疫学概論 情報の要約 Lesson 3. 情報の要約 (率、比、割合) S.Harano,MD,PhD,MPH.

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疫学概論 情報の要約 Lesson 3. 情報の要約 (率、比、割合) S.Harano,MD,PhD,MPH

情報の要約 たいていの公衆衛生上の疑問は人口集団についての疑問である。 人口集団の特性についての情報や人口集団における変化はしばしば指標 index の形で要約される。

情報要約に用いる指標 比 ratio はある数を別の数で割った a/bという分数の形で表される、性質の異なる2つの事象や発生の対比による頻度である。   例:クラスの男女比 男/女 割合 proportion は分子が分母の一部である比で、a/(a+b) で表される相対頻度である。   例:クラスの中の男の割合       男/クラスの総数

情報要約に用いる指標 (続き) 率 rate はある時期におけるある事象の頻度をその期間にその事象をとりうる可能性のある数で割った比である。   例:ある日にクラスで眼鏡をかけている者     眼鏡/クラス総数 (欠席者いれる) 率は割合となる場合とならない場合がある。

比の性質 R = a/b 比 R は時に10、100、1,000、100,000といった定数をかけて整数化する。 R は常に > 0

比の例-1 R = 7月に観察されたA市のAIDS患者数/ 7月に予測されたA市のAIDS患者数 例えば、40人/20人 = 2 この場合には単位なし

比の例-2 R = 病院数/人口 Rは定数 k = 10,000 をかけることがある。 この場合、単位は人口10,000当たりの病院数         = ひとり当たり0.0002 病院 R×k = 人口10,000当たり2病院

割合の性質 n = ある集団の総人数 x = 同じ集団内である特質Xを持つ人数 p = ある集団内で特質Xを持つ人の割合 = x/n p の値は0から1の間(pは分数) p には単位がない 時に10、100、1,000、100,000といった定数をかけて整数化

割合の例 死亡割合 Proportional mortality 1995年、アフリカにおける5歳未満の全死亡は53%

率の性質 暦日期間は率の分子、分母ともに同じである。 率とは単位時間当たりにおける事象の相対頻度を表す。

率の例-1 累積死亡率 Cumulative mortality = (期間内の死亡数)/(観察開始時点での人数) 分母は観察人年でない 値の範囲は 0~1  累積死亡率は比であり、割合である。

率の例-2 年間粗死亡率 Annual crude death rate = (1暦年間の総死亡数)/(年央人口) 年央人口はその年の観察人年の近似値 値の範囲は 0~∽ (観察開始時点の人口より少ないから) 年間粗死亡率は比であるが、割合でない。

率の例-3 乳児死亡率 Infant mortality rate (IMR) = 1暦年間の出生 1,000当たりの乳児(1歳未満)の死亡数 IMR は比である。 IMR は割合か?   ・・・・・・割合ではない!なぜなら、分子は分母の一部とは限らない。 乳児の中には前年に生まれたのが含まれる。

人年法 Person-year (人時間法 Person-time) ひとりひとりは以下の理由である事象のリスクに曝露している期間がそれぞれ異なっている可能性がある。 観察期間の遅い時期に観察対象に入れられる。 観察期間の早い時期に観察対象より除かれる。 観察される事象が表れる時期が異なる。

人年法 Person-year (続き) 人年 = 人数と期間の組み合わせ =(ある期間リスクに曝露された人数× その曝露期間)の合計 人年 = 人数と期間の組み合わせ     =(ある期間リスクに曝露された人数×     その曝露期間)の合計 この値は率の分母に用いられる。 1人を2年間観察しても、2人を1年間観察しても2人年 期間により、人日、人週、人月

人年法の例-1 調査開始 調査終了 対象者 1 2 3 4年目 A B C D E 観察開始 発病 死亡

人年法の例-2 観察した人年(5年のうち) 死亡まで見た 罹患まで見た A 3 2 B 1.5 C 5 4 D 1 E 0.5 0.25 平均 12.0 8.75

人年法の例-3 5症例を5年間にわたって観察した結果 死亡率 = 2人/12.0人年 = 100年間に16.7人 死亡率 = 2人/12.0人年        = 100年間に16.7人 罹患率 = 5人/8.75人年        = 100年間に57.1人