暗黒物質の方向性検出に向けた 高分解能原子核乾板の研究開発

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暗黒物質の方向性検出に向けた 高分解能原子核乾板の研究開発 名古屋大学(F研究室) 中 竜大 2011年2月 17th ICEPPシンポジウム@白馬,長野

暗黒物質の直接検出方法 これを固体検出器である原子核乾板でできないか!? 到来方向を検出 地球 太陽 地球 ・反跳原子核の飛跡を検出 粒子検出器 暗黒物質 地球 太陽 反跳原子核のシグナル 地球 到来方向を検出 ・反跳原子核の飛跡を検出 ・高い信頼性 ・必ず必要な検出方法 (ex. 太陽ニュートリノ Davis & 小柴) これを固体検出器である原子核乾板でできないか!?

原子核乾板における他実験との比較 現在の最高感度 (方向はわからない) Cross section[cm^2] 200nm 100nm 50nm 飛程の閾値 XENON 10 Spin-Independent Inateraction 現在の最高感度 (方向はわからない) CDMSⅡ Cross section[cm^2] 塩化銀と臭化銀乳剤の比較 AgBr R >100nm Thresholdを下げる AgBr R >200nm DM mass[GeV/c^2] Cross section[cm^2] AgCl R>200nm Spin independentで1ton scaleの 方向検出を目指す! AgCl R>100nm Targetを軽くする DM mass[GeV/c^2]

原子核乾板実験のスケール ~30t ~1t ~100kg 過去にトンスケールの実験は経験済み 原子核乾板 OPERA experiment : 30000kg emulsion(10% volume of detector) ~1t 原子核乾板 CHORUS:800kg emulsion ~100kg DONUT: 120kg emulsion (10% volume of this detector)

Scanning Power Roadmap 0.003 0.1 1.2 7.0 40 60 140 700 0.001 0.01 1 10 100 1000 cm 2 / h TS(1994) NTS(1996) UTS(1998) SUTS(2006) SUTS(2007-) Scanning Power Roadmap 1stage facility 10000 Scanning Power Roadmap (~2013) NIT CHORUS DONUT OPERA OPERA CHORUS DONUT 5

原理的な要求性能 1: Track length Maximum DM velocity<800km/sec Recoil energy:10-100keV order Track length < ~400nm 2: Angular resolution @earth MDM~100GeV でAgBr targetの場合、Rth>50~200 Angular resolution <45deg. depend on the DM mass or Energy threshold.           + 3. Background rejection power

原子核乾板とは? 潜像核 現像後の銀の並びが粒子の軌跡を反映。 Example) 放射線・荷電粒子 Plastic base 現像処理 臭化銀結晶 Emulsion layer 200nm Plastic base 臭化銀結晶 潜像核 現像処理 現像後の銀の並びが粒子の軌跡を反映。 分解能は、結晶の線密度に依存する 現像銀

High resolution emulsion (Nano Imaging Tracker:NIT)‏ normal emulsion(OPERA emulsion)‏ 200nm size 200±16 nm density 2.8g/cc →VAgBr : Vgel = 3 : 7 ↓ 2.3 grains/μm size 40±9 nm 11 grains/μm 分解能が足りない! 5-times higher resolution 8

高分解能原子核乾板の開発と原理確認 SEM (Scanning Electron microscope)による原理確認 Kr 400keV (930km/sec) 電子顕微鏡 200nm Kr 200keV(680km/sec) Low velocity ion created by an ion implantation system Kr NIT Electron and optical microscope

反跳原子核の読み出しの問題‏ 読み出し時間 電子顕微鏡 光学顕微鏡 電子顕微鏡 1億年 1年以内 光学顕微鏡 600 nm 1年以内 (次期高速自動飛跡読み取り装置) 光学顕微鏡 光学顕微鏡 方向が認識できない! 10 10

光学顕微鏡で1 μm以下の飛跡をどう読み出すか 現像後の原子核乾板を引き延ばす。       ↓ 飛跡が伸びる 光学的に観察可能となる       ↓  方向情報がわかる! コンセプト Elongated Track Track

実用的な光学顕微鏡による1 μm以下の飛跡の読み出し 光学顕微鏡における理想的平面分解能 ⊿R=0.61x(λ/NA) ~200nm 一様等方な 引き延ばし 現像後の原子核乾板フィルム

新たな光学認識手法 ・膨潤特性とポリアクリルアミドを用いた化学処理 ・落射型暗視野光学系 Result of submicron track and random noise Track candidate Random noise expansion Emulsion plate (after development) ・膨潤特性とポリアクリルアミドを用いた化学処理 ・落射型暗視野光学系 ・等方的なXY方向の膨潤 ・ドライなサンプルが可能 ・Zの増大はなし 本質的に重要な特性

The accuracy for expansion Grid精度 (no Expansion) :0.014 [rad] 引き伸ばしによるゆがみ:0.015 [rad] X軸とY軸方向の伸びの比率=1.03+-0.02 27x27um grid 角度不定性=√(0.014)2+(0.015)2+(0.024)2 = 0.032rad (1.8 degree) Expansion is isotropic!

400keVKrイオンを用いたtest 3μm Angle [rad] 方向検出が可能!! θ 15

引き延ばし率 SEMによる測定 ドライな状態なのでSEM観察が可能 Range分布 377+-174 [nm] 182+-77 [nm] swell 377/182=2.07 Range [nm] Range [nm] mean range(μm) Original 182+-7 Expanded 377+-17 2倍の引き延ばし率

角度分布におけるミクロなゆがみの確認 by SEM 引き延ばし前 引き延ばし後 Original condition expanded condition σθ[rad] 0.52+-0.05 0.36+-0.03 (σscatter=0.31) σexpansion<0.09rad(5deg.) ミクロなゆがみなし

光学読み出し技術の開発と実証 楕円率で飛跡候補を自動認識する 楕円フィッティング Kr ion exposure シグナルの候補 長軸 短軸 3μm Kr ion exposure 楕円フィッティング 楕円率で飛跡候補を自動認識する シグナルの候補 長軸 短軸

Kr 400keV sample 100nmオーダーの飛跡および方向を自動で認識!! No track sample

Range threshold for optical scanning Totalの48% Kr 200keV expanded track Opticalな認識効率:43% @200keV SEMによるRange測定>~150nm(original range) (Angular resolution ~36deg.) ただし、光学認識におけるパラメターはRangeだけではない 課題 ・grain形状と認識効率の関係 ⇒track by track 分析 ・光学観察時の波長 ⇒光源 ・引き延ばし率の向上 精密なefficiency評価

Confirmation of tracks by Xray Microscope SPring-8 BL47XU @Japan 8keV Xray 光学顕微鏡によるselection Trackのある視野をX線顕微鏡でpinpointでチェック ・X線顕微鏡ステージ精度:0.5μm ・焦点深度:70μm ・空間分解能: 100nm

Start position set: 付属光学顕微鏡でFiducial markを認識(原点決め) X-ray Optical microscope Emulsion film Optical microscope monitor Sample driving stage Start position set:                           付属光学顕微鏡でFiducial markを認識(原点決め) 現状での観察 1min/view ⇒1日で100-1000eventは確認可能 光学顕微鏡座標との 対応付け Sample driving stage移動で指定の位置を観察

光学イメージとX線イメージの対応付け -光学でのtrack selection ⇒ X線顕微鏡での詳細解析のプロセスを実証。 X-ray image Optical image 5grain track 200nm Range=752nm        ↓ Original range=376nm Range=344nm        ↓ Original range=172nm 2grain track Range=262nm        ↓ Original range=131nm 2grain track -光学でのtrack selection ⇒ X線顕微鏡での詳細解析のプロセスを実証。 -X線顕微鏡で最終的に光学顕微鏡の2倍の角度精度で解析可能

中性子デモンストレーション 中性子 暗黒物質 中性子による反跳原子核の検出は暗黒物質探索実験の良いデモンストレーション!! DM 中性子 原子核標的 原子核標的 反跳原子核 反跳原子核 中性子による反跳原子核の検出は暗黒物質探索実験の良いデモンストレーション!!

中性子ビーム選定 Target Ag,Brの150nm以上のrecoilを作り出す:En>10MeV

産業総合技術研究所 中性子標準場施設実験 核融合反応による単色14.8MeV中性子実験 2D + 3T →4He + n

Comparison of submicron event density between observed and simulation data Observed data             elliptical event density[/view] Total event 0.83+-0.17 Background event 0.14+-0.07 Signal 0.69+-0.18 1μm Predicted event density by Geant4 simulation (efficiency is taken into account) Predicted event density = 0.60 /view (R>150nm)

Angular distribution of submicron recoil track Major vs. minor Data Selection条件 Major/minor>1.5 1.4<minor length<2.6 Number of pix>40 σobserve         σsimulation (⊿θ=30deg.) submicron track 0.82+-0.18 0.90+-0.05 100nmオーダー反跳核飛跡の前方散乱を確認!! 課題:これらのeventをX線顕微鏡で詳細解析(2011年前期マシンタイム確保した)

まとめ テスト実験に向けた準備を開始 固体飛跡検出器である原子核乾板によって1トンスケールの暗黒物質の到来方向検出を目指す 1μm以下の飛跡検出のために高分解能原子核乾板(NIT)を開発 ⇒低速イオンによってその性能を確認 光学顕微鏡による100nmオーダーの高速自動飛跡検出のための開発 ⇒引き伸ばし技術の開発と画像処理によって自動飛跡認識が可能になった 最終的にX線顕微鏡によって詳細に解析できることを実証 中性子によるデモンストレーションを実施 ⇒中性子の前方散乱を確認 テスト実験に向けた準備を開始

今後に向けて 原子核乾板の独自製造・開発 - 地下での製造に向けたデモンストレーション - 低バックグラウンド化に向けた基礎開発  原子核乾板の独自製造・開発    - 地下での製造に向けたデモンストレーション    - 低バックグラウンド化に向けた基礎開発    - 感度の調整                 etc. 次の浅田のトーク 現在作成中 ・テスト実験用自動scanning 装置   -GPGPUの導入   - メガピクセルCCDカメラ   - 暗視野光学系 ・100kg-1000kgを目指したscanning装置開発 現在作成中 ・低バックグラウンド化に向けた開発