太田守重 morishige_ota@kkc.co.jp 2011-02-15 第1章 実世界のモデル化と形式化 6.参照系 太田守重 morishige_ota@kkc.co.jp.

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太田守重 morishige_ota@kkc.co.jp 2011-02-15 第1章 実世界のモデル化と形式化 6.参照系 太田守重 morishige_ota@kkc.co.jp

ここで学ぶこと  これまで空間スキーマや時間スキーマを学習して来た。その中で幾何プリミティブは位置を属性とするが、その位置は、地球上の空間位置であったり、時点を示す時間位置になっている。地球上の位置は座標で示されるが、その基準は様々である。例えば経度と緯度は、見た目は単なる角度である。これらは、地球の形状を回転楕円体とみなし、それぞれの原点となる子午線と赤道が設定されて、始めて位置としての意味をもつ。つまり、座標は、その意味を定義づける基準がなければ、単なる数字の列でしかない。この、位置を定義づける基準を参照系 (Reference System)という。  ここでは、直接または間接に空間及び時間上の位置を示す参照系について解説する。

参照系とその種類 任意の空間の一部分を、他と識別するための基準を、参照系という。 地球上の位置や場所を識別するための参照系は、空間参照系である。 座標で空間上の位置を表現するための参照系は、座標参照系である。 場所を示す符号(郵便番号など)は地理識別子という。地理識別子と座標または,別の地理識別子との対の集まりは、地名辞典(Gazetteer)という。地名辞典は地理識別子によって間接的に位置を示すための空間参照系である。 時点を特定するための基準は、時間参照系という。 時点は暦や時計で表現することが多い。

空間と座標 空間:互いに関連するものの集合 Y y2 d d y1 例えば、距離による関連をもつ 点の集合は距離空間 x1 x2 X x1 x2  空間というと、何もない広がりを想起するかもしれない。しかし何もない広がりでは、位置を示す意味がない。ここでいう空間は、ものの集合をさす。しかも、物同士には互いに何らかの関係があるとする。ちなみに「集合」とは、重複しないものの集まりのことである。例えば、{a, b, c, c, d}は集合ではないが、{a,b,c,d}は集合 (set)である。つまり、異なる位置に同じ物が同時に存在することはない、と考えるのである。  さて、もの同士のへだたりを計量的に示すとき、我々は距離を用いる。距離が短ければ“近い“し、ながければ“遠い”。距離は、定規や巻き尺をつかって直接測ることもできるが、あらかじめ定義した座標系の、座標軸毎の長さ、つまり座標成分同士の差を使って間接的に求めることもできる。2次元のユークリッド空間であれば、計測単位(cmなど)を示すことによって、スライドに示すように、ピタゴラスの定理を使って座標を求めることができる。この場合の座標系は、例えば「cm単位で長さを測ることができる、右手系(親指:X軸、人差し指:Y軸)の平面直交座標系」である。 X 原点の位置と軸を定めると、 距離空間中の要素の位置は “座標系”上で特定される。

座標系 一次元座標系 二次元座標系 点P(xP , yP) xP = 200m yP = 100m 点P(DP) DP = 100m X(m) Y(m) O(0,0) P 点P(DP) DP = 100m P H(m) O(0)  座標に意味を持たせる基準を座標系という。1次元の幾何空間では、原点と、距離の計測単位が示されればよい。例えば、道路や線路では、起点からの距離で位置を示すことがあるが、これは一次元の座標系である。2次元の場合は、原点、X軸からY軸への回転方向、軸同士の角度、そして計測単位が示されることになる。スライドの例では、回転方向は反時計まわり(右手系)、軸同士の角度は90°、計測単位はメートルである。

三次元直交座標系 (水平+鉛直成分) 直交座標系を定義づける要素 座標系名 次元数 軸の名称,方向,単位 CoordinateSystem systemName:String dimension:Integer  直交座標系は、その名前、次元数及び各軸の定義によって示すことができる。軸(Axis)の方向(direction)は水平、垂直及び法線方向のいずれかである。計測単位unitは任意であるが、例えば、km, m, cm, mmなどが考えられる。 axis 1..3 direction: horizontal vertical normal Axis name:String direction:String unit:String

地球の形 (準拠楕円体)と座標参照系 楕円体の要素 長半径 逆扁平率 地球の形状は回転楕円体で近似できるが、地球の形が準拠する楕円体という意味で、準拠楕円体という。 長半径a ≒ 6,378km 短半径b ≒ 6,356km 逆扁平率1/f = a/(a – b) ≒ 298 短軸 Ellipsoid semiMajorAxis:Number unit:String inverseFlattening:Number b  地物の空間属性は、地球上の位置を座標とすることがあるが、その参照系、つまり座標参照系を定義するためには、前もって地球の形を知るべきである。地球は、縦方向に若干つぶれた回転楕円体で近似できる。この楕円体は、地球の形に準拠するという意味で、準拠楕円体(Reference Ellipsoid)といわれる。また単にEllipsoidと言われることもある。その形は、長半径(Semi-major axis)と扁平率(flattening)の逆数(逆扁平率)(inverse flattening)で示すことが多い。 a 長軸 地球上の位置を座標で示すための基準は座標参照系という。

経度、緯度の基準と測地原子 本初子午線の要素 グリニッジ経度 (φ) GeodeticDatum (=グリニッジから計った,原点の経度) name:String pm:PrimeMeridian ellips:Ellipsoid 北極 グリニッジ天文台 PrimeMeridian greenwichLongitude:Number Ellipsoid semiMajorAxis:Number unit:String inverseFlattening:Number  地球上の位置は経度と緯度で記述されるが、その原点となる位置は、経度の場合は本初子午線、緯度の場合は赤道になる。ここで子午線とは北極と南極を結ぶ大円のことであるが、経度の原点となる子午線を本初子午線 (Prime Meridian) という。この子午線が、グリニッジ子午線からどのくらいの角度になるかを示すことで、ローカルな経度表記ができるようになる。ただし、多くの場合、経度の基準にはグリニッジ子午線が使われる。準拠楕円体のパラメータ及び本初子午線の定義を合わせて、測地原子(Geodetic Datum)という。 O φ 緯度の基準は赤道

日本の測地原子 (JGD2000) とそのXML表記 GeodeticDatum name:String pm:PrimeMeridian ellips:Ellipsoid <GeodeticDatum name=“JGD2000”> <pm greenwichLongitude=“0” /> <ellips semiMajorAxis=“6378137” unit=“m” inverseFlattening=“298.257222101” </GeodeticDatum> PrimeMeridian greenwichLongitude:Number Ellipsoid semiMajorAxis:Number unit:String inverseFlattening:Number  日本では、測量法で規定されている「測量の基準」が、日本測地系から世界標準である世界測地系に改正され、平成14(2002)年4月1日から施行された。ちなみに日本測地系に準拠する測地原子の英語表記はTokyo Datumだった。また世界測地系の場合はJapanese Geodetic Datum 2000 という。略称はそれぞれTD, JGD2000である (JIS X 7115:2005 附属書2(規定)日本における座標参照系の表記)。なお、改正された測量法では、世界測地系を以下のように定義している。つまり、 「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。 一  その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。 二  その中心が、地球の重心と一致するものであること。 三  その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。  なお、座標参照系の指定は、InstanceSetの中で行う。

いろいろな緯度 N φ 地心緯度 法線 接線 ψ 測地(地理)緯度 ψ φ *緯度といえば, 普通は測地緯度 を指す。 準拠楕円体の中心を原点として測る緯度は、地心緯度という。これに対して、準拠楕円体上の位置から延びる法線と赤道が作る面の交点の角度は測地(地理)緯度といわれる。我々が通常使用している緯度は、この測地緯度である。 ψ φ *緯度といえば, 普通は測地緯度 を指す。

いろいろな緯度 N N θ:天文緯度 真北方向と天頂方向の角度は、90° - 緯度(θ)になる。  真北方向と天頂方向の角度は、90° - 緯度(θ)になる。 この緯度は天文緯度と呼ばれるが、地球の質量分布は一定ではないため、一般に鉛直方向、つまり天頂方向の角度は、楕円体面の垂線とは一致しない。  この緯度は、かつて天文観測で緯度を測っていた時代に使われていた。 90° - θ θ θ 重力方向

投影座標参照系  地上の位置を図示するには、紙面や画面などの平面上に位置を投影する。投影の方法は「投影法」または「図法」と言われる。代表的な方法にユニバーサル横メルカトル(Universal Transverse Mercator)図法がある。  UTM図法では、東西方向では縮尺係数が変化する。そこで、適用範囲は、原点を通る基準子午線における縮尺係数(r/R)を0.9996としている。  なお、標高は、平均海水面から鉛直方向の距離で表現する。 投影を経て示される投影座標は、X, Yで示される。この場合の座標参照系は、投影座標参照系と呼ばれる。  UTM座標系は、地球全体を60のゾーンに区切り、各ゾーンの原点は中央経線と赤道の交点にある。最初の原点は経度180度に設定され、ゾーン番号1が与えられている。実際に経度、緯度からUTM座標を求めるためには、ガウス・クリューガーの投影式が使われる。その詳細については、この講義の付録を参照してほしい。

投影座標の系統的な誤差 地球を、長半径6,378.137kmの回転楕円体、投影する平面の、原点における縮尺係数を0.9996としたとき、赤道上を東に300km行った地点の投影距離は、どのくらいになるか。 x 300km R=6378.137km r/R = 0.9996 θ  地球は丸く、投影面は平面になる。従って、投影された座標は、変換式の性質を反映した系統的な誤差を免れることはできない。UTM座標を求めるためには、一般的に等角投影と呼ばれる変換式が使われる。これは、角度の正確さを保存する代わりに、距離の誤差については一定の範囲内で許容する方式である。投影変換式には、これ以外に等距投影、等積投影などがある。より詳しい知識を学びたいときは、参考文献を参照するとよい。 投影された距離は0.1km程度長くなる

水平座標系 経緯度で示す測地座標系やUTM座標系のような、地球上の水平位置のための座標系。 これ以外に、日本には縮尺係数を0.9999とする平面直角座標系がよく使われる。日本は19の平面直角座標系でカバーされる。 水平座標系の略号表記 (B, L) 測地座標系 Zone No.(X, Y) ゾーン番号を指定した平面直角座標系 Zone No.(E, N) ゾーン番号を指定したUTM座標系   略号 定義 範囲 例:9(X, Y) 平面直角座標系第9系 東京都、埼玉県など

鉛直座標系 地球上の高さを示す座標には、例えば平均海面上の高さ(標高)や準拠楕円体からの高さ(楕円体高)がある。これらの基準は鉛直座標系と呼ばれる。 鉛直座標系の略号表記 H 平均海面上の高さ h 準拠楕円体からの高さ標系 平均海面は、地域によって異なるので、例えば東京湾平均海面を指定するときは略称(TP)が使われる。 ここで示した例については、『JIS X 7115:2005 附属書2(規定)日本における座標参照系の表記』に詳しい規定が示されている。さて,地球の形状は,ある地点の平均海水面 (mean sea level) における重力ポテンシャル (gravitation potential)と同一のポテンシャルをもつ曲面(ジオイド (geoid))で近似することができる。ジオイドから地表までの距離はジオイド高 (geoid height)といわれる。また,準拠楕円体からの高さは楕円体高 (ellipsoid height) という。一般に標高 (elevation) といえばジオイド高を指す。 例: “JGD2000, TP / 9(X, Y), H” この例は、世界測地系及び東京湾平均海面を座標参照系とし、平面直角座標第9系及び平均海面上の高さを使って、3次元の座標を表現することを指す。

幾何属性が準拠する座標参照系の指定 インスタンス集合の中で使われる座標が準拠する座標参照系の指定は、CRS_Identifierで行う。 建物台帳 name: String CRS_Identifier: String TM_Identifier: String インスタンス集合の中で使われる座標が準拠する座標参照系の指定は、CRS_Identifierで行う。 例えば、 <建物台帳 id="is01" name=“AA市建物調査結果” CRS_Identifier=“JGD2000 / 7(X, Y)” TM_Identiifier=“・・・”> <aggregation> <building idref="b001"/> ……… </aggregation> </建物台帳> building 0..*   建物 地理情報システムなど、多くのアプリケーションは座標参照系の具体的なパラメータを参照しなくても、ここに示した識別子によって、座標を地図上の座標に変換することができる。

地理識別子による空間参照 Gazetteer 名前 識別情報 e g a 本町一丁目 b 本町二丁目 f c 北町二丁目 a d 南町三丁目 名前  識別情報 e g a 本町一丁目 b  本町二丁目 c  北町二丁目 d  南町三丁目 e  北町一丁目 f  北町一丁目 g 北町五丁目 h  那賀町一丁目 f a c h b eとfは同じ場所にある d 空間上に存在するものに与えた名前と、場所を識別する地理識別子(場所の識別情報)を組にすると、空間上の要素が同じ場所にあるか否かがわかる。  地球上の位置を示す指標を地理識別子という。広い意味では座標も地理識別子であるが、一般的には地名や地番など、その場所を一意に識別する符号を指す。しかし例えば「加山さんの家」といっても、親しい人にしかその場所をイメージしてもらえないので、より共通的な識別子と対にすることによって、地理識別子を説明する。このような、地理識別子とより共通的な地理識別子の対を集めた一覧表(または辞典)のことをGazetteer(地名辞典または地名索引)と呼ぶ。Gazetteerは、地理識別子による空間参照の仕組みなので、これ自体、空間参照系といってよい。 Gazetteerが、場所識別の根拠、つまり場所の参照系を示す。 識別情報が座標ならば、間接的に座標参照系を使うことになる。

地図帳の地名索引 A B C 地図帳では、地名索引の地名は地理識別子、ページとグリッドの記号が座標の代わりになる。  地図帳には大抵巻末に地名索引がある。地名や施設の名前と、それが記載されている頁及び、グリッドが示されているので、容易に地図上でそれを探すことができる。これは典型的なGazetteerである。この場合説明情報として使われるのは、C-4など、2次元のグリッド符号である。グリッドのサイズが極小化すると、2次元の座標になる。 地図帳では、地名索引の地名は地理識別子、ページとグリッドの記号が座標の代わりになる。 『GLOBAL MAPPLE 世界&日本地図帳』 昭文社,2009より

地名辞典の利用 「如月駅」 で検索! 如月駅はどこ? “p2”を中心にして 地図を表示! 例:駅名辞典 駅名 位置 松原駅 p1 駅名 位置 日本鉄道宇奈月線 国道129号線 如月駅 松原駅 p1 如月駅 p2 弥生駅 p3 玉造駅 p4 ・・・・・  ・・・ 「如月駅」 で検索! 寿司浜 地名辞典の説明情報となるグリッドのサイズが極小化ずると、点の位置を示す座標になる。例えばパソコンや携帯端末に地名を与えると、サービス用のソフトウェアは、どこかにある地名辞典に問い合わせて、その地名の位置を知り、その場所を中心においた地図を画面に表示する。地名辞典の機能は、あたかも、経度、緯度を地図上の投影座標に変換する投影変換式のようである。つまり、地名辞典と投影座標参照系は、離散的か、または連続的かという違いはあるものの、ある識別子を別の識別子に写像するという意味で、両者とも目的は同じなのである。このような写像操作をジオコーディング (geo-coding) ということがある。結果として、地名辞典は、地理識別子による空間参照系と考えることができる。 如月駅前通り 地理識別子 地名辞典(Gazetteer)は場所を別の場所や位置に変換する関数として機能する。

地名辞典の構造とXML表記 Gazetteer id:String name:String idName:String alternativeName=“位置” alternativeType=“Point” > <aggregation> <pair idref=“松原駅”> <pair idref=“如月駅”> ・・・・・・・ 以下省略 </aggregation> </Gazetteer> <IDAlternativePair id=“松原駅”> <alternative idref=“p1”/> </IDAlternativePair> <IDAlternativePair id=“如月駅”> <alternative idref=“p2”/> ・・・・・・・・・ 以下省略 Gazetteer id:String name:String idName:String alternativeName: alternativeType:String pair 1..* ここで、Objectとは、全てのクラスの根底クラスを指す。この例の場合はPointが型になっているが、実用性のある型、例えばStringやSurfaceでもよい。 IDAlternativePair id:String alternative:Object

場所属性 (Location) 地理識別子は地物の場所属性になる。 その地理識別子が地名辞典中のIDValuePairのidになる場合は、 場所属性の表現例 Location id:String    Station lineName: String name: Location index <Station lineName=“日本鉄道宇奈月線”> <name idref=“如月駅”/> </station> <Location id=“如月駅”> <association> <index idref=“ga001”/> </association> </Location> Gazetteer 地名辞典のid

時間参照系(暦) 暦(Calendar)は、一日を分解能とする時間位置を示す離散的な時間参照系。 暦は名称と、年代(元号) (CalrendarEra)の列をもち、 ユリウス日数との間で、相互変換ができる。 CalendarEra name: String referenceEvent:String referenceDate:Instant julianReference:Number epochOfUse:Period Calendar name: String toJulian(tPosition:DateTime):Number formJulian(julian:Number):DateTime referenceFrame 0..*  時間を示すための基準を時間参照系という。暦日や時刻にとっては、暦や時計の定義が参照系になる。 ユリウス日数(Julian day number): 紀元前4713年1月1日の正午から数える時間長で,日数は整数,時刻は小数で示される。グレゴリオ暦は不連続なので、連続性が確保されたユリウス日数が暦の基準として使用されることが多い。 年代(元号)は、 その名称、 それが開始される理由 開始される基準日 基準となるユリウス日数 使用期間 で定義する。

現代の和暦における元号の定義 基準となる ユリウス日数 元号 理由 基準日 使用期間 グレゴリオ暦 ユリウス日数 現代の和暦 明治 改暦 明治6.1.1 2405160 明治6.1.1 – 明治45.7.30 大正 改元 大正1.7.31 2419615 大正1.7.31 – 大正15.12.25 昭和 改元 昭和1.12.26 2424876 昭和1.12.16 – 昭和64.1.7 平成 改元 平成1.1.8 2447535 平成1.1.8 – 現在 元号 理由 基準日 使用期間 グレゴリオ暦  日本では、明治5年(1872年)に、従来の太陰太陽暦を廃して翌年から太陽暦を採用することが布告された。つまり、グレゴリオ暦1873年1月1日に当たる明治5年12月3日を明治6年1月1日とすることなどを定めた。しかしこの布告には、閏年の規定「西暦の年数が100で割り切れ、400で割り切れない年を閏年としない」が欠落していた。そこで政府は1898年(明治31年)5月11日に、改めて勅令「閏年ニ關スル件」(明治31年勅令第90号)を発布して、グレゴリオ暦に合わせた。 ユリウス日数 現代の和暦

現代の和暦参照系のXML表記 <Calrendar id="ca01" name="現代の和暦"> <assoication> <referenceFrame idref="ce01"/> ・・・・・ </association> </Calendar> <CalendarEra id="ce01" name="明治" referenceEvent="改元" julianReference="2405160"> <referenceDate idref="ins01"/> <epochOfUse idref="per01"/> </CalendarEra> <Instant id=“ins01”> <Date timePoint=“M06.01.01” /> </Instant> <Instant id="ins02"> <Date timePoint="M45.07.30" /> <Period id="per01"> <association> <begin idref="ins01"/> </association> <end idref="ins02"/> </Period> ・・・・・

時間座標系 UTCに準拠する時刻は、Time型に従って表記すればよい (4時間スキーマ参照)。 競走の記録のような、任意の原点からの時間は、時間座標系に準拠する。 時間座標系は、その名前、原点になる瞬間(もしあれば)、計測単位によって定義される。 TemporalCoodinateSystem name: String origin[0,1]: Instant unit: String 時間座標系は、任意の原点からの時間間隔で測る、時間座標のための参照系である。この参照系は、マラソンや競泳など、ストップウォッチで測る時間や、自分が生まれた時点を原点として、何かをした時点を歳(とし)で記述する(例:29歳で結婚した)場合なとに対応する。

時間属性が準拠する時間参照系の指定 インスタンス集合の中で使われる時点が準拠する時間参照系の指定は、TM_Identifierで行う。 建物台帳 id: String name: String CRS_Identifier: String TM_Identifier: String インスタンス集合の中で使われる時点が準拠する時間参照系の指定は、TM_Identifierで行う。 例えば、 <建物台帳 id="is01" name=“建物調査結果” CRS_Identifier=“JGD2000 / 7(X, Y)” TM_Identiifier=“現代の和暦”> <aggregation> <element idref="b001"/> ……… </aggregation> </InstanceSet> element 1..* 建物 この例は「2.一般地物モデル、応用スキーマ及びインスタンスのXML表現」のインスタンス集合の例を使っている。地理情報システムなど、多くのアプリケーションは時間参照系の具体的なパラメータを参照しなくても、ここに示した識別子によって、時点を別の参照系に従う時点に変換することができる(和暦→グレゴリオ暦など)。

付録:Gauss-Kruger投影 付−1/2 地球の形状を近似する回転楕円体を準拠楕円体というが、JGD2000 を測地原子とする形状は、以下のパラメータで示される。 長半径 (a): 6378137m 短半径 (b): 6356752.314m 逆扁平率 (1/f): 298.257222101 これ以外に以下のパラメータも有用である。 第一離心率 (e) 第二離心率 (e’) ガウス・クリューガーの投影は日本に19系ある平面直角座標系やUTM図法など、各国の平面座標系の基礎をなす投影座標系である。C.F.Gaussがハノーバーの測量に始めて使用し、L. Kruger及びV.K. Hristovが発展させたものといわれる。基準子午線の両側に南北に細長い帯を考え、その中での投影式が求められている。ここでは、以下の変数が使われる。 卯酉(ぼうゆう)線曲率半径 (N) 準拠楕円体上に指定された1点からおろされた垂線(卯酉線)は、楕円体の短軸で交わるが、楕円体上の1点から、その交点までの距離を卯酉(ぼうゆう)線曲率半径 (N)とよぶ。与えられた1点の経度、緯度を とすると、 Nは以下の式で求められる。 子午線弧長 (S) 楕円体上の1点から、赤道までおろした子午線の長さを、子午線弧長という。その長さは、以下の展開式を使って、充分な正確さで求めることができる。 ただし、 A=1.005 037 306 045 518 B=0.005 047 849 237 799 C=0.000 010 563 786 819 D=0.000 000 020 633 321 E=0.000 000 000 038 853 F=0.000 000 000 000 070 なお、 投影座標系原点の経緯度を 求める投影座標を その経緯度を 赤道から投影座標系の原点までの子午線弧長を 赤道から求める点の緯度までの子午線弧長を 経度と原点経度の差 その他、  とする。 すると、経緯度から平面座標を求める式は、以下の通りになる。

付−2/2 日本の平面直角座標系は、19系の座標系で成り立つが、この場合の座標は、原点を基準子午線上で適当な緯度(B0)まで移動させ、実際の座標は以下の式で求めている。つまり、  この座標系では、それぞれの座標系が半径約130km程度の範囲をカバーすることができる。その原点では縮尺係数が0.9999であり、経線方向130kmの位置では1.0001程度になる。実際の有向範囲は、国土交通省告示第九号(平成十四年一月十日)に定められている。 なお、ガウス・クリューガーの投影法についてより詳細に学習したい場合は、以下の参考文献にあたるとよい。 測地学会発行、『測地学の外観』、昭和49年4月29日  上に示した投影式を使って、円筒を展開してできる平面上の位置から基準子午線までの距離に、1未満の縮尺係数を掛け、これをもってその点における平面座標とすることが行われている。  UTM図法では、基準子午線における係数を0.9996としている。これによって原点から東西約180kmの地点で線拡大率は1になる。また、x座標が負にならないよう、500kmを加えて表示する。つまりUTM座標(X,Y)は、以下の式で求まる。

まとめ 任意の空間の一部分を、他と識別するための基準を、参照系という。ここでは、地理的な空間の位置を識別するための、空間参照系及び、時間上の位置の基準となる時間参照系を解説した。その概要は、以下の通りである。 地球上の位置や場所を識別するための参照系は、空間参照系である。 座標で空間上の位置を表現するための参照系は、座標参照系である。 場所を示す符号(郵便番号など)は地理識別子という。地理識別子と座標または,別の地理識別子との対の集まりは、地名辞典(Gazetteer)という。地名辞典は地理識別子によって間接的に位置を示すための空間参照系である。 時点を特定するための基準は、時間参照系という。 時点は暦や時計で表現することが多い。

参考文献 有川正俊、太田守重監修(2007)『GISのためのモデリング入門』ソフトバンククリエイティブ (財)日本規格協会、JIS X 7108:2004 地理情報ー時間スキーマ (財)日本規格協会、JIS X 7111:2004 地理情報ー座標による空間参照 (財)日本規格協会、JIS X 7112:2006 地理情報ー地理識別子による空間参照 (財)日本規格協会、JIS X 7115:2005 地理情報ーメタデータ