スポーツの最適化 優勝決定可能性問題 スポーツスケジュール問題.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
授業展開#12 コンピュータの扱いにくい問 題. 扱いにくい問題  処理時間がかかる。  メモリを大量に必要とする。  プログラムの優劣、アルゴリズムの優劣 を比較するためには、標準的なコン ピュータで比較する必要がある。  処理時間を計るのに、コンピュータのモ デルとして、チューリングマシンを考え、
Advertisements

模擬国内予選2013 Problem F テトラ姫のパズル 原案:須藤 解答:大友、須藤 解説:須藤.
クラス編成問題クラス編成問題 総合講義のシステム 定式化:和の最大費用流 一番を 100 点に固定 やっぱり 7 : 3 に固定 情報科学演習第 3 前期後期の組み分け.
J: Magical Switches JAG 模擬地区予選 2013 原案:保坂 解答:保坂・楠本 解説:保坂.
スポーツスケジューリング問題 1993年Jリーグの再スケジューリング ver. 6.0
到着時刻と燃料消費量を同時に最適化する船速・航路計画
2行+αチョンプに関する考察 京都大学 ○後藤順一 伊藤大雄.
第1回 確率変数、確率分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
情報・知能工学系 山本一公 プログラミング演習Ⅱ 第3回 配列(1) 情報・知能工学系 山本一公
プログラムのパタン演習 解説.
ネットワーク理論講義補助資料 Text. 組合せ最適化とアルゴリズム 4.5 節 主・双対法 pp
近似アルゴリズム 第10章 終了時刻最小化スケジューリング
「ICT社会におけるコミュニケーション力の育成」 研修モジュール C-6:ポスターセッション
統計学 10/25(木) 鈴木智也.
ある最適化問題 スポーツスケジューリング スポーツスケジューリングとは? 生成方法 プログラムと問題点 2001年2月7日(水)
コンピュータ囲碁の仕組み ~ 将棋との違い ~
フィードバック型復習 理数系科目の成績を大きく伸ばす方法 東大理数学院 塾長 西村 太一.
Pattern Recognition and Machine Learning 1.5 決定理論
ファーストイヤー・セミナーⅡ 第8回 データの入力.
第三回 線形計画法の解法(1) 標準最大値問題 山梨大学.
データ構造と アルゴリズム 理工学部 情報システム工学科 新田直也.
スペクトル法による数値計算の原理 -一次元線形・非線形移流問題の場合-
整数計画法を用いた スリザーリンクの解法 杉村 由花 (東京大学)
アルゴリズムイントロダクション第5章( ) 確率論的解析
1DS04168E 梅根綾花 1DS04184E 清 泰裕 1DS04197P 福井千尋
スコアによるキューブアクションの違い なにが“学会”発表にふさわしいのか考える。結論自体は分かっていた。そこに至るまでのプロセスが新しい。(かもしれない) 少なくとも整理されていて、わかりやすい。また、視覚的に覚えやすい。
A班 ランダム選択に一言加えたら・・・ 成田幸弘 橋本剛 嶌村都.
 Combinations(2)        古川 勇輔.
第6章 2重ループ&配列 2重ループと配列をやります.
Problem C: Princess' Japanese
データ構造と アルゴリズム 知能情報学部 新田直也.
1章前半.
最短路問題のための LMS(Levelwise Mesh Sparsification)
モンテカルロ碁 電気通信大学 村松研究室 下川和也.
計算量理論輪講 岩間研究室 照山順一.
シミュレーション演習 G. 総合演習 (Mathematica演習) システム創成情報工学科
ネットワーク理論講義補助資料 Text. 組合せ最適化とアルゴリズム 4.3 節 Lagrange緩和 pp
プログラミング基礎a 第8回 プログラムの設計 アルゴリズムとデータ構造
割当て問題 • 割当問題の記法・定式化 • 拡張 • 特殊ケース(マッチング) • 3種類のものを割当てる問題.
シャノンのスイッチングゲームにおけるペアリング戦略の複雑さについて
ネットワーク上での社会的効用と個人的効用の対立問題に対するアルゴリズム的研究
ネットワーク理論 Text. Part 3 pp 最短路問題 pp 最大流問題 pp.85-94
アルゴリズムとプログラミング (Algorithms and Programming)
生産計画を立てる • 簡単なバージョン:輸送問題 定式化、最小費用流、バリエーション • 部品組立て計画 定式化、バリエーション
Webの世界へ飛びだそう! 情報の海で溺れないために
前回の練習問題.
講義では、Cプログラミングの基本を学び 演習では、やや実践的なプログラミングを通して学ぶ
訓練データとテストデータが 異なる分布に従う場合の学習
4人版リバーシYoninの解析 情報論理研究室 藤本 侑花
第3回 アルゴリズムと計算量 2019/2/24.
BLACK JACKの作成 ブラックジャックのルール 概要 勝敗の判定 開発中の問題点 Aの扱いについて 配り直し(DEAL) 工夫した点
計算量理論輪講 chap5-3 M1 高井唯史.
連続領域におけるファジィ制約充足問題の 反復改善アルゴリズムによる解法 Solving by heuristic repair Algorithm of the Fuzzy Constraint Satisfaction Problems with Continuous Domains 北海道大学.
数独の解生成と 解に対する番号付け 理学部 情報科学科 渡辺研究室 戸神星也.
近畿大学理工学部情報学科 情報論理工学研究室 赤井 隆純
プログラミング基礎a 第8回 プログラムの設計 アルゴリズムとデータ構造
A path to combinatorics 第3章後半(Ex3.8-最後)
コンピュータにログイン 第1章 コンピュータにログイン 啓林館 情報A最新版 (p.6-13)
ナップサック問題 クマさん人形をめぐる熱いドラマの結末.
短い部分文字列の ミスマッチトレランスを 高速計算するアルゴリズム
指導手順 1 サッカーくじの説明をする。 2 実際に10口まで予想させる。 3 実際のくじ結果をみる。
プログラミング入門 電卓を作ろう・パートI!!.
人工知能特論II 第8回 二宮 崇.
精密工学科プログラミング基礎 第7回資料 (11/27実施)
2017年度 有限幾何学 期末試験 注意:ループと多重辺がないグラフのみを扱う. 問1 次の定理と,その証明の概略を読み,各問に答えよ.
割り当て問題(assignment problem)
情報数理Ⅱ 第10章 オートマトン 平成28年12月21日.
骨組の静定 ・不静定 まとめ ・構造物全体に対して判定式 2k<=>n+s+r (k: 節点数,n: 支持力数,s: 部材数,
グラフの帯域幅連続多重彩色 を求めるアルゴリズム (Bandwidth Consective Multicolorings of Graphs) 西関研究室 西川和秀.
野球での自慢 経営学部経営学科    岡村亮太.
Presentation transcript:

スポーツの最適化 優勝決定可能性問題 スポーツスケジュール問題

優勝決定可能性問題 ・毎年、プロスポーツのシーズン終了間際になると、「○○チームは5位確定」とか、「××チームは自力優勝の可能性が消えた」とか言われます ・マジックとか、○位確定とか、自力優勝とか、降格ラインとか、いろいろな言葉があります。

順位に関する用語 自力優勝:自分が残り試合全部勝てば、他のチームがどれだけがんばっても優勝できる ⇔ 自力優勝できる 自力優勝:自分が残り試合全部勝てば、他のチームがどれだけがんばっても優勝できる ⇔ 自力優勝できる マジック:自分以外の任意のチームに対して、そのチームが残り試合全部勝っても、自分が t 試合勝てば優勝できる  ⇔ マジックが t 確定:今後、残りの全ての試合の勝敗がどのようになっても自分の順位が1通りに決まること

なんでいろいろ調べるの? ・今のチームの有利不利を正確に知りたい。いろいろな角度から知りたい (完全に分かるとつまらないんだけど) ・今のチームの有利不利を正確に知りたい。いろいろな角度から知りたい    (完全に分かるとつまらないんだけど) ・主観的な直感による評価では水掛け論になるので、数理的な指標が欲しい

優勝(びり)の可能性 ・「○○位確定」「自力優勝が消えた」は良く言われるけど、ほんとに優勝(あるいはびり)の可能性がなくなったかどうかを知りたい ・組合せの問題なので、数理的に解が存在する ・組合せ最適化問題として定式化してみる

問題 ・リーグ戦の途中の段階(いくつかの試合は結果がでた)で、あるチーム x が優勝(あるいはビリ)する可能性は残されているか (残りの試合結果の組合せを加えて、チーム x がトップになるものはあるか) ・ x が残りの試合を全部勝つ(全部で最高の結果を出した場合)のみを考えれば良い ・ 順位の評価はいろいろあるが、まずは勝った数としよう

問題を整理 ・整理すると 入力: - チーム x が関わらない、未消化の試合の組合せ - チーム x の最大の勝ち数 z 出力:

最小費用流問題で解く ・各試合(カード)は、どちらかのチームが勝つ ⇒ 各試合を、各チームに分配すると見なせる   ⇒ 各試合を、各チームに分配すると見なせる ・各カードをチームに運ぶ、輸送問題として定式化する 制約を考えると: ・各カードから荷物が1つ出る。行き先はそのカードの対戦チームどちらか ・各チームが受け取る荷物は z を超えてはいけない

輸送問題の実行可能解があるかどうか判定する問題 (輸送問題なので、解は整数)  線形計画で解ける ネットワーク 1 1 1 1 1 1 1 1 残り カード Aチーム Bチーム Cチーム Dチーム z - (現在の 勝ち数)以下 z - (現在の 勝ち数)以下 ・・・・・ 輸送問題の実行可能解があるかどうか判定する問題 (輸送問題なので、解は整数)   線形計画で解ける

・あるチームが、ビリになる可能性は残っているか? ・ 優勝可能性問題を逆さまにして解けばよい (全ての負けと勝ちを反転させる) ビリ可能性判定問題 ・あるチームが、ビリになる可能性は残っているか? ・ 優勝可能性問題を逆さまにして解けばよい    (全ての負けと勝ちを反転させる)

ビリから2番目の可能性判定問題 ・あるチーム x が、ビリ、あるいはビリから2番目になる可能性は残っているか?     (リーグの降格可能性を調べる) - まず、 x がビリになれるか調べる - (なれないとして)、次に他の各チーム y について、 y がビリで、x がビリから2番目になる可能性があるかどうか調べる ・ y はx に残り全て勝つとしてよい (x はビリにはなれないから) ・ x, y 以外のチームはx, y に全て勝つとしてよい   ⇒ x, y 以外のチームの勝ち数が全て x より大きくできるか   ⇒ 同じ方法で解ける

順位が他の基準の場合 ・同様にして解ける場合 -勝ち点制度で、勝ちが2、引き分けが1、負けが0のとき  -勝ち点制度で、勝ちが2、引き分けが1、負けが0のとき  -勝ち負け以外の場合の勝ち点が、普通の勝ちより点数が悪くなるものしかないとき   (Vゴール勝ちなど:その場合だけ考えればよい、   あるいは、両チームの勝ち点の合計が常に一定かつ全ての場合がありうる)

順位が他の基準の場合 ・同様にして解けない場合 - 勝率で評価し、引き分けがある場合(輸送問題にならない)  - 勝率で評価し、引き分けがある場合(輸送問題にならない)  - 一試合での両チームの勝ち点の合計が一定でない場合  - 一試合での両チームの勝ち点の配分に存在しないパターンがある場合   (5-0、0-5、4-1、1-4 はあるが 2-3、3-2がない、など)

うまく解けない場合 ・ 勝率で評価する場合 ⇒ 輸送問題にならなくなる ・ チーム y の勝率 = y の勝数 / (y の勝数+負数) ・ 勝率で評価する場合 ⇒ 輸送問題にならなくなる ・ チーム y の勝率 = y の勝数 / (y の勝数+負数) ・ チーム y の勝率が z 以下     ⇒ (y の勝数+負数) z ≧ y の勝数  ・ 引き分けがあるので、(y の勝数+負数)が定数でない 制約は線形だが、小数解が出るかも   ⇒ 整数計画で解くしかない

うまく解けない場合 (2) ・ 1試合の両チームの勝ち点のパターンがいくつかある場合 (k通りあるとする) なんとか整数計画にしてみよう ・ 試合 i の勝ち点パターンが j のときの    チーム y の勝ち点をsijy とする ・ 試合 i の勝ち点パターンが j のとき1、そうでないとき0となる01変数を pij とする

うまく解けない場合2 ・ チーム y の勝ち点が z 以下 ⇒ Σ sijypij ≦ z      ⇒ Σ pij = 1 for each i まとめると、以下の条件を満たす実行可能解があるかどうかを判定する問題になる Σ sijypij ≦ z Σ pij = 1 pij ∈ {0,1}

実際使えるの? メリット: ・ 降格なし、の情報を早く算定できる ・ 優勝に関してあらたな尺度ができる デメリット: ・ 優勝の望みのないチームは、雰囲気が盛り下がる? ・ 計算がめんどくさい (データをそろえて、プログラムに入力しなければならない)  ← マジックや自力優勝は、手計算でできる

優勝判定問題 ・ 優勝、ビリなど、上位・下位の順位になる可能性があるかどうかを判定する問題を、線形計画(輸送問題)で解ける ・ 線形計画なので、試合数が多くても計算できる ・ 引分ありの勝率、均一でない勝ち点制度などでは線形計画では計算できない ・ 実際の計算は、他の指標に比べて面倒

試合のスケジュール問題 ・ スポーツの試合スケジュールを決めるのは意外と大変 ← いろいろな条件があるから ・ 決める事柄(変数) ・ スポーツの試合スケジュールを決めるのは意外と大変        ← いろいろな条件があるから ・ 決める事柄(変数)  - 各日の試合の組合せ(カード)  - どちらのホームで試合をするか ・ 制約  - 全ての試合を行う  - チームは同時に異なる試合はできない(割当問題)  - ホームとアウェーは同数であること  - アウェーの試合は連続しないこと  - 試合日に球場が使えること

数理計画としてとらえる ・ 制約を満たす(なるべく良い)解(変数の組合せ)を見つける ⇒ 最適化問題     ⇒ 最適化問題 ・ しかし、普通に定式化すると変数の数が多すぎて、ソルバーでは解けない。 ・ さてどうしましょう ・ オリジナルな解法を作った

ホームアウェーのパターン ・ 決めるのは、ホーム・アウェーと組合せ - 組合せは候補数が多い - ホーム・アウェーのほうが制約が厳しい  - 組合せは候補数が多い  - ホーム・アウェーのほうが制約が厳しい ・ まず、可能なホーム/アウェーのパターンを列挙して、 各々に対して解が存在するかどうか調べる

ホームアウェーのパターン数 ・ 各チームが各試合日でホーム・アウェーどちらを行うか決める ・ 制約、及びよく考えられる条件は  - ホーム・アウェーの3連続は禁止  - シーズン開始直後/終了直前のホーム・アウェーの2連続も  - 同時刻に試合を行うチーム数は偶数、かつ半分がホーム  - 前半戦と後半戦は同じスケジュールで、ホームとアウェーだけ入れ替える

ホームアウェーのパターン数 (2) - ホーム・アウェーの3連続は禁止 - シーズン開始直後/終了直前のホーム・アウェーの2連続も  - ホーム・アウェーの3連続は禁止  - シーズン開始直後/終了直前のホーム・アウェーの2連続も  - 同時刻に試合を行うチーム数は偶数、かつ半分がホーム  - 前半戦と後半戦は同じスケジュールで、ホームとアウェーだけ入れ替える ・ 例えば、2連続するホーム・アウェーの数を最小にする   (どうしてもどこかには2連続が発生) ここまで絞り込むと、通常、解はとても少ない (16チームなら1通り?)  ⇒ 列挙する

・ 例えば6チームの場合 1 2 3 4 5 a h h a h a h a a h h a a h a h a h h a ホームアウェーのパターン例 ・ 例えば6チームの場合 1 2 3 4 5 a h h a h a h a a h h a a h a h a h h a こういうものを列挙して、これに割り当てられる カードを調べる

組合せを割り当てる ・ 各カードをある日に割り当てる ・ 条件は、 1. 同一チームが2つのカードに割り当てないこと  1. 同一チームが2つのカードに割り当てないこと  2. 各カードにホームのチームとアウェーのチームをちょうど1つずつ割り当てること 2.の条件から、カードを割り当てられる日が自動的に決まる あとは1.の条件を制約にして割り当て問題を解く   (整数条件が必要)

実際には ・ 好カードはなるべく後にする、という条件が必要 ・ 視聴率があがるような組合せ(人間系?) ・ もっと政治的な思惑が多いかも ・ 夏の高校野球で阪神が甲子園球場を使えなくなるような、そのチーム以外の要因も入る

・ スポーツスケジューリングの紹介 ・ ホーム・アウェーのパターン列挙 ・ カードの割り当て まとめ ・ スポーツスケジューリングの紹介 ・ ホーム・アウェーのパターン列挙 ・ カードの割り当て