森林土壌学・土壌環境管理学    第1回目講義 土とは何か?.

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森林土壌学・土壌環境管理学    第1回目講義 土とは何か?

土壌とは・・・・ 「地球表面を被う自然物1)であり、空気(気相)、水(液相)、無機・有機化合物(固相)とそこに生息する生物を含む集合体であり、養分・水分の供給や機械的作用により植物を支えているもの2)である。」

土壌は生成因子の複雑な相互作用の中で作られていく 生物 土壌の生成因子 気候 土壌 人間活動 地形 時間 母材 土壌は生成因子の複雑な相互作用の中で作られていく 天然物としての土壌は、基本的にその場所の地質的材料の上に、気候、地形、生物、人間活動が密接に作用して、ある時間にわたり働いた結果できるものである。 しかし、気候や生物の作用は地形の影響を受け、また母材そのものによっても影響を受けるものであり、これらの要因は相互に複雑に関連しあっている。

土壌 固相 無機成分 一次鉱物の破片(砂礫) 二次鉱物(粘土) 有機成分 腐植 液相 土壌水 気相 土壌空気

篠山市篠山町の土壌図

弱乾性褐色森林土  この断面は、地質的には新第三紀の安山岩類から成っています。  表土は薄く(0-27cm、弱い腐植層)、下層土は赤味の強い黄褐色(7.5YR5/6)で、リン酸固定力もやや強く、69cm以下は礫が混在しています。暗赤色土に近いタイプの褐色森林土です。

細粒グライ台地土 灰色台地土と類似していますが、より湿性の強い粘質な土壌です。ほぼ平坦な台地地形上の、地下水位が高い排水不良地に存在するものです。  この断面は、低位段丘上にある重粘土の一種で、地下水位が高く、表土直下からグライ層が明瞭に現れています。85cm深に湧水がみられます。

・熱帯から亜熱帯にかけての安定した地形面に広く分布する。 Oxisol(オキソル)、 ラトソル   ・熱帯から亜熱帯にかけての安定した地形面に広く分布する。    ・風化が極端に進んでおり、易風化物質が乏しく、養分の溶脱も進んでおり、     貧栄養の土壌 Ultisols(アルティソル)   ・温帯から熱帯まで広く分布し、酸性を示す。   ・粘土鉱物はカオリン、ギブサイドなどが主体   ・アメリカ土壌分類によると赤黄色ポドゾル性土とラトソルの一部 ・分類方法によって名称や区分が違う。 ・狭い範囲でも異なるタイプが出現する場合がある。

土壌の区分の方法(1) 成因材料による分類  ・無機質土:風化・侵食作用を受けて、物理的・化学的変化によって生成されたもの  ・有機質土:生物の遺骸が生物的・化学的作用を受けて生成されたもの 堆積形態による分類  ・定積土(ていせきど):岩石や生物が存在した位置で、移動しないで生成  ・運積土(うんせきど):水や風によって運ばれた土壌  ・水の場合:沖積土(ちゅうせきど)  ・風の場合:風積土(ふうせきど)(火山灰) 母岩の種類による分類  ・花崗岩土壌:石英・長石・雲母などを主成分としる火成岩が風化した土壌  ・石灰岩土壌:カルシウムの酸化塩鉱物を主成分とする石灰岩が風化した土壌

土壌の区分の方法(2) 土性による分類 ・砂土(さど) ・壌土(じょうど) ・植土(しょくど) 母材の種類による分類 ・火山灰土壌(アンドソル:Andsol):ローム(loam)ともいう。 ・泥炭土(でいたんど): ・レス土(黄土) 土壌生成からみた分類 ・ポドソル(Podzol) ・褐色森林土 ・赤黄色土 ・ラテライト

土壌は生成因子の複雑な相互作用の中で作られていく 生物 土壌の生成因子 気候 土壌 人間活動 地形 時間 母材 土壌は生成因子の複雑な相互作用の中で作られていく 天然物としての土壌は、基本的にその場所の地質的材料の上に、気候、地形、生物、人間活動が密接に作用して、ある時間にわたり働いた結果できるものである。 しかし、気候や生物の作用は地形の影響を受け、また母材そのものによっても影響を受けるものであり、これらの要因は相互に複雑に関連しあっている。

土壌はその成因と地理的分布の特徴によって成帯性土壌,成帯内性土壌,非成帯性土壌に 3つに大別することができる。 (配布資料参照) 1.成帯性土壌 zonal soils  気候や生物 (植生)の影響が強く現れた特徴をもち,気候帯や植生帯にほぼ一致した帯状分布,すなわち 土壌帯 soil zone を形成している土壌であり,これに属する土壌型は 気候土壌型とか植物土壌型 などと呼ばれることもある。 2.成帯内性土壌 intrazonal soils  気候因子や生物因子の影響よりも母材・地形などの局所的因子の影響が強く反映されている土壌で,成帯性土壌の分布域内に島状に分布することが多い。 3.非成帯性土壌 azonal soils  生成年代がきわめて新しいため,あるいは急峻な斜面でつねに浸食を受けているために土壌断面の発達がきわめて弱い土壌といわれる。

気候・・・緯度に沿った気候帯の識別 土壌・・・気候と植生の影響が大きい 植生・・・気候帯に沿った識別 土壌の分類には気候・植生の分類と比べて、必ずしも成帯性の考えかた当てはまらない場合が多く認められる。 自然分類方式・・・個々の土壌の性質を調べ、それらの共通点からグループ分 群(Great Group)- 亜群(Subgroup)ー 型、系統(Family,Series)

篠山市篠山町の土壌図

狭い範囲に2つの全く異なるタイプの土壌が出現する。

土壌の分類には気候・植生の分類と比べて、必ずしも成帯性の考えかた当てはまらない場合が多く認められる。 気候・・・緯度に沿った気候帯の識別 土壌・・・気候と植生の影響が大きい 植生・・・気候帯に沿った識別 土壌の分類には気候・植生の分類と比べて、必ずしも成帯性の考えかた当てはまらない場合が多く認められる。 自然分類方式・・・個々の土壌の性質を調べ、それらの共通点からグループ分 群(Great Group)- 亜群(Subgroup)ー 型、系統(Family,Series)

土壌の生成因子 1.風化作用・・・粘土の生成と粘土鉱物の変質 2.溶脱作用・・・・土壌断面を表層から下層へ物質が移動すること。  溶解・加水分解などの化学的な過程と温度変化や凍結・融解などの物理的な過程がある。  例えばNa+、Ca2+などが溶脱して、中性条件でFe(OH)3などが沈殿し、やがて長い時間をかけて酸化することで赤みの強い土壌が生成される。 2.溶脱作用・・・・土壌断面を表層から下層へ物質が移動すること。 3.集積作用・・・溶脱されたものが下層に集積 4.グライカ作用・・・・水飽和による嫌気条件で鉄の還元による土壌基質の            脱色作用 5.ポドゾル化作用・・・有機物のキレート作用による粘土鉱物の破壊を            ともないながら、鉄、アルミなどが下層へ移動する。 6. 腐植集積作用・・・・地上部でリターが堆積し、その分解過程で腐植化した            有機物が無機成分と混合して暗褐色ないし黒色を呈する

土壌分類

淡色黒ボクグライ土 排水不良な土地に火山灰が堆積してできた土壌で、地下水位が高く、グライ層が存在する。   この断面は、沖積粘土層(グライ層)の上に樽前系粗粒火山灰が堆積した土壌です。表土(0-35cm)は粗粒火山灰に粘土客土が混在しており、以下35-72cmは斑紋(鉄さび)を持つ粗粒火山灰(Ta-b、軽石)、72cm以下は青灰色の沖積粘土層で、典型的なグライ層となっています。

厚層腐植質黒ボク土 腐植含量は多く、腐植層も厚い火山灰土壌で、未熟質、軽しょう質、ローム質など各種火山灰層からなるものがあります。 土は膨軟で軽く、物理性も良好で、一般的には淡色黒ボク土(褐色火山性土)より生産性が高い。 リン酸固定力は強く、微量養分が欠乏し易い点に注意が必要です。 この断面は、表土(腐植層)は主に羊蹄系の軽しょう質火山灰層(約6000年前)で、50cm以下の層は羊蹄系ローム(1.5~1.8万年前)からなっています。

細粒褐色森林土  この断面は、地質的には新第三紀の安山岩類から成っています。  表土は薄く(0-27cm、弱い腐植層)、下層土は赤味の強い黄褐色(7.5YR5/6)で、リン酸固定力もやや強く、69cm以下は礫が混在しています。暗赤色土に近いタイプの褐色森林土です。

細粒グライ台地土 灰色台地土と類似していますが、より湿性の強い粘質な土壌です。ほぼ平坦な台地地形上の、地下水位が高い排水不良地に存在するものです。  この断面は、低位段丘上にある重粘土の一種で、地下水位が高く、表土直下からグライ層が明瞭に現れています。85cm深に湧水がみられます。

泥炭土 この断面は、表層に数cmの無機質層があり、以下はミズゴケ、ホロムイスゲ、ツルコケモモ、ヤマドリゼンマイなどの植物遺体からなる高位泥炭層です。より下層にヨシ、ハンノキからなる低位泥炭層、低位泥炭を含むグライ化した粘土層などがでる場合もあります。

砂丘未熟土 この断面は、表土(腐植層,深さ0~3cm)の下に漂白層(3~17cm)があり、さらに下に鉄・腐植集積層(22~38cm)があり、土色は2.5YR6/8で赤味が強く、土壌硬度計では24mmとかなり硬くなっています。