ある眼科医院で 目の具合が悪くなって眼科に行った。医者は、あなたの話をしばらく聞くと、おもむろに自分の眼鏡を外し、それをあなたに手渡して言う。 「これをかけてごらんなさい。私はこの眼鏡をかけて、もう十年になりますが、本当にいい眼鏡です。家に同じものがもうひとつあるから、これはあなたに差し上げましょう」 そう言われて、あなたはその眼鏡をかけてみるが、目の調子は一向によくならない。 「これはひどい。何も見えません」 「どうして?私はそれでよく見えるんだから、もっと頑張ってごらん」 「頑張ってますよ。でも何もかもぼやけて見えます」 「困った人だ。もっと前向きに頑張りなさい」 「とにかく、何も見えません」 「何を言ってるんだ。こんなにあなたのことを助けようとしているのに」 (「7つの習慣」より抜粋)
場面は変わって,ある家庭で 「ねえ、どうしたの。言いにくいんだろうけど、お母さんはね、あなたのこと、分かってあげたいだけなの。本当よ」 「どうかな。母さんは、きっと馬鹿みたいな話だって言うに決まってるさ」 「そんなことはないから、言ってごらんなさい。お母さんほどあなたのことを大切に思っている人はいないんだから。本当にあなたのことを心配しているのよ。なぜ、そんなに落ち込んでいるの」 「別に」 「いいから、言ってごらんなさい」
続き 「本当のこと言うと、学校がいやなんだ」 「何ですって?!」そこで母親は急に声を荒らげ、 「学校がいやってどういうことなの。あなたの教育のためにどれだけ犠牲を払ってるか分かってるの。教育はあなたの将来の基礎なのよ。お姉ちゃんのように勉強していれば、成績も上がるし、学校だって好きになるわ。何回言えば分かるの。やればできるのに、ちゃんと勉強していないだけなのよ。もっと頑張らないと。一所懸命やらないとだめよ」 しばらくして,また母親が口を開く. 「で,どうしたの?」((「7つの習慣」より抜粋)
共感形成を阻害するのは? 4
先程の絵を巡る夫婦喧嘩 夫 「どうだい,ちょっと値が張ったんだけど,なかなか素敵な絵だろう.飾るのは客間がいいと思うんだが」 夫 「どうだい,ちょっと値が張ったんだけど,なかなか素敵な絵だろう.飾るのは客間がいいと思うんだが」 妻 「あなた,なんでまた,こんな気味の悪い絵を買ってきたの」 夫 「この女の子のどこが気味が悪いのさ.後ろ向きで顔が見えないからのっぺら坊だろうって?全く君ってのはへそ曲がりな見方しかできないんだね.絵に嫉妬してるの?」 妻 「あなたこそ,頭がどうかしちゃったんじゃない.こんな気味の悪いお婆さんを女の子だなんて」 夫 「へそ曲がりという評価は訂正しよう.滅茶苦茶だ.可愛い少女をお婆さんだなんて,頭がどうかしたのは君の方だ」 妻 「高いお金を出して気味悪い絵を買ってきただけでも充分なのに,その上にとんでもない嫌がらせをする人なんかと,もうこれ以上一緒にいられないわ」 5
共通の土台に立っていることを忘れる 医療者側から Monster Patient 裁判・医陪責 コンビニ受診 患者側から ドクハラ 医療過誤 たらい回し 絵の見方を変えると若い女性の後姿にも,老婆の横顔にも見える.どちらの見方が正しいか論争するのは無意味.不毛.無駄.お互いにそういう見方があると認めると,この絵に対する人々の行動の落しどころが見えてくる.例えば,どこに飾るとか,誰への贈り物にするとか,いくら値段をつけるとか. 6
なぜ,後方なのか? 戦場では前からたくさん弾が飛んでくる この上に後ろからも弾が飛んできては体中穴だらけ だから後方にある味方の陣地から決して弾が飛んでこないようにする 特別なコミュニケーション訓練の場は必要ない その時,その場で得られて継続する成果 例えば,嫁姑の争いは,確実に自分めがけて飛んでくる.回避行動を取らなければ命中率100%である
最も狭き門から入れ (「世界平和のために何をしたらいいのか」と聞かれて)帰って家族を大切にしてあげて下さい。 平和は微笑みから始まります。1日5回あなたが本当は笑顔を見せたくない人に微笑みか けなさい。それを平和のためにするのです。 8
あなたのため =自分の価値観の押しつけ =俺の言う通りにしろ
あなたのため?って本当ですか? 実は自分の価値観を押し付けていませんか? 自分はこんなにあなたのためを思っているのに・・・ 眼科医の眼鏡→患者無視 おかあさんの「教育」→子供無視 自分はこんなにあなたのためを思っているのに・・・ 自分の価値観を受け入れない相手に対する攻撃 思うように相手をコントロールできないストレス→自己攻撃 相手はあなたをどう思っているでしょうか? こういう関係は他にもあるのではありませんか? 例えば,「全ては患者様のために」というスローガン
相互非難の関係を脱出するために まずは自分の家庭から 「あなたのため」の罠を意識する 自分の価値観の押し付けを排除する まずは相手を理解する必要性を認める 相手を理解するためには 愛する(慈しむ・好奇心を持つ) ひたすら相手の話を聴く すると相手も自分を認めてくれる お互いから学び,向上する関係ができる
3分間だけでいい ディスプレーから目を離し キーボードから手を離し 相手に正対して座り 相手を直視して 3分間黙って聴く 聴く=愚痴を聴く 絶対に30秒以内に解決策を言わない!