CCDを用いた星像中心決定実験の結果 ○矢野太平(理研)、郷田直輝、小林行泰、辻本拓司(国立天文台)

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CCDを用いた星像中心決定実験の結果 ○矢野太平(理研)、郷田直輝、小林行泰、辻本拓司(国立天文台) 山田良透(京大理)、官谷幸利、荒木博志、田澤誠一、浅利一善、鶴田誠逸、花田英夫、河野宣之(国立天文台)

Introduction 星像中心の高精度位置決定はJASMINE計画でのアストロメトリ観測に必要かつ重要な技術である。 での星の位置決定を目標としている。 この時、一検出器一回あたり、およそ 1/300ピクセル程度の精度を必要とする。

星像中心決定アルゴリズム 相対的位置は変わらない2つの擬似星像の重心間距離を測定する。重心は1ピクセルのどのような場所にあるかにより真の星の中心位置とずれが生じる。従って重心間距離は測定されるピクセルの位置によって異なる。この測定されるピクセル位置と重心間距離の関係を調べることにより、高精度で星像中心を求める。

実験装置仕様

検出器模式図

具体的手法 ●2つの星をピックアップ ●2つの星について星の重心を含むピクセルを中心に9×9ピクセル取り出し重心を求める。 ●真の中心と重心のずれ(誤差)は重心のピクセル中心からのずれ(重心の座標Xc)に比例するとした1次の補正を行う(比例係数k)。      誤差 Xa-Xc=k×Xc  (Xa:真の中心座標) ●多くの測定点を満たすパラメータkを最小2乗法により求める。

アルゴリズム表式 星1について Xa1=Xc1 + k1Xc1 星2について Xa2=Xc2 + k2Xc2 関数Iを次式で定義 I=0 (Xc2>Xc1) I=1 (Xc1<Xc2) 相対的距離 |δXa| は |δXa|= Xa2 - Xa1 + I = Xc2 - Xc1 + k2Xc2 - k1Xc1 +I = (1 + k2)(Xc2 - Xc1) + (k2 - k1)Xc1 +I ≡αΔ+ βXc1 + I  α=(1 + k2) β= (k2 - k1) γ= - |δXa| Δ= (Xc2 - Xc1)

この式を出来るだけ満足するようにパラメータ k1, k2 アルゴリズム表式(続き) この式を出来るだけ満足するようにパラメータ k1, k2 を求めたい。すなわち、最小2乗法を用いる。 S=∑{αΔ+ βXc1 + γ+ I} 2 α∑Δ2  + β∑ΔXc1 + γ∑Δ +∑IΔ =0 α∑ΔXc1 + β∑Xc12  + γ∑Xc1+∑IXc1=0 α∑Δ + β∑Xc1  + γ∑1 +∑I =0 得られたパラメータより、真の中心値Xa1, Xa2 が得られる。 α=(1 + k2) β= (k2 - k1) γ= - |δXa| Δ= (Xc2 - Xc1)

解析結果

解析結果(続き)

結果 ●現段階で300分の1ピクセル程度の精度が達成された。今回の実験ではポアソンノイズにより、理想的にいって、300~350分の1ピクセルが限界であるのでかなり良い結果が得られている。またこれはJASMINE計画を遂行するにたる精度である。 過去の記録 2002年  9月 100分の1達成 2002年 12月 300分の1達成(アルゴリズム改良)

今後 500分の1ピクセル以上の精度になると現在用いている一次補正では充分でなくなり、3次の補正が必要となる。 また、ピクセル内の感度ムラも影響する可能性があり、これを検討する必要がある。

今後(続き) すでに位置測定の誤差分散が300分の1画素まで達することが出来た。ただし、 光学系による歪曲のため検出器上での2点間距離はひずみを受けいる。この歪曲の補正も1次補正のアルゴリズムの原理を用いて補正をおこなう計画である。