平山 英夫、波戸 芳仁 KEK, 高エネルギー加速器研究機構

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平山 英夫、波戸 芳仁 KEK, 高エネルギー加速器研究機構 2008.7.14 モンテカルロ法による 粒子輸送計算 平山 英夫、波戸 芳仁 KEK, 高エネルギー加速器研究機構 2008.7.14

乱数を使用して問題を解く手法を “モンテカルロ法”という。 “モンテカルロ”という名称は、J. von Neumann と S. M. Ulamがつけたものである。 従って、乱数は、モンテカルロ法にとって最も重要なものである。

乱数の発生方法 サイコロやルーレット等を使用する– 非常に遅い 乱数表を使用する 統計的な性質が良く調べられている 乱数表全体を計算機のデータとして持つ必要がある 現時点では、非常に速い乱数発生法ではない 放射性同位元素の崩壊の様な物理現象を利用した乱数を使用する 数値化が容易でない、安定性と再現性の点で問題がある。

疑似乱数 最初にたね乱数, R0,を適当に選び、 Rn+1=f(Rn)の形の漸化式(普通は合同式)によって順次乱数を作り出す方法。 疑似乱数は、 mを法とする剰余である。 最大でもm個の異なった整数しか存在しない。従って、疑似乱数は有限の周期がある。 良い疑似乱数の条件 速く発生できる 周期が長い 再現性がある 統計的特性が良い 発生した疑似乱数をmで割ることにより、 0 から 1の疑似乱数を作ることができる

線形合同法による疑似乱数 D. H. Lehmer が提唱した線形合同法が最も広く使われている。 Rn+1=mod(aRn+b,m) mod(aRn+b,m)は、 aRn+bをmで割ったときの余り a, b 及び m は、正の整数で m は、コンパイラーで使用可能な整数の最大値である。 Name a b m RANDU 65539 231 SLAC RAN1 69069 SLAC RAN6 663608491

電卓を使った疑似乱数の発生 R0=3, a=5, b=0 , m=16として、10個の乱数を発生する。 ある段階で同じ乱数が発生する事を確かめる。 上記の場合の周期は、いくつになるか ? R0を変えた場合、どうなるか調べる。

n Rn Rn*5 Rn+1=mod(Rn*a,m) 1 2 3 R0=3 15 15/16=0・・・余り15 R1=15 R0=3 15 15/16=0・・・余り15 R1=15 1 2 3 mod(Rn*a,m): Rn*aをmで割ったときの余り

n Rn Rn*5 Rn+1=mod(Rn*a,m) 1 2 3 4 R0=3 15 15/16=0・・・余り15 R1=15 R1=15 R0=3 15 15/16=0・・・余り15 R1=15 1 R1=15 75 75/16=4・・・余り11 R2=11 2 R2=11 55 55/16=3・・・余り7  R3=7 3 R3=7 35 35/16=2・・・余り3 R4=3 4 R4=3

乱数を使ったp の計算 Table 1 (SLAC RAN6を使って作成したもの)の任意の場所から順番(左から、右に)に2つの乱数(,)を選ぶ。 次の条件を満たすペアの数を数える。 AREA= p /4 p= 4 x (条件を満たすペアの割合)

表1の乱数の使い方

Trial No ξ η R R≦1 1 0.896 0.618 1.088 2 0.759 0.690 1.026 3 0.251 0.094 0.268 ○ 4 0.371 0.148 0.399 5 0.492 0.519 0.715 6 0.789 0.567 0.972 7 0.397 0.179 0.435 8 0.576 0.341 0669 9 0.517 0.583 0.779 10 0.909 0.380 0.985 A=8 A/10=0.8 (A/10)*4=3.2

参考になるWebページ 乱数について 疑似乱数とモンテカルロ法 http://www.nikonet.or.jp/spring/sanae/MathTopic/montecalro/montecalro.htm さいころの数字、乱数を使ったπの計算 疑似乱数とモンテカルロ法 http://www.sm.rim.or.jp/~shishido/pie.html 繰り返し数を増やすことによるπの変化

他の方式の乱数 Marasaglia-Zaman 乱数 RANLUX 乱数 G. Masaglia and A. Zaman, “A New Class of Random Number Generator”, Annals of Applied Probability 1(1991)462-480. 周期が非常に長い –2144 ~1043 乱数の制御が若干複雑 32-bit の計算機ならば、どの計算機にも適用できる RANLUX 乱数 F. James, “A Fortran implementation of the high-quality pseudorandom number generators”, Comp. Phys Comm 79 (1994) 111-114. 周期は10 171 1-231のシードにより、オーバーラップすることのない独立した乱数を発生することができる egs5の乱数発生方法として採用

離散型確率過程のサンプリング x1, x2,......,xnを確率p1, p2,......., pnを持つn個の独立背反物理事象とする。(例えば、光子の反応における、光電吸収、コンプトン散乱、電子対生成とそれぞれの発生確率) を0から1の間の一様な乱数とすると、以下の条件の時、事象xiが起きることになる。 累積分布関数

離散型サンプリングの導入(1) 例題) 光電効果:30%、コンプトン散乱:50%、対生成:20%を乱数をもちいてサンプリングせよ。

離散型サンプリングの導入(2) コンプトン散乱の起こる確率 乱数  「累積分布関数」 または「積み上げ計算」

離散型確率過程の例 光子の反応の種類の決定 離散型確率過程の例 光子の反応の種類の決定 光子の反応における光電吸収、コンプトン散乱、電子対生成とそれぞれの発生確率をPphoto, PCompt , Ppairとする。 .    Pphoto +PCompt + Ppair =1 の時は、光電吸収    の時は、コンプトン散乱              の時は、電子対生成

サンプリング法 (連続型確率過程) ある物理現象がxとx+dxで発生する確率をf(x)dxとする。[axb] f(x)を確率密度関数(PDF)という。 累積分布関数(CDF:F(x)) を0から1の間の一様な乱数とすると、    と関係づける事ができる。上式からxは この式を解析的に解くことが可能な場合には、xを直接計算して決めが可能であり、“直接サンプリング法”と呼ぶ。

F(x) 1  x a x b

直接サンプリング法の例-飛行距離の決定 1個の入射粒子が単位距離当たりに衝突する確率をSt とする時、lと l+dlの間で最初に衝突が起きる確率 l: 飛行距離 l: 平均自由行程(mean free path) h: 乱数 (1-h とhは等価)

無限体系 光子 初期条件:エネルギー、位置、方向 e0, x0, y0, z0, u0, v0, w0

反応点までの距離 l の決定 l=-ln()/ 移動後の座標 l 初期条件:エネルギー、位置、方向 x=x0+u0l, y=y0+v0l, z=z0+w0l l 初期条件:エネルギー、位置、方向 e0, x0, y0, z0, u0, v0, w0

反応の種類の決定 光電吸収:a, コンプトン散乱:b, 電子対生成:c  <=a/(a+b+c):光電吸収 a/(a+b+c)< <=(a+c)/(a+b+c):コンプトン散乱 >(a+c)/(a+b+c):電子対生成   x=x0+u0l, y=y0+v0l, z=z0+w0l l 初期条件:エネルギー、位置、方向 e0, x0, y0, z0, u0, v0, w0

生成粒子の追跡 電子 個々の粒子のエネルギー、方向の決定 光子 x=x0+u0l, y=y0+v0l, z=z0+w0l 初期条件:エネルギー、位置、方向 e0, x0, y0, z0, u0, v0, w0

同じ物質の場合:反応場所までの距離=l-d 物質が異なる場合:改めて反応場所を決定 d<=l:距離 d だけ移動 同じ物質の場合:反応場所までの距離=l-d 物質が異なる場合:改めて反応場所を決定 リージョン境界 反応場所 x=x0+u0l, y=y0+v0l, z=z0+w0l l d 境界までの直線距離(d)を計算 初期条件:エネルギー、位置、方向 e0, x0, y0, z0, u0, v0, w0

情報の採取   粒子が移動:エネルギー付与           飛程長           境界を横切る   光電吸収:エネルギー付与   カットオフエネルギー以下   追跡中止(例:体系外) リージョン境界 境界までの直線距離(d)を計算 l d 初期条件:エネルギー、位置、方向 e0, x0, y0, z0, u0, v0, w0

電子や陽電子は、物質中で多数回の弾性散乱をするので、この弾性散乱を光子と同じように扱うことは難しい。 反応点までの距離の決定 Condensed History Technique 反応場所までの距離を多くの細かいステップに分割し、各ステップにおける多数回の弾性散乱による実際の飛程、方向や位置の変化を “多重散乱モデルを使って評価する   l=-ln()/ l7 l8 l x x l5 x x l6 荷電粒子は、移動に伴い電離あるいは励起により、そのエネルギーの一部を失う l4 x l3 x x l2 11 各ステップでのエネルギー付与  真の飛程 x 阻止能(dE/dx) 電子あるいは陽電子 初期条件:エネルギー、位置、方向 e0, x0, y0, z0, u0, v0, w0

手計算による光子の輸送計算 Table 1の乱数(SLAC RAN6で求めたもの) 任意の場所から始めて良いが、その後は順番に(左から右。右端に来たら、次の行へ)表の乱数を使用する 計算結果の有効数字は3桁

表1の乱数の使い方

手計算による光子の輸送計算1 (Fig.1) 図1のように、厚さ50 cmの物質Aがあるとする。 例1 例 2 0.5 MeVの光子が物質Aの左側から垂直に入射すると仮定する。 平均自由行程は20 cmとする。 光電吸収とコンプトン散乱の比は、 1:1とする。 コンプトン散乱後、光子はエネルギーも方向も変わらないとする。 例1 最初の乱数:0.234 -- l=-20.0 x ln(0.234)=29.0 29.0(cm)<50.0(cm) 次の乱数:0.208 (<0.5) -- 光電吸収(終了) 例 2 次の乱数:0.906 -- l=-20.0 x ln(0.906)=1.97 1.97(cm)<50.0(cm) 次の乱数:0.716 (>0.5) -- コンプトン散乱 次の乱数:0.996 -- l=-20.0 x ln(0.996)=0.0802 0.0802(cm)<50.0-1.97(cm)

Single layer No. d(cm) Random number l(cm) d>l dl Photo. Compt. Exp.1 50.0 0.234 29.0 * 0.208 Exp.2 0.906 1.97 0.716 48.03 0.996 0.0802 0.600 47.95 0.183 34.0 0.868 13.95 0.351 20.9

手計算による光子の輸送計算2 (Fig.2) 図2のように、厚さ30cmの物質Aの後ろに厚さ20cmの物質Bがあるとする。 0.5MeVの光子が物質Aの左側から垂直に入射すると仮定する。 物質Aの平均自由行程、光電吸収とコンプトン比は先と同じとする。 物質Bの平均自由行程は3cmとする。 物質Bの光電吸収とコンプトン散乱の比は、3:1とする。 先と同様、コンプトン散乱後、光子はエネルギーも方向も変わらないとする。

計算例 添付の乱数を使用した例 最初の乱数:0.329 -- l=-20.0 x ln(0.329)=22.2 22.2(cm)<30.0(cm) 次の乱数0.612 (>0.5) -- コンプトン散乱 次に乱数:0.234 --l=-20.0 x ln(0.234)=29.0 29.0(cm)>30.0-22.2(cm) AとBの境界まで移動 (30.0cm) 次の乱数:0.281 --l=-3.0 x ln(0.281)=3.81 3.81(cm)<20.0(cm)

Medium A No. d(cm) Random number l(cm) d>l dl Random number Photo. Compt Exp.1 30.0 0.329 22.2 * 0.612 7.80 0.234 29.0 Medium B d(cm) Random number l(cm) d>l dl Random number Photo. Compt 20.00 0.281 3.81 * 0.906 16.19 0.716 1.00 0.996 15.19 0.600 1.53 0.183

複雑だがより実際に近い光子の追跡 10cmのアルミ板について、以下の仮定の下で光子の飛跡を追跡する。 入射光子のエネルギーは、0.5MeVとする。 光子のエネルギーに関係なくコンプトン散乱において、光子の散乱角は90度単位とし、散乱の確率は同じとする。 散乱後の光子のエネルギーは、次式で計算する。

複雑だがより実際に近い光子の追跡 散乱の方位角は、0度と180度が1:1の確率で起きるとする。(コンプトン散乱は、X-Z平面で生じる事になる。粒子の進行方向に対して、左側を0度とする。) mfp 及び反応の分岐比(branching ratio)は、図4と5から読みとる。 光子のカットオフエネルギーは、0.05MeVとする。

二次粒子生成を伴わない電子の飛跡 7図の様な厚さ 1 mm にアルミニウム平板を考える。 1.0 MeV の電子が左側から垂直に入射する。 多重散乱による移動距離の補正を無視する。 -線や制動輻射等二次粒子生成反応は起きないとする。 電子のステップ長は、電子のエネルギーに関係なく 0.01 cm とする。

二次粒子生成を伴わない電子の飛跡 電子のエネルギーに関係なく、多重散乱による方向の変化は、90間隔で、同じ確率で生じる。 0°-- 1/3, 90°-- 1/3, 180°-- 1/3 多重散乱後の方位角は、 0º 又は180º とし、発生確率は同じとする。0º を進行方向の左側、180ºを右側とする。 電子のエネルギーに関係なく、非弾性散乱によるエネルギー損失は、0.01cmあたり0.04 MeVとする。 電子のカットオフエネルギーを0.01 MeVとする。

改定記録 乱数の発生及びπ計算結果の例追加 2007.8 下記を小変更 2007.11.29 乱数の発生及びπ計算結果の例追加 2007.8 下記を小変更 2007.11.29 Page7,8に「15/16=0・・・余り15 」を追加 Page 11のRを小数点以下5桁から3桁に変更 Page 31の光電効果の後に「終了」を追加 下記小変更 2007.12.6 Page 35 一番下の行 6.20 cm→3.80 cm 2重層の最初の厚さを30cmにしたことによる修正(34,36,37頁) 2008.2.8 例(31,35頁)で、lがλになっていたので修正 2008.2.8