超伝導回路を用いた 物理乱数発生回路の研究

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超伝導回路を用いた 物理乱数発生回路の研究 山梨裕希、杉浦達郎、吉川信行 横浜国立大学

研究背景 物理乱数発生回路 乱数: セキュリティ応用、シミュレーション 疑似乱数は生成に時間がかかる 暗号通信鍵生成などには、  高品質の真性乱数列(周期、ビット間相関なし)  が必要 物理乱数発生回路

Bucci et al., IEEE Trans. Computer 52 (2003) 403. 半導体物理乱数発生回路 “11010···” Small noise Amplifier Filter Comparator Bucci et al., IEEE Trans. Computer 52 (2003) 403. ランダムな物理現象に起因する ノイズを乱数生成に使用 (熱電流、電子のローカルトラップなど) I would like to introduce the content of my presentation briefly. Random numbers are uses in various applications. Especially, in a cryptographic communication, high-quality true random number train, which has no correlation between each bit, is required to generate the cryptographic key. To obtain the true random number generator, the physical random number generator uses randomness of physical phenomena, such as thermal noises in resisters, are utilized. Up to now, several physical random number generators using semiconductor circuit have been developed. However, the generation rate of the random number remains less than 10 Mbit/sec, because the magnitude of noises is much lower than the logic level of semiconductor circuit. In this study, we have devised superconductive physical random number generator. ノイズの増幅過程が 乱数発生レートを制限 Matsumoto et al., ISSCC2008.

物理乱数発生回路の性能 半導体物理乱数発生回路: 生成レート < 10 Mbit/s 消費電力:10-6 mW/b/s Matsumoto et al. 半導体物理乱数発生回路: 生成レート < 10 Mbit/s 消費電力:10-6 mW/b/s Matsumoto et al., ISSCC2008.

超伝導物理乱数発生回路 シャント抵抗の熱電流をノイズ源として利用 ノイズの増幅過程が不要 シャント抵抗中 の熱電流 “110101···” Noise Source Bias Controller “110101···” SFQ Clock Source SFQ Comparator シャント抵抗の熱電流をノイズ源として利用 ノイズの増幅過程が不要

乱数の発生原理 動作点 49.1 mA Control Current Ictl (mA) 10 mm SFQ Comparator Rs IC 動作点 ノイズ源 49.1 mA IC = 216 mA, Rs = 1.73 W, L = 2.52 pH 10 mm Control Current Ictl (mA) SRL 2.5 kA/cm2 Nb Standard process

超伝導乱数発生回路の特徴 高速動作 (> 10 Gb/s) ノイズの増幅過程が不要 SFQ回路の高速性を利用 小回路面積 並列化が容易 低消費電力 HTSを用いたSFQ回路が利用可 熱雑音を積極的に利用 数個の接合で実現化

乱数列発生実験 220-bit乱数列を4.2 Kにおいて生成(10 kHz) 出力ビットパターンを全て記録 = 49.1 mA SRL 2.5 kA/cm2 Nb Standard process 得られた220-bit (1,048,576-bit)乱数列を評価

乱数のヒストグラム Average: 3.504 Measured bit pattern 101111010001101000110111 ・・・ 5, 7, 4, 1, 5, 0, 6, 7, 5, 7, 1, 3, ・・・ Average: 3.504

自己相関関数の評価 自己相関関数R(n): (nビット離れたビット間の相関の度合い) 異なるビット間で相関は見られず 得られた乱数は真性乱数 N = 220(乱数列の長さ) x(i): i番目のビットの値 異なるビット間で相関は見られず 得られた乱数は真性乱数

SRL 2.5 kA/cm2 Nb Standard process 乱数の最大生成レートの見積り 400 mV SFQ Comparator SFQパルスのプラズマ振動 が減衰する前に次の入力 40 ps 2出力に相関 SRL 2.5 kA/cm2 Nb Standard process SFQパルスの減衰時間 ~ 40 ps 乱数の最大生成レート > 20 Gbit/s

超伝導物理乱数発生回路の性能 1x109 1x1010 超伝導物理 乱数発生回路 10 Gb/s Matsumoto et al.

高速試験で乱数生成レートの上限を決定 より長い乱数列の統計的評価 具体的なアプリケーション まとめ 超伝導物理乱数発生回路を提案 小規模回路において、20 GHzを超える 乱数生成速度が期待できる (2.5 kA/cm2 Nb プロセス) 220-bit の真性乱数列の生成に成功 高速試験で乱数生成レートの上限を決定 より長い乱数列の統計的評価 具体的なアプリケーション