明日からの実践 私の学習者の熟達化のためにすべきこと

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明日からの実践 私の学習者の熟達化のためにすべきこと MEDC FELLOWSHIP 2016 モジュール2 課題⑤最終プロダクト 明日からの実践 私の学習者の熟達化のためにすべきこと 岡 広子 広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 クラス長良川 平成29年2月 発表

キャリア・人生の歩み 学生受入れ派遣プログラム担当 基礎研究者 歯科医師免許 ・誰もしない隙間を埋める10年 ・基盤は形態系基礎研究者 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 キャリア・人生の歩み ・誰もしない隙間を埋める10年 ・基盤は形態系基礎研究者 ・広く(多所属)、狭く(学内)、それぞれ浅い(5,6年) 歯科医師免許 基礎研究者 学生受入れ派遣プログラム担当 歯科医師 大学教員 口腔病理学 薬理学 GP 国際歯科医学連携開発学 硬組織代謝 歯学・医学教育 歯科法医学(個人識別)

1)私が携わる継続的能力開発の概略(現在) 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 1)私が携わる継続的能力開発の概略(現在) 多様な文化的要素を超えて効果的に機能できる能力 プロフェッショナリズム、多文化理解、コミュニケーション 場所:大学(歯学部) 仕事の内容:  ①海外派遣・受入れの企画・運営・評価  ②歯学部の「国際」プログラム・授業担当(分担)   講義・実習<オリエンテーション、ガイダンスの要素 (+③諸々の調整、1年生教養ゼミワーキンググループ)

熱意、自己防衛力、問題意識、隙間を埋める、ロールモデル、メンターの存在 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 2)指導者としての私の長所短所 熱意、自己防衛力、問題意識、隙間を埋める、ロールモデル、メンターの存在 長所 ✓確立された体系的な指導を自分自身が受けた経験(口腔病理) ✓上級教官陣の下、ゼロからの立ち上げ/運営にかかわった経験 ✓自主的な外部での情報収集・自己研鑽へのモチベーション ✓母校勤務、一般個人歯科医院での外勤経験、開業歯科医院家族 (学習者当時の目線での問題点把握、「外界」に多少は接点) ✓色々な指導者と知り合う機会 ファシリテーター、ロールモデル、教育資源作成者(+) 「教育者の12の役割」より1)2)

2)指導者としての私の長所短所 情報提供者、評価者(-) 専門性(低レベル)、チームワーク(低レベル) 短所 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 2)指導者としての私の長所短所 専門性(低レベル)、チームワーク(低レベル) 短所 ✓既存の専門性分類で自分自身が上級・達人に達していない3)  (口腔病理・歯学教育・歯科法医学)  ✓主観に基づく判断が多い ✓新たな職場での実践共同体は構築途中(世代交代) ✓学習者との距離感 情報提供者、評価者(-) 「教育者の12の役割」より1)2)

3)私が行ってきた評価の長所短所 1/3 ◎学習者へのフィードバック ×ほかの指導者を周りを巻き込めていない ✓個々の目標設定 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 3)私が行ってきた評価の長所短所 1/3 「テストと理想モデルの真似」に対して評価が下されていた 自分自身の経験の学生時代の振り返り(フィードバックの機会のなさ) ◎学習者へのフィードバック ✓個々の目標設定 ✓イベント(経験)の設定・提示 ✓グループ・グループディスカッション ✓オンライン学習支援システム ✓報告会、レポート(返却・公開) ✓コスト(人)パフォーマンス、許容性 ✓個々の目標設定について、チームでは話し合われない TARGETモデル1) に沿ったアプローチ、別途経験的学習モデルサイクル1,4)も回す ×ほかの指導者を周りを巻き込めていない

3)私が行ってきた評価の長所短所 2/3 具体例1.国際プログラム(短期受入れ・派遣) 学習者毎の目標設定 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 3)私が行ってきた評価の長所短所 2/3 具体例1.国際プログラム(短期受入れ・派遣)   学習者毎の目標設定   現地でのグループディスカッション(ガイド作成)   2,3日に1度の振返りSEAに形成的評価(オンライン)   レポート全部を複数教員で採点し、平均点で総括評価 長所  ✓「DOES]5)レベルの一部振返り・フィードバックも可能  ✓複数の教員が評価するので信頼性↑ 短所  ✓フィードバックする/しない教員  ✓採点者によるバラツキ(主観・好み)→妥当性?  ✓5,6人の教員がそれぞれ全部確認する              →コスト(人)パフォーマンス?  ✓学習者からのフィードバックの形骸化(報告会)

3)私が行ってきた評価の長所短所 3/3 2.オムニバス形式授業の評価 評点の半分を複数回受験可能な小テスト (オンライン学習支援システム) 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 3)私が行ってきた評価の長所短所 3/3 2.オムニバス形式授業の評価 評点の半分を複数回受験可能な小テスト   (オンライン学習支援システム)   評点の半分を講義テーマを2つ選んでのレポート(指標有)  長所  ✓学習者が自分で授業内容の理解を確認する指標がある ✓小テスト部分のコスト(人)パフォーマンス 短所  ✓選んだテーマによって、成績が変わる恐れ→妥当性?  ✓教員の人気投票のようにとられる?  (✓聞きたくない講義は、さらに聞かなくなる)

モジュール2考察 あるべき指導者の在り方 学習者/他の指導者から信頼される人物である 専門家として ・知識・技術を身に着け、的確な判断をくだす ・プロフェッショナリズムを実践する(相手への敬意も含む) 教育者として ・チームワークを活用して学習者の指導に当たる ・目標設定を含め、各学習者を適切に支援する ・フィードバックや形成的評価を行う ・学習者に敬意をもつ ・学習者に目を配る 個人として ・学習者の目標となる ・やる気とモチベーションを引き出す 熱意

モジュール2考察 熟達化について学んだこと 経験の量だけではなく、質が重要である 学習者の個々の目標のもと、 適切な課題・経験を設定し、 よき学習環境を提供して 学習の振り返り(学習のための評価)を行う。 この経験的学習サイクルを回す、よき教育者の存在も大切である。

4)2と3を踏まえて、明日からの心得8条 1.どこでも通じる自分の専門性を確立し向上させる 2.学習者をよく観察する 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 4)2と3を踏まえて、明日からの心得8条 1.どこでも通じる自分の専門性を確立し向上させる 2.学習者をよく観察する 3.愛を持って、適切な距離で学習者に寄り添う 4.学習のための評価を行う/学習に関する評価を理解する6) 5.指導チーム全体の指導力アップために行動する   (カリスマなしでも動く体制、次世代の育成) 6.チームの中では自分の立ち位置を的確に把握し行動する   (リーダーシップ・フォロワーシップ) 7.学習者はそれぞれ違うということを、心する 8. 自分と同じ頑張りレベルを、他人に要求しない 

課題⑤最終プロダクト 岡 広子 今後の自分自身の方向性 まず、この先3年は 歯学教育と大学にしがみつき、積極的に参画できる地盤を固める 1. 基礎的な歯科臨床技術を取り戻す 2. インストラクショナルデザイン7)の研鑽を積む 3. よき仲間、コーチのネットワークづくり 4. 職場のOSCE業務への参画 (入れてもらえれば…) 5. 代わりが効くことは無理をしない 生涯現役、創造的熟達者8)

5)参考にした文献・サイト・情報 西城卓也 他.内科指導医に役立つ教育理論. 日本内科学会雑誌.第100巻:1987-1993, 2011 課題⑤最終プロダクト 岡 広子 5)参考にした文献・サイト・情報 西城卓也 他.内科指導医に役立つ教育理論. 日本内科学会雑誌.第100巻:1987-1993, 2011 Harden RM and Crosby JR. AMEE Education Guide No 20: The good teacher is more than a lecturer-the twelve roles of the teacher. Medical Teacher 22(4):334-347, 2000 大西弘高.医学教育モデルコアカリキュラムの今後臨床スキルとDreyfusモデル(Carraccio. Acad Med 83 761-767, 2008). 第89回東京大学医学教育セミナー資料 Kolb DA and Fry R. Toward an applied theory of experiential learning. Cooper C ed.Theories of Group Process, John Wiley, London, 1975. 錦織宏,西城卓也.医学教育における学習者の評価②各論. 医学教育. 33(6):429-438, 2013. 安藤輝次.形成的アセスメントの理論展開.関西大学「学校教育学論集」第3号:15-25, 2013. 鈴木克明. インストラクショナルデザインの基礎とは何か:科学歴な考え方へのお誘い.消防研修.第84号:37-53,2008 田中俊也.熟達者と初学者.学習心理学の最先端:学びの仕組みを科学する:122-133,2008.