公募研究報告 数値相対論で探る連星中性子星の 合体と short γ線バースト

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公募研究報告 数値相対論で探る連星中性子星の 合体と short γ線バースト 国立天文台 理論研究部 関口 雄一郎 木内建太(京都大学), 久徳浩太郎(京都大学),     柴田大(京都大学), 谷口敬介(東京大学)

目次 §1: Introduction §2: 中間報告 §3: まとめと今後の展望 連星中性子星の合体 本研究の位置づけ 重力波源 高密度状態方程式に対する制限可能性 γ線バーストとの関連 本研究の位置づけ §2: 中間報告 連星中性子星合体のシミュレーション Kiuchi, YS, et al. PRL accepted γ線バーストとの関連解明に向けたシミュレーション §3: まとめと今後の展望

§1: Introduction

Introduction 連星中性子星の合体 最も有望な重力波源のひとつ 重力波のダイナミクス依存性 ⇒ 中性子星物質の状態方程式 状態方程式依存性は合体フェイズからの重力波に含まれる 非線形 ⇒ 数値相対論

重力波で探る高密度物質 重力波の透過性の高さ 合体過程 高密度中心領域の情報を運ぶ 状態方程式に依存 重力波波形に違い BH形成? 大質量NS形成? 重力波波形に違い 重力波は合体        ダイナミクスの       情報を含む 重力波波形          ⇒ ダイナミクス       ⇒ 状態方程式 

中性子星から状態方程式を制限する① 中性子星の最大質量 観測された中性子星の 最大質量よりも軽い最大質量を予言する状態方程式(EOS)は棄却 そんなに重い中性子星は精度よく観測されていない

中性子星から状態方程式を制限する② 中性子星の半径 (コンパクトネス M/R) EOSが予言する質量‐半径関係との整合性 高精度の見積もりが必要 半径(M/R)(と質量の同時)の見積もりは困難 Pulse profile (モデル依存) Redshift (モデル依存) QPO (モデル依存) 慣性モーメント

Introduction 連星中性子星の合体 最も有望な重力波源のひとつ Short gamma-ray bursts (SGRB)との関連 Equal mass binary Introduction 連星中性子星の合体 最も有望な重力波源のひとつ 重力波のダイナミクス依存性 ⇒ 中性子星物質の状態方程式 Short gamma-ray bursts (SGRB)との関連 SGRB:典型的エネルギー ~ 1048 erg , 継続時間 ~ 0.1 to 1s SGRB 中心動力源の有望な候補のひとつ 中性子星合体による BH + Disk 形成が中心動力源 エネルギー源 ディスクの重力エネルギー BH の回転エネルギー 大質量のディスクの形成が必要 ~0.01 Msolar ディスク形成                        ⇔ ダイナミクス/状態方程式                 ⇔ 重力波 Unequal mass binary γ線 BH 降着円盤 ジェット

Introduction 連星中性子星の合体 本研究の位置づけ 最も有望な重力波源のひとつ 重力波のダイナミクス依存性 ⇒ 中性子星物質の状態方程式 Short gamma-ray bursts (SGRB)との関連 中性子星合体による BH + Disk 形成が中心動力源の候補 本研究の位置づけ 連星中性子星合体の数値相対論シミュレーションを行い、SGRBの中心動力源としての可能性を探る By products SGRB を起こし得る合体からの重力波の特徴 連星合体からの重力波を用いた状態方程式への制限可能性 微視的物理を組み入れた数値相対論コードの構築

§2: 中間報告

Numerical Set up Einstein eq. : BSSN formulation GR hydrodynamics : high resolution shock capturing scheme Initial conditions : quasi-circular orbit with MΩ~0.027 EOS : hybrid type ( ‘ realistic ’ cold part + ‘ simplified ’ thermal part ) Pcold : APR(Akmal et al. 1998), FPS(Pandalipande-Ravenhall 1989), SLy(Douchin & Haensel 2001) Pth : Ideal gas with Γ=2.0 Setup of simulations is as same as that of the previous talker, Kiuchi. The only difference is that several EOSs other than APR EOS are adopted to explore EOS dependence of the results. In this work, we adopted APR FPS, and SLy EOSs. Relation between density and pressure is shown in the figure. As this figure indicates, FPS EOS is among the most soft one, APR EOS is stiff in super nuclear density, SLy EOS is stiffer around nuclear density but softer at high densities than APR EOS. FPS EOS is relatively soft SLy EOS is relatively stiff APR EOS is stiff at high densities

重力波スペクトルの universal feature 合体の結果 BH が形成される場合に注目 重力波スペクトルは定性的には universal feature を持つ fcut : 連星的な形状壊される特徴的な振動数 fpeak, σ, hpeak : 合体時のダイナミクスに依存 モデル A : APR EOS S : SLy EOS F : FPS EOS Total mass Mass ratio

重力波スペクトルの universal feature 合体の結果 BH が形成される場合に注目 重力波スペクトルは定性的には universal feature を持つ fcut : 連星的な形状壊される特徴的な振動数 fpeak, σ, hpeak : 合体時のダイナミクスに依存 モデル A : APR EOS S : SLy EOS F : FPS EOS Total mass Mass ratio

重力波スペクトルの universal feature 合体の結果 BH が形成される場合に注目 重力波スペクトルは定性的には universal feature を持つ fcut : 連星的な形状壊される特徴的な振動数 fpeak, σ, hpeak : 合体時のダイナミクスに依存 モデル A : APR EOS S : SLy EOS F : FPS EOS Total mass Mass ratio

重力波と連星のコンパクトネス(M/R) fcut と 連星の compactness

重力波 hump peak と形成される Disk mass

Summary of microphysics EOS: Tabulated EOS can be used Currently Shen EOS + electrons + radiation Weak rates Electron capture: FFN1985,   rate on NSE back ground e±annihilation: Cooperstein et al. 1985, Itoh et al. 1996 plasmon decay: Ruffert et al. 1996, Itoh et al. 1996 Bremsstrahlung: Burrows et al. 2006, Itoh et al. 1996 Neutrino leakage Opacity based on Burrows et al. 2006 (n, p, A) scattering Including correction such as ion-ion correlation (n, p, A) absorption

Very preliminary result (just started) Simulations are ongoing with electron capture and GR neutrino leakage Some room for improvement in EOS construction, atmosphere treatments, etc Density profile

§3: 今後の展望 微視的物理過程を組み入れた数値コードが完成 今後連星のシミュレーションを行っていく 素核宇宙としてのアウトプットとして テーブル化された任意の状態方程式 弱い相互作用(電子捕獲反応・ニュートリノ生成) ニュートリノ冷却 今後連星のシミュレーションを行っていく 素核宇宙としてのアウトプットとして 基礎物理におけるブレイクスルー 「使える」アプリケーションの提供 状態方程式 Weak interaction rates

状態方程式 (ρ,Ye, T) でテーブル化されていれば利用可能 問題点 提供されている状態方程式とシミュレーションで   「使える」状態方程式の間のギャップ 広範囲テーブル: 音速が光速を超えないことが望ましい 一価になっているかどうか? シミュレーションでは微分(特に音速)が必要 衝撃波捕獲法での特性速度の計算 熱力学第一法則を考慮した内挿が可能 計算がクラッシュする危ないところがない 現状ではある程度の modification が必要

電子捕獲反応(weak int.) 現状: 状態方程式 ⇒ M(A,Z), Xp, Xn, XA 本来は親核、娘核の情報が必要 M: transition matrix f : lepton phase space factor 現状: 状態方程式 ⇒ M(A,Z), Xp, Xn, XA 1種の原子核に代表させて計算 Independent particle model (Fuller et al. 1985) Langanke らはモンテカルロ shell model 本来は親核、娘核の情報が必要 安定核(多量)は反応率が低い 不安定核(少量)は反応率が高い (ρ,Ye, T) でテーブル化されていると非常に有用

電子捕獲反応(weak int.)

§3: 今後の展望 微視的物理過程を組み入れた数値コードが完成 今後連星のシミュレーションを行っていく 素核宇宙としてのアウトプットとして テーブル化された任意の状態方程式 弱い相互作用(電子捕獲反応・ニュートリノ生成) ニュートリノ冷却 今後連星のシミュレーションを行っていく 素核宇宙としてのアウトプットとして 基礎物理におけるブレイクスルー 「使える」アプリケーションの提供 状態方程式 Weak interaction rates

ブラックホール形成 APR-EOS, BNS1.5-1.5

大質量中性子星形成 APR-EOS, BNS1.4-1.4 First, I show you the general feature of dynamics, gravitational waveform, and gravitational wave spectrum for cases both of HMNS formation and of BH formation. This is the results for model APR 14. the number 14 means the adopted mass is 1.4 solar mass. This is a case of HMNS formation. The left figures are time evolutions of gravitational waveform and spectrum. The right panel is an animation. Color shows density contour. The bottom brown contour show the lapse function, which may be regarded as gravitational potential.. After the merger, rapidly and differentially rotating HMNS is formed. The neutron star is highly deformed to be nonaxisymmetric configuration. Gravitational waves associated with rotation and oscillation of this deformed HMSN are emitted.