東京都自殺相談ダイヤル ~こころといのちのほっとライン~ 東京都自殺相談ダイヤル ~こころといのちのほっとライン~ 0570-087478 (毎日14時~翌5:30)
窓口概要 平成22年(2010年)4月15日から開始 開設日:年中無休 受付14:00~翌5:30(翌6時終了) 利用回数や時間の制限はないが、緊 急でない場合は長く聞かない 何度も同じ方が同じ相談をされる場合 は、地域の相談機関に紹介する
対象者 都内在住 在勤 在学の方 相談内容は自殺に関するもの (相談者、対象者とも) 都内在住 在勤 在学の方 (相談者、対象者とも) 相談内容は自殺に関するもの (緊急の相談が受けられるように、回線が混み過ぎないよう協力をお願いしている) 対象外の場合も、適切な相談機関(電話番 号のみ)を案内している
相談の前にお聞きすること お住まいの市区町村 初めての電話か否か 相談者の年代 (あるいは、勤め先・通学先の市区町村) (初回では、番号を知った経由も尋ねる) 相談者の年代 言いたくない方には無理にお聞きしませんが、都内在住・在勤・在学であるかは確認します
自殺相談ダイヤルの目的 自殺防止のための心理相談 原因となる問題解決のために、相談 機関へ確実に繋ぐ 死にたい気持ちを受け止め、和らげる 当日の実行を思いとどまっていただき、明日以降の相談へ繋げる 原因となる問題解決のために、相談 機関へ確実に繋ぐ 的確な社会資源の情報を提供する 必要に応じ、相談者と他機関の仲介をする
相談の対応 【傾聴】死にたい気持ちを受け止める 【明確化】背景問題や気持ちを整理 【アセスメント】希死念慮の緊急性、背景 事情や精神状態などを総合的に判断 【助言】視野を広げて考えられないか、 問題解決の為の相談先を一緒に考える 【祈り】生きる希望が見えてきますように、 一緒にため息をつく・・・
他機関に繋ぐ 原則は、通院先医療機関や現在利用して いる施設等に返す 問題解決に一番近い機関、あるいは包括 的に相談を受けられる機関を紹介 ご自分の力だけで相談するのが難しい方 に、相談員から紹介先へ事前に情報提供 を行う(公的機関及び、協力団体に限る) ただし、相談者と関係者(家族、友人、担当 保健師・ワーカー等)の関係仲裁はしない 相談する力がある人には、相談代行しない
東京都自殺相談ダイヤルの実績
相談電話件数の推移 ※2010年4月15日相談業務開始 14時~22時(21:30受付終了) ※2010年4月15日相談業務開始 14時~22時(21:30受付終了) ※2011年4月15日深夜相談開始 14~翌朝6時までに延長(5:30受付終了)
平成25年度相談電話件数 平成25年度 全18,754件
応答率の変化
平成25年度 時間別応答率
平成26年度 全18,325件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件:合計429件を除く) 相談者住所地
相談対象者の年代と性別 平成26年度 全18,306件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件「不明」19件:合計448件を除く)
希死念慮の有無 ー有の場合の緊急性ー 平成26年度 全18,325件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件:合計429件を除く) ※【実行】自傷他害の事実行為があったと確信できる場合 【高】自傷他害行為をすぐに実行しようとしている場合 【中】自傷他害の計画が明白で、近いうちに実行に移す可能性が高い場合 【低】希死念慮はあるが、近い時期に実行に移す可能性は低い場合
希死念慮と相談時間の関係 平成25年度 全18,325件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件:合計429件を除く) 平成25年度 全18,325件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件:合計429件を除く) 98 件 121 件 457 件 7,286 件 8,395 件 1,968 件 18,325 件
“自殺リスク有り”相談者のタイプ ・・・複数に該当する人もいます 急性の問題を抱えていて、混乱している人 慢性的な問題を抱えていて、常に希死念慮と隣り合わせで生きている人 漠然とした虚無感や自己無価値を抱えていて希死念慮が心の根底に流れている人 精神症状の増悪、発症などが原因 ・・・複数に該当する人もいます
“自殺リスク有り”相談者のタイプ 事例① やりがいを持っていた会社に解雇されてしまった。仕事をみつける気力もない。お金が底をついたので、もう死ぬしかない。 事例② 躁うつ病で通院中。生活保護を受けている。病気が良くなる見込みもないし、このまま世の中のお荷物になるより、死にたい。 事例③ 人間は戦争や環境汚染など愚かなことをやっている。自分は世界を飛び回る仕事で、先が見える。生きていて空しい。
“自殺リスク有り”相談者のタイプ 事例④ いつもテレビのタレントからメッセージが来る。今日は、若い男性歌手が自分に向かって、「キモいから早く死ね」というメッセージを送ってきた。死んだほうが良いと思う。 事例④-2 メンタルな問題で仕事を辞めた。早く仕事を再開したいと思って、薬を自分で減らしている。今日は、なんだかよくわからないけれど、死ななければならない気持ちが止められない。原因はわからない。頭が混乱して、何をしてしまうかわからない。
BPSASに陥った時は自殺企図のリスクは高い 自殺リスクが高い状態とは 追い詰められただけでは自殺企図はしない希死念慮だけでは自殺企図はしない 自殺企図に踏み出す寸前は、特殊な心理状態(BPSAS)に陥っている 視野狭窄(興奮)、呆然、混乱、強い抑うつ状態、奇 妙さ、など → リスクアセスメントの「本人の状態」 死にたい気持ちが強いとは限らない (希死念慮 ≠ 自殺) BPSASに陥った時は自殺企図のリスクは高い 迅速に対策を打つ!
「自殺企図につながる行動・気持ち(BPSAS)」に至る 3つのプロセス 生活と精神状態の悪循環 「統合失調症のために仕事を失い、生活が破綻し、統合失調症がさら に悪化する」など 精神状態の揺らぎ 「別れ話、癌と診断された、事業に失敗した」など 精神症状 「飛び降りろと命令する幻聴」など BPSAS以前への適切な対応=自殺予防 自殺相談ダイヤルはBPSAS以前だが、近い状態の相談者が多い
平成25年度 全18,325件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件:合計429件を除く) 通院歴
相談内容 (主訴) 平成25年度 全18,325件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件:合計429件を除く) 相談内容 (主訴) 平成25年度 全18,325件 (「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件:合計429件を除く) 精神医学的問題 社会的問題 (家庭) 社会的問題 (職場・学校) 心理的問題 対人関係 制度利用
( 「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件 平成25年度 全18,325件中 1,322件 1,542か所 ( 「切れた」324件「対象外」79件「迷惑電話」26件 合計429件を除く) 他機関との連携 情報提供対応1274件:1487か所 仲介対応37件:44か所 通報対応11件:11か所 ※情報提供・仲介・通報における連携先の数が対応数より多いのは一度に複数個所の機関と連携を行ったケースがあるためである
仲介の手順と注意点 仲介必要な相談者を見落とさない! 自分で相談できる人の相談代行はしない! 相談者と関係者の仲裁のようなことはしない! 必要性検討 仲介先選定 (複数で検討) 検討 了解を取る 個人情報聞き取り 相談者へ提案 仲介目的と概要の伝達 相談方法 相談先へ依頼 相談先の情報 うまくいかなければ再電話可 コールバック 仲介必要な相談者を見落とさない! 自分で相談できる人の相談代行はしない! 相談者と関係者の仲裁のようなことはしない!
仲介の例 自殺の緊急性が高く、警察や関係機関に、保護や緊急対応を求める 適切な支援機関を利用しておらず、相談能力(気力)に疑問があるため、仲介して確実に繋ぐ(以前相談し、うまくいかなかった方も) 事例) 仕事を失い、生活に行き詰まっている。もともと気が弱く、お酒を飲んでいる時しか相談できない。先日福祉事務所に相談した時は、飲酒を理由に拒否された。仲介してもらったことで、しらふで相談できた。
仲介の例② 既に支援機関に繋がっているが、今、追い詰められていると伝えられないでいるため、現在利用している支援機関へ連絡 自殺相談ダイヤルの頻回利用者で、地域の支援機関の利用が適切と考えられるもの 事例) 母子家庭で、子どもが発達障害。子ども家庭支援センターに相談はしている。子育て限界で子どもに手を上げてしまうが、虐待と言われるのが恐くて言えない。子どもを道連れにしてしまいそう。
相談者(困っている人)の“負”の特徴 自分の辛さや正当性を延々と訴える その訴えを全面的に認めてもらえないと激しく怒る、八つ当たりする どんな提案もダメと拒否 相手を信頼できず、相談先を次々に変える 全部他人任せにし、うまくいかないといとその人のせいにする 人を使って、関係者を思い通りにしようとする 総じて「自己本位、自己愛的態度」
相談を受ける大変さ 初対面やよく知らない人の話を聞かなければならないこと 話の分かりにくい人の話を理解しなければならないこと 自分が一番辛いという訴えをずっと聞いていると、気分が悪くなること 八つ当たりして罵詈雑言を浴びせられること 揚げ足を取ってくる人に助言しなければならないことがとても難しいこと 責任追及をしてくる可能性のある方に対応しなければならないこと(「相談者(困っている人)の“負”の特徴」5参照)
対応に困る相談 最初から不機嫌で、相談員に怒りをぶつける 特別扱いを要求し、断られるとクレームを言う 電話を終わろうとすると、「じゃあ、死ねってことですね」 妄想が激しいが、まったく病識がなく、医療や保健所相談を拒否する 病状が重いためか?、相談枠を理解できない 虚言の相談、巧みなエッチ電話 でも一番重いのは、「ありがとう、さようなら」
大変な相談への対応の工夫 丁寧な対応、見下していると誤解を受けないような対応を心がける まずは傾聴に徹し、相談者の気持ちに寄り添うことを徹底する 陰性感情をコントロールし、冷静に対応する 必要以上に心理的距離を縮めず、相談者の感情に巻き込まれないように気をつける 電話相談の限界を意識し、緊急対応で他機関に援助を求めることも検討する 電話相談で対応できないことについては丁寧に伝え、理解してもらうように努める
相談員に求められること 共感性 客観性 できないことを伝える勇気 巻き込まれ 過ぎない 陰性感情のコントロール 情報収集とアセスメント 巻き込まれ 過ぎない 陰性感情のコントロール 情報収集とアセスメント できることを考え精一杯動く 助けたい気持ち 相談者の困難さに関する想像力 傾聴と受容 傾聴技術と心理相談技法 一般常識 と社会経験 社会資源や福祉制度の知識 精神医学知識・経験 どうしたら相談者のためになるか、 相談者を思いやる気持ちが一番大切
課題:相談員の質の向上と、心理的負担の軽減 相談員の課題 臨床心理士(7割);重症精神疾患患者の経験が少ない、社会資源や制度の知識少ない 精神保健福祉士(3割);傾聴の訓練が足りない、指示的になりがち 相談員全体;実務経験内容により知識・能力の偏り + 自殺相談特有の心理的負担 課題:相談員の質の向上と、心理的負担の軽減 ⇒研修の必要性 + 燃え尽き防止が必須
人材養成について 【人材養成の方針】 新人から既存の相談員まで、相談技術の向上に資する専門 性の高い研修を行うとともに、相談員自ら振り返りを行い、 常に技能を研鑽する 相談対応に常時目を配り、対応の質と相談員意識の向上を 心がける 相談員が相談者の対応に困った場合は、即座にスーパー バイザーが助言する体制を整えており、スーパーバイザー の適切な助言を受けて相談員が対応することで、対応能力 の向上を図る 【人材養成の内容】 事例検討と、グループスーパーバイズ すべての要素の入った相談員養成研修(別資料) インテークカードを検討し、個別指導 リアルタイムでのスーパーバイズ
リアルタイムでのスーパーバイズ 相談を受けながら、スーパーバイズを受ける必要がある → 平成25年度 180件 【SVの例】 → 平成25年度 180件 【SVの例】 仲介するかどうか微妙 希死念慮高く、警察通報するかどうか迷う 相談者の興奮高く、何時間も電話が切れない 特に、深夜で相談員が一人の時間帯が問題