腹腔鏡手術事故 2005/3/31
死亡者の可能性 アメリカのアカデミィ医療研究所による医療事故の報告書(1999.11) ニューヨーク州、コロラド州、ユタ州の1990年代初頭の調査から、全土を推定 入院患者:3360万人(1997)、医療事故による死亡者は毎年、44,000人~98,000人と推定、交通事故43,458人より多い 日本(推測):交通事故死1万人以上か
医師という専門家 外科から内科へ専門を移せる 若い時に取った資格が、死ぬまで使える 実際上、資格剥奪の行政処分を受けない
専門医 資格を得ることで一人前になる マスコミでは看護婦のポカミスが取り上げられる しかし、専門家の失敗が多い コミュニケーション不足が問題
医療訴訟の難しさ 専門性の壁 密室性の壁 封建制の壁 被害者側による立証責任の壁 カルテから事実経過を把握、しかし、資料が破棄されていたり、カルテが書き換えられていることもある 医師同士がかばいあう傾向がある
医療過誤訴訟 従来の医療過誤訴訟の原告の勝訴率は約30% 1998年は45%に増加した 通常の民事裁判では、原告の勝訴率は7~8割
医療事故のリピーター 患者から100万円を超える損害賠償を請求された医療事故を起こした医師が、95年までの20年余りの間で511人 ただ、96年以降の資料を医師会は明らかにしていない 医師の免許は、刑事罰が確定したり、診療報酬の不正請求で摘発されない限り、取り消しや一時停止の行政処分を受けることはない ★専門家の責任
内視鏡手術 傷口が小さいため、治りが早い モニターを見ながら処置する そのために、技術が必要 リスクがある インフォームド・コンセントが重要になる
職能団体 医師会 倫理規定を持っている 学会としての鑑定書を出す 2004年3月に泌尿器学会は、医療ミスが疑われるケースについて公的機関から鑑定依頼があった場合に学会として鑑定書をまとめる「医療安全性評価」の仕組みをつくると発表 かばい合い体質打破へ
倫理規定 専門的能力を持つ 依頼者に忠実 公衆を考慮する 素人から専門家に成長する、そのとき実地の練習が必要になる 外科手術の訓練は、これまで医局任せで、安全対策を含める体系だった教育の仕組みは確立されていない 現在は、内視鏡手術の訓練施設の開設の動きも活発 依頼者に忠実 公衆を考慮する 工学系の倫理綱領はこのポイントが含まれる
医業停止処分 青戸病院の腹腔鏡手術ミスで、手術を行った2人の被告を医業停止2年 手術を了承した上司を、医業停止3ヶ月
建築士 最高裁は、2003年11月、工事監理をすると偽り、実際には名義を貸していただけの建築士にも、欠陥建築に対する賠償責任を問えるとする判断を下した 通常は、工務店が賠償、建築士は隠れている 安全に責任を持つという実感がない 建築士:60万人、設計・監理に20%~25%が従事 いったん資格を取れば、更新手続がなく研修を受ける必要もない 一定レベル以上の建築士を登録する新制度をつくる 2004年より
脳死移植 欧州の主要国:医学界が脳死判定基準を策定、判定されたものを「死体」と扱うのを社会は問題視しなかった 日本では、法律なしで脳死移植を行うには、医療職能集団としての自治の体制が余りに脆弱だった 欧州の主要国:医学界が脳死判定基準を策定、判定されたものを「死体」と扱うのを社会は問題視しなかった これは、医療職能集団が強制参加の身分組織を持ち、自己統治の体制を整えて医療行為を管理しているからだ(日本の弁護士はこれに近い) 日本で脳死移植が少ないのは、医療職能集団が境界線上の医療をその管理下において遂行するだけの統治能力を備えていないからだ 米本昌平(毎日新聞2005年2月27日)