2001.12.4 エルティ総合法律事務所所長弁護士 システム監査技術者 藤 谷 護 人 IPv6とプライバシー問題など 2001.12.4 エルティ総合法律事務所所長弁護士 システム監査技術者 藤 谷 護 人
プライバシー問題の法律的構造 Ⅰ.基本的人権としてのプライバシー権 ・国家権力(特に行政権)と個人との関係 ・国家権力(特に行政権)と個人との関係 1.幸福追求権・人格権(憲法13条) ①国家権力からみだりに関与されない権利 ②国家権力に対する自己情報コントロール権 2.通信の秘密(憲法21条2項、電通事業法) ①通信検閲の禁止(郵便法8条、電通事業法3条) ②漏洩行為の禁止(郵便法9条2項、電通事業法4条2項) 電気通信事業者と利用者との関係
プライバシー問題の法律的構造(つづき1) Ⅱ.私的利益としてのプライバシー ・私人間(個人対企業など)の問題 ・法律要件 ・私人間(個人対企業など)の問題 ・法律要件 1.契約関係(民法415条~) ・売買等の契約に付随する義務としてのプラ イバシー情報取得・蓄積・利用告知義務 ・義務違反-債務不履行、解除、損害賠償 2.不法行為関係(民法709条) ・要件①非公知、②公表、③受忍限度逸脱 ・損害賠償
①情報主体の自己決定権、②利用目的の特定(制 プライバシー問題の法律的構造(つづき2) ・法律的ルールと考え方 1.EUの基本原則 ①情報主体の自己決定権、②利用目的の特定(制 限)、③適量性・品質確保、④安全管理 2.民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の 保護に関するガイドライン(H9.3.4通産省告示98号) 3.個人情報保護法案(H13春国会から継続審議中) ・個人情報取扱事業者の義務:①基本原則遵守義務、 ②従業者・委託先監督義務、③第三者提供の制限など ・罰則:勧告、命令違反-6月以下の懲役又は30万 円以下の罰金
IPv4状況におけるプライバシー問題事例 Ⅰ.Cookieの利用問題 ・無断取得、蓄積、利用 Ⅱ.労働者モニタリング問題 ・無断取得、蓄積、利用 ・プライバシーポリシーなどによる告知 ・債務不履行責任と不法行為責任 Ⅱ.労働者モニタリング問題 ・憲法21条2項の直接適用はない ・電通事業法違反ではない ・労働者の個人情報保護に関する行動指針 (労働省H12.12) ・雇用契約の付随義務違反の責任
IPv6状況におけるプライバシー問題 Ⅰ.問題状況の変化 ・プライバシー侵害脅威の量的・質的拡大 Ⅱ.法律要件の変化 1.契約関係:取得・蓄積・利用告知義務の拡大 2.不法行為関係:受忍限度の相対的低下 Ⅲ.IPv6の仕様決定場面・利用ルール策定場面 への利用者の参画・意見反映