論文の書き方:中尾ゼミ 論文の構成  1章序文  →2章仮説とモデル  →3章デ-タ  →4章推定結果と分析  →5章結語.

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論文の書き方:中尾ゼミ 論文の構成  1章序文  →2章仮説とモデル  →3章デ-タ  →4章推定結果と分析  →5章結語

1章 序文 ①論文テ-マの説明 ②なぜこのテ-マを選んだかを説明 ③このテ-マの重要性を説明する 1章 序文 ①論文テ-マの説明 ②なぜこのテ-マを選んだかを説明 ③このテ-マの重要性を説明する ④他の類似研究との違いを比較し,自分の研究の優れている点を強調する

①論文テ-マの説明 例:この論文では,企業規模が研究開発費の水準に与える影響を分析する   例:この論文では,企業規模が研究開発費の水準に与える影響を分析する     例:この論文では,広告と研究開発が企業の利潤率に与える影響を明らかにする.

②なぜこのテ-マを選んだかを説明 例:大企業では次々と新製品がでているのに,中小企業では出てこない.この格差を不思議に思っていた  例:大企業では次々と新製品がでているのに,中小企業では出てこない.この格差を不思議に思っていた  例:食品企業に就職が決まったので,食品産業を研究することにした.

③このテ-マの重要性を説明する 例:研究開発は経済成長に影響を与えるので重要である  例:研究開発は経済成長に影響を与えるので重要である   例:広告費や研究開発費が効果的に使われているのかどうかを明らかにするのは,企業の立場から見ても経済全体としても重要である.

④他の類似研究との違いを比較し,自分の研究の優れている点を強調する  例:植草(1986)や植田(1995)では,企業規模と研究開発費の関係が分析されているが,この研究では,その他の重要な説明変数も追加して分析する.  先輩論文をマネした場合には,そのことを述べた上で,どこが違う(改善した)のかを書くこと

2章 仮説とモデル ①論文のテーマとなる仮説の説明 ②その他の説明変数 ③因果関係の要約 ④推定モデル(実際に推定に使う関係式)を導きだす 2章 仮説とモデル ①論文のテーマとなる仮説の説明 ②その他の説明変数 ③因果関係の要約 ④推定モデル(実際に推定に使う関係式)を導きだす ⑤LOGについて ⑥参考文献との比較

①論文のテーマとなる仮説の説明 仮説の説明とは「説明変数が被説明変数に影響を与える理由」を説明すること.   例:企業規模が研究開発費に影響を与えると考える理由は,大企業ほど資金が豊富で,研究開発のために投資する余裕を持っていると考えるからである 注:仮説を述べる場合には,参考文献との関係を述べることが望ましい.   例:植田(1995,p.115)が主張するように,企業規模が大きくなれば研究開発費も大きくなるが,同時にが植草(1986,p.225)に指摘されているように,独占的な大企業は研究開発努力をする動機が乏しい.したがって,研究開発と企業規模の関係は複雑のものになると予想される

②その他の説明変数 被説明変数に影響を与えると思われる変数を全て考え,順に,何故,影響を与えると思われるか説明する.  被説明変数に影響を与えると思われる変数を全て考え,順に,何故,影響を与えると思われるか説明する.   例:企業の研究開発活動は,広告費の水準の影響も受けると考えられる.その理由は,広告を多くする企業は製品の品質を工場するために研究開発にも多くの資金を投資すると考えられるからである

③因果関係の要約 例:研究開発水準を決定する関係は,式で表させば以下のようなものになる. 研究開発費=F(企業規模,集中度,広告,利潤率).  例:研究開発水準を決定する関係は,式で表させば以下のようなものになる.   研究開発費=F(企業規模,集中度,広告,利潤率).   但し,企業規模の増加は研究開発を増加し,集中度の増加は研究開発を減少し,広告費の増加は研究開発を減少し,利潤率の増加は研究開発を増加すると予想される

④推定モデル(実際に推定に使う関係式)を導きだす   例:実際に推定に使うモデルは以下のようなものとなる RD=α+βLOG(KB)+γCR+σAD+δPR 但し,RDは研究開発費で,KBは企業規模で,ADは広告費,PRは利潤率である  上の式は   点数=α+β勉強時間+γ出席回数  を考えれば理解できるはずである

⑤LOGについて Ⅰ LOGは被説明変数と説明変数の曲線関係の推定に使う. (イ)説明変数がLOGで,被説明変数はLOGでないケース ⑤LOGについて Ⅰ  LOGは被説明変数と説明変数の曲線関係の推定に使う. (イ)説明変数がLOGで,被説明変数はLOGでないケース   (A)係数はプラスなら, 曲線は右上がりで上に丸い   (B)係数はマイナスなら,曲線は右下がりで下に丸い   例:企業規模についてはLOG(KB)としているが,これは研究開発費と企業規模の関係が直線(線形)でなく,上に丸い曲線になると予想されるからである.その理由は,企業規模が増加しても,研究開発はそれよりも小さい比率でしか増加しないと予想されるからである

⑤LOGについて Ⅱ (ロ)被説明変数もLOGを取った場合には,βはRDのKBに関する弾力性を表わし, ⑤LOGについて Ⅱ (ロ)被説明変数もLOGを取った場合には,βはRDのKBに関する弾力性を表わし,   (A)βがプラスなら右上がり、1より小さければ,曲線は上に円く,   (B)βがプラスなら右上がり、1より大きければ下に円くなる.

⑥参考文献との比較  推定モデルを説明するときは,参考文献の推定モデルと比較し,違う点について明らかにする.また,何故異なったモデルにしたか?も説明する.  例:植草(1986,p.115)では,企業規模と研究開発費の関係だけが分析されているが,この研究では,その他の重要な説明変数も追加して分析している.例えば,...

3章 デ-タ ①推定に使われたデータ(サンプル)の選択基準の説明 ②推定モデルで実際に使われる被説明変数,説明変数の説明 3章 デ-タ ①推定に使われたデータ(サンプル)の選択基準の説明 ②推定モデルで実際に使われる被説明変数,説明変数の説明 ③デ-タの出所:デ-タの出所は個々のデ-タについて明確にする.  以下で説明

①推定に使われたデータ(サンプル)の選択基準の説明 1 ①推定に使われたデータ(サンプル)の選択基準の説明 1 「何故,特定の産業・企業を選択したか?」を説明する  例1:大企業の行動に焦点を当てるためには,原則として,1985年の売上高が1000億円以上の大企業を分析対象とするが,研究開発費と集中度関係のデータの入手に制限があるためにデータ数は32となっている.このうち16は消費財産業で,16は生産財産業である

①推定に使われたデータ(サンプル)の選択基準の説明 2 ①推定に使われたデータ(サンプル)の選択基準の説明 2 産業・企業を分析する場合は,ここで産業や企業の歴史や現状紹介を行ってもよい.  例2:日本のビール産業は4社が市場の大半を支配している寡占産業である....

②推定モデルで実際に使われる被説明変数,説明変数の説明  例:研究開発費としては,研究開発・売上高比費を使うケース,例えば,植草(1986,p.234)もあるが,ここでは研究開発費をそのまま使う.その理由は....

③デ-タの出所:デ-タの出所は個々のデ-タについて明確にする.   例:集中度は,『我が国企業の経営分析』通産省,1988年度を使って個々の企業売上高を産業全体の売上高で割って求めた.また,その他の企業関係のデータは全て,日経NEEDSの『上場企業財務データファイル』を利用している

④推定方法も書く: 例1:すべてのデータをプールしてTSPのパネルデータ分析を実行する 例2:パネルデータ分析の固定効果モデルを用いる.  例1:すべてのデータをプールしてTSPのパネルデータ分析を実行する  例2:パネルデータ分析の固定効果モデルを用いる.  例3:時系列データを最小自乗法で推定する

4章 推定結果と分析 ①全説明変数を含む推定結果の表 ②有意な説明変数を指摘する. ③類似研究(参考文献)の結果と比較 ④LOGの場合 4章 推定結果と分析 ①全説明変数を含む推定結果の表 ②有意な説明変数を指摘する. ③類似研究(参考文献)の結果と比較 ④LOGの場合  以下で説明

①全説明変数を含む推定結果の表 全説明変数を含む推定結果の係数,p値,自由度修正済決定係数を表にする.例:

②有意な説明変数を指摘する.   例:この回帰分析の結果によれば,研究開発費に影響を与えているのは規模規模,集中度,利潤率の3変数で,広告費は影響を与えていない.また,係数の符号は集中度以外は予想通りとなった

③類似研究(参考文献)の結果と比較  推定結果の分析をするときには,類似研究(参考文献)の結果と比較し,違う点や同じ点についてあきらかにする.

④LOGの場合 被説明変数もLOGを取った変数は,係数が1より大きいか小さいかで,曲線の形状が異なり,結論も異なる.  被説明変数もLOGを取った変数は,係数が1より大きいか小さいかで,曲線の形状が異なり,結論も異なる.   例:LOG(企業規模)の係数は1よりも小さく,これより,研究開発費は企業規模のが大きくなれば増加するが,企業規模の増加には追いつかないことが分かる

5章 結語 ①全体の要約と分析結果の要約  例:この論文では,企業規模が研究開発費の水準に与える影響を,日本の製造業の32の企業のデータを使って回帰分析によって分析した.その結果,以下のようなことが分かった.  (1)研究開発費は企業規模が増加すると増加するが...  (2)研究開発費は集中度が増加すると減少するが... ②最後に,この研究の問題点・欠点を書く

参考文献 (A)書き方1 参考文献は,論文の最後にまとめて以下の形式で書くこと ①論文の場合⇒ 著者氏名「論文題名」『掲載雑誌名』,発行年月 ①論文の場合⇒ 著者氏名「論文題名」『掲載雑誌名』,発行年月   例:中尾武雄「寡占における利潤と市場構造」『同志社論集』,1977年7月 ②本の場合⇒ 著者氏名『本題名』出版社,発行年 例:植草益『産業組織論』筑摩書房,1977年

(A)書き方2 ③ゼミ先輩論文の場合 著者氏名「論文タイトル」『中尾ゼミ卒業論文』作成年 ④ホームページの場合   著者氏名「論文タイトル」『中尾ゼミ卒業論文』作成年 ④ホームページの場合  サイト名,URL (サイト名はホームページの一番上に表示される) 例:SonyDriveチャンネルhttp://www.sony.jp/movie/index.html

⑦アイウエオ&ABC順に並べる 1 植田清香「利潤率と広告の分析」『中尾ゼミ卒業論文』1996年. 植草益『産業組織論』第3章,筑摩書房,1977年. 大西太郎「利潤の決定要因」『なんとか大学経済学論集』,2004年. 中尾武雄『エッセンスがわかる経済学入門』,第2章,中央経済社,1995年. 中尾武雄「寡占における利潤と市場構造」『同志社大学経済学論叢』,1977年.

⑦アイウエオ順→ローマ字ABC順に並べる 2 参照したホームページもすべて書く Sonyホームページ:http://www.sony.jp/movie/index.html Toyotaホームページ:http://www.toyota.co.jp

(B)参照方法 ①本文で言及する場合には著者名と年度あるいは文献番号だけでよい 例:植草(1977,p.245)においては… ②参照する頁が1頁であれば p.とするが,複数の場合には pp.とする.  例:植草(1977,pp.245-249) ③章で参照しても良い 例:植草(1977,第3章)においては…

図表 表や図には,番号と題をつける.例えば, 〔表1〕日本の主要47産業の回帰分析の結果(昭和55年)

チェック 全部書けたら ①日本語(誤字,脱字)をチェックする ②図表に番号を付けたか ③文献の書き方は上の例(A)と(B)のようになっているか

永久に同志社大学経済学部に保存 論文の将来 卒業論文は されます. 来年度以降,ゼミの後輩などが見に行きます. もっと遠い将来には,会社関係者,子供など多くの人に見られる可能性があります. 恥ずかしくないようにしましょう!