〈拡張する人権〉と高度不信社会 ―人権の基礎としての民主政治を考える 吉田 徹 北海道大学公共政策大学院 吉田 徹 北海道大学公共政策大学院 yoshidat@juris.hokudai.ac.jp 関西大学春季人権啓発行事 〈拡張する人権〉と高度不信社会 ―人権の基礎としての民主政治を考える
第1条 全ての人は生まれながらにして等しく自由で独立しており、一定の生来の権利を有している。それらの権利は、人々が社会のある状態に加わったときに、いかなる盟約によっても、人々の子孫に与えないでおいたり、彼らから奪うことはできない。すなわち、財産を獲得して所有し、幸福と安全を追求し獲得する手段と共に生命と自由を教授する権利である。 第2条 あらゆる権力は人民に与えられそれ故に人民から得られる。行政官は人民の被信託者であり僕であって、常に人民に従うものである。 ヴァージニア権利章典(1776年)
「私たちは、天なしで行なう人間の政治を学んでいるところなのだ――天とともにでも、天の代わりにでも、天に逆らってでもなく。この経験は、とまどいに満ちている。」 マルセル・ゴーシェ『宗教と民主主義』 〈義務〉としての人権の行使
日本の投票率の推移
世代別投票率の推移
投票率の低下(先進国)
強い「垂直的」不信(1) 日本のデータ ▶「政府を信頼していない」:69.0% ▶「議会を信頼していない」:76.7% ▶「政府を信頼していない」:69.0% ▶「議会を信頼していない」:76.7% ▶「政党を信頼していない」:81.7% ▶「行政を信頼しないない」:67.2% (World Values Survey,2005 not very much+not at allの総計) 強い「垂直的」不信(1)
強い「垂直的」不信(2)
内閣府「社会意識に関する世論調査」 「国の政策への民意の反映の程度」
強い「水平的」不信(1)
強い「水平的」不信(2)
「ナチスドイツは、最初共産主義者を捕えにきた。私は共産主義者でなかったから声をあげなかった/次に彼らはユダヤ人を捕えにきた。私はユダヤ人ではなかったので声をあげなかった/その次に彼らは社会主義者を捕えにきた。私は社会主義者ではなかったので声をあげなかった/彼らはカトリック信者を捕えにきたが、私はプロテスタントだったので声をあげなかった/最後に彼らは私のところにやってきた。でも、私のために声をあげてくれる者は誰1人として残っていなかった」 Niemöller, Martin (1892–1984) 〈人権〉と〈民主主義〉