「核力についてどんなことができるか」展望

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「核力についてどんなことができるか」展望 石井理修 (東大)

目次 ペタコン以降 多様な核力: 多様なハイペロン力: LS力、高次微分項、p-waveの核力。非対称LS力(ハイペロン力) 多様なハイペロン力: S=-1: NΛ、NΣ S=-2: ΛΛ、NΞ、ΣΣ S=-3,-4,-5,-6 (こういうものも状態方程式には必要) 結合チャンネルのハイペロン力 ΛΛーNΞ結合系、NΛーNΣ結合系、、、 近距離をoverlapのゲージ配位を用いて集中的に調べる。 斥力芯、テンソル力、etc. 物理的クォーク質量のゲージ配位(L~6 fm)[PACS-CSゲージ配位]: 現実的核力・ハイペロン力を計算する。 A02班内での連携(ペタコン以前から準備を始める)。 核理論の様々な方法との連携を確立して、原子核を格子QCDを使って調べる。 バリオン多体系の状態方程式として低温・有限密度状態方程式。 三体力:高密度で必ず重要性が増す。 計算量が膨大。チャレンジング。(準備はペタコン以前から開始する) ペタコン以降

多様な核力:LS力、高次微分項、p-wave 核物理でよく見かける形 でも、実はもっといろんな項がありえる。 [S.Okubo, R.E.Marshak,Ann.Phys.4,166(1958)] これらに対応していく必要がある。

多様な核力:LS力、高次微分項、p-wave(2) これまでに核力のエネルギー依存性を調べるために生成したデータ (空間方向に反周期境界条件を課したもの)は、cubic groupの表現で、 中心力のL2依存性 中心力+テンソル力のL2依存性 (D+G結合系) LS力 1+のsourceのimprovement sourceの構成(概念図) source を工夫していろいろ調べてみる必要がある。

J-PARC Exploration of multi-strangeness world 多様なハイペロン力 J-PARC Exploration of multi-strangeness world いろいろ重要である ハイパー核の構造 有限密度状態方程式  中性子星内部のハイペロン物質出現 実験的情報は限られている (直接ハイペロンビームを生成する加速器がないため) J.Schaffner-Bielich, NPA804(’08)309.

多様なハイペロン力 これまで: NΞ(I=1), NΛ 現在: NΣ, ΛΛ, etc. これから NΛポテンシャル S ≦-3 (J-PARCでも、簡単にはできない) 結合チャンネルの相互作用:NΛ-NΣ系、NΞ-ΛΛ系 ハイパー核では異なるthreshold間のエネルギー差が小さい。 (例えばΛΛーNΞだと25MeV程度)  intitialとfinalで粒子が変わらないdiagonalな相互作用    ΛΛーΛΛ、NΞーNΞ  に加えて、off-diagonalな相互作用    ΛΛーNΞ  も重要。  準備は完了。   この秋以降本格的に取り組む。 ~25 MeV NΞ ΛΛ 三体力の一部は、結合チャンネルの2体力から生成されている。

カイラル・クォーク作用による近距離核力の研究 核力に対する有限体積効果は、近距離では弱い。 (例)L~3 fm  [RC32x64_B1900Kud01370000Ks01364000C1715] L~1.8fm [RC20x40_B1900Kud013700Ks013640C1715]    の比較 1S0 中心力 テンソル力 青いデータ(L=1.8fm)は  r > 0.9 fmで方向によって  既に境界に達している。   ひげ状の構造 これらは実は次にある上下のシフトを  してないもの。[テンソル力はしなくてよい]  実行すると下にE=24~29MeVシフト。   体積が小さすぎてfreeの領域がない constant shiftの不定性を除いて、  近距離部分は有限体積の影響を受けない。 近距離部分の振る舞いはOPE(operator product expansion)によって調べられ、 カイラル対称性と相性がよい。 JLQCDのoverlap actionを使ったカイラル   対称性に忠実なゲージ配位を使わせて   もらって近距離部分の核力を詳細に調べる。 (for 1S0)

ペタコン (2010年度稼働予定)

物理的クォーク質量のゲージ配位による核力・ハイペロン力 必要性.1 (ポテンシャルのクォーク質量依存性) クォーク質量が軽くなると、 斥力芯が拡大 中間距離の引力が増強 テンソル力が増強

物理的クォーク質量のゲージ配位による核力・ハイペロン力 必要性.2 (ポテンシャルから計算した位相差) We have no deuteron so far. 合理的な振る舞いであるが、強さが全然足りない。 軽いクォーク質量の効果が非常に重要である。  PACS-CSのL~6fmの物理クォーク質量を採用した2+1 flavorのゲージ配位に期待。

A02班内での連携(核力計算の結果のapplication) 核理論の様々な方法の専門家と連携。 原子核・ハイパー核を格子QCDを使って調べる。 バリオン多体系の状態方程式として、低温・有限密度状態方程式を作る。 (鷹野氏@早大)  中性子星、超新星爆発(A03班) A01班の格子QCDによる 原子核直接計算 格子QCDによる 核力・ハイペロン力 少数多体計算 (肥山氏@理研) 小さな原子核やハイパー核 (ハイパー核は特にJ-PARCを意識) A=7,8くらいまでは行けるそうです。 有効相互作用 (藤井氏@九大) 原子核を研究する様々な方法 shell model, 密度汎関数法, etc

3体力(3核子間相互作用) ほとんど未知の領域をQCD第一原理計算で。 原子核構造物理で最近注目が集まっている。 高密度において確実に重要性が増す。( 超新星爆発、中性子星) 核子6点関数 膨大なデータ量と計算量。(V=323 lattice使用時) 核子6点関数 :1.1 TByte  3核子波動関数:137 GByte 今考えているやり方(改良の余地が大)だと、  10PFlops級のスーパーコンピュータで挑める。  (1 ゲージ配位あたりの計算時間は10分弱) sink 側のcontractionを実行して作り置き(negligible) source側のcontractionを実行して、  運動量空間で3核子BS波動関数を作る(膨大な時間) 3核子BS波動関数を逆Fourier変換により座標空間に(negligible) 10 time slice × 500 ゲージ配位  833 時間 ペタコン使用開始までに、  計算量やデータ量の大幅な合理化を考えなければならない。 3核子波動関数