ICRR共同研究発表会(2003/12/19) 神岡100mレーザー伸縮計の概要と観測記録              新谷 昌人(東京大学地震研究所)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
平成16年11月26日 (金) 第822回地震研究所談話会1 新潟県中越地震緊急観測 中越地震緊急観測グループ報告者:平田 直 謝辞:本調査研究は科学研究費補助金(特別研究促進費) 「 2004 年新潟県中越地震の余震に関する調査研究」の補助を受 けています。 一部の研究は、科学技術振興調整費・緊急研究「平成.
Advertisements

2004 年新潟県中越地震と スマトラ沖巨大地震の 震源で何が起こったのか? 八木勇治 (建築研究所・国際地震工学セン ター)
Paroscientific 社・水晶振動式深度計への ナノレゾリューションテクノロジーの適用 Paroscientific 社日本総代理店 東邦マーカンタイル株式会社 大井 拓磨.
スペース重力波アンテナ (DECIGO) WG 第3回ミーティング (2005 年 5 月 12 日 国立天文台, 東京 ) 1 光共振型 DECIGO の可能性 安東 正樹 東京大学 理学系研究科 物理学教室.
地球重力場観測 新谷昌人 ( 東大地震研究所 ) Decigo-ws (2008/4/16). 人工衛星による地球重力場観測 人工衛星の軌道から地球重力場を検知 GPS ・地球重力場の研究 ・水の監視 (地下水、氷床) ・地殻変動の監視 (地震、火山噴火) -> 地球環境監視.
前時の確認 身のまわりで電波が使われているものは?
音の物理的性質(その1) 音(sound) ・音波(sound wave)とは? 騒音(noise)とは?
生体分子解析学 2017/3/2 2017/3/2 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
重力波でみる 7億光年先の宇宙 地下大型重力波検出器LCGT計画の始動 東京大学宇宙線研究所 宮川 治
環境センサつなぎ込みミーティング SeeVogh 出席者:新谷、都丸、端山、宮川.
2006年2月22日 宇宙重力波干渉計検討会 - 小型衛星とDECIGO - 川村静児 国立天文台
長周期地震動対策関係省庁連絡会議(第5回)
神岡宇宙素粒子研究施設の将来 Future of the Kamioka Observatory
減衰自由振動の測定 実験装置と実験方法.
水戸市に建つ超高層免震建物の 強震観測例 2011年9月27日 ハザマ 境 茂樹 東京工業大学建築物理研究センター講演会
デジタル信号処理①
プロジェクト研究発表 重力波天文学 at Spring School, ICRR, The University of Tokyo
応用編:地震波形を使って震源を決めてみよう
中央構造線断層帯の深部構造と準静的 すべりに関する測地学的推定
スペース重力波アンテナ(DECIGO)WG第4回ミーティング (2006年05月11日 国立天文台, 東京)
羽佐田葉子 2007年3月24日 アクロス研究会@静岡大学
本間 希樹 Mareki Honma (水沢VLBI観測所)
宇宙重力波検出器用レーザー光源の光ファイバーを用いた安定化
宇宙重力波検出器用レーザー光源の光ファイバーを用いた安定化
宇宙での重力波観測 (1) 宇宙での重力波観測 宇宙で観測するメリット : 他にはないサイエンスがある
新特定領域 「全波長重力波天文学のフロンティア」 第5回会合 (2005年7月30日 国立天文台, 東京)
超伝導磁気浮上を用いた 低周波重力波検出器の開発
ー 第3日目 ー ねじれ型振動子のブラウン運動の測定
ランダム不均質媒質中の非等方震源におけるベクトル波エンベロープ合成
光の干渉.
セッション3:最近のミスマッチの実例分析 実例2:地震予知 地震予知情報発信のされ方について 予知研究の現場から
山中 佳子(准教授) 専門:地震学 巨大地震発生  メカニズムの解明 リアルタイム     地震学.
DECIGO pathfinder のための 静電センサーの開発
瀬戸直樹(京大理) CMBワークショップ 年6月8日(火) 国立天文台
重力波検出の将来計画 文責:川村静児(国立天文台) 2004年9月14日.
スペース重力波アンテナ(DECIGO)WG第4回ミーティング (2006年05月11日 国立天文台, 東京)
低周波重力波探査のための ねじれ振り子型重力波検出器
宇宙重力波検出器用大型複合鏡における熱雑音の研究
光トラップ中での ボース凝縮体の運動 学習院大学 物理学科 平野研究室 菊地夏紀.
LCGT詳細設計とR&D 大橋 正健 東大宇宙線研.
IR スペクトルとは 分子に波数 4000 – 400 cm-1 の赤外線をあて,その吸収の様子を調べる分析法
統計的震源モデルと 半無限平行成層グリーン関数 による高振動数強震動の計算法
大地震の地震波と静的な地殻歪変化がもたらす地下水変動
位相カメラ 京都大学大学院修士1年 上野忠美.
YT2003 論文紹介 荻原弘尭.
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科)
測距技術 ー 2波長干渉計による歪計測 ー 寺田聡一 産業技術総合研究所.
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
ー 第3日目 ー ねじれ型振動子のブラウン運動の測定
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
京都大学理学研究科 中村卓史 2006年2月24日 国立天文台
DECIGO/DPF 用の 周波数安定化光源の開発
2.3 津波の基礎.
産総研・計測標準 寺田聡一 東大地震研 新谷昌人、高森昭光
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
第7回 高エネルギー宇宙物理連絡会研究会 「高エネルギー宇宙物理学の将来計画」
統計的震源モデルと 半無限平行成層グリーン関数 による高振動数強震動の計算法
第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
神岡での重力波観測 大橋正健 and the LCGT collaboration
苔山 圭以子 お茶の水女子大学大学院 2007年11月17日, 高エネルギー天体現象と重力波研究会
TOBAの現状と今後の計画 坪野研輪講 2012年2月22日 岡田健志.
物理学実験 II ブラウン運動 ー 第2日目 ー 電気力学結合系の特性評価 物理学実験II (ブラウン運動) 説明資料.
固体材質同士の接合面における機械損失について
スーパーカミオカンデ、ニュートリノ、 そして宇宙 (一研究者の軌跡)
宇宙重力波干渉計検討会 -小型衛星とDECIGO- (2006年02月24日 国立天文台, 東京)
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
従来研究 本研究 結果 南極大型大気レーダーPANSYで観測された大気重力波の数値モデル再現実験による力学特性の解明
地震波.
LCGT Design meeting (2004年4月9日 東京大学 山上会館, 東京)
Presentation transcript:

ICRR共同研究発表会(2003/12/19) 神岡100mレーザー伸縮計の概要と観測記録              新谷 昌人(東京大学地震研究所)

地下1000m、跡津川断層から約2kmの地点に設置

神岡のメリット   ・地下1000m     地面振動・・・・小                       (0.1~0.01 above 0.5Hz)                気温変動・・・・小                       (<<0.1K)                岩盤・・・・強固、安定                     (飛騨片麻岩, vp=5450m/s)                降雨、地下水位変動、気圧                  ・・・・影響小(?)   ・跡津川断層近傍  断層運動モニター

GPS観測網(平原氏の資料より)

神岡100mレーザー伸縮計 分解能:1x10-13 ◎流体核共鳴効果(1x10-11 ) ◎地球の常時自由振動(1x10-12 ) ○サイレント・アースクエイク(1x10-12 ) ○ コア・モード(1):(1x10-12 )    媒質の弾性的な復元力と分子結合力による振動のうち、コアに    エネルギーが集中するもの △コア・モード(2) (1x10-13 ) 重力(アルキメデスの浮力)を復元力とする流体中にある固体の運動    (内部重力波)   スリヒター・モード    コアー・アンダートーン

コア・モード2S2の例 1989年マコーリー地震(Mw=8.0)の場合の計算例:(川崎:1999) 周期  1048秒(17.5分) 振幅  重力変化 1.4x10-11m/s2  伸縮変化 ~0.3x10-12strain

装置の概要、特長   ・ヨウ素安定化YAGレーザー光源              (波長安定度=ひずみ精度~10-13)   ・直交干渉計              (せん断ひずみ -> 気圧ノイズの低減、                         Toroidal mode検出)   ・絶対長干渉計              (sideband透過法、精度0.1μm ->                         断層運動モニター)

εxxを検出 εxyを検出

理論波形(GoticII) による地球潮汐 成分の除去

トレンド成分

気圧応答 ~0.5×10-8/25hPa =~2×10-10/hPa (linear成分のみ確認)

世界のレーザー 伸縮計の ノイズレベル

CMG 地震計 との比較

地震計(IDA)で 観測された 常時地球自由振動 (垂直成分)

従来の観測 (垂直成分)から 推定される 常時自由振動 レベル

十勝沖地震 (2003/9/26)

十勝沖地震 (2003/9/26) で励起された 自由振動

まとめ ・潮汐振幅 ・・・ 理論潮汐とほぼ一致(factorの異方性あり) ・長期トレンド ・・・  10-7台の周期的(?)変動 ・気圧応答 ・・・ linearで~2×10-10/hPa、shearでは確認できず ・自由振動帯  ・・・ 数mHz~数十mHzで世界最高感度(~10-12/√Hz)、 それ以下ではf-1以上の勾配で悪化 ・地震  ・・・ 十勝沖地震等(最大振幅1×10-6)、>2mHzで自由振動確認 課題 ・10mHz以下の雑音源の特定 ・・・  mHz帯の感度の向上 -> 自由振動観測 ・干渉効率の向上  ・・・ S/Nの改善(>0.1Hz) -> 微小地震観測 ・絶対長干渉計の組込み ・・・ 累積ひずみの観測 ->                           断層運動と長期トレンドの関連(?)