第4回
組合と社団 組合 社団 E E 社員契約 組合契約 A D A D 社団 B C B C
持分の意義 社員契約 持分=社員たる地位 =社員契約の(社団側ではない)当事者としての地位 =契約当事者として有する権利義務の総体 社員
会社における持分 社員契約 出資の義務 自益権・共益権付与 元本の償還を保証しない代わりに、利益の分配請求権と経営参加権を付与 社員 会社 ⇒この点が出資(持分・株式)と貸付(債権)との理念的な差異だが、契約自由から両者の境界は曖昧になっている(例:無議決権累積型非参加型優先株、利益参加型永久劣後債)
株式会社における社員契約(株主契約) 出資の義務 自益権・共益権付与 株主の出資が契約の成立要件(34等) (34,63,208等) 自益権・共益権付与 (105) 株主 株式会社 株主の出資が契約の成立要件(34等) 上記①から、社員契約成立時点では株主の義務は履行済みで株主は権利しか有していない ⇒株主としての地位=株主権 ※仮装払込について、改正会社法は履行義務を課す予定 自益権として少なくとも配当請求権と残余財産分配請求権のどちらかを与えなければならない。共益権は与えなくても良い(105Ⅱ)
株式の種類の整理 株式 譲渡 譲渡 自益権 共益権 属人的定め ※斜字体=非公開会社(委員会設置会社除く)のみ発行可(108Ⅰ⑨) 特別の 定めの ない株式 (普通株) 全株式についての特別の定め (107) 譲渡 譲渡制限 (107Ⅰ①) 取得条項 (107Ⅰ②) 取得請求権 (107Ⅰ③) 一部の株式についての特別の定め =種類株式(108) 譲渡 (108Ⅰ④) (108Ⅰ⑤) (108Ⅰ⑥) 全部取得条項(108Ⅰ⑦) 自益権 剰余金 (108Ⅰ①) 残余財産(108Ⅰ②) 共益権 議決権制限 (108Ⅰ③) 拒否権 (108Ⅰ⑧) 取締役・監査役選任(108Ⅰ⑨) 属人的定め (109Ⅱ) ※斜字体=非公開会社(委員会設置会社除く)のみ発行可(108Ⅰ⑨)
自益権に関する種類株式 配当 残余財産分配 自益権に関する特別な定め 混合株 優先株 劣後株 その他 累積的 参加的 非参加的 非累積的 トラッキングストック 残余財産分配 混合株 優先配当後普通株と同様の配当を 行う 行わない 不足額を翌年度に 繰り越す 累積的参加的 累積的非参加的 繰り越さない 非累積的参加的 非累積的非参加的
種類株主総会決議 定款記載事項 108Ⅲにより先延ばし可 譲渡制限 ④ 特殊決議* ・譲渡制限 ・みなし譲渡承認 取得請求権 ⑤ 特別決議 ・取得請求権 ・対価 ・請求可能機関 取得条項 ⑥ 総株主の同意 ・条件または期限 ・一部取得の方法 ・一定の日に取得する旨 ・具体的取得日 ・対価の種類 全部取得条項 ⑦ 特別決議* ・あれば総会決議の条件 ・取得対価の決定方法 剰余金配当 ① ・決定方法(要綱) ・具体的決定方法 ・財産の種類 残余財産分配 ② 議決権 ③ ・議決権行使可能事項 ・あれば議決権行使条件 拒否権 ⑧ ・拒否権行使可能事項 ・あれば拒否権行使条件 取締役・ 監査役選任 ⑨ ・人数 ・共同選任ならその旨と人数 ・あれば変更条件と変更後 ・社外取締役・監査役 ・共同選任する旨と人数
株式共有の考え方 (A) 1株ごとに共有が成立すると考える立場 議決権行使を、共有物の管理とする見解と、共有物の変更とする見解がある 10株を3人等分で共有している場合 (A) 1株ごとに共有が成立すると考える立場 A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) A B C 株式(1株) 議決権行使を、共有物の管理とする見解と、共有物の変更とする見解がある
(B) 共有持分に応じて分割されていると考える立場 A A A B B 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) B C C C A B C 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株)
(C)議決権を果実と考える立場 A A A B B 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) 株式(1株) B C C C
最判H9.1.28 準共有者間において権利行使者を定めるに当たっては、持分の価格に従 いその過半数をもってこれを決することができる・・・。けだし、準共有者の 全員が一致しなければ権利行使者を指定することができないとすると、準 共有者のうちの一人でも反対すれば全員の社員権の行使が不可能となる のみならず、会社の運営にも支障を来すおそれがあり、会社の事務処理 の便宜を考慮して設けられた右規定の趣旨にも反する結果となる 最判H27.2.19 当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更 することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為とし て,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数 で決せられる
利益供与 最判H18.4.10 蛇の目事件 株式譲渡 ○ 立法目的 理由付け 禁止される 供与目的 「好ましく ない株主」 支配権争い への適用 影響 総会屋対策 立法の経緯 反社会的勢力へ の資金の供与 客観的 原則なし 主観的で足りる 支配権維持規制 条文の文言 会社資金での 議決権歪曲 主観的 原則あり 書誌 事件名 対象行為 判決 供与の相手方 理由 最判H18.4.10 蛇の目事件 株式譲渡 ○ 反社会的勢力 会社から見て好ましくないと判断される株主の議決権行使回避目的での利益供与は120条違反 東京地判H19.12.6 モリテックス事件 議決権行使 勧誘 多数派工作 会社提案に賛成する議決権行使の獲得をも目的とするもので正当な目的とはいえない 東京高判H22.3.24 グランド東京事件 (保証) × (相続争い) 亡オーナーの相続人は「会社から見て好ましくない株主」に該当しない