◆徹底検証!パネルディスカッション 社会保障改革の動向と障害者施策への影響

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障害福祉サービスの利用者負担について. ● 障害福祉サービスの利用者負担の考え方 ~障害福祉サービスの利用者負担が変わります ~  障害福祉サービスについても、必要な人すべてが適切にサービスを利用できる制 度(普遍的な制度)を目指します。 → 介護保険や医療保険と同じように、利用した量に応じて支払う仕組み.
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1 経済学-第 12 回 年金① 2008 年 6 月 27 日. 2 社会保険における年金 日本の公的年金制度  現行の制度体系  負担と給付の現状 (1) 保険料 ( 率 ) (2) 国庫負担 (3) 給付額 (4) 支給開始年齢.
第 13 章 制度設定の変更が必要な 社会保障制度. 社会保障制度の重要性と それに対する根強い不安感 不景気の一因 不景気の一因 1997 年以降 かつてない不況 原因 ① 消費税率の引き上げ 原因 ① 消費税率の引き上げ ② タイや韓国を中心とした アジアの通 貨危機 アジアの通 貨危機 ③ 山一證券の経営破綻に代表さ.
第7章 高齢者がいきいきと安心して 暮らせる社会の実現 前田唯衣. 介護保険制度運用 介護保険制度の創設( 2000 年 4 月) 介護保険制度の創設( 2000 年 4 月)  持続可能な制度の構築  認知症高齢者や一人暮らし高齢者への 対応  2005 年介護保険法改正.
年金の基礎年金部分は 全額税方式か、全額保険料か? 椎野、鈴木、篠崎、畑 全額税方式派. 我々の主張 ① 無年金者、低年金者がいな くなる! ②税方式なら将来的にも財源 調達可能! ③国民の負担が重くなる! ① 無年金者、低年金者がいな くなる! ②税方式なら将来的にも財源 調達可能! ③国民の負担が重くなる!
全日本民医連 介護・福祉部 1 「利用者負担増」のメニューが目白押し ○ 利用料の引き上げ(2割負担) ○ 居住費徴収対象の拡大 ○ 補足給付要件の厳格化 ○ ケアプランの自己負担導入 ○ 軽度者の「2割負担」か「生活援助外し 」 地域包括ケアの実現に向けた 新たな施策の提案 ○ 地域包括ケア関連の施策.
1 医療機関の窓口で保険証を提示 <保険証をお届けする時期> ○ 平成20年3月31日の時点で75歳になっている方 ⇒ 3月末までに1人1枚の後期高齢者医療の保険証をお渡しします。 ○ 平成20年4月1日以降に75歳の誕生日を迎える方 ⇒ 75歳の誕生日を迎える日までに後期高齢者医療の保険証をお渡しします。
利用者負担の更なる軽減 【障害児のいる世帯】. 1 障害児のいる世帯の利用者負担の見直しについて ○ 障害児のいる世帯の負担軽減措置について、保護者など家庭の負担が大きいといった事情に 配慮 し、次の措置を講じる。(平成19年度実施) ① 1割負担の上限額の引下げ(現行2分の1 → 4分の1)(通所施設・在宅サービス利用児.
少子高齢化社会と年金 澤崎 下村 戸田 山川 中京大学総合政策学部 大森ゼミⅱ. 労働力の枯渇 生産年齢人口の減少 参照 平成 25 年度総務省「人口統計」 現状 高齢者を労働力として活躍させよう.
1 経済学-第 14 回 年金③ 2008 年 7 月 11 日. 2 日本の公的年金制度 ( 続 )  制度上の問題点 ( 続 )  国民年金第 3 号被保険者問題  離婚のリスクと年金分割.
平成24年度・平成25年度 在宅サービス収支状況比較調査 報告書 平成26年9月 社会福祉法人 大阪府社会福祉協議会 老人施設部会 在宅分科会 調査研究小委員会.
1 経済学-第 9 回 医療保険① 2008 年 6 月 6 日. 2 日本の公的医療保険  制度の目的  制度体系  給付と負担.
~国民経済的な視点から見た社会保障~ 2000/6/14 木下 良太
 地域社保協のための介護保険改定学習会  介護保険改悪に 地域から 立ち向かうために 大阪社保協 日下部雅喜.
4月1日から新しい「地域づくり」が始まります。 地域のみんなで一緒に取り組む介護予防活動を応援します
安心おたっしゃ訪問事業 杉並区保健福祉部 高齢者在宅支援課.
1.高齢者の健康とその支援 2.保健・医療・福祉の連携
 公的年金・定年  引き上げの是非 小瀬村  柏嶋 阿部  藤田.
最低賃金1000円の是非.
老後をみんなで考え、共に生きるためのシンポジウム
ノーマライゼーションかしわプラン策定に向けた基礎調査について
Ⅲ編 要介護・要支援認定特論 特定非営利活動法人ふくし@JMI 理事長 社会福祉士/介護支援専門員 小 湊 純 一.
高齢期に向けた住まいの充実と多機能化の推進
居宅介護支援事業所.
介護予防・日常生活支援総合事業の進捗状況について
利用者負担に関する工賃控除の見直しについて
6.総合事業・整備事業への移行 【参考】大和高田市のケアプラン分析の例
平成18年10月1日から 療養病床に入院する高齢者の 入院時の食費の負担額が変わり、 新たに居住費(光熱水費)の 負担が追加されます
介護ビジネス中国における市場 ー 日本と比較して
後期高齢者医療制度では、生活を支える医療を目指します。
1999年度秋学期 香川敏幸研究会 個別研究 兼 卒業制作 日本の介護福祉の在り方について
D18fu906pr102 社会保険制度 介護保険制度の概要.
高額医療・高額介護合算療養費制度の参考事例
通所施設・在宅サービス利用者の負担軽減措置の拡充について
大阪府高齢者保健福祉計画推進審議会専門部会 委員候補(案)
3月 31日 障害者自立支援法改正法案国会上程 ⇒7月 衆議院解散により廃案 9月 9日 連立政権合意における障害者自立支援法の廃止の方針
Ⅰ 介護保険制度改正の検討状況について 1.制度改正の検討の背景と検討事項
~認知症にやさしいまち柏~ かしわ認知症オレンジ構想(案)
障害者自立支援法案について 厚生労働省.
演 習 Ⅰ 表題「柏市は他の中核市と比較して 弱者が住みやすい街といえるか?」 民生費を中心に考察 2011年7月27日 科目等履修生
資料2 介護保険制度改革の方向.
糸島市 介護予防・日常生活支援総合事業の概要
1年目(28年度)の取り組みから そこで2年目(29年度)は 要介護状態が悪化している方の再発予防は難しい
平成27年度 介護報酬改定について 改定内容(案) 内容 介護報酬のマイナス改定
えっ!75歳以上の 医療費負担が 2倍になるの!? 署名の力で負担増をストップさせよう! 以前は高齢者の窓口負担は無料だった!
第2回 福祉の現在・現在 厚生労働省(2018) 障害者白書 厚生労働省(2016) これからの精神保健福祉のあり方に          関する検討会資料.
◆◆徹底検証!パネルディスカッション◆◆ 社会保障改革の動向と障害者施策への影響
介護支援専門員 ケアマネジャー サービス担当者会議.
平成29年度第1回 川崎市指定介護保険事業者 集団指導講習会
都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
75歳以上高齢者の増大 1 1 実績値 (国勢調査等) 平成18年推計値 人口(万人) (%) 人口ピーク(2004年) 12,779万人
経済学-第11回 介護保険 2008年6月20日.
介護保険制度に ついて!.
公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築(難病に係る新たな医療費助成の制度)
都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
介護保険請求 居宅療養管理指導費の請求方法
歯科健診で、 健康寿命を延ばそう! (健診概要)
天理市第1号訪問事業 (短期集中予防サービスC)について
○ 特別対策等による利用者負担の軽減措置については、 21年4月以降も継続して実施。 ※ 延長年限等については検討中
第1回 第7期西予市高齢者福祉計画・ 介護保険事業計画策定委員会 (当日説明資料 事前送付分)
障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要
認知症ケアパス 在宅生活 家族 地域資源 気づき 軽度 認知症の度合い 重度 終末期 介護・福祉・住まい・住民 地域住民 保健・医療・看護
財政-第23講 6.社会保障財政(4) 2008年7月1日 第1限.
財政-第25講 6.社会保障財政(6) 2008年7月8日 第1限.
全国介護保険担当部(局)長会議資料 ~介護保険制度改正の検討状況等について~
総合事業 【事例集】 H 追加版.
介護保険事業(支援)計画策定のための 地域包括ケア 「見える化」システム等を 活用した地域分析の手引き
介護保険サービス基準設定の基本的考え方について
「効率的で質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」(車の両輪)
春日井市における 介護予防・日常生活支援総合事業の 方向性について
Presentation transcript:

◆徹底検証!パネルディスカッション 社会保障改革の動向と障害者施策への影響 認知症者の介護支援から      みえてくるもの 公益社団法人 認知症の人と家族の会 本部理事 花俣ふみ代

認知症高齢者数の増加 2012年の時点で65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15% 462万人 2012年の時点で65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15% 462万人 認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人             ⇒   65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍” 2025年の認知症患者 現状の約1.5倍となる700万人を超える。 MCI患者数を加えると、約1,300万人        ⇒ 65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍。

75歳以上の4人に1人は同居の家族が介護 ・日本では65歳以上の高齢者が総人口の27.3%を占める ・介護が必要な高齢者の数も増加している。 ・内閣府の『平成26年版高齢社会白書』によれば、75歳以上の約4人に1人は  要介護状態で、その大半は同居の家族により介護がなされている。 ・「平成26年国民生活基礎調査」(平成25年)によれば、もし世帯に介護が 必要な者が出た場合、同居家族が主な介護を担う割合は6割であった。 介護に関わる困難を背景に、介護者が被介護者を殺害、あるいは心中する事件 (以下、介護殺人)が日本各地で生じ続けている。

介護殺人の現状 <警察庁の犯罪統計> 2007年から2014年まで 「介護・看病疲れ」を動機として検挙された殺人;356件 自殺関与;15件                     自殺関与;15件                     傷害致死;21件 <内閣府の自殺統計> 2007年から2015年 「介護・看病疲れ」を動機とした自殺者数;2,515人 そのうち年齢が60歳以上の者は1,506人(全体の6割)   *統計がとられるようになってからまだ10年も経過していないが、    この間に介護・看病疲れによる死亡がこれほどまで多く発生している

死なないで!殺さないで! ~生きようメッセージ~ 死なないで!殺さないで!    ~生きようメッセージ~ 「家族の会」では、「死なないで!殺さないで!                 生きようメッセージ ~同じ介護者から 今、いちばんつらいあなたへ~」     と題し、リーフレットを発行しました。 介護殺人、介護心中といった痛ましい事件が数多く発生しています。 当会では、これまでに「死んでしまいたい!」「殺してしまいたい!」という 同じ思いをした会員から、どうして思いとどまったのか、 今、介護で苦しんでいる人たちに伝えたいこと, という内容のメッセージを募集しました。その結果、 85名から応募があり リーフレットはその声の一部を掲載しています 今たいへんな介護の渦中にいる人へのメッセージとなり、 一人でも多く の人が思いとどまっていただけることを期待して作成しました。

法案の主な内容として ○ 現役並み所得者として利用者の3%にあたる12万人を対象に単身の場合で ○ 現役並み所得者として利用者の3%にあたる12万人を対象に単身の場合で      年収約340万円以上(年金収入のみの場合344万円)は利用料の      自己負担割合を2割から3割に引き上げる。 ○ 大企業社員の第2号被保険者の介護保険料負担が増える「総報酬割」を導入する ○ 自己負担の上限引き上げ ○ 無届けを含め悪質な有料老人ホームの監督を強化する ○ 介護療養型病床の転換先として「長期療養・生活施設」を創設する ○ 市町村に小規模通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)      の新設を認めない権限を与える

その他の見直しについて 保険者である市町村に対する「適切な指標による実績評価」について    要介護認定率の抑制、適正なサービス利用の阻害にならない評価指標 「適切なケアマネジメントの推進等」について    平成30年度介護報酬改定で検討・利用者負担については引き続き検討 「市町村協議制の実効性の確保・対象サービスの拡大について     市町村協議制の強化に当たっては利用者や介護者のニーズを必ず考慮する  生活援助の報酬引き下げ(18年度検討事項)    ・軽度者に対する訪問介護における生活援助やその他の給付の地域支援事業(総合事業)への移行に関 しては、まずは介護予防訪問介護と介護予防通所介護の総合事業への移行や「多様な主体」による 「多様なサービス」の展開を着実に進め、事業の把握・検証を行った上でその状況を踏まえて検討を行う ことが適当である。検証は遅滞なく行う必要がある ・2025年を見据えながら、検証を待つのではなく、その他の給付を含めた速やかな地域支援事業への移行 や利用者負担の見直しなど何らかの対応をすべき

介護保険部会での議論より ~家族の会の立場から~ 介護保険部会での議論より ~家族の会の立場から~ ・当事者や医療、介護現場から反対の声が相次ぎ、また全国の地方議会からも反対の意見書が決議され、 生活援助や福祉用具の全額自己負担化は次期改正では回避された ・新たに生活援助の介護報酬の引き下げ、要介護2までの人の利用者負担を引き上げ る案も浮上しており給付抑制と負担増の動きがやむ気配はない。 ・家族の会としては、2018年度改正に向けたこのような方向は、国の掲げる新オレンジ プランにも介護職離職ゼロにも逆行するものであり、介護保険制度の後退だけでなく、 崩壊の道につながるものと危惧している。 ・社会保障制度の枠組みの中で持続可能な制度とするためにという議論は、当事者に とって大変厳しいものであり、利用者である本人と、介護家族を取り巻く実情、その困難 さを当事者の声として代弁してきた。 ・今後継続されるこれらの課題についても現場からの発信をしっかりと受けとめ、データ や数字にあらわれにくい、誰もが等しく老いて生きることへの現実を見過ごすことなく、 慎重にかつ十分な議論に期待したい

ご清聴 ありがとうございました