企業がtransport costを負担、linear transport cost (距離と運送量に比例するtransport cost) 円環都市上の各点が独立した市場。消費者の裁定取引無し。各点は同じ線形の需要関数。需要は十分に大きい。 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location 一般性を失うことなく 企業1の立地を0とする 企業2の最適反応 を考える 2007/1/17 早稲田大学

Location and Transport Costs 企業2の立地を限界 的に右に動かす Transport Costが 増える領域 Transport Costが減る領域 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location 一般性を失うことなく 企業1の立地を0とする 企業2の生産量小 企業2の transport cost を最小にする立地 企業2の生産量大 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location in Oligopoly Equidistant Location Pattern 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location in Oligopoly Partial Agglomeration ~Matsushima (2001) 2007/1/17 早稲田大学

Equilibrium Location in Oligopoly 均衡は連続的に存在 ~Shimizu and Matsumura (2003),Gupta et al (2004) 2007/1/17 早稲田大学

Spatial Interpretation of Shipping Model Firm 2 Firm 1 Market A Market B 2007/1/17 早稲田大学

Non Spatial Interpretation of Shipping Model: Technological Choice (Matsumura 2004) Firm 2 Firm 1 Market B: Large Car Market A: Small Car 2007/1/17 早稲田大学

Non Spatial Interpretation of Shipping Model: FMS (Eaton and Schmitt 1994) Variant (firm 2) Base Product (firm 2) Firm 2 Firm 1 Base Product (firm 1) Variant (firm 1) 2007/1/17 早稲田大学