建築物の環境配慮のあり方について~温暖化対策部会報告の概要~

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建築物の環境配慮のあり方について~温暖化対策部会報告の概要~ 資料4-2 概要:国は、日本の約束草案及びパリ協定を踏まえ、2016年5月に温室効果ガスの排出量を2030年度に2013年度比▲26.0%(2005年度比▲25.4%)の水準とする地球温暖化対策計画を策定し、ビルや住宅などの建築物におけるエネルギー消費に関わる「業務その他部門」と「家庭部門」の温室効果ガス排出削減の目安を、2030年度にそれぞれ2013年度比約40%(2005年度比約30%)とする高い目標を掲げた。 大阪府は国に先駆けて建築物の環境配慮への取り組を行ってきた。今後も、国に先駆け、中長期的視点に立った建築物の環境配慮への取り組みを期待する。 1.大阪府域における建築物の環境配慮の現状と課題 2.建築物の環境配慮のあり方について (1)建築物省エネ法による省エネ基準適合義務化 ○大阪府は、国に先駆けて、2015年度から10,000㎡以上の建築物(住宅を除く)を新築・増改築 する場合、当該部分を省エネ基準への適合を義務化した。 【省エネ基準】 ・断熱・日射遮蔽性能を求める外皮の基準 ・外皮性能や建築設備の効率性及び再生エネルギーの利用などを踏まえた総合化したエネルギー消費量の基準 ○一方、国は建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)により、 2017年度から2,000㎡以上の建築物(住宅を除く)を新築・増改築をする場合、エネルギー消 費量の基準のみ適合義務化しようとしている。 (2)住宅における省エネ基準への適合率 ○国は、2020年度に住宅についても省エネ基準適合義務化を予定しているものの、大阪府域に おける省エネ基準への適合率は依然として低い。 ○複層ガラス等の設置率も、大阪府と同様の気候の地域と比較すると低い。 (3)建築物環境効率の低下と建築物環境性能表示 ○CASBEEによる建築物環境効率(BEE)の平均値が年々下がっている。 ○建築物環境性能表示は、販売又は賃貸にかかる一定条件の広告を行う際に、表示を義務化 しているものの、府民が建築物環境性能表示を見る機会は少ない。 (4)再生可能エネルギー利用設備の導入 ○再生可能エネルギー利用設備の導入は、届出対象の1割程度に留まってる。 (1)条例による省エネ基準適合義務化対象の引下げ ○建築物の外皮性能の向上は新築・増改築時には比較的対応が容易であるが、建築後は対応 が困難である。建築物の寿命は長いため、外皮の基準は引き続き義務化とすべきである。 ○外皮性能の向上は温室効果ガスの排出抑制に加え、執務環境の向上に寄与し、災害時にも 室内環境維持への効果を期待できる。 ○新築建築物については、建築物省エネ法によるエネルギー消費量の基準の義務化の対象に 合わせ、全国自治体に先駆け、外皮の基準の適合ついても条例の義務対象を引き下げる べきである。なお、仮設建築物等、建築物省エネ法による省エネ基準適合義務化の適用除外 となっているものについては、条例でも適用除外となるよう配慮されたい。 (2)条例による大規模住宅の省エネ基準適合義務化 ○断熱化による外皮性能の向上は、温室効果ガスの排出抑制に加え、長く快適に住むことがで き、ヒートショックの予防にもなる。暖かい住まいが住宅内での循環器疾病の予防に繋がる。 ○国及び全国都道府県に先駆け、環境への負荷が大きいと考えられる床面積の合計が10,000 ㎡以上かつ建築物の高さが60m超の超高層住宅の新築・増改築時に省エネ基準への適合 を義務化し、住宅の性能向上に取り組んでいくべきである。 (3)建築物環境効率の低下と建築物環境性能表示 ○CASBEEによる建築物環境効率(BEE)の平均値を向上させるには、建築物環境性能表示が 人目に触れる機会を増大させることにより、建築主の意識を高めることが重要。  工事現場への表示を義務化すべきである。 ○府民が一層見たくなる表示とするよう、エネルギー削減率(建物の燃費)の表示、健康にも寄 与すると考えられる断熱性能・遮熱性能の表示など、内容について検討されたい。 (4)再生可能エネルギー利用設備の導入 ○屋上緑化など設計の多様性が必要となるため、設置の義務化は難しい。ZEBの進展による技 術革新の動向などを見ながら方策を検討されたい。 ○再生可能エネルギーだけでなく自然エネルギー利用促進なども、共に検討されたい。 用途 床面積の合計 新築の場合 外皮(断熱・遮熱) エネルギー消費量 (設備) 非住宅 10,000㎡以上 条例により義務化 (2015年~) 2,000㎡以上 法により義務化 (2017年~(予定)) 用途 床面積の合計 新築の場合 外皮(断熱・遮熱) エネルギー消費量 (設備) 非住宅 2,000㎡以上※ 条例により義務化 (2018年~) 法により義務化 (2017年~(予定)) 10,000㎡以上 ※外気に開放された部分の床面積を除く