微細ショットピーニング加工による 金属部品の機械的特性の向上

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微細ショットピーニング加工による 金属部品の機械的特性の向上 塑性加工研究室 上杉 秀人 測定距離 / mm 変位 / mm 通常サイズのショット     切り欠き効果 通常サイズのショット (d = 0.6~1.0mm) d = 0.6~1.0mm d = 0.1mm以下 圧縮残留応力 のピーク値 測定距離 / mm 変位 / mm 微細ショット     表面粗さ減少 微細ショット (d = 0.1mm以下)

表面近傍のクラック発生を抑制し,疲労寿命の更なる向上 微細ショットピーニング 表面近傍のクラック発生を抑制し,疲労寿命の更なる向上 本研究 微細ショット 超硬合金製 アモルファス合金製 鋳鋼製 直径:d = 1.0,0.1 mm 比重:7.5 硬度:490 HV 直径:d = 0.1 mm 比重:14.0 硬度:1405 HV 直径:d = 0.1 mm 比重:7.5 硬度:925 HV 1.0mm 1.0mm 1.0mm 塑性変形量 大 圧縮残留応力 大 温間ピーニング

加工条件 圧縮空気 投射圧力 :p = 0.3,0.6,0.8 MPa 供試材料 低炭素鋼S25C (硬度:176 HV) 浸炭鋼SCM420 (硬度:863 HV) 形状:φ25×10 微細ショット C = 100 % カバレージ

低炭素鋼におけるショット材質の影響 ~表面粗さの変化~ 加工温度 : 室温 微細ショット   表面粗さを 1/2に低減

~残留応力分布~ 投射圧力 : p = 0.6MPa 加工温度 : 室温

浸炭鋼におけるショット材質の影響 ~表面粗さの変化~ 加工温度 : 室温

~残留応力分布~ 投射圧力 : p = 0.6MPa 加工温度 : 室温 超硬合金製ショット 圧縮残留応力が 約2倍に向上

温間ショットピーニング加工 被加工材 冷間加工(硬) 加工量 少 供試材料 ・ばね鋼SUP9A 硬度:546 HV  400 ℃ 高温焼戻 被加工材 温間加工(軟) 加工量 多

高温焼戻処理ばね鋼への温間ショットピーニング ~温度変化と残留応力分布の関係~ 応力測定位置 : 表面近傍 焼戻温度 未加工 高温焼戻処理ばね鋼 加工温度300℃付近が最適 焼戻余熱の利用  消費エネルギの低減

冷間工具鋼への微細ショットピーニング加工 微細ショットピーング 加工硬化による 耐摩耗性の向上が期待 ・冷間工具鋼SKD11 (硬度:766 HV) 供試材料

~硬度分布~ 投射圧力 : p = 0.6 MPa 加工温度 : 室温

大越式摩耗試験 試験片 比摩耗量測定部 ~摩耗試験結果~

微細ショットを用いることで,表面粗さの低減と 材料表面近傍の圧縮残留応力が向上できた. ばね鋼に対する温間ピーニングの最適温度300℃ まとめ  微細ショットを用いることで,表面粗さの低減と   材料表面近傍の圧縮残留応力が向上できた.  ばね鋼に対する温間ピーニングの最適温度300℃    付近であり,余熱を利用して加工することで消費   エネルギの削減が可能となる.  高硬度な超硬合金製,アモルファス合金製ショットにより,     冷間工具鋼の耐摩耗性が向上できた.