2001.12.4 エルティ総合法律事務所所長弁護士 システム監査技術者 藤 谷 護 人

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個人情報保護講座 目 次 第1章 はじめに 第2章 個人情報と保有個人情報 第3章 個人情報保護条例に規定されている県の義務 第4章 個人情報の漏えい 第5章 個人情報取扱事務の登録 第6章 保有の制限 第7章 個人情報の取得制限 第8章 利用及び提供の制限 第9章 安全性及び正確性の確保 第 10.
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情報漏洩トラブル根絶に向けて 平成20年度 光風台小学校 情報主任 松﨑作成.  要点は6つ ウィニー 個人情報とは?パスワード 情報管理 ウィルスモラル・ルール.
1 個人情報保護について 弁護士法人龍馬 弁護士 舟木 諒,板橋俊幸. 情報化社会 □ 個人情報保護法の概要 2003 年(平成 15 年) 5 月 23 日成立, 2005 年(平成 17 年) 4 月 1 日全面施行。 ◆成立の背景 プライバシー侵害 国際上の問題 住民基本台帳問題 個人情報漏洩問題.
1 1.制度の理解と住民説明 平成 28 年 1 月 個人番号の利用開始(申請者等に対し、各種申請書類へ個人番号の記入を求め る等) このため、窓口担当者を含め関係業務に関わる職員は、住民等からの問合せに対応できるよう、 番号制度への理解を深める必要がある。 ※ マイナンバーホームページ(内閣官房 HP.
マイナンバー研修をすべき理由. © Cells Inc. All rights reserved. マイナンバー研修をすべき理由① マイナンバー対策を怠ると、平成28年以降、 下記手続きが申請できなくなる。 扶養控除申告書 源泉徴収票 支払調書 取得届 喪失届 雇用継続給付 介護給付 育児休業給付.
情報モラルと著作権 道徳・特別活動・総合的な学習の時間. 目次  情報モラル 情報モラル  著作権 著作権  関連する Web ページの紹介 関連する Web ページの紹介.
社会保障・税番号制度について 資料3. 10 番号制度の導入準備について(住基関連) 時期項目いつまでにやること 26 年度 から 既存住基システム改 修完了 26 年度末までに改修を完了させる。 平成 27 年 上半期 既存住基システム連 携テスト 機構が個人番号とすべ.
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禁止行為 開始 再生時間:4分30秒.
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事業用自動車による事故は増加・高止まり、走行キロ当たり事故件数も近年増加
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個 人 情 報 保 護 法(2) 情報社会と情報倫理 第5回.
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第6章 インターネットと法律(後編) [近代科学社刊]
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健康・安全〔事故〕 自転車に乗り 「ながらスマホ」は犯罪? ■指導のねらい  自他の安全面に配慮した行動ができる。
経済活動と法 ~消費者と法~ <特定商取引法>.
技術相談申込書 受付番号: 受付日:平成 年 月 日 貴社名 部署・役職 お名前 ご連絡先 【ご相談の内容】 相談タイトル:
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第1章 日本の統計制度 ー 経済統計 ー.
SNSに 画像を投稿するときは・・・ がぞう とうこう 情報セキュリティ(流出・漏洩),自他の権利(肖像権) ■指導のねらい
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「不 当 利 得」 の 構 造 債権 第一章 総則 第二章 契約 第三章 事務管理 第四章 不当利得 第五章 不法行為.
総合講義B:インターネット社会の安全性 第12回 権利の保護
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「政府標準利用規約(第1.0版)」の概要 「政府標準利用規約(第1.0版)」の概要は以下のとおり。 1.基本的なコンテンツの利用ルール
(平成25年6月25日 各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)
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2001.12.4 エルティ総合法律事務所所長弁護士 システム監査技術者 藤 谷 護 人 IPv6とプライバシー問題など 2001.12.4 エルティ総合法律事務所所長弁護士 システム監査技術者 藤 谷 護 人

プライバシー問題の法律的構造 Ⅰ.基本的人権としてのプライバシー権 ・国家権力(特に行政権)と個人との関係   ・国家権力(特に行政権)と個人との関係  1.幸福追求権・人格権(憲法13条)    ①国家権力からみだりに関与されない権利     ②国家権力に対する自己情報コントロール権   2.通信の秘密(憲法21条2項、電通事業法)     ①通信検閲の禁止(郵便法8条、電通事業法3条)     ②漏洩行為の禁止(郵便法9条2項、電通事業法4条2項)    電気通信事業者と利用者との関係 

プライバシー問題の法律的構造(つづき1) Ⅱ.私的利益としてのプライバシー ・私人間(個人対企業など)の問題 ・法律要件   ・私人間(個人対企業など)の問題   ・法律要件  1.契約関係(民法415条~)   ・売買等の契約に付随する義務としてのプラ     イバシー情報取得・蓄積・利用告知義務   ・義務違反-債務不履行、解除、損害賠償  2.不法行為関係(民法709条)   ・要件①非公知、②公表、③受忍限度逸脱   ・損害賠償

①情報主体の自己決定権、②利用目的の特定(制 プライバシー問題の法律的構造(つづき2) ・法律的ルールと考え方 1.EUの基本原則   ①情報主体の自己決定権、②利用目的の特定(制    限)、③適量性・品質確保、④安全管理 2.民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の   保護に関するガイドライン(H9.3.4通産省告示98号) 3.個人情報保護法案(H13春国会から継続審議中)   ・個人情報取扱事業者の義務:①基本原則遵守義務、   ②従業者・委託先監督義務、③第三者提供の制限など   ・罰則:勧告、命令違反-6月以下の懲役又は30万    円以下の罰金 

IPv4状況におけるプライバシー問題事例 Ⅰ.Cookieの利用問題 ・無断取得、蓄積、利用 Ⅱ.労働者モニタリング問題   ・無断取得、蓄積、利用    ・プライバシーポリシーなどによる告知    ・債務不履行責任と不法行為責任 Ⅱ.労働者モニタリング問題   ・憲法21条2項の直接適用はない    ・電通事業法違反ではない    ・労働者の個人情報保護に関する行動指針      (労働省H12.12) ・雇用契約の付随義務違反の責任   

IPv6状況におけるプライバシー問題 Ⅰ.問題状況の変化   ・プライバシー侵害脅威の量的・質的拡大 Ⅱ.法律要件の変化  1.契約関係:取得・蓄積・利用告知義務の拡大  2.不法行為関係:受忍限度の相対的低下 Ⅲ.IPv6の仕様決定場面・利用ルール策定場面 への利用者の参画・意見反映