大阪府青少年健全育成条例の改正(案)について(いわゆる「自画撮り被害」防止のための規制)

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大阪府青少年健全育成条例の改正(案)について(いわゆる「自画撮り被害」防止のための規制) 条例改正の背景と検討経過(SNS等に起因した青少年の性的搾取等への対応に係る審議会からの提言) ■SNS等に起因した青少年の性的搾取等の現状 ■ 大阪府青少年健全育成審議会における審議 ■ 審議会の提言を踏まえた府の対応  ▼SNS等に起因する青少年の性被害は、スマートフォンの普及等に伴い増加   ・平成29年は全国で過去最多の1,813人(平成24年の1.7倍。警察庁公表)   ・罪種別では、淫行(青少年育成条例違反)(38.7%)、児童ポルノ(31.4%)、    児童買春(24.7%)の順に多い。  ▼児童ポルノ事件のうち、特に自画撮り被害が増加   ・平成29年は平成24年の2.5倍   ・画像が一旦ネット上に流出すると完全に消去することは困難であり、被害は深刻  ▼この他、SNS上にはデート援助交際(パパ活)を求める書き込みや、青少年の    使用済み古物を求める書き込み等が多く見受けられる。   ・青少年の健全育成上の問題やこれを端緒に性被害に発展するおそれあり。 ▼SNS等に起因した青少年の性的搾取等への対応に ついて、大阪府青少年健全育成審議会に特別部会 を設置し、集中審議(6/26~10/29 計5回) ▼特別部会からの報告書をもとに本審議会で議論 (11/19) ▼本審議会から提言(11/28)  [特別部会委員]  ・角野茂樹(関西外国語大学名誉教授)  ・松風勝代((社福)大阪府衛生会          児童心理治療施設希望の杜園長)  ・曽我部真裕(京都大学大学院法学研究科教授)  ・園田 寿 (甲南大学法科大学院教授)【部会長】  ・竹内和雄(兵庫県立大学環境人間学部准教授)  ・八山真由子(江口法律事務所弁護士)  ・大西雅美(大阪府立高等学校長協会副会長) ①SNS等に潜む危険性等を伝える    教育・啓発や相談機能の充実・強化に   府教育庁、府警察等と連携し取り組む。 ②国に対し引き続き法改正等を働きかける。   <これまでの要望活動>    ・単独要望(H30.3)     ・国家要望(最重点項目)(H30.6)     ・全国知事会(H30.7)     ・近畿ブロック知事会(H30.8) ③大阪府青少年健全育成条例を改正し、   青少年に対し児童ポルノ(裸の写真等) を要求する行為を規制する。 【審議会の提言の3本柱】   ①青少年や保護者等への教育・啓発及び相談機能の充実・強化が何より重要  ②インターネット上の行為であることから、規制については国に対し法改正等を働きかけるべき   (要求行為への規制、児童ポルノ禁止法の重罰化ほか)  ③上記の取組と併せ、被害の未然防止の観点から可能な限りの対策を講じるため、条例に    よる対応も必要   (画像拡散による二次被害の深刻さを考慮し、自画撮り被害防止のための規制を行うのが適切。     他の被害に関わる規制については引き続き議論する必要あり。) (警察庁公表資料をもとに作成) うちSNS起因 大阪府の自画撮り被害児童数 条 例 改 正 (案) の 概 要 【 参 考 】  1. 規制する行為及び対象 (第42条の2関係) ●自画撮り被害 何人も青少年(18歳未満)に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めてはならない。 自画撮り被害とは、騙されたり脅されたりして青少年が自分の裸等をスマートフォン等で撮影させられた上、SNS等で送らされる被害のこと。 ※児童ポルノ等:児童ポルノ禁止法第2条第3項に規定する児童ポルノ(写真、電磁的記録媒体等)及びその電磁的記録をいう。  3.送ってしまえば、送らせた者は児ポ法(製造罪)違反となる 1.裸の画像を送るよう求める  2.送らなければ嫌われるかも SNS上の誰もが閲覧できる公開領域への書き込みで年齢や性別を偽る等してターゲットを物色。 反応のあった青少年を言葉巧みに非公開領域での個別のやり取りに誘導。 更にやり取りを重ね、好意を抱かせ又は個人情報を掴み、それをもとに要求し、被害へ発展・深刻化する。  ▼児童ポルノ等の製造、提供、所持等については児童ポルノ禁止法の処罰対象(右図中「3.」)であるところ、その前段階である    要求行為(右図中「1.」)について条例により規制する。   ・威迫等の手段を用いず好意を抱かせて児童ポルノを要求するなどその手口は様々であるため、要求行為を方法の如何にかかわらず禁止する。   ・交際相手や友人の場合であっても画像拡散のリスク等があることから、要求相手との関係を問わず何人も対象とする。  ▼「要求してはならない」、「要求に応じる必要はない」という明確なメッセージを発信することにより、要求行為を抑止するとともに、    青少年(被要求者)が相談しやすい環境を整え、被害の未然防止を図る。  ●性的搾取等の類型と適用可能な法令  2. 罰則 (第56条関係) 性的搾取等(要求行為)の 類型 本体行為(被害後)に 適用可能な法令 要求行為(被害前)に係る条例規制(案) 児童ポルノ禁止法 製造違反 (3年以下懲役又は300万円以下   罰金) 禁 止 ・拒まれたにもかかわらず要求 ・威迫、欺罔、困惑、対償供  与等を伴い要求 30万円以下罰金 児童買春又は淫行を要求 児童ポルノ禁止法 児童買春違反 児童福祉法     淫行違反 府青少年条例  淫行・わいせつ違反 規制については、今後、更に議論を深める必要あり (教育・啓発等の取組を   推進) デート援助交際(パパ活)を要求 使用済み古物を要求   など 規制なし 次のいずれかの方法により青少年に児童ポルノ等の提供を求めた者は、30万円以下の罰金に処する。 (ア)青少年に拒まれたにもかかわらず、当該提供を求めた者 (イ)青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする     方法により、当該提供を求めた者 児童ポルノ等の提供を要求  3. 施行日 (附則関係) 平成31年4月1日。ただし、罰則については、同年6月1日。 ※要求行為について、刑法(脅迫罪、強要未遂罪)やストーカー規制法が適用可能な場合あり。