受検者自身のデーターを使って 医療法人新虎の門会 新浦安虎の門クリニック ○大前利道 田村美香子 大前由美 沼本美由紀 堀内純 健診時の白血球数で禁煙指導を 受検者自身のデーターを使って 医療法人新虎の門会 新浦安虎の門クリニック ○大前利道 田村美香子 大前由美 沼本美由紀 堀内純 新虎の門会の大前です。よろしくお願いします。 タイトルは「健診時の白血球数で禁煙指導を」です。
はじめに 喫煙者の血中白血球数が増加するのは、これまでの学会や論文発表で周知の事実となっています。この人間ドック学会でも約1.3倍の上昇があるので、報告書作成時や面接指導時に注意すべきことになっています。 このEBMをもとにして、健診時検査項目で必須となっている白血球数値を、禁煙外来、禁煙指導に使えないかを検討しましたので、報告いたします。 はじめに 喫煙者の血中白血球数が増加するのは、これまでの学会や論文発表で周知の事実となっています。この人間ドック学会でも約1.3倍の上昇があるので、報告書作成時や面接指導時に注意すべきことになっています。 このEBMをもとにして、健診時、検査項目で必須となっている白血球数値を、 禁煙外来、禁煙指導に使えないかを検討しましたので、報告いたします。
目的 禁煙指導に健診時白血球数値が、動機づけアイテムとして使えるか検証すること。 禁煙指導に健診時白血球数値が、動機づけアイテムとして使えるか検証すること。 目的は、禁煙指導に健診時白血球数値が、動機づけアイテムとして使えるか検証すること、です。
対象 2006年度ドック健診受検者でCRP陰性の4101名 喫煙別 男性 女性 非喫煙者 1346 1428 禁煙者 110 24 1-10本 177 99 11-20本 471 88 21-30本 256 16 31本以上 83 6 計 2443 1661 対象は、2006年度のドック、健診受検者でCRP陰性の4101名です。 表のような内訳となります。 白血球は、感染や炎症などで上昇しやすいので、CRP陽性者は今回の対象から、除外いたしました。
CRP陰性者 4101名のグラフ グラフに表しますとこのようになります。
方法 性別、喫煙の有無、1日喫煙本数、禁煙成功者、など14グループに分け、それぞれの白血球数の平均値、標準偏差、信頼区間などを統計学的に算出 性別、喫煙の有無、1日喫煙本数、禁煙成功者、など14グループに分け、それぞれの白血球数の平均値、標準偏差、信頼区間などを統計学的に算出 方法は 対象者を、性別、喫煙の有無、1日喫煙本数、1年間に禁煙した者、など14グループに分け、それぞれの白血球数の平均値、標準偏差、信頼区間などを統計学的に算出しました。
男性統計 信頼区間と平均値 男性 最大値 最小値 平均値 非喫煙者 5336 4989 5270 M1-10 5825 5464 5645 男性統計 信頼区間と平均値 男性 最大値 最小値 平均値 非喫煙者 5336 4989 5270 M1-10 5825 5464 5645 M11-20 6330 6024 6177 M21-30 7134 6663 6899 M31< 7244 6527 6886 この表は、男性の統計表です。縦の5グループは、上から非喫煙者、1日喫煙本数が1から10本まで、同様に11本から20本まで、21本から30本まで、31本以上、となっています。 横の最大値、最小値としていますのは、信頼区間です。右端はそれぞれの平均値となっています。 この表以外にも、男性全喫煙者、男性の禁煙成功者のグループもありますが、今回は省略いたします。
男性5グループのグラフ それらをプロットしますと、このようなグラフになります。 赤の折れ線が平均値の流れです。 非喫煙者から1日喫煙数が30本までのグループは右上がりのグラフとなり、受検者の方を説得できるのではないかと思います。 31本以上のグループは、所属人数が少なく、ほぼ横ばいの結果となっています。
女性統計 信頼区間と平均値 女性 最大値 最小値 平均値 非喫煙者 4888 4755 4829 F1-10 5494 4955 5224 女性統計 信頼区間と平均値 女性 最大値 最小値 平均値 非喫煙者 4888 4755 4829 F1-10 5494 4955 5224 F11-20 5939 5332 5635 F21-30 6526 5037 5781 F31< 7449 4685 6067 この表は、女性の統計表です。表の縦横は男性と同様です。
女性5グループのグラフ 女性の値をグラフにしますと、男性と同じように、やはり右上がりとなり、こちらも受検者の方を説得する根拠として使えるのではないかと思います。 31本以上のグループは、所属人数が少なく、区間が幅広になっています。
成績 男女とも、非喫煙者、1~10本、11~20本、21~30本、31本以上の喫煙者、と1日本数が増えるにつれ段階的に白血球数が増えることが、自院の昨年度のデーターから証明でき、自院の受検者に対して説得力のある禁煙指導用図表を作成する材料ができました。 成績です。男女とも、非喫煙者、1~10本、11~20本、21~30本、31本以上の喫煙者、と1日本数が増えるにつれ段階的に白血球数が増えることが、自院の昨年度のデーターから証明でき、自院の受検者に対して説得力のある禁煙指導用図表を作成する材料ができました。
例)禁煙指導表 男性で11~20本喫煙 非喫煙者 統計量 11~20本/日 5270 6177 1220 1690 1.962 t 例)禁煙指導表 男性で11~20本喫煙 非喫煙者 統計量 11~20本/日 5270 平均値 6177 1220 標準偏差 1690 1.962 t 1.965 4989 5336 信頼区間 6024 6330 使い方の例をお示しします。 このスライドは、1日の喫煙本数が11~20本の男性の例です。 左側の数字は男性の非喫煙者の統計表です。右側は面接指導時の 受検者毎、喫煙数毎に数値は変わります。
例)禁煙指導図 実際の指導用 その数値を棒グラフ状に並べるとこのようになります。 例)禁煙指導図 実際の指導用 非喫煙者 喫煙者 11~20本/日 棒グラフの数字は、それぞれ 上から、標準偏差、信頼区間、平均値、信頼区間、標準偏差となっています。 9000 7867 7000 6330 6490 6177 5336 5270 6074 5000 その数値を棒グラフ状に並べるとこのようになります。 青が非喫煙者で、左の数字は標準偏差、信頼区間、平均値などです。 この図を面接時に見てもらいます。赤はご本人と同じ喫煙グループで、 右の数字は統計値です。(クリック)ご本人の当日の白血球数の結果を、 プロットしてみれば、比較が出来、動機づけになるのではと思います。 その時の表情により、引き続きCO測定ができれば、さらに強い動機 づけができると思います。 4989 4050 4487 3000 0
結語 健診、人間ドック時にCRP陰性の喫煙者は、4104名中1196名で29.1%にあたる。 健診、人間ドック時にCRP陰性の喫煙者は、4104名中1196名で29.1%にあたる。 禁煙指導希望者は少なく、喫煙指数による、発癌の可能性、動脈硬化やCOPD発症などのリスクを伝えても、症状がないので指導開始の動機づけにはなりにくく、CO測定値と同じような分かりやすくてインパクトのあるアイテムを捜してきた。 今回の検証で禁煙指導に導く手がかりが見つかったと思われる。 結語です。健診、人間ドック時の喫煙者は、4104名中1196名で29.1%にあたります。 その中で禁煙指導希望者は少なく、喫煙指数による、発癌の可能性、動脈硬化やCOPD発症などのリスクを伝えても、症状がないので指導開始の動機づけにはなりにくく、CO測定値と同じような分かりやすくてインパクトのあるご自身のアイテムを捜してきました。 今回の検証で禁煙指導に導く手がかりが見つかったと思われます。 すでに面接時に試していますが、結構自分のデーターをもとにした評価ですので、一般に使われている禁煙チャートにある、多くのEBMに基づく表やグラフからは生じない、個人的な反応が比較的短時間に見られます。