プラズマ発光分光による銅スパッタプロセス中の原子密度評価

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プラズマ発光分光による銅スパッタプロセス中の原子密度評価 成蹊大工 中野武雄、田中幸治、馬場 茂 スパッタプロセスでは粒子の輸送過程が複雑であるために、膜厚分布などの制御が難しい。 粒子の挙動を評価するために、原子密度分布の測定を行ないたい。 基底状態を含む三準位系の二本の発光線を利用して、密度の評価を試みた。

Cu原子の三準位系

発光分光測定 絞り φ2.0 mm 測定波長 185~525nm (1024 channels) バランス型マグネトロン (ターゲットφ5cm) DC 電力 50 W Ar 流量 10 sccm Ar 圧力 0.2~16 Pa

発光分光測定(2)

密度の導出方法 510.6 nm の発光には吸収がないと仮定、動径分布を CT で求める。 324 nm の動径発光分布 I(r) は、510 nm の分布に遷移確率の比をかけて求める。 上準位の密度を無視、324 nm の吸収係数の分布 k(r) は基底状態にある原子密度だけで決まるとする。 側面から見た324 nm の強度プロファイル V (t) は:

データ処理 吸収係数 k(r)を9点のノードを持つスプライン関数で記述し、V(t) を再現するように最適化問題として解いた。

動径密度分布

Cu原子密度分布(MC計算)

まとめ 銅スパッタプラズマの発光分光測定の結果から、空間の原子密度を評価する手法を提案した。 モンテカルロ法を用いた計算結果とオーダーでは一致した。また高ガス圧ほど原子密度が増加する傾向も同じであった。 逆問題を解くアルゴリズムに改善が必要。

モンテカルロ・シミュレーション 詳細→中野 真空 45 (2002) 699. 容器、境界条件 回転対称 ガスの温度 (400K)、圧力は一様 壁面での付着確率は 1 粒子の飛び出し 位置 エロージョントラックの深さに比例 Energy,角度 Thompson の式、cosine 分布 ガスとの散乱 ガスの熱運動 Maxwell 分布 散乱 Born-Mayer型ポテンシャル ( U(r)=Aexp(-br) ) による弾性散乱 拡散過程 Poisson 方程式を境界要素法で解く。 詳細→中野 真空 45 (2002) 699.

Cu原子密度分布(MC計算)