大同特殊鋼渋川工場 有害スラグ問題 学習会 市民オンブズマン群馬 代表 小川賢 2016年2月7日(日)13:30~
スラグ(slag)=鉱滓(こうさい)とは ■鉱石から金属を製錬する際などに、金属を含む鉱石を溶かした時に、分離して発生する鉱石中の岩石成分等を含む物質のこと ■スラグは、しばしば溶融金属上に浮かび上がって分離される。 ■また、浮遊選鉱および湿式製錬では、水分を中心とした泥状の物質が排出される。
スラグの主成分 鉱石の母岩成分由来のケイ酸塩(二酸化ケイ素SiO2)や金属酸化物(酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO) 等)を多く含む。 製鉄のスラグは、高炉を用いて鉄鉱石から金属鉄を還元精製し、融解した銑鉄を抽出する段階で生ずる。 転炉・電炉を用いて鋼を作る製鋼段階でもSiO2、CaOのほか、酸化鉄(FeO)を含むスラグが生ずる。 成分中にSiO2を多く含むスラグを酸性スラグ、CaOを多く含むものを塩基性スラグと呼ぶ。
スラグと融剤 金属と一緒に溶け、きれいに浮上し分離するスラグが理想。 理想のスラグ条件は、流動し始める温度が低い、金属への溶解度が低い、粘性が小さい、比重が小さい。⇒金属本体と速やかに分離する。 SiO2のスラグ中の比率が高いと、スラグの粘度が上昇し、金属との分離に時間がかかる。 流動性を高めるため、高炉では石灰石(CaCO3) を加える。石灰石の分解により塩基性の強い金属酸化物CaOができ、スラグの流動点が低く、粘度が小さくなる。 この工程はガラス製造工程と共通で、理想のスラグを形成するための融剤(フラックス)として、ヨーロッパでは有史以来ホタル石(CaF2)が多く使われてきた。
スラグの種類
スラグの問題点 スラグは重金属(鉛・六価クロム・セレン・フッ素・ホウ素など)が含まれている場合がある。 鉄鋼スラグは、カルシウムを大量に含むため強い塩基性(アルカリ性)を示す。 吸水して膨張する性質があり、盛り土に使うと地盤が盛り上がって構造物が損壊する被害が出る。 スラグは金属精錬の副産物として大量に発生する(高炉スラグ年間4000万トン、鉄鋼スラグ年間3000万トン、非鉄スラグ年間600万トンなど)。製造者はいつも廃棄コストを減らすためリサイクル製品を偽装したがる。
非鉄スラグの外観 細骨材(水砕・水冷) 粗骨材(徐冷・焼成) フェロニッケルスラグ フェロニッケルスラグ フェロニッケルスラグ 亜鉛スラグ 銅スラグ 亜鉛スラグ
スラグ絡みの不法投棄事件(1) 2005年までに70万トン不法投棄=三重県のフェロシルト事件(石原産業:チタン製造) 2005年2月まで十数年間鉄鋼スラグの強アルカリ排水垂れ流し=千葉市のJFEスチール東日本製鉄所千葉工場:製鋼) 2005年11月下旬から愛媛県今治市内塩田跡地に鉄鋼スラグの保管場建設を名目に約5.5万トンを搬入。06年3月以降、周辺の海で異変、周辺住民にも健康被害=日新製鋼+神戸製鋼所→東部開発(産廃業者) 2005年7月、「神鋼スラグ製品」(神戸市)が親会社の神戸製鋼からスラグを買い取った価格が通常より高く、親会社に所得を移転したとして大阪国税局が所得隠しと認定していたことが発覚 2007年8月、山陽特殊製鋼(兵庫県姫路市)がスラグをリサイクル販売した形を取りながら引き取った業者に販売額以上の運搬費などを支払う「逆有償取引」を行っていたことが判明。スラグは野積みされ健康被害を訴える苦情が相次ぎ、山陽が自社で撤去