第24太陽周期はどうなるのか 1.観測速報 石井 貴子1、磯部 洋明2、 北井 礼三郎1,2、柴田 一成1,2 1京都大学・理・天文台

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 宇宙は何からできてくるか ? 理学部 物理 森川雅博 宇宙を満たす未知のエネルギー:暗黒エネル ギー 局在する見えない未知の物質:暗黒物質 銀河・星・ガス 何からできているか … 2006/7/25.
Advertisements

宇宙開発事業団 (NASDA) が開発した、環境観測技術衛星「みど りⅡ」 (ADEOS- Ⅱ ) 搭載の高性能マイクロ波放射計 (AMSR) による オホーツク海の流氷 ( 海氷 ) 画像。左図は 2003 年 1 月 18 日の夜間 (20 時半頃 ) に取得されたデータによる擬似カラー合成画像。
宇宙天気予報からの期待 (独)通信総合研究所平磯太陽観測センター 秋岡 眞樹 ・宇宙天気予報の概要 ・ CRL における R&D -計測技術の研究開発(太陽観測) -データ利用技術( CUTE) ・ Solar-B への期待.
~ファーストスターを探 れ!~ 第 9 回きみっしょん A 班 相羽祇亮(高1) 栃木県立宇都宮高 校 飯田美幸(高2) 茨城県立竹園高校 栗原佑典(高2) 埼玉県立熊谷高校 小林千鶴(高2) 愛媛県立松山中央 高校 永井悠真(高2) 埼玉県立浦和北高 校 福本菜々美(高1) 私立済美高校.
CMIP5 気候モデルにおける ヤマセの将来変化: 海面水温変化パターンとの関係 気象研究所 気候研究部 遠藤洋和 第 11 回ヤマセ研究会 1.
宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
オーロラの話. NZL でのオーロラ 北海道 ミネソタミネソタ 2015 年 10 月 7 日- 8 日.
オリオン星形成領域における 前主系列星の X 線放射の 長期的時間変動 京大理 ○ 兵藤 義明 中嶋 大 高木 慎一郎 小山 勝二 /23 天文学会 秋季年会 P39a もくじ  星の長期的変動  今回行った解析  まとめ.
今太陽活動周期 (Cycle24) における黒点群とフレア活動 石井貴子 (京大・理・天文台) SMART/FISCH Hida Obs., Kyoto-U.
地球温暖化問題に対する科学的態度を考える
極紫外撮像分光装置 (EIS) 国立天文台 渡 邊 鉄 哉
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
2005年8月24日の磁気嵐を 引き起こしたフレア・CMEと、 活動領域NOAA 10798のアネモネ構造
ビッグデータ解析手法を用いた 宇宙天気予報アルゴリズムの開発
最近の太陽活動・北極振動 長利研例会  藤井 聡.
太陽活動と宇宙天気 日本と世界の宇宙天気プログラム について
2001年4月10日のフレアにおける、磁気ヘリシティ入射
2001年4月10日のフレアにおける、 磁気ヘリシティ入射率の研究
フレア星EV Lacの 超低分散高速分光観測
磯部洋明(京都大学 宇宙総合学研究ユニット)
地球温暖化 のしくみ 木庭元晴さく.
大きな数と小さな数の 感覚的理解 北村 正直.
地球温暖化 のしくみ 木庭元晴さく.
Nova in M31: b b: 山中雅之(広島大)、新井彰(京産大)、かなた望遠鏡グループ
飛騨データ解析ワークショップ (2) Ayumi Asai 2014/12/16.
そもそも、私は分担者やその共同研究者ではない
CMIP5マルチ気候モデルにおける ヤマセに関連する大規模大気循環の 再現性と将来変化(その2)
図表で見る環境・社会 ナレッジ ボックス 第2部 環境編 2013年4月 .
近年の北極振動の増幅 Recent Arctic Oscillation amplification
High-amplitude, long-term X-ray variability in the solar-type star HD 81809: The beginning of an X-ray activity cycle? F. Favata, G. Micela, S.L. Baliunas,
熱中症の救急搬送者数 今日は,熱中症について勉強したいと思います。.
地球温度の変化.
2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出
実習 「太陽の光球面のようすを調べよう」 「太陽の黒点の温度を求めよう 」
下条 圭美 国立天文台・野辺山太陽電波観測所
2003年12月2日 課題研究ガイダンス (3分) S2 太陽物理 柴田一成 花山天文台 北井礼三郎 飛騨天文台.
すばる望遠鏡を用いた 太陽系外惑星系の観測的研究
白色光コロナ班 北井礼三郎、仲谷善一、大辻賢一(京都大学・理)、 郡繁喜(鹿児島大学・水産)、屋敷尚紀(鶴丸高校)、花岡庸一郎(国立天文台)
フレアにおける Haカーネルと 硬X線/マイクロ波放射
縄文海進.
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2011年4月8日.
飛騨データ解析ワークショップ (1) Ayumi Asai 2014/12/9.
縄文海進.
縄文海進.
金環日食観察会&講演会 2012年5月21日(月) 観察会 7:00 ~ 8:30 (受付は6:30から) 講演会@時計台ホール
Ellerman Bombを伴う浮上磁場領域の 偏光磁場観測
磁気浮上領域での太陽ジェットと エネルギー解放
論文紹介 Type IIn supernovae at redshift Z ≒ 2 from archival data (Cooke et al. 2009) 九州大学  坂根 悠介.
南北両半球間を横断する 水蒸気輸送と降水量との関連性
太陽フレアと彩層底部加熱に関する 観測的研究
すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測
地球温暖化の実態と影響 1:古環境から観る温暖化 2:現在過去における影響
新潟大学集中講義 ープラズマ物理学特論ー (天体電磁流体力学入門) 2004年1月19日ー1月21日
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2012年4月13日.
下降流(Downflow)の観測と磁気リコネクション
CMIP5気候モデルにおける ヤマセの将来変化
浮上磁場はこれからだ 茨城大学 野澤恵 2006/6/15 13:30-14:00 東大地球惑星
図表で見る環境・社会 ナレッジ ボックス 第2部 環境編 2015年4月 .
素材集.
MHD Simulation of Plasmoid-Induced-Reconnection in Solar Flares
霧箱を用いた宇宙線と 生成される霧の観測  園田憲一.
仙台管区気象台 気象防災部 地球環境・海洋課 渕上 隆雄
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2012年4月13日.
東北大学理学研究科 惑星大気研究室 M2 佐藤瑞樹
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
観測的宇宙論ジャーナルクラブ 2006年5月22日 成田 憲保 1
フレアリボン内の微細構造で探るエネルギー解放機構
北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 4 年 堺 正太朗
原始星からのX線発見と課題 (r-Ophの)T-Tauri星からX線放射とフレアーの発見
2011年8月9日の巨大フレアに伴う Ha線モートン波とEUV波現象、および プロミネンス/フィラメント振動について (Asai et al
Presentation transcript:

第24太陽周期はどうなるのか 1.観測速報 石井 貴子1、磯部 洋明2、 北井 礼三郎1,2、柴田 一成1,2 1京都大学・理・天文台 2京都大学・宇宙ユニット

X-class flareの数と黒点相対数の年変化 (2 cycles) Cycle 22 Cycle 23

飛騨天文台フレア監視望遠鏡(FMT) 可視光画像 黒点の多い時の太陽 2001年3月27日   飛騨天文台フレア監視望遠鏡(FMT) 可視光画像

Solar cycleごとの黒点の極性と出現しやすい緯度

磁場データで作成したバタフライダイアグラム 黄色:N極、青:S極 極域(pole)の磁場が11年で(極大期のころに)反転している Cycle 23では、北半球で先行黒点がN極、南半球でS極

飛騨天文台 SMART望遠鏡のカレンダー (2008年1月) http://www.hida.kyoto-u.ac.jp/SMART

飛騨天文台 SMART H-alpha 像 2008.01.05 (JST)

SOHO/ MDI 磁場データ 2008.01.06 (JST) 双極黒点の極性が 前のサイクルの 南半球と同じ -> 新しいサイクルの 極性の傾向 出現緯度が 高緯度(N30度付近) => Cycle 24に属する 黒点の出現

その後の黒点数の状況 なかなか黒点が増えてこない 無黒点の日も多い

毎日新聞 2008年9月14日朝刊

マウンダー極小期に テムズ川(イギリス)が 凍った(珍しい)記録 黒点数の少ない 期間が続くと (他に人的要因がなければ) 地球は寒冷化する

太陽活動変動と気候 (紀元前3000年から現在) 気温 氷河の量 黒点数 C14からの推測  黒点数 C14からの推測 http://www2.sunysuffolk.edu/mandias/lia/possible_causes.htm Schaefer, Bradley E., 1997, “Sunspots that Changed the World,” Sky & Telescope, May: Pp. 34-38.

2008年 11月21日 朝日新聞

その後の黒点数の状況 (2009年) あまり様子は変わらない

無黒点日の統計 (Inter national daily sunspot numberを使用) 極大(max_1)と極大(max_2)の間で 一月のうち一日でも無黒点の日があった最初の月(a)と最後の月(b) a-bの間の期間[月] (c)、その期間の無黒点日の総数(d) a      b   c   d max_1   max_2 min 2004.01  2009.04(cont.) 64  609      2000(23) 1994.04  1998.01   46   309 1989(22) 2000 1996 1983.11  1987.07  45   273 1979(21) 1989 1986 1973.07  1977.07  49   272 1968(20) 1979 1976 1961.11  1966.08  58   227 1957(19) 1968 1964 1950.12  1955.10  59   446 1947(18) 1957 1954 1941.11  1945.09  47   269 1937(17) 1947 1944 1930.09  1935.07  59   568 1928(16) 1937 1933 1920.04  1926.07  76   534 1917(15) 1928 1923 過去100年で一番多い (1930年ごろと同程度か  それ以上)

2009年 3月22日 日経新聞 ?

赤字: 新しいサイクルの 極性の活動領域 (12 / 47 regions) 新しいサイクルに 属する領域より 古いサイクルに 2008.01.04以降に出現した全活動領域 NOAA date 10981 1/ 4->1/6 N 10982 1/29->2/4 10983 2/25->2/28 10984 3/ 5->3/6 10985 3/10->3/11 10986 3/15->3/17 10987 3/23->4/2 10988 3/24->4/3 10989 3/24->3/31 10990 4/13->4/15 N 10991 4/18->4/20 10992 4/22->4/24 10993 5/ 4->5/5  S 10994 5/16->5/20 10995 5/16->5/17 10996 5/16->5/21 10997 5/27 10998 6/ 5->6/13 10999 6/16->6/22 11000 7/18->7/20 赤字:  新しいサイクルの 極性の活動領域 (12 / 47 regions) 新しいサイクルに 属する領域より 古いサイクルに 属する領域の方が多い Cycle24は始まったが Cycle23も終わっていない 11001 9/12 11002 9/22->9/23 N 11003 10/ 4 11004 10/ 9->10/10 11005 10/11->10/16 N 11006 10/16->10/17 11007 10/30->11/ 6 N 11008 11/10->11/19 N 11009 12/10->12/12 S 11010 1/ 6->1/13 N 11011 1/18->1/19 11012 2/11->2/13 11013 2/24->2/26 N 11014 3/ 7->3/8 11015 4/22 N 11016 4/30 11017 5/15 N

磁場データで作成したバタフライダイアグラム 黄色:N極、青:S極 極域(pole)の磁場が11年で(極大期のころに)反転している Cycle 23では、北半球で先行黒点がN極、南半球でS極

第24太陽活動周期の始まり具合のまとめ ・ここ20-30年のサイクルと比べて立ち上がりが遅い ・無黒点日は過去100年で一番多い ・黒点が出現していないわけではない ・多分、100年に一度の低活動サイクル (前例がないわけではないので異常と騒ぐのはどうかと思う)

2009.05.08付の黒点数予測グラフ

Polar field ? De Jager and Duhou (2009) here

Predictions of Solar cycle 24 William Dean Pesnell, 2008, Solar Phys., 252, 209