T型量子細線レーザーにおける光学利得のキャリア密度依存性

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T型量子細線レーザーにおける光学利得のキャリア密度依存性 CREST研究小川・秋山研合同研究討論会(@阪大 2007.6.26-27) T型量子細線レーザーにおける光学利得のキャリア密度依存性 物性研究所 秋山研 吉田正裕 発表内容 1.研究目的 2.T型量子細線の作製法とレーザー試料構造 3.利得吸収スペクトル測定 4.光学利得のキャリア密度依存性 5.まとめと今後の課題

研究背景と目的 半導体量子細線レーザー 研究目的 理論予測 バンド端状態密度の先鋭化によるレーザー性能向上 低閾値、高微分利得、特性温度の向上 (80s ~) 一次元における強いクーロン相互作用  励起子効果の増大、状態密度発散の抑圧(90s ~) しかし、実験的な検証は今だ不十分。 量子細線構造の作製の困難さや大きな構造不均一性により、 研究目的 In quantum wire, motion of charge carriers electrons or holes is restricted to one direction. In these one-dimensional electron-hole systems, many-body theories predict that the Coulomb interactions between charge carriers are significantly enhanced. Hence, many-body effects, which is strongly related to gain mechanisms of quantum wire lasers become important. In this work, we performed photoluminescence and gain absorption measurements for teh T-shaped quantum wire and quantum wire lasers using microscopy techniques and studied These issues 高品質なT型量子細線レーザーの利得吸収スペクトル測定から、 量子細線レーザーにおける光学利得特性(キャリア密度、温度依存性、etc) 量子細線レーザーでの光学利得発現メカニズム 擬一次元電子正孔系高密度状態との関連 を解明する。

by L. N. Pfeiffer et al., APL 56, 1679 (1990). へき開再成長法 (cleaved-edge overgrowth) CEO growth (110) MBE Growth In situ Cleave (001) MBE Growth [110] [001] substrate GaAs 600oC 490oC T型量子細線 (T wire) by L. N. Pfeiffer et al., APL 56, 1679 (1990).

3周期T型量子細線レーザー試料構造 試料断面構造 レーザー構造 T型導波路中に3周期T細線を形成 キャビティー キャビティー長 : 500μm   as cleaved 光閉じ込め係数 G:    G = 1.3 x 10-3

Spectrometer with spectral resolution of 0.1 meV ストライプ状光励起による導波路発光測定 Excitation Light :cw TiS laser at 1.661eV PL Spontaneous emission (PL) Spectrometer with spectral resolution of 0.1 meV Stripe shape Waveguide Emission Waveguide Emission Emission Intensity Polarization parallel to Arm well

Fabry-Perot フリンジ解析(Cassidyの方法) :Absorption coeff. :Reflectivity hc D. T. Cassidy JAP, 56 3096 (1984). (Free Spectral Range) B. W. Hakki and T. L. Paoli JAP, 46 1299 (1974).

a -a = gmodal = G·G - a int G : material gain a int : internal loss 利得吸収スペクトル crossover energy (chemical potential) a Cassidy法 a int G・Gpk -a = gmodal = G·G - a int Waveguide Emission G : material gain a int : internal loss Emission Intensity

利得吸収スペクトル(3-prd T細線) 励起強度増加に伴い 励起子吸収ピークの減少 (G =1.3x10-3) 励起子吸収ピークの減少 利得ピークの出現   (Y. Hayamizu PhD. Thesis) Crossoverエネルギー位置の 高エネルギー側へのシフト wire Modal Absorption L2 (arm) 更なる強励起 高エネルギー側に急峻な 利得ピーク (L2)の出現 G・Gpk

ピーク利得の励起強度依存性 3 wire laser G = 1.3 x 10-3 G・Gpk 利得発生: 透明励起強度 ~3 mWで、急激に利得が増加。 強励起: 励起強度の増加に伴い、ピーク利得は最大値をとり、以降、減少傾向。 高温でピーク利得最大値が減少。 G・Gpk 課題: 励起光強度 → キャリア密度 n1D への変換

ピーク利得の化学ポテンシャル依存性 高密度領域: mchem ↑ ⇒ Gpk ↓ n1D 増加に伴う、 Gpk の抑制 (励起子エネルギー位置から測った利得-吸収クロスオーバー位置)

PL励起強度依存性からのキャリア密度見積もり 3 x105 cm-1 PL強度 ∝ キャリア密度として、 各励起強度でのn1D算出

ピーク利得のキャリア密度依存性 3 wire laser G = 1.3 x 10-3 Gpk circle integr. triangle lor. fitting Gpk

光学利得の理論計算との比較 利得理論計算 Hartree-Fock vs free-particle approx.     (static screening, low temp.) cal. by Dr. Huai (Ogawa Lab.) 14x6nm GaAs T-wire laser = 0.1E0 (= 0.42meV) gmodal=Γ・Gpk gmodal=13cm-1 Γ=1.3x10-3 (3-prd wire)

光学利得の理論計算との比較2 (自由粒子モデル) 3 wire laser G = 1.3 x 10-3 Gpk

まとめと今後の課題 3周期T型量子細線レーザーにおける利得吸収スペクトルの励起強度依存性を調べた。 利得は励起強度につれて小さな透明励起強度(~3mW)から急激に立ち上がる。 更なる励起強度の増加に伴い、ピーク利得は最大値をとり、以降は減少していく利得変化を得た。 得られた結果は、多体理論から予見されるピーク利得のキャリア密度依存性“ピーク利得の急激な立ち上がりと高密度側での抑制効果”と定性的に一致。 今後の課題 : キャリア密度n1Dの見積もり精度の向上 -- 化学ポテンシャル、PL強度、積分利得 vs. キャリア密度) 利得特性の温度依存性(データ整理中)  多体理論による計算結果との定量的な比較を行う。 ピーク利得、スペクトル形状(幅、形) 、微分利得、....