ダイナミックシミュレーションの活用と課題

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外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
K2 = [ln K] = ln K2 – ln K1 = K1.
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ダイナミックシミュレーションの活用と課題 (気液平衡ドラムと蒸留塔について) 東洋エンジニアリング株式会社 鈴木剛, 佐々木正和 分離技術会 年会 2006 (早稲田大学) 分離プロセス・システム・シミュレーション S8-01   より抜粋

ダイナミックシミュレータの種類  ・ 集中定数  ・ 分布定数  ・ CFD  ・ 定性

ダイナミックシミュレータの活用  教育  異常・変更時の挙動把握 ... 設計・運転 範囲 ・単位操作の一部 ・単位操作 ・ユニット ・複数のユニット

ダイナミックシミュレータの活用上の事例と問題点  緊急脱圧操作  蒸留塔のコンデンサーのモデリング  運転訓練シミュレータ

緊急脱圧操作 緊急脱圧操作は、プラント異常運転時に一定時間内に内容物を系外に排出する操作。  緊急脱圧操作は、プラント異常運転時に一定時間内に内容物を系外に排出する操作。  API Recommended Practice 521では、15分で、設計圧力の50%または100psig(690kPa)のどちらか低い方まで緊急脱圧する。  軽質炭化水素(液化ガスなど)の場合、脱圧に伴うJoule-Thomson効果で、温度が変わり、材料選定に影響する。

緊急脱圧操作模擬試験 内容物 Methane 64% Ethane 6% Propane 28% Butane 2% 初期温度 20degC 初期圧力  118barA        (超臨界状態) 1.13m 2.75m Material : CS Total Mass : 5.3 tonnes

緊急脱圧モデル Model A Model B 気相および液相の温度は同じ 気相と液相は完全混合 (明確な気液界面はなし) 同左  気相と液相は完全混合   (明確な気液界面はなし)  同左  気液界面が存在し、気相および液相と容器メタルと各々熱交換する。 注: 脱圧中に減圧による液の発生が推算される

緊急脱圧操作模擬試験結果

緊急脱圧操作模擬試験結果

緊急脱圧操作模擬試験結果

緊急脱圧操作模擬試験結果 流体温度については、Model Aが実験値を説明しやすい。  メタル温度については、Model Bが良く実験値に合っている。 実際の現象では  脱圧時の飛沫同伴の影響は?  液面が存在するとき、沸騰はどこで起きるのか?   (気液界面ではなく、液ヘッドがかかっている容器底部での核沸騰)  液だまりの場所

蒸留塔のコンデンサー (Total Condenserの場合) ・応答が比較的速い コンデンサーの伝熱面積を調節する ・冷媒の流速を一定に保持することが可能

蒸留塔のコンデンサー (Total Condenserの場合)             モデリングに必要な変数

蒸留塔のコンデンサー (Total Condenserの場合) 冷媒側で制御するか伝熱面積で制御するか?

蒸留塔のコンデンサー (Total Condenserの場合) Dew-Bubble-Pointの差が大きい場合 冷却水の流速の確保 応答性

運転訓練シミュレータ DCS画面 インストラクタパネル

運転訓練シミュレータ 課題 圧流バランス 差圧の小さい部分の取り扱い (積分ステップサイズと誤差の関係) プロセスプラントに於ける教育訓練の目的では、 現在のダイナミックシミュレータは目的をある程度達成しているが、 実際の挙動とのチューニングが必要であり、 また、運転データの無い領域のチューニングも課題である。 課題 圧流バランス  差圧の小さい部分の取り扱い             (積分ステップサイズと誤差の関係) 単位操作 単位操作を分割する必要が良くある。            さらにモデルのカスタマイズも。 気液2相流 Mixing、気液非平衡(ドラム滞留液)、            エントレイメントの影響。 流れの伝播 液流れの伝播(ダウンカマー)、            気相の滞留量(蒸留塔内のガスホールド                     アップの問題)など。 集中定数系と分布定数系  ハイブリッドシミュレータの必要性 定常シミュレータとの関連 定常解の活用 詳細な運転トレースとこれに関連したデータ収集 今後の改良?

まとめ 安全の検討や教育(技術・技能伝承)のニーズは今後ますます増加すると考えられシミュレータの発展には今後も期待している。  連続系石油・石化プロセスにおけるダイナミックシミュレーションに関して、現時点ではツールは種々市販され適用範囲も拡大しているが多方面の目的をカバーするため個別のツールを工夫しながら使いこなす場合が存在する。  安全の検討や教育(技術・技能伝承)のニーズは今後ますます増加すると考えられシミュレータの発展には今後も期待している。