「新都心の地域減災セミナー」 第一回・趣旨説明 都市と大震災: 震災時にまちや建物はどうなるのか 新都心の地域減災セミナー・プロジェクト代表 工学院大学 建築学科 久田嘉章 セミナーHP:http://www.kogakuin.ac.jp/bcp/index.html
首都圏の震災は近いと言われるけど・・・ ・30年間発生確率70%→実感・イメージできず、対策は? 内閣府資料より 対策の必要性は認識:耐震診断・補強、業務継続計画(BCP)、改正消防法(6月施行:消防対策→防災対策) →既存の防災センター、消防計画、訓練(主に避難訓練)・・
火災と震災の違い:高層建築の場合 状況 火災時 火災・煙探知器→自動検知 消火器・消火栓→初期消火 スプリンクラー作動→消火 電話・非常電話→通報 消火失敗・煙→基準階避難 状況 火災時 発災 一箇所(火災) 館内 エレベータ稼動、 通信通話可能 周辺 平常、消防・警察出動 状況把握 可能(防災センター) 初動対応 通報、防災センターによる避難誘導、消防隊到着・消防活動 意思決定 防災センター 避難者 基準階、帰宅、自宅待機 対策・ 訓練 防火管理者、消防計画、消防組織、消防用設備、 火災発生 防災センター・警備室 ・初期消火訓練、避難訓練→逃げる訓練 ・意志決定者が不在でも緊急対応可能 ・ビル内連携・地域連携が無くても対応可能
火災と震災の違い:高層建築の場合 状況 地震時 7 6強 6弱 建物・設備被害 発災 同時多発(火災、建物・設備損傷、什器転倒、天井・ガラス等落下、閉込め、傷病者・・・) 館内 エレベータ停止、ライフライン遮断、通信輻輳 周辺 広域な同時多発災害、傷病者、延焼火災、交通マヒ、ライフライン損傷、通報不可、消防・警察対応困難、大量の滞留者、治安悪化・・・ 状況把握 困難(現場のみ) 初動対応 消防・防災センター対応困難、現場対応(初期消火、傷病者の救援救護、閉込め者救出)、避難、不明者捜索、安否確認・・) 意思決定 防災センターは機能麻痺・意思決定不可、現場(自衛消防組織)、災害対策本部(責任者) 避難者 館内収容、帰宅困難者、数日滞在 対策・ 訓練 耐震診断・補強、転倒防止、防災管理者・防災計画・BCP策定、緊急時対応組織(現場・災害対策本部)、備蓄・資機材、非常時通信・・・ 7 社長室? 閉じ込め発生 傷病者発生 6強 周辺大混乱・治安悪化 ・対応組織・図上演習・発災対応訓練→立ち向かう訓練 ・意思決定者がいなければ機能せず 6弱 防災センター ・ビル内・地域間の連携が無くては対応が困難
工学院大学の地震防災・減災活動の取組み ○研究:地震防災・環境研究センター(EEC:2001-2008年度)、 都市減災研究センター(UDMC:2009-2014年度) →ハード対策:構造・設備・ライフライン・什器・二次部材(診断・補強) ソフト対策:防災計画・BCP、組織・連携・訓練・情報、マニュアル・・ ○地域貢献活動:新宿区西口地域現地本部(新宿区)、広域避難場所(八王子市)、学生ボランティア活動協定(予定) 防災活動・訓練:新宿駅周辺滞留者対策訓練、新宿・八王子キャンパス防災訓練、東京都北区・新宿区などの発災対応型防災訓練 →平成20年度「防災隣組」育成促進モデル事業(内閣府) ○教育:学生教育:文科省・学生支援GP:いのち・つなぐ・ちから-学生連携型地域防災拠点の構築- 大学間連携:神戸学院大学、神戸女子大学・神戸女子短期大学、大妻女子大学、兵庫医療大学、東北福祉大学との協定 社会人教育:文科省・新規学習ニーズ対応プログラム:首都直下地震に備える施設管理者への減災対策および復旧復興マネジメント教育プログラム→新都心の減災セミナー
新都心の地域減災セミナーのねらい ー地震防災・減災のPDCAサイクルー 計画(Plan):現状調査(点検リスト・マップなど)、被害想定、対策案(ハード・ソフト)の策定・・・ 実行(Do):耐震診断・補強、対応組織・備蓄・マニュアル・・・ → 新宿駅周辺地域における建物や周辺地域の震災イメージを持ち、現実的な被害想定を行う → 工学院大学新宿校舎を教材にした防災計画・震災対策の具体的な立案と改善方法を学ぶ 検証(Check):図上演習、防災訓練の実施・・・ → 防災訓練(10/15午後:新宿駅周辺地域防災対策協議会と協働)に参加・検証する(発災対応型訓練、安否確認、情報収集・共有、傷病者対応、新宿駅西口地域現地本部活動・・) 改善(Act):修正・改善案の策定・実施、次年度に向けて → 反省会・改善案策定、シンポジウム・ワークショップ開催 地域連携による減災体制の構築:共助(顔の見える繋がり)
震災イメージと被害想定 被害想定(内閣府、東京都) 都市災害の具体例:阪神・淡路大震災 実大震動実験(防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター:E-Diffenceなど) 7 建物被害の具体例:阪神・淡路大震災
具体的な教材(新宿校舎) ハード対策:地震動、地震応答、構造・設備・ライフライン・什器・・ ソフト対策:点検マップ・被害推定・備蓄・通信・対応組織・・ フロア点検 マップ 設備・ライフライン機器 エレベータ経路・機械 防災センター・警備室 災害対策本部 構造解析
防災訓練による検証、地域連携の構築 発災対応型防災訓練(2009年10/15 午後) 発災対応:火災・傷病者・閉じ込め→現場 発災対応:火災・傷病者・閉じ込め→現場 情報収集:フロア・組織単位・現場→本部 避難・安否確認:避難階(低層階・組織単位) 傷病者対応:1階フロア・応急救護・・ 情報集約・意思決定:防災センター・災害対策本部・・ 新宿駅西口現地本部活動訓練 地域連携体制の構築 新宿駅西口現地本部活動訓練(2008年度) ・情報収集・共有:地域・公共交通・病院・・ ・傷病者対応:多数の傷病者、トリアージ、搬送・・・ ・駅周辺滞留者・災害時用援護者:収容・ケア・・ ・学生ボランティア活動訓練:設営・情報提供・・ ・八王子キャンパスの活用訓練:郊外情報共有・・ 今後は、地域の人材・機材・備蓄・スペースなど共用、 地域継続計画(DCP)など →日頃からの顔の見える繋がりの構築 発災対応型訓練 傷病者対応訓練 西口現地本部活動訓練
セミナーの内容(2009年度) 開講時間:隔週(水)16:20-19:30、第6回のみ午後13時から (防災訓練) 第1回 07/08(水) 都市と大震災: 震災時に街や建物はどうなるのか、具体的なイメージを持つ 第2回 07/22(水) 首都圏の震災想定と対策の現状: 首都圏・新宿地域・建物被害を知り、共助・地域連携の重要性を知る 第3回 09/02(水) 超高層建築など大規模建物の震災想定と対策 1: 工学院大学新宿校舎を教材に、主としてハード対策を実例を通して学ぶ 第4回 09/16(水) 超高層建築など大規模建物の震災想定と対策 2: 工学院大学新宿校舎を教材に、主としてソフト対策を実例を通して学ぶ 第5回 09/30(水) 超高層建築など大規模建物の震災想定と対策 3: 地域連携と防災訓練への参加・検証計画、役割分担 第6回 10/15(木) 防災訓練へ参加・検証 13~17時予定:新宿駅周辺滞留者対策訓練協議会と連携 第7回 11/04(水) 今後に向けて:訓練の報告・反省・次年度、BCP・DCPなど 見学会 08/19(水) 13:30-17:00:清水建設・技術研究所 シンポジウム 12/12(土) 午後:新宿駅周辺地域とBCP・DCP(案:中山区長) 国際ワークショップ 2010/1/23(土) 午後: 多文化共生都市と震災対策(案) セミナー開講・テキスト作成に際し、多くの関係者の協力を頂いています(名簿)。 詳細はHPをご覧ください(http://www.kogakuin.ac.jp/bcp/index.html)。
本日の予定(第1回セミナー) ○1時限(16:20~17:50): 過去の震災から学ぶ都市の大震災: ○1時限(16:20~17:50): 過去の震災から学ぶ都市の大震災: 1. セミナー趣旨・概要:久田(工学院大) 2. 過去から学ぶ都市震災(阪神・淡路大震災など) ・被害概要・映像:久保(ABSコンサル)、 児島(損保ジャパン・リスクマネジメント)→1.1.1 ・建物被害の特徴と教訓:久田 →1.1.2~1.1.4 ・都市機能・生活被害と教訓: 村上(工学院大)、秦(東京ガス)→1.1.5~1.1.8 3. 質疑・議論・補足:全員 休憩(17:50~18:00) テキスト
本日の予定(第1回セミナー) ○2時限(18:00~19:30):自己紹介・議論 1. 参加者・委員の自己紹介:所属・自社(自分)の 震災対策の現状・セミナーに期待することなど、 を1人1分程度で 2. 議論:それぞれの立場から ・阪神・淡路大震災など都市震災から学ぶこと ・首都圏での減災対策に行かすべきこと ・新宿駅周辺地域でさらに考えるべきこと、など 3. 課題説明:首都圏直下地震と減災対策 4. アンケート調査・図上演習・見学会参加確認など 懇親会(終了後)→顔のみえる繋がり構築へ!