展開型柔構造体を用いた 回収システム実証試験の提案

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展開型柔構造体を用いた 回収システム実証試験の提案 ○山田和彦、廣谷智成、安部隆士 (ISAS/JAXA) 石田智樹、古川宗孝 (東大院) 鈴木宏二郎 (東大新領域) 桜井晃 (九大工) 大気球シンポジウム 相模原 2006/01/23

CONTENTS 研究背景、目的 試験概要 フライト試験にむけて開発状況 まとめ 供試体 実験シークエンス フライト予測 複合型展開外枠  研究背景、目的  試験概要 供試体 実験シークエンス フライト予測  フライト試験にむけて開発状況 複合型展開外枠 エアロシェルの空力特性 搭載機器  まとめ

BACKGROUND シンプルかつ安全なカプセル型の大気突入、回収システムの開発 従来型システム 提案するシステム 耐える 避ける アブレータや高温材料で1500℃以上にもなる高温環境に 耐える 大気突入前に大面積のエアロシェルを展開し、空力加熱を 避ける パラシュートを展開し、減速して軟着陸 低弾道係数を利して、 そのまま緩降下&軟着陸    (+海上浮揚) 高温環境にさらされない  →安全 大気圏突入前に展開完了 →信頼性上昇 APPLLO の時代から採用されている MUSES-C, USERS などでも実用

FORIGNE STUDY IRDT,IRDT2 (ESA) IRVE (NASA) 2000年頃からフライト試験を実施、 ロケット等の不具合で目立った成果は出ず。 今年度、フライト試験を計画

BACKGROUND 柔構造再突入回収システムの研究開発経過 →次のステップへ向けた技術的課題の克服に向けて 2000~  風洞試験や数値解析による基礎研究    基礎データの取得、数値解析手法の確立 2002  大気球を利用したフライト試験の提案    遷音速~低速領域における柔構造機体の飛翔性能実証 2003/09 大気球による第一次柔構造機体の飛翔性能試験    搭載機器の動作実証、エアロシェルの開発 2004/08 大気球による第二次柔構造機体の飛翔性能試験    フライトに成功    2005~  データ解析、開発課題の洗い出し →次のステップへ向けた技術的課題の克服に向けて

BACKGROUND エアロシェルの大型化 エアロシェルのさらなる大型化が必須課題 膜面のサイズが空力加熱 終端速度に与える影響 金属TPSの限界 安全な着水速度 高度200kmに達する    弾道軌道からの再突入 機体重量  50kg カプセル直径 20cm 抵抗係数 1.2 淀み点曲率半径 14cm エアロシェルのさらなる大型化が必須課題

OBJECTIVES これらのことを実証するため、 大気球を利用したフライト試験の提案を行う。 エアロシェルの大型化、そして回収システムとして実用化するために克服すべき技術的課題 高真空無重量状態で確実に展開するエアロシェルの確立 大型エアロシェルを有するカプセル型飛行体の飛行性能 柔構造エアロシェルによって軟着水して、海上にて機体を確実に回収する技術 これらのことを実証するため、 大気球を利用したフライト試験の提案を行う。

FLIGHT TEST OUTLINE

FLIGHT MODEL 外 枠 エアロシェル カプセル 最大直径 :2.5m 総重量 :25kg 終端速度 :10m/s程度 外  枠 インフレータブルトーラスと金属枠で構成されるハイブリットタイプの展開構造 エアロシェル インフレータブル部はフロートとしても機能する。 最大直径250cm程度の錐台形状 高耐熱性、高強度であり、将来の再突入機での使用の有力な候補であり前回試験でも使用したZYLON織物で作成 250cm カプセル 直径30cm センサなど機器類をすべて搭載 画像データなどを記録するため、 一部が気密もしくは水密構造。 最大直径 :2.5m 総重量 :25kg 終端速度 :10m/s程度

TEST SEQUENCE 切り離し 展 開 上 昇 自由飛行 放 球 海上浮揚 実験機 気球が最高高度に達したところでフェアリングを開放し実験機を切り離す 展 開 切り離しと同時にエアロシェルが展開される。 展開の様子をゴンドラに搭載されたカメラで撮影し、テレメで送信する 上 昇 自由飛行 予測マッハ数 0.28 予測動圧 0.04kPa 飛行中、フライトデータはテレメトリで送信し、映像はカプセル内に記録 放 球 実験機 海上浮揚 インフレータブル部の浮力で海上に浮揚する 回収用の発信機を搭載 直径30cm、高さ1m程度のフェアリング内にカプセルとエアロシェルが折りたたまれて収納されている。

FLIGHT TRAJECTORY 高度35km、機体重量25kg、最大直径250cm、抵抗係数1.3(風洞試験より) 最高速度85m/s 最大マッハ数0.28 飛行時間1800sec 動圧0.04

SENSORS 基本的に前回の実験で実績のあるものを使用する。 テレメトリは1波(データのみ) 画像はレコードし回収後解析 画像取得系 CCDカメラ+魚眼レンズ → 背面 CCDカメラ(膜面ズーム) → 背面横 CCDカメラ(下) → 前面 画像レコーダ(複数レコーダ?分割器?) 位置姿勢系 (9ch) GPS 3軸加速度、3軸角速度 3軸地磁気 空力環境系 圧力計(高高度での精度) 気温計(ゴンドラに搭載) テレメトリは1波(データのみ) 画像はレコードし回収後解析 ゴンドラ側からの画像をテレメ (気球のHKと合わせて計3波) 内部温度計 ベッセル内圧計 膜面振動センサ (インフレータブル圧) ヘルスモニタ (5ch)

LAYOUT 機体後部 圧力容器 機体前部 CCDカメラ CCDカメラ CCDカメラ 魚眼レンズ GPS アンテナ 地磁気計 気圧計 内圧計 ON/OFFモニタ 内圧計 PCM エンコーダ ブイ GPS回路 加速度計 角速度計 画像 レコーダ 画像 レコーダ 圧力容器 画像 レコーダ 温度計 温度計 ミキサー 画像 レコーダ リレー 送信機 スイッチ CCDカメラ 電源 機体前部

Progress of Development

FRAME 剛体枠とインフレータブル枠の複合型展開外枠を開発中 カプセルへ ねじりバネヒンジモデル INFLATABLE フィルム RIGID ZYLON カプセルへ INFLATABLE フィルム 小型CO2ボンベ カーペンターテープヒンジモデル

AEROSHELL 想定したフライト機体のスケールモデルを作成し、 遷音速風洞でエアロシェルの挙動を観察した。 風洞模型(7%スケールモデル) マッハ数0.3、シュリーレン可視化ビデオ マッハ数0.3での抵抗係数は約1.3で、迎角に対する依存性はほとんどない

SENSORS 機器の選定、手配は完了。センサごとの動作試験を進めている。 加速度センサ 地磁気センサ 内圧計 画像レコーダ 角速度センサ GPS CCDカメラ ピエゾフィルム

CONCLUSIONS 柔構造再突入回収システムの実用化に向けて、次のステップへ進むための大気球を用いたフライト実証試験の提案を行った。 2004年8月に行った柔構造機体の飛翔性能試験の結果をうけて、 柔構造再突入回収システムの実用化に向けて、次のステップへ進むための大気球を用いたフライト実証試験の提案を行った。 実験の目的、サクセスクライテリアは 1.高真空、無重量状態でエアロシェルが展開すること 2.大型エアロシェルを有するカプセル型機体が安定にかつ安全に飛行すること 3.着水後、機体が海上に浮揚し、無事回収されること 現在、2006年夏期に実験を行うことを目指し準備を進めているところである。

OPTION 実験終了後のゴンドラをパラフォイルにより誘導制御の実験機として利用することも可能である。 フライト試験 陸に近いところで 工学ゴンドラの切り離し 任意の高度でパラフォイルを展開、誘導制御試験 パイロットシュートによる 高速落下 自律制御により滑空し ピンポイントでランディング