(CCHF: Crimean-Congo haemorrhagic fever) クリミア・コンゴ出血熱 (CCHF: Crimean-Congo haemorrhagic fever) CCHFV分離株は遺伝子解析で様々な系統に分けられる。 着色はトルコで分離された株。 CCHFV:ブニヤウイルス科 ナイロウイルス属 1944~45年 クリミア地方で旧ソ連軍兵士の間で重篤な出血を伴う急性熱性疾患が発生。患者血液やダニからウイルス分離。 1956年 コンゴで分離されたウイルスと同種。
クリミア・コンゴ出血熱の伝播様式 無症状 2004年 中国新疆ウイグルの27歳女性が発症してから5日後に子供が感染した。 院内感染 2004年 中国新疆ウイグルの27歳女性が発症してから5日後に子供が感染した。 院内感染 家族内感染 ヒト 1976年パキスタン、1979年ドバイで吐血、下血の患者から医師および家族が感染。三次感染まで確認。 血液、体液、臓器に直接接触 マダニ Hyalomma ハイリスクグループ: 羊飼い、酪農家、家畜市場や屠殺場の職員、動物皮革加工職人など 介卵伝達 野生動物: ウサギ、ネズミなど 家畜: ヒツジ、ヤギ、ウシなど 無症状 北半球ではダニの活動が高まる4~6月に流行
クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)の発生分布(WHO, 2006) 北緯50度以北では媒介昆虫がいない Hyalommaダニが生息 ウイルスもダニも存在 年間5~49名の患者報告 年間50名以上の患者報告 CCHFVは、アフリカ、ヨーロッパ、アジアにかけて広く分布 人に疾患を起こすダニ媒介性ウィルスの中で分布が最も広い
クリミア・コンゴ出血熱は感染した家畜がほとんど症状を示すことがなく、OIEリスト疾病や家畜伝染病にも指定されていない。ヒトに重大な影響を及ぼすことから、OIEへの届出はあるが、頭数までは報告されていない。 2011年上半期 家畜の発生届(OIE) 2011年下半期
感染症法の1類感染症 臨床症状 潜伏期間: 2~9 日。ダニに咬まれたり、患者血液に直接触れた場合は期間が短くなる。症状は吐血、下血、出血および発熱を特徴とする。感染者の発症率は20%と推定され、致命率は15~40%と高い。 発生は突発的で、発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、関節痛がみられ、重症化すると点状出血から大紫斑までの出血がみられる。 死亡例では肝腎不全と消化管出血が著明である。 治療・予防 ワクチンはない。院内感染があり、感染予防には個人用防護具(ガウン、手袋、マスク等)を着ける。特異的治療法はない。治癒例では後遺症はない。鑑別診断は全ての急性出血性感染症が対象となる。 診断 (材料)血液、血清 ・病原体の検出: ウイルスの分離など ・抗原の検出: ELISA 法など ・病原体の遺伝子の検出例:PCR 法など ・血清抗体の検出: IgG のIFA 、補体結合反応による検出など
Onder Ergonul, MD, Marmara University, School of Medicine, Turkey トルコでは発生が増えており、死亡者数が2006年27名、7年33名、8年と9年が63名、10年が50名に上っている。患者の構成は、農民が90%、ダニの刺咬歴60%、平均年齢41歳。 ロシア、ブルガリアでは毎年数名が死亡している。 欧州におけるCCHF Onder Ergonul, MD, Marmara University, School of Medicine, Turkey
同じ著者のスライドだが、前ページの値より大きくなっている。患者数の多少の食い違いを気にするほど、正確な実態把握ができていないことを示している? ロシア トルコ ロシアではクリミア地方を中心に発生しているが、北緯50度以北には媒介ダニがいないので暴露人口はそれほど多くない。
ダニは蚊と違って発生地域が限定しているが、温暖化による気象変動で生息域や密度が変化する可能性が指摘されている。 死亡数 イラン イラン 2009年 15名 2010年 26名 2011年 18名 ダニは蚊と違って発生地域が限定しているが、温暖化による気象変動で生息域や密度が変化する可能性が指摘されている。 ブルガリア