教師教育における 数学的ディスコースについて ─ 算数授業の談話分析を通して ─

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教師教育における 数学的ディスコースについて ─ 算数授業の談話分析を通して ─ 安田女子大学教育学部 橋本 正継 第94回全国算数・数学教育研究(福岡)大会 高専・大学部会 2012年8月8日(火) 北九州市ムーブ大セミナー

0. 背景とねらい 【背景】 教員養成課程における授業力の育成 反省的実践家としての教師 授業改善のためのフィードバック情報の充実 【ねらい】 教師の役割を検討する客観データの提供 関係性の分析(教材・教師・子ども)が重要 授業の生の姿を映すビデオ分析・談話分析が有効

2.談話分析の手法 ビデオの音声記録を文字記録へ変換 発話の意味や意図に基づき分類・コード化 集計・分析 発話の分類カテゴリー 誘発(E)の下位カテゴリー (TIMSS1995 ビデオ研究)

2.談話分析のスクリプト(例)

3.結果および考察(1) (1) 授業の全体像(授業の型) ─ 4つの事例 D:議論中心 W:活動中心 H:説明中心 D:議論中心

TIMSS1995ビデオ研究(中学校数学授業231事例の平均) 3.結果および考察(2a) (2a) 発話パターン ─ 教師と児童の発話回数 小学5年 教師:児童=7:3 中学2年 教師:生徒=8:2 TIMSS1995ビデオ研究(中学校数学授業231事例の平均)

3.結果および考察(2b) (2b) 発話パターン ─ 教師の発話の分類 発問(E)の割合 事例α(51%)>事例I(39%)>事例B(37%)>事例G(36%) 中学数学授業 発問(E)の割合:26% 説明(I)の割合:51% TIMSS1995ビデオ研究(中学校数学授業231事例の平均)

3.結果および考察(2c) (2c) 発話パターン ─ 教師の発問(E)の分類 記述・説明(DE)の割合 事例I(51%)>事例α(39%)>事例G(36%)>事例B(21%) 事実の確認・表明(NS)の割合 事例G・B(50%)>事例α(24%)>事例I(12%)  中学数学授業 記述・説明(DE)の割合:22% 事実の確認・表明(NS)の割合:79% TIMSS1995ビデオ研究(中学校数学授業231事例の平均)

4.課題および展望 【課題】 談話データの収集・分析・共有の効率化・高度化 教師の発問の質的分析 【展望】 授業の談話分析が充実すれば、教師の内省と省察 活動がより充実するのではないか。数学的ディスコ ースの充実に向けての指標になるのではないか。