UMiわい小銀河の赤色巨星 すばるHDSによる観測 (2001-2004) 定金晃三(大阪教育大)
概要 有本信雄氏をPIとして2001年以来UMiわい小銀河の赤色巨星をHDSを用いて観測してきた。目的はこれら赤色巨星の表面化学組成の解析を通してUMiわい小銀河の星生成史を解明すること、さらに、わい小銀河の成り立ちと我々の銀河の形成史の関連を探ることである。2001年、2002年には3個の星のデータが得られ、解析は完了している。2004年5月には4夜の晴天に恵まれ、8個の赤色巨星のデータが得られた。それらについては解析途中であるが、途中経過を報告する。
これまでに発表された論文(残念ながらすばるは無い)
観測 波長域: 4400Å-7160Å スリット巾: 1秒角、 分解能: 約39000 露出: 30分を数回 目標SN比: 50ないし60 波長域: 4400Å-7160Å スリット巾: 1秒角、 分解能: 約39000 露出: 30分を数回 目標SN比: 50ないし60 比較星:[Fe/H] = -1.5 から-3.0、よく研究された明るい星数個
SCM1677 SCM1677 16.54 これが16.5等
X Non Member! 2004年のターゲット18個
データが取れた8個
UMi赤色巨星の観測(2004) Object V B-V Exp. Vr SN SN (Min) (km/s) (5200A) (6200A) SCM1677 16.54 1.56 180 -239.3 40 65 848 16.68 1.41 120 -244.7 30 60 1348 16.96 1.27 140 -257.3 25 40 514 16.96 1.30 120 -236.1 25 45 639 17.05 1.32 120 -246.4 25 45 557 17.10 1.19 150 -236.5 23 35 1095 17.02 1.30 135 -232.8 20 35 1472 17.17 1.19 150 -235.1 18 30
HDS Exposure Calculator による事前の推定と実際 計算条件: No Im. Rotator, ADC ON, Setup Yc 2 x 2 Bin, Slit 1.0”, Seeing 0.7” Stellar K0 結果の比較 5200 A 6200 A 等級 露出 予想 結果 予想 結果 10.1 1080 sec 414 400 415 420 16.5 10800sec 60 40 63 60 17.1 7200sec 28 25 28 30
SN
Hα輝線の振る舞い
非対称、ブルーシフトプロファイル マスロス?
銀河系内の赤色巨星のHα輝線 Gratton et al. (1984) AA, 132, 11
スペクトル解析 大気パラメーターの決定 Lambert et al. (1996) ApJS, 103, 183 が推奨する Fe I, Fe II のgf値を用いる。 それらの線の等価幅を測定して、(Teff, log g, Vt,[Fe/H])の最適値をWIDTH9を使って求める。 よく研究された比較星の解析結果を文献と比較すると、一致する結果になっている。 SN比が50程度のデータでは結果の信頼性も低い。
SNの違いと等価幅の比較
HD216143結果の比較 今回 Ref 1 Ref 2 Ref 3 Ref 4 Ref 5 Teff 4450 4582 4525 4400 4525 4525 Log g 0.8 1.46 0.80 0.70 1.0 0.80 Vt 1.8 2.5 1.8 1.8 2.9 1.8 [Fe/H] -2.18 -2.24 -2.18 -2.26 -2.1 -2.0 Francois (1996), 2. Pilachowski et al. (1996), 3. Shetrone (1996), 4. Fulbright (2000), 5. Burris et al. (2000)
(4300, 0.3, 2.0, -2.66) (4050, 0.3, 2.1, -1.63) (4300, 0.3, 2.0, -1.53)
2002 年に観測した星の話題 Cu と Mnの線強度のバラツキ 希土類が異常に強い星
CM図上でほとんど同じ場所にある3個