演習問題1の解説 電源電圧 E, 内部インピーダンスが Z0 の電源に、伝搬定数が g , 特性インピーダンスが Z0, 長さ が l の線路が接続されている。これに等価な電圧源 を求めよ。さらに、線路が無損失なら、それはどのように表わせるか? ただし、sinh(iθ) = i sinθ, cosh(iθ)

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演習問題1の解説 電源電圧 E, 内部インピーダンスが Z0 の電源に、伝搬定数が g , 特性インピーダンスが Z0, 長さ が l の線路が接続されている。これに等価な電圧源 を求めよ。さらに、線路が無損失なら、それはどのように表わせるか? ただし、sinh(iθ) = i sinθ, cosh(iθ) = cosθ である。 l g , Z0 E Z0 E Z0 Eeq Zeq 等価電圧源 前回の演習問題の結果から、 線路が無損失なら α = 0 なので、γ = jβ となり、

演習問題2の解説 全長400kmの線路がある。その受電端を短絡した場合、送電端から見たインピーダンスの値が j250Ω、また受電端を開放した場合、送電端から見たアドミタンスの値が j1.5×10-3 Ʊであった。この線路の伝搬定数 γ 、特性インピーダンス Z0、および1km当たりのリアクタンス X、サセプタンス B を求めよ。 400km Il V0 = 0 Vl ZS = j250 Ω g Z0 短絡 l = 400km I0 = 0 Yo = j1.5×10-3 Ʊ g Z0 開放 V0 = 0 のとき I0 = 0 のとき

演習問題2の解説 従って、 また、 より、 従って純虚数となるためには、α = 0でなければならず、 よって、 γ ≈ j1.37×10-6 m-1 α = 0ということは、R = G = 0、つまり、無損失線路である 従って、 上式を解いてやれば、X= 0.56 Ω/km、 B= 3.4×10-6 Ʊ/km が求まる

複合線路 2種類の線路の縦続接続 V0 I0 I2(x) I1(x) ZL Z01 g1 Z02 g2 V2(x) V1(x) x = 0 各々の線路上の電圧、電流 および Z01 g1 Z02 g2 接続点(x = 0)での電圧、電流 電圧および電流フェーザの方向 電圧波および電流波の進行方向 ただし、 (9.1)式 (9.2)式

複合線路 負荷インピーダンス ZLが第二の線路の特性インピーダンス Z02に等しいか、或いは第二の線路が無限に長いとき、第二の線路上に反射波はない。 Z02 x=0 Z01 g1 g2 V0 I0 即ち、 従って、 両式より     を消去すると、 電圧反射係数 電流反射係数 両式より     を消去すると、 電圧透過係数 電流透過係数

複合線路 接続点における電圧 V0および電流 I0によって、各線路上の電圧および電流を表せば、 より、 上式を(9.1)式、(9.2)式に代入して、 入射波電圧 反射波電圧 入射波電流 反射波電流 一様な線路上の任意の点には入射波と反射波が存在するかも知れないが、一様な線路の途中で新たな反射波が生じることはなく、その点での反射波は、線路の不連続点(受電端とか接続点とか)において発生した反射波が、その点を通って送電端の方へ戻っていく途中のものである。

3種類の線路の縦続接続 Z03 x = 0 Z01 g1 g3 Zi l Z02 g2 x = - l G23 無反射 各線路上の電圧 Vn(x) (n = 1, 2, 3)および電流 In(x) (n = 1, 2, 3)は、 負荷を第 3の線路の特性インピーダンス Z03に等しいとすると、 第2と第3の線路の接続点(x = −l)における反射係数 G23は、 或いは、 従って、第1と第2の線路の接続点(x = 0)より右を見たインピーダンス Ziは、

3種の線路の縦続接続 従って、x = 0の点において、第1の線路から負荷方向を見た反射係数 G は、 ただし、 と置いた さらに変形すると、 さらに、右辺第2項中の真中の因数を無限級数に展開して、

3種の線路の縦続接続 ただし、 Z03 x = 0 Z01 g1 g3 l Z02 g2 x = - l G23 1次反射 送電端より 1 受電端へ 1次伝達波 2次反射 3次反射 2次伝達波 3次伝達波

複合線路と縦続行列 Z01, g1 Z02, g2 l1 l2

或いは、特性インピーダンス ZLの半無限長線路 線路を通して見た負荷のインピーダンス 受電端にインピーダンス ZL の負荷或いは特性インピーダンス ZL の半無限長線路を接続した線路の、受電端からの距離 x の点から負荷側を見たインピーダンス Zin は、 Z0 g I0 V0 x =0 x Zin ZL 或いは、特性インピーダンス ZLの半無限長線路 Ix Vx V0 = ZLI0 従って、 伝送線路が無損失線路(α = 0, γ = jβ)の場合は           より、  

1/4波長インピーダンス整合 例 9.1.1 特性インピーダンスが Z01および Z02の線路の間に、特性インピーダンス Z0, 伝搬定数 g0 = jb, 長さ l の無損失線路を挿入する場合について考える。 Z01, g1 Z0, b0 l Z02, g2 Z1 Z2 特性インピーダンスが Z01および Z02の両端線路が半無限長であるとすると、 Z01の線路との接続点から右方を見たインピーダンスを Z1 Z02の線路との接続点から左方を見たインピーダンスを Z2 とすると、 となる。 ここで、l = l/4であるように長さを定めれば、 であるから、 となり、 のとき、 となる。 これを、1/4波長インピーダンス整合または1/4波長インピーダンス変成器と呼ぶ。

無損失線路の伝送式 線路上の点 x (受電端をx = 0)における電圧、電流 V0 I0 Vx Ix x x = 0 Z0 g p.170 式(8.25) R = G = 0の線路、即ち無損失線路では a = 0より、g = jbとなり、線路上の点 x における電圧、電流は以下の式で与えられる。ただし、V0, I0は受電端の電圧、電流 の公式を使用した 入射波と反射波成分で表せば、 p.169 式(8.23)参照

無損失線路の伝送式 位置 x での電圧反射係数 (前々回スライド p.9参照) 受電端での電圧反射係数 Vx , Z0 Ix を、受電端での電圧反射係数 Γ0 を用いて表せば、

線路上の電圧、電流の円線図 受電端の反射係数G0を極形式で表すと、 Vx と Z0Ix とを、   を基準フェーザにとって作図すると、下図のようになる。 VxがZ0Ixに対して位相が進んでいる場合: 誘導性、遅れている場合: 容量性

線路上の電圧、電流の円線図 x の場所を動かしていくと、下図のように Vx と Z0Ix とが同相になることがある。 この時、点 x から受電端を見たインピーダンスは純抵抗 R になる。 この時、 Vx と Z0Ix は、最大値(Vmax, Z0Imax)或いは最小値(Vmin, Z0Imin)をとる より、

線路上の電圧、電流の円線図 2つの観測点 x1 と x2 における電圧と電流の関係がちょうど下図のようになった時、 p x = x1 p x = x1 x = x2 ZL Z0 x = 0 Vmin Vmax x1 x2 Vx l/4 Z0Imax Z0Imin Z0Ix 2点間の距離は、 ∵ 線路上の電圧、電流は、位置 x に対して e−j2βx であり、 β=2π/λ である

線路上の電圧、電流の円線図 先の円線図の関係より、 或いは、 従って、l/4だけ離れた各々の点から受電端の方を見た2つのインピーダンスは、互いに逆回路の関係にある さらに、 より、 l/4だけ離れた2点における反射係数の符号は反対になる 大きさについては、無損失線路の場合、線路上至るところで (ZL = Z0)の場合 (ZL = jX)の場合

さらに、Rmax = Z0∙SWR、 Rmin = Z0/SWRの関係も式(9.31)から分かる 定在波比 無損失線路の受電端に任意の負荷 ZL を接続すると、線路上の電圧 Vx および電流 Ix は、l/4間隔ごとに最大値と最小値を繰り返し、電圧が最大(小)値となる点では電流が最小(大)値をとる。 ZL Z0 x=0 Vmax Vmin Vx l/4 Z0Imax Z0Imin 定在波比 (SWR または VSWR) SWR: Standing Wave Ratio VSWR: Voltage Standing Wave Ratio 定在波比SWRと反射係数G0との関係は、線路が無損失であるとして さらに、Rmax = Z0∙SWR、 Rmin = Z0/SWRの関係も式(9.31)から分かる

定在波による負荷の測定 無損失線路(a = 0)の受電端 x = 0に負荷 Zrを接続したとき、線路上の任意の点より負荷の方を見た駆動点インピーダンスは、V0 = Zr I0の関係より、 よって、 Zr Z0 x = 0 Vmax Vmin xmax xmin jb さらに、 Z0と βの値が既知の線路を用いて、SWRと xmax 或いは xminを測定することにより、Zrの値を求めることができる

演習問題 特性インピーダンス Z0 = 300[Ω] の無損失線路が、負荷インピーダンス ZLで終端されている。負荷から1/4波長離れた点から負荷を見たインピーダンス Z を測定したところ、Z = 200 + j150[Ω]であった。ZLはいくらか。

過去の定期試験の問題 問題3 図に示すように、特性インピーダンス Z0、位相定数 β0、長さ L の第1の無損失分布定数線路に、特性インピーダンス Z、位相定数 β の半無限長の第2の無損失分布定数線路を繋いだ。 (1)端子1-1’から見たインピーダンス Zin を求めよ。 (2)半無限長線路の第2の分布定数線路に代えて、純抵抗 R を端子2-2’に接続した。Zin が純抵抗 R の値に依らず、純抵抗となる条件を求めよ。また、その時の Zin を求めよ。 (3)図3の回路において、端子2-2’での反射係数 Γ2 を求めよ。さらに、L= λ/4 の場合の端子1-1’での反射係数 Γ1を求めよ。 (4)設問(3)において、Z0が純抵抗 50Ωの場合、端子2-2’における反射係数 Γ2 が 0.5 + j 0.5になった。この時、第2の線路の特性インピーダンス Zを求めよ。

ご聴講ありがとうございました