§7. 平和主義 2007年7月3日・10日 社会科学部 憲法
§7.平和主義 1.日本国憲法の平和主義 2.日本再軍備の歴史 3.自衛隊と憲法9条 4.安全保障の制度 5.「国際貢献」、PKO、周辺事態法
§7.平和主義 1.日本国憲法の平和主義 ・前文-「平和的生存権」=基本的人権としての平和 …全世界の国民の権利 - 人権侵害としての戦争状態 - 戦争に優位する基本的人権の存在 ・9条: 平和実現の手段として戦争放棄
§7.平和主義 2.日本再軍備の歴史(前半) 1950- 朝鮮戦争勃発 1950-8 警察予備隊の設置 1952-4 講和条約&日米安全保障条約 1952-7 警察予備隊を保安隊に改組 1954-3 日米の相互防衛援助(MSA)協定 1954-6 保安隊の自衛隊への改組 1960-6 安保条約改正 1978-11 日米防衛協力のための指針 (ガイドライン)
§7.平和主義 2.日本再軍備の歴史(後半) 1991-06 PKO協力法制定 1997-09 日米防衛協力のための新指針(新ガイドライン) 1999-05 周辺事態法などの新ガイドライン関連法成立 2001-10 テロ特措法制定 2002-04 武力攻撃事態法等=有事関連三法案国会提出 2003-06 武力攻撃事態法etc.成立 2004-06 有事関連7法案(含:国民保護法制)成立
§7.平和主義 3.自衛隊と憲法9条 (1)憲法9条と自衛隊の関係をめぐる見解の対立 違憲 合憲 (1)
憲法9条と自衛隊の関係をめぐる見解の対立 Ax Ax: 現在の学界通説 (2)
憲法9条と自衛隊の関係をめぐる見解の対立 Bx1 Bx1: 以前の通説、自衛隊設置前の政府見解 (3)
憲法9条と自衛隊の関係をめぐる見解の対立 Bx2 By Bx2: 現在の政府見解 (4)
憲法9条と自衛隊の関係をめぐる見解の対立 Ax Bx1 Bx2 By Ax: 現在の学界通説 Bx1: 以前の通説、自衛隊設置前の政府見解
§7.平和主義 3.自衛隊と憲法9条 (2) 裁判所の判断 砂川事件 1審(59-3)…駐留米軍→憲法で禁止された戦力 最高裁(59-12)…駐留米軍→日本が指揮・管理せず 安保→原則、司法審査になじまない 恵庭事件 1審(67-3)…通信線→防衛の用に供するものではない 長沼事件 1審(73-9)…自衛隊=保持を禁じられた戦力 2審(76-8)…訴えの利益なし/自衛隊→統治行為 最高裁(82-9)…訴えの利益なし
§7.平和主義 4.安全保障の制度 (1) 安全保障の方式 ・個別的安全保障 …中立国 ・対抗的安全保障 …集団的自衛権を基にした軍事同盟 ・集団的安全保障 …地域的国際組織による組織的制裁で威圧
§7.平和主義 4.安全保障の制度 (2) 国連憲章の安全保障制度論 ・原則→侵略戦争の禁止(憲章2条3号・4号) ・例外として武力行使が許される場合 →・国連の行う軍事的強制措置(憲章42条) …安保理の要請に基づく特別協定(憲章43条) ・地域的取極や地域的機関による軍事的強制措置 (憲章52条・53条) ・個別的・集団的自衛権の行使(憲章51条)
§7.平和主義 4.安全保障の制度 (3) 日本国憲法と安全保障戦略 憲法9条=戦争・武力行使の放棄 ・集団的自衛権の行使→禁じられる 1990年代以降における「集団的自衛権」論 =「自衛」概念の拡大と歩調を合わせる =「集団的自衛権」を手がかりとした「集団的侵略」論 今後の課題 A: (アジア地域の)集団的安全保障 B: 「武力なき平和」の構築
§7.平和主義 5.「国際貢献」立法 (1) PKO協力法 PKO (peace keeping operation) →「紛争地域の平和の維持・回復を助けるために国連の 行う、軍事要員を伴うが、強制力を持たない活動」 (憲章6.5章に基づく?…憲章上の根拠なし) ・紛争地域の平和の維持もしくは回復を目的とする ・関係当事国・関係勢力の同意→★PKFの中立性? ・武力行使を直接の目的としない ・基本的には軍事要員によって担われる PKO協力法の問題→ ・戦力該当性? ・中立性?
§7.平和主義 5.「国際貢献」立法 (2) 周辺事態法 「周辺事態」=そのまま放置すれば我が国に対する直接 の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の 地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を 与える事態 「後方地域支援」=周辺事態に際して日米安保条約の目 的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国 の軍隊に対する物品及び役務の提供、便宜の供与そ の他の支援措置 「後方地域」=我が国領域並びに現に戦闘行為が行われ ておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて 戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周 辺の公海及びその上空の範囲