今日の説明の流れ 1.開発の問題としてのHIV ⇒ 2.HIV:神話と事実や経緯 ⇒ 3.現在、世界のHIV状態 ⇒ 4.HIVと貧困 ⇒ 1.開発の問題としてのHIV ⇒ 2.HIV:神話と事実や経緯 ⇒ 3.現在、世界のHIV状態 ⇒ 4.HIVと貧困 ⇒ 5.HIVとジェンダー ⇒ 6.HIVによる開発途上地域へのコスト
ODAを提供している国際資金のHIVへの見方 HIV危機を直面しているインドへの訪問中Microsoftのゲイツ社長 アジア太平洋HIV/エイズ国連特別大使 Sadik 医師 世界銀行の Wolfensohn行長: ゲイツ夫妻の財団はインドのエイズ防止のために1億ドルを寄付 Newsweek 02.12.28 「HIVは人間安全保障への最大の長期的な脅かし である」 HIVは「開発への脅威、いや、我々は直面している最大の脅威である」 1.開発の問題としてのHIV
HIV/エイズと開発:世界のエイズ感染率 発展途上国に感染者が集中している 合計 約43,000,000人 2005年12月現在 1,200,000人 1,000,000人 1,500,000+ 600,000人 8,000,000人 1,500,000人 15,000人 30,000,000人 1.開発の問題としてのHIV
先進国と途上国の間のHIV・エイズ: 貧困との関係があるのか? 移動する仕事が多い 性的慣行に関する情報は手に入れない 日雇い労働や季節労働で家族から離れる 近代化に連れて、男女不平等(賃金差別、世帯内役割分担)が生じている 1.開発の問題としてのHIV
HIV/エイズ:事実と神話 ・HIVは伝染病。病原体はヒトT細胞白血病III型ウイルス。 麻薬注射は第2伝搬となる。 2.HIV神話と事実や経緯
HIV伝搬の経緯 時間の流れに連れた伝搬 発見:1978年(フランスとアフリカ)⇒ 81年(北米)⇒ 全世界 (が、1950年代から存在していた?) II. 診断報告による地理的な広まり 1.中央・東アフリカ・カリブ海 ↓↓ 2.北米、ヨーロッパ ↓↓ 3.南アフリカ、南アメリカ、南アジア、東南アジア 診断されていない場所では、正式な情報は手に入れない 病院に行けない貧者も、私立病院に行く患者も数えられていない。 2.HIV神話と事実や経緯
地域 成人と小児感染者数 成人の感染率 サハラ以南 アフリカ 29,400,000 8.8% 北アフリカ・中近東 550,000 0.3% 南アジア・東南アジア 6,000,000 0.6% 東アジア・太平洋 1,200,000 0.1% ラテンアメリカ 1,500,000 カリブ海 440,000 2.4% 東ヨーロッパ・中央アジア 西ヨーロッパ 570,000 北米 980,000 オーストラリア・ニュージーランド 15,000 合計 42,000,000人 1.2% 3.現在、世界のHIV状態
HIVによる世界への脅威 推計: 中国 1,200,000人+ インド 5,000,000人 タイ 700,000人(2.5%) 推計: 中国 1,200,000人+ インド 5,000,000人 タイ 700,000人(2.5%) ヴェトナム200,000人+ ミャンマー 500,000 (48,300,000人口の中) カンボジア200,000 人(2.7%) 3.現在、世界のHIV状態
将来の推定感染者数 インド 20 単位:100万人 2010年 15 2002年 10 中国 エチオピア 5 ロシア 0 単位:100万人 20 単位:100万人 2010年 15 2002年 10 ナイジェリア 中国 エチオピア 5 ロシア 0 3.現在、世界のHIV状態
HIVと開発: HIVリスク・高い感染率と貧困との関わりはどこにある? 近代開発と貧困化:自給持続可能な生活がなくなったら、近代化に伴う道路建設、プランテーション小作農に依存する。このような季節労働・移動労働の問題は ①所得が足りないが、他の選択肢がない ②家から離れた所に行くとHIVリスクが高まる 貧困のサイクル: 土地がない ⇒ 生産ができない ⇒ 貯金ができない ⇒ 子供の高等教育の学費を払えない ⇒ 小作農や出稼ぎ労働しか選らばれない ⇒ 移動労働のリスクにさらされる ⇒ HIV ⇒ 医療 コスト、失業コストなどで債務が蓄積していく 貧困層の中の「貧富」格差が広がる
土地無し貧困、低教育、移住労働、HIVの悪循環 教育を受けていないため、高賃労働も 入手できない 土地をなくす・土地がない 生産ができない・ 物を売れない 支出や債務が蓄積していく 子 教育を受けていないため、高賃労働も 入手できない 子供の高等教育の 学費を払えなくなる 親 HIV とその コスト 貯金ができない HIVリスクにさらされる 出稼ぎ労働・移住労働
HIVとジェンダーとの関連性もある? “南アジアにおける感染率に関しては、15歳~24歳の年齢層の感染者は、62%が女性である。HIVポジティヴ女性の90%は既婚女性である。”(UNDP)
発展途上国とHIVのリスク・ファクター ・ 貧困層とHIVのリスク・ファクター 複数性的相手をもつ慣行、特に同時に。 パートナーと、性的慣行について 話しができない 交渉できない 合意しない ために、セーフ・セックス(安全なセックス)ができない 4. よく移動する仕事・生活をもつ。これは、 貧困層の出稼ぎ労働と関わってくる。
HIVと開発 女性 ジェンダーに関わるリスク・ジェンダーに関わるコスト HIVリスク防止について相手との交渉ができない 相手との関係の中で、二つのリスクの間しか選択できない 女性職業とリスク環境(仲介がいる所での仕事) 男性 階層による教育、スキル、職業訓練の不足 ⇒ 「リスク環境職場」しか選べられない 経済的ニーズを満たせる労働環境はリスク環境である 出稼ぎ労働 「男性文化」に誘われるリスク行動
HIV/エイズと発展途上国: 伝統社会における構想 HIV/エイズと 開発途上地域のローカルコミュニティへのインパクト: 新たに必要となる支援・福祉 治療がないので、免疫を強める寿命を伸ばす方法 HIVで両親を亡くした子供への援助 HIVで大人の子供を亡くした老人への援助 薬が手に入れないところでの食事生活, 伝統的な薬草の使用 住民助け合いグループ
HIVに関わる発展途上地域のコミュニティコスト 親のいない、所得のない子供達が低学年から直接働きに行く場合、低賃金労働しかかかれない 20・30代の生計を担う夫婦が亡くなると、世帯の 支えはスキルや健康が優れていない老人に残される HIV患者が働けないし、看病する人も仕事に出かけないために、二人分の所得がなくなる 国民医療保険制度のない国で、病院への交通費や医療費は自費で払われる。患者が共同体からの援助を求める
移住労働とHIV 移住労働はHIV感染のリスクとなるのはなぜか? 出稼ぎ先・移動先での誘惑: 家、家族、相手から離れる。日常生活、価値観、人との絆から 離れる 周りを知らないし、相手としてもよく知らない人。その人の他の性的相手やその人数もしらない 移動先の職場・現場での、人との深い関係、長期的な関係の 不可能性 移動先の職場・現場 頻繁的に相手をかえる習慣 毎週末に(決まっている日に)出る報酬の一部を受けたい、 飲み屋、麻薬、売春に紹介する仲介が待っている 週末にストレス開放となる飲みに行く・遊びに行く習慣で団結をし、ピアー・プレッシャーによる知らない人と性的関係をつくる
ハイ・リスク・グループや職業の順位(職業別など) 発展途上国とHIV/エイズの感染率 ハイ・リスク・グループや職業の順位(職業別など) タイ 他の途上国(推計) 日雇い・季節やとい労働者 軍隊 農業 (特に小作農) 運輸 失業者 麻薬注射常用者 個人店舗経営者 建設(日雇い・季節労働) 小児(親による感染) 性産業者 主婦 親による感染された小児 公務員 小作農(季節労働) 囚人 カラオケ・ディスコ・エンターテーナー 漁業者 個人店舗 オフィス・ワーカー 乞食、ストリートチルドレン
亡くなった娘の写真を見せるタイ北部の年配の女性。 残された婿の所得に頼っている。
働きながら頑張ってノン・フォーマル教育による高卒と同じ資格をとった。 19歳で結婚して、20歳で長男が生まれた。 夫に感染され、27歳で亡くなったガンヤパンさん。 看病するために自分の仕事をあきらめた母は読み書きができないために、 HIVの影響を受けた家族への援助があることを知らなかった。