数理論理学 第3回 茨城大学工学部情報工学科 佐々木 稔.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
論理回路 第3回 今日の内容 前回の課題の解説 論理関数の基礎 – 論理関数とは? – 真理値表と論理式 – 基本的な論理関数.
Advertisements

論理回路 第 11 回
統計学 第3回 西山. 第2回のまとめ 確率分布=決まっている分布の 形 期待値とは平均計算 平均=合計 ÷ 個数から卒業! 平均=割合 × 値の合計 同じ平均値でも 同じ分散や標準偏差でも.
学部学科コード表 学科記号が重複している ため,一意に識別できない! ↓ 学部名と学科名を組合わせて 学科を特定する.
一階述語論理 (first-order predicate logic) 一階述語論理入門 構文論(論理式の文 法) 意味論(論理式の解 釈) 認知システム論 知識と推論(4) 知識と論理でを組み合わせて問題を解決する.
白井 良明 立命館大学情報理工学部 知能情報学科
第3回 論理式と論理代数 本講義のホームページ:
第1章 数と式 第4節 集合と命題  8  集合 (第3回).
融合原理による推論 (resolution)
ファジィ論理と ファジィ構造モデリング 北海道工業大学 情報デザイン学科 三田村 保.
節集合 (set of clauses) 認知システム論 知識と推論(5) 一階述語論理による知識表現の技法 節集合への変換
充足不能性と導出原理 充足不能性の証明 スコーレム標準形 エルブラン解釈 導出原理 基礎節に対する導出 導出原理の完全性と健全性.
8.クラスNPと多項式時間帰着.
論理式の表現を数学的に取り扱いやすくするために代数学の助けを借りる.
人工知能特論2011 資料No.6 東京工科大学大学院 担当教員 亀田弘之.
香川大学工学部 富永浩之 情報数学1 第5-2章 命題論理式の 同値変形とカルノー表 香川大学工学部 富永浩之
立命館大学 情報理工学部 知能情報学科 谷口忠大
人工知能特論2011 No.3 東京工科大学大学院 担当教員:亀田弘之.
数理統計学  第8回 西山.
数理論理学 第1回 茨城大学工学部情報工学科 佐々木 稔.
9.NP完全問題とNP困難問題.
統計学  第6回 西山.
システム開発実験No.7        解 説       “論理式の簡略化方法”.
「情報数学06前再」の注意事項 このページの内容は  「情報数学06前再」(3単位)を履修している諸君には上田先生からの連絡が届きます。 「06前再」の受講者は,情報理工学科の「情報数学」
数理統計学 第11回 西 山.
補数 n:桁数、b:基数 bの補数 bn-x 253(10進数)の10の補数は、 =747
エージェントアプローチ 人工知能 7章・8章 B4 片渕 08/07/18.
充足可能性問題SAT (Satisfiability Problem)
数理論理学 第11回 茨城大学工学部情報工学科 佐々木 稔.
命題論理 (Propositional Logic)
4. 組み合わせ回路の構成法 五島 正裕.
寄せられた質問: 演習問題について この講義の範囲に含まれる適切な演習問題が載っている参考書がありますか? できれば解答や解説が付いているものがあると良いのですが… 第3回の授業の中で、演習問題に取り組む方法を説明します.
岩村雅一 知能情報工学演習I 第11回(後半第5回) 岩村雅一
第4章 組合せ論理回路 (4) Quine McCluskeyの方法.
2. 論理ゲート と ブール代数 五島 正裕.
計算の理論 II NP完全 月曜5校時 大月美佳 平成17年1月17日 佐賀大学理工学部知能情報システム学科.
述語論理と∀(全称)∃(存在) 3回の講義の概観: 命題論理 (真理値) (公理と推論規則) 述語論理 (モデルと解釈)
述語論理と∀(全称)∃(存在) 3回の講義の概観: 命題論理 (真理値) (公理と推論規則) 述語論理 (モデルと解釈)
第5回 今日の目標 §1.6 論理演算と論理回路 ブール代数の形式が使える 命題と論理関数の関係を示せる
アルゴリズムとプログラミング (Algorithms and Programming)
述語論理.
「情報数学06前再」の注意事項 このページの内容は 
論理と推論 命題論理 推論 命題論理体系の健全性と完全性 構文と意味 → 同値関係と標準形(節形式) 決定問題と意味木 推論規則
岩村雅一 知能情報工学演習I 第11回(後半第5回) 岩村雅一
上のURLはシラバスに掲載されている (念のために次ページに拡大表示します)
数理論理学 第12回 茨城大学工学部情報工学科 佐々木 稔.
融合原理 (resolution) 人工知能 論理と推論(2) 論理的帰結 節形式 融合原理 知識を組み合わせて知識を生み出す
人工知能特論2009 No.2 東京工科大学大学院 担当教員:亀田弘之.
論理回路 第12回
論理回路 第4回
上のURLはシラバスに掲載されている (念のために次ページに拡大表示します)
基礎プログラミング演習 第6回.
プログラミング基礎a 第4回 C言語によるプログラミング入門 条件判断と反復
第14回 前半:ラムダ計算(演習付) 後半:小テスト
第7回  命題論理.
論理回路 第5回
数理論理学 第9回 茨城大学工学部情報工学科 佐々木 稔.
プログラミング言語論 第10回 情報工学科 篠埜 功.
ウェブデザイン演習 第6回.
述語論理式の構文と意味 一階述語論理式の構文 一階述語論理式の意味 述語,限量記号 自然言語文の述語論理式表現 解釈 妥当,充足不能
再履修の諸君への連絡事項 このページの内容は 
上のURLはシラバスに掲載されている (念のために次ページに拡大表示します)
太郎はお金持ちであり、また、力持ちである。
太郎が優しく、かつ、太郎が優しくない、ということはない。
香川大学工学部 富永浩之 情報数学1 第5-2章 命題論理式の 同値変形とカルノー表 香川大学工学部 富永浩之
情報数理Ⅱ 第10章 オートマトン 平成28年12月21日.
数理論理学 最終回 茨城大学工学部情報工学科 佐々木 稔.
立命館大学 情報理工学部 知能情報学科 谷口忠大
練習問題.
練習問題.
Presentation transcript:

数理論理学 第3回 茨城大学工学部情報工学科 佐々木 稔

前回までのあらすじ 論理式 真理値表 命題論理式の性質 配布資料は以下からダウンロードできます http://sas.cis.ibaraki.ac.jp/logic/

前回の問題 (p ⇒ q)∧(p ⇒ ~q)=~p を証明しなさい。

練習問題の解答例1 p q p⇒q q⇒~p (p⇒q)∧(q⇒~p) ~p T F

練習問題の解答例2 (p ⇒ q) ∧ (p ⇒ ~q) = ~p = (~p ∨ q) ∧ (~p ∨ ~q) = ((~p ∨ q) ∧ ~p) ∨ ((~p ∨ q) ∧ ~q) = (~p ∨ (q ∧ ~p)) ∨ ((~p ∧ ~q) ∨ F) = ~p ∨ (q ∧ ~p) ∨ (~p ∧ ~q) = ~p ∨ (~p ∧ (q ∨ ~q)) = ~p ∨ (~p ∧ T) = ~p ∨ ~p = ~p

練習問題の解答例3 (p ⇒ q) ∧ (p ⇒ ~q) = ~p = (~p ∨ q) ∧ (~p ∨ ~q) = ~p ∨ (q ∧ ~q) = ~p ∨ F = ~p

今週のお題 命題論理式の解釈 恒真式(トートロジー) 論理式の標準形 決定問題

命題論理式の解釈 命題論理式の値 真か偽の値をとる 式に含まれる基本命題の真偽で決まる 論理式を解釈する 論理式全体の真偽値を決める

解釈の例 2つの命題 p, q を考える このとき、 『「6は素数である」ならば、「太陽は西に沈ま」ない』 を考えると、 p は T q は F 『「6は素数である」ならば、「太陽は西に沈ま」ない』 を考えると、 q ⇒ ~p は T

解釈の例 p q p⇒q q⇒p ~(q⇒p) (p⇒q)⇒~(q⇒p) T F

恒真式(トートロジー) 命題変数の真偽値によらず常に真となる論理式 p を別の論理式で置き換えても成り立つ p ∨ ~p p ⇒ p (p ⇒ q) ∨ ~(p ⇒ q) (p ⇒ q) ⇒ (p ⇒ q) (p ⇒ q) ⇔ (p ⇒ q)

恒偽式 命題変数の真偽値によらず常に偽となる論理式 充足不能と呼ばれる 充足可能 p ∧ ~p = F 解釈によって真偽値が真になるものが存在

論理式の標準形 選言標準形と連言標準形(節形式) 選言標準形 連言標準形(節形式) 論理式の相互比較が簡単に行うことができる P = P1 ∨ P2 ∨・・・∨ Pn ただし、 Pi = pi1 ∧ pi2 ∧ ・・・∧ pim pij はリテラル(p か ~p のいずれかの形) 連言標準形(節形式) P = P1 ∧ P2 ∧ ・・・ ∧ Pn ただし、 Pi = pi1 ∨ pi2 ∨ ・・・ ∨ pim

標準形への変換アルゴリズム(1/2) 論理記号 ⇒、⇔ を ∨、∧ に変換 論理式の前にある否定記号を基本論理式の直前に移動する 含意の除去: P ⇒ Q = ~P ∨ Q 同値の除去: P ⇔ Q = (P∧Q)∨(~P∧~Q) 論理式の前にある否定記号を基本論理式の直前に移動する 二重否定:~(~p) = p ド・モルガンの定理 ~(p ∧ q) = ~p ∨ ~q ~(p ∨ q) = ~p ∧ ~q

標準形への変換アルゴリズム(2/2) 選言標準形、または連言標準形に変形する 論理式の性質を利用して簡単化する 分配律: p ∨ (q ∧ r) = (p ∨ q) ∧ (p ∨ r) p ∧ (q ∨ r) = (p ∧ q) ∨ (p ∧ r) 論理式の性質を利用して簡単化する

標準形への変換例1 選言標準形 連言標準形

標準形への変換例2 を連言標準形に書き換える

標準形への変換例3 を連言標準形に書き換える

決定問題 論理式が恒真式かどうか決定する問題 解法 真理値表 命題変数の数が多くなると手間がかかる 意味の木(semantic tree)

意味の木 論理式 P = (p1, p2, ・・・, pn) ひとつの命題変数に真偽を当てはめる 当てはめた論理式を簡単化する pi (i = 1, ・・・, n) は命題変数 ひとつの命題変数に真偽を当てはめる 真の場合、偽の場合に場合分け 当てはめた論理式を簡単化する 残りの命題変数について繰り返す

意味の木 pi ~pi

意味の木の例1 P ~P Q ~Q

意味の木の例2 P ~P Q ~Q

練習問題3 次の論理式がトートロジーであるかどうかを意味の木を利用して判定せよ。 P ⇒ (Q ∨ ~R)